
「ベルばら」新作エピソード1はアンドレ編。初めて読んだ時から「これはどうなのかなぁ?」と思う場面がある。
アベイ牢獄の件でロベスピエールから報告を聞くため、パレ・ロワイヤルを訪れたオスカルとアンドレ。この時二人は互いの想いが通じ恋人同士になっている。
アンドレが幼馴染のマリー・クリスティーヌと、約25年ぶりに再会する場面。オスカルと共に訪れたパレ・ロワイヤルで偶然、見違えるように美しくなった彼女を見て驚くアンドレ。
この場面、初めて読んだ時からずっと疑問を持っている。アンドレは目の前に現れたオルレアン公の寵姫を、幼いころ田舎で共に遊んだマリー・クリスティーヌだと気づいたのか?それとも単にそのまばゆい美しさに驚いたのか?アンドレの両親が亡くなり、ばあやを頼って田舎を出る時、マリーと結婚の約束までしている。このことをアンドレ、覚えていただろうか?
女性は化ける。化粧っ気のない女の子がしばらく会わない間におしゃれに目覚め、髪を染めメークをし流行の服を着ただけで、その変わりように「ええと、この人誰だっけ?」と考えてしまうことがある。アンドレはマリーと25年近く会わなかったわけだが、予期せぬ再会で果たしてこの時すぐに「あぁ、彼女はあのときの…。将来は結婚しようと約束した…。」と昔を思い出しただろうか?
マリー・クリスティーヌはじっとアンドレを見つめている。その視線にオスカルが気づかぬはずはない。オスカルに「マリー・クリスティーヌさまが、お前のことをずっと見ておられるぞ。」と言われ、マリーに視線を向けるアンドレ。彼は何を想っているのだろう?次第に昔の記憶が蘇ってきただろうか?
だが幼いころの可愛い結婚話は、アンドレには遠い記憶のかなたの出来事。今のアンドレにはオスカルしか見えていない。アンドレから「俺が見つめているのはお前だけだ オスカル。」と言われ、一瞬驚いた表情を見せた後、黙って瞼を閉じるオスカル。これは幸せを実感している表情?エピソード1を描いた頃は、まだ池田先生にかつてのタッチが戻っていなかったので、このオスカルの表情から幸せを読み取るのが少々難しい。
アンドレにとってマリーとの思い出は完全に過去形。もしかしたらオルレアン公の寵姫は幼馴染のマリーだと、全く気づかなかったのかもしれない。このあたり、読む人それぞれの解釈に委ねられている。
読んでくださり、ありがとうございます。
昔の記憶を辿って思いだした!としても、幼いころの可愛いおとぎ話。今のアンドレはマリー・クリスティーヌが言っているように、「その瞳はオスカルしか見ていない。」
注ぎこむような愛と言うのでしょうか。
アンドレの運命は8歳でジャルジェ家に引きとられ、オスカルに出会ったときに決まったのだと思います。
フェルゼンのそれが、あのオペラ座の夜、定まったように。
マリー・クリスティーヌのことを思うとせつなくなりますが・・・。ここにも20年以上続いた愛があったのですね。
オスカルの表情からは・・読みとるのは難しいですが、
その心は、
軽い嫉妬めいたものを覚えながらも、
「アンドレは私のもの、私だけのものだ。彼が見つめているのは私だけ。」と、ひそかに満足(?)しているようにもお見受けいたしました。
>生まれ育った村には可愛い女の子がいて、その子の名前は確かマリー・......ぐらいは覚えていたのかもしれません
まったく予期せぬ再会。アンドレにとってマリーは可愛い初恋の相手。結婚の約束をしていたことまで覚えていたか定かではありませんが、遠い記憶がふいに呼び覚まされたかもしれません。でもマリーは一途に大人になっても、アンドレを想い続けていた。パリに出てくれば、アンドレに会えるかも?とかすかな期待を抱いて。
>アンドレの運命は8歳でジャルジェ家に引きとられ、オスカルに出会ったときに決まったのだと思います
そうですね。廻り道はしましたが、まさに結ばれるべくして出会った二人です。(すんなり結ばれたのでは、これほど多くのファンを魅了しなかったかもしれません。)
>「アンドレは私のもの、私だけのものだ。彼が見つめているのは私だけ。」と、ひそかに満足(?)しているようにもお見受けいたしました
ああ、そういうふうにも受け取れますね。この場面、44年前の池田先生が描いたら、オスカルはどんな表情になっていたでしょう?少し顔を赤らめ、恥らっていたでしょうか?見てみたかったなあ。