青夜…

青き夜をあやふきままに生（あ）るる躬の 青の底なす肉叢(しし)の渦（をだまき）

薔薇…

春過ぎてさは美しき肉叢（ししむら）の　傷より零（こぼ）る薔薇の紅さよ

宿生…

美しき祈り宿して生（あ）れしよりをんなよなんぞ姦（かん）を撰（え）りにき

断立…

断立（きりだち）の水吸ふ蝶に似たりしか　あゝ淫性（いんしょう）は倒（さかしま）に堕つ

指間…

指間よりをんなの一心滴（したた）りぬ　エロスよ真昼快楽（けらく）多（さは）なり

豊響…

火照（ほて）りくるをんなのいのち抱（いだ）きしめ子宮はをぐらき海に漕ぎゆく

銀睡…

手の平にこころ零（こぼ）れる昼の底エロティシズムといふ銀のまどろみ

接吻…

私（わたくし）の心に熱いキスしてよをんなの髪が慄（ふる）へるような

黒魚…

をみなごの腿の央（まなか）を魚（くろうず）の群(むれ)かけあがる幻をみき

昼夢…

初々し性に目覚めし少年の眸（まみ）はるかなり時の切崖（きりぎし）

青湖…

初夏（はつなつ）をきみに抱（いだ）かれ朱の色に染みてゆくかな青の湖

青咬…

青き炎（ほ）にこころ咬（か）まれし初夏（はつなつ）の肉叢（しし）は四辺をさして広(ひろ)ごる

嫐乱…

声のよきをんなを奪（ぬす）めほしいままああ狂気かな青の水底

藍宙…

藍の宙（そら）湛へし眸（まみ）も「業」といふをぐらき花を咲かせいたりき

青繭…

をぐらさを身ごもりて佇（た）つ青き夜のエロスよ美（は）しき翼をのばせ