するとカイさんが、
「そればかりではなくて、若い人の感性も知りたい、というのもありまして…それならすぐ、大輝君にもできると思うんですよね 」
「大輝、どうする? 本当にお前はここでやっていけるのか? 」
突然の、父の前向きな言葉だった。驚いたが、俺は、
「やります。頑張ります 」
と、とっさに答えていた。
そして、さっさと、オミさんとカイさんに、よろしくお願いします、と頭を下げていた。
両親も二人に頭を下げ、俺のことを頼んでくれた。
嬉しかったが、少し緊張がほぐれた感じで、みんなに申し訳ないのだが、疲れがじわじわと広がってくるような気がした。
場の雰囲気がなごんだところで、笑顔でカイさんが、
「明日は大輝君と二人で現場の下見なんですよ… 」
と言うと、両親は楽しそうに聞いていたが、母がいきなり、
「オミさんは、かなもとフーズの御曹司なんですか? 」
かなもとフーズといえば、全国的に有名な食品会社だ…
…俺はそんなこときいてないよ…
そしてオミさんはどぎまぎしているようだ…
「…御曹司ではないですが…勘当されてるのにたまに呼ばれます 」
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