小説「離しません!」&スピンオフ「オミとカイ-少女の霊と俺達と-」

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28 オミさんは御曹司?

2024-01-10 22:53:53 | 小説
 するとカイさんが、
「そればかりではなくて、若い人の感性も知りたい、というのもありまして…それならすぐ、大輝君にもできると思うんですよね 」

「大輝、どうする? 本当にお前はここでやっていけるのか? 」

 突然の、父の前向きな言葉だった。驚いたが、俺は、

「やります。頑張ります 」

と、とっさに答えていた。

 そして、さっさと、オミさんとカイさんに、よろしくお願いします、と頭を下げていた。

 両親も二人に頭を下げ、俺のことを頼んでくれた。

 嬉しかったが、少し緊張がほぐれた感じで、みんなに申し訳ないのだが、疲れがじわじわと広がってくるような気がした。

 場の雰囲気がなごんだところで、笑顔でカイさんが、
「明日は大輝君と二人で現場の下見なんですよ… 」
と言うと、両親は楽しそうに聞いていたが、母がいきなり、

「オミさんは、かなもとフーズの御曹司なんですか? 」

 かなもとフーズといえば、全国的に有名な食品会社だ…
 …俺はそんなこときいてないよ…

 そしてオミさんはどぎまぎしているようだ…
「…御曹司ではないですが…勘当されてるのにたまに呼ばれます 」



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