花群…

花園の薔薇のときめき消へむとす　エロスは地にて美（くは）しかりしや

火衣…

火のころも纏（まと）ひたるかな　からみ合ふ裸身はあまたの闇を灼きしが

禁忌…

禁忌の扉（と）開くれば美（は）しき外国（とつくに）の　をみなの眸（まみ）に愛は充てりき

四肢…

戒律に背けど愛の明（さや）かなる　四肢のま白きをみなのめぐり

風紋…

風紋を辿ればひとり水無月に失せしをんなよ心さわめく

葡萄…

ロザリオの玉散乱（ちりば）ふる空音かや　青き葡萄の零（こぼ）る水無月

磔刑…

唇のルージュを吸えば水無月の　炎（ほ）に闌（た）けてゆく胸の十字架

展翅…

さびしもよ内に炎（ほのほ）の唇（くち）をもて　ルージュ闌（た）けたる六月の修道女（あま）