小説「離しません!」&スピンオフ「オミとカイ-少女の霊と俺達と-」

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小説「オミとカイ」4.同性だっただけ

2024-07-06 22:31:00 | 小説
 麻里華ちゃんとうまくいかなくなったのは彼女の仕事のスランプが発端 だった。

 アイデアが浮かばないので新作ができなくなったというのだ。

 それは24才の彼女の、人生初の挫折だった。

 それまでは、何事にも優秀で、最近はデザインの才能も工房の経営センスも認められ、東京都の若手向けのコンテストで賞までもらっていたほどだ。
 さらには完璧な彼氏 (俺のことだと彼女は言う。照れる。) がいて、
いわゆる 順風満帆な状態だった。

 そのために、初めてのスランプに戸惑うことは一通りではなかった。

 そしてデザイン工房を閉めて、故郷の福岡に帰るなどと言い始め…

 彼女より一回り年上の自分はいろいろアドバイスもしたが、だんだん聞いてくれなくなっていた。

 それは無意識のうちに、今現在 YouTube もうまくいっている俺への反発も出てきたようで 、俺も困ってしまった。

 俺だって 音楽の道だの何だのと、嫌なことも多かったし、そんな壁を乗り越えてきたとからこそいうのに… 若い彼女には説明してもピンとこないらしい。
 俺もできるだけデートの時間を作って、映画や美術館やドライブに連れ出した。
 そして、急いで結論を出さない方がいいと言っても、麻里華は不服そうで...

 それは後で気づいたのだが、俺との結婚を望んでいたためもあったらしい。

 早くプロポーズをされたい、 ウェディングドレスが着たい 、子供が欲しい…
 でも働くことも続けたい彼女は、家庭と仕事の両立はできるのかと悩んでいたと思うのだ。

 俺の方もこの状況を打開するには せめてプロポーズをして婚約をしてしまおうかと思っていた。結婚はまだ先としても。


 それで ゆうべ、カイに話したらこんなことに…

 フクちゃんも俺も、電話しても大丈夫なカイの知人をそんなに知っているわけでもなく…


「フクちゃん カイの彼女とか知らない?」

「知らないな。オミ君に言ってなきゃいないと思うよ」

「でもバンドをやっていた頃はいたんだよ」

「それで?」

いつも優しいフクちゃんが珍しくイライラしている。

「だから男を好きになるわけない 」

するとフクちゃんは穏やかな口調で、

「世の中には好きになった人がたまたま同性だった、ていう人も多いんだよ。性別なんて二の次ってね。俺も個人的には、そういうのもありかと思うけど」



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