そうかん日誌 ~Du 11eme arrondissement de Paris

タイトルを「りょうかん日誌」から「そうかん日誌」に変更しました。

拙作十二首

2022-03-05 | Weblog
昨年の夏休み中、詩作の練習のために、三十種すべての平韻を使って七言絶句を都合60首ほど作りました。もとよりいずれも技巧や典拠などない稚拙な駄作ですが、その中から、退職にあたっての感慨や、退職の機に合わせて自宅を転居したことなどを記した十二首を、記念にここに掲げておきます。


➀懐旧行履(下平声一先)
 
深竹蕭蕭六月天   深竹 蕭蕭たる六月の天
修来寮裏半生禅   寮裏に修し来たり 半生の禅
尋常自問志安在   尋常に自問す 志 安くに在りと
如夢追懐最後年   夢の如くに追懐す 最後の年

②惜残日(下平声十二侵)

二十余年住竹林   二十余年 竹林に住し
一堂端坐亦情深   一堂に端坐すれば 亦 情深し
指南化導到今日   指南化導して今日に到り
嫡嫡相承菩薩心   嫡嫡相承す 菩薩の心

③辞精藍(下平声十三覃)

竹叢寮舎在城南   竹叢の寮舎 城南に在り
全土雛僧鼓舞参   全土の雛僧 鼓舞して参ず
二十余年如昨夢   二十余年 昨夢の如し
後生慈育護精藍   後生を慈育して精藍を護る

④復故地新心(下平声十五咸)

如今還見旧栖杉   如今 還た見る 旧栖の杉
隣比池園啼鳥銜   隣比の池園 啼鳥を銜(ふく)む
新定小居終世地   新たに小居を終世の地と定め
端身一息整衣衫   端身一息 衣衫を整う

⑤了職帰山(上平声五微)

為衆寮中執指揮   衆の為に 寮中 指揮を執り
相伝説得祖師機   相伝説得す 祖師の機
即今難値法縁謝   即今 難値の法縁を謝し
乞暇帰山示晩暉   乞暇し帰山して 晩暉を示さん

⑥護惜半歳(上平声六魚)

寮中教導半年餘   寮中の教導 半年の餘
時復追懐辨道初   時に復た追懐す 辨道の初め
人世無常残日少   人世無常にして残日少なし
寸陰護惜了安居   寸陰を護惜して安居を了ぜん

⑦坐禅堂中思吾行履(上平声七虞)

衆僧打坐整心躯   衆僧 打坐して心躯を整え
喫了飯台洗鉢盂   飯台を喫了して 鉢盂を洗う
野衲半生在這裏   野衲の半生 這裏に在り
自牀就位獨長吁   自牀に就位して 獨り長吁す

⑧転住大都西(上平声八斉)

随縁転住大都西   縁に随い転住す 大都の西
辞退閑居伴梵妻   辞退し閑居するに 梵妻を伴う
十尺軒中存富貴   十尺の軒中に富貴あり
隣園池畔杜鵑啼   隣園の池畔に杜鵑啼く

⑨受寄贈大般若経(上平声十一真)

爾来経過幾回春   爾来経過す 幾回の春
邂逅檀林主與賓   檀林に邂逅す 主と賓と
六百金文都具備   六百の金文 すべて具備し
寮生寄進道心眞   寮生 寄進す 道心の眞

⑩住池畔看白蓮(下平声一先)

護寮化導半生禅   寮を護り化導す 半生の禅
不厭到来退職年   退職の年の到来するを厭わず
転住西方池沼畔   転住す 西の方 池沼の畔
猶看青竹白花蓮   猶看る 青竹 白花の蓮

⑪堂中颯風(下平声三肴)

学寮乞暇入西郊   学寮を乞暇して 西郊に入り
池畔里居結淡交   池畔の里居に 淡交を結ぶ
一日堂中風颯颯   一日の堂中 風颯颯   
遙聴窓外晩蝉呶   遙かに聴く窓外 晩蝉の呶(かまびす)しきを

⑫初秋爽気(下平声四豪)

人生活計任風濤   人生の活計 風濤に任せ
随業因縁適職遭   業に随い 縁に因って 適職に遭う
烈暑減衰蝉聲息   烈暑減衰して 蝉聲息み
一天気爽夕陽高   一天 気 爽やかにして 夕陽高し
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