民衆の歓喜とは裏腹に軍部独裁政権が誕生したエジプト
要は軍部にムバラク政権が見切りをつけられたに過ぎない
思えば
ムバラク政権はは親アメリカ
すなわち親イスラエルの政治姿勢だった
ムバラクの6兆円とも言われる資産のうち何割かは
中東(特にパレスチナ問題)におけるイスラエルの
強硬姿勢に対して表立った抗議をしないことへの代償として
(経済支援という形で)アメリカから
(主に)ムバラクへ渡されていたものだともいわれている
その力でムバラク政権は軍部の支持と国内の不満の封じ込めに成功し
(表向きの平和で)国際的な信頼を勝ち取っていたのだ
現時点では今回の騒乱の平和的な終息を喜んだ世界各国
しかし
ムバラクの退場により確固たる指導者を失ったエジプトの
今後はどうなるかは誰にもわからない
悪く考えるならば
中東に最新鋭の武器を持つ
巨大なイスラム原理主義国家が誕生するかもしれない
よく考えるならば
今回の事態が抑止力となって
中東戦争の再開を恐れるイスラエルの
方向性を転換させ
手詰まりになっている
中東和平に変化が訪れることだ
といった まじめな話はさておき
戦車の話をしたいと思います
チュニジアのときもエジプトのときも
アメリカ製のM60A3戦車がテレビに見切れていました
同じ戦車なので一見同じように見えますが
実はよく見ると結構違うんです
具体的には
チュニジア軍の同戦車は(転輪や装備品から見て)80年代の形式です
車体の色が黄土色系で茶色と緑の迷彩が施されています
それに対してエジプト軍は(同様に見て)90年代の形式です
車体の色が黄色系で迷彩はありません
ここからわかることは
形式の違いは両国の国際的地位であったり
アメリカからの待遇(兵器は概ね新しいほどよい)です
車体の色の違いは(実は意外と)山が多いチュニジアでは
車体のベースが土の色で緑や茶色の山岳迷彩をします
これによりチュニジアは(どちらかといえば)
守りの戦略を取る国だなということがわかります
それに対して
砂漠が多く山のないエジプトでは
車体のベースが砂の色です
(砂漠には木や草が無いので茶色や緑色は必要ない)
こちらは砂漠迷彩といいます
エジプトは砂漠で戦うつもりだな
と同時に中東最大航空兵力を誇るエジプト軍はその優位を生かした
攻撃的な戦略を取るので待ち伏せなどしない(かもしれない)な
といったことがわかります
戦車の色からは必ずその国の土地柄や戦略が透けて見えるのです
あと 興味深いというか どうでもいい点として
90年代のアメリカ軍の同戦車にはハイテク装甲がついていましたが
今回のエジプト軍の同戦車にはそれらが見当たりません
供与するにあたって外したのか?
それともつけない車両を回したのか?
その辺は謎ですね
次回は
「エジプト軍のM1A2エイブラムスについて」や
「エジプト軍とチュニジア軍のM113装甲兵員輸送車の違い」
なんてことについても
書きたいと思います