執着…

家（や）に夫（つま）子待てども若ききみを抱く火照（ほて）りは褪（さ）めずかなしきまでに

火中…

妻母の貌（かたち）を持てどきみを恋ふ肉（しし）が火中（ほなか）を翔（かけ）てゆくとき

言葉…

夕ちかき四十路の胸を支ふきみ『婚外』といふ言葉は要らず

体官…

二十四を抱いてやさしむ四十路女（め）の体官をさは火柱がぬけ

残照…

きみはまた行ってしまふか初夏（はつなつ）のひかりをぼくの胸に残して

白日…

たちまちに返るかあつき夏の日にわれに与（あづ）けし白き肉叢（ししむら）

触紗…

子を産まぬ乳房愛しも触（さや）るれば乙女のままの紗（うすぎぬ）の下

夏光…

きみはまたぼくを抱(いだ)くかみづみづと初夏のひかりを肌に浴びつつ

午陰…

あじさいの溢れる青の揺れ感(うご)くひるのふかみを抱(いだ)き合ふかな

肌合…

手の平に触（さや）る乳房のやはらかく息づかい美（は）しその肌（はだへ）はも

惜春…

くれなゐの頬も白き肉叢（ししむら）も思ひでとなる…サヨナラ青春