ドライビングテクニックの話ですと言っても、車ではなく、赤道儀の運転ですけど。
ベランダに赤道儀を設置する場合、大多数の設置場所は、南向きで、北極星を直接観測できません。このような状況で、赤道儀の極軸を合わせて、天体の日周運動を、望遠鏡できちんと追尾するためによく使われる方法はドリフト法と言われるやり方です。
極軸が合っている赤道儀で、恒星を観測すれば、時間が経過しても、視野中では恒星は動かないはずです。極軸が合っていなければ、時間の経過とともに恒星が動いてしまいます。この動きをから、極軸のズレの方向を検出する方法がドリフト法です。
新版 天体望遠鏡ガイドブック(西條善弘、渡辺和明 著 誠文堂新光社 1989年) p66;によれば、極軸のズレは下の表のように判断すれば良いとのことです。
これで、全てなのですが、どうして、そうなるのかちょっと考察してみます。
上の表の左から3番目の場合、極軸が西にズレている場合を考えるます。
上の図で、黄色円の一部が星の日周運動で、白い円は赤道儀の回転を表しています。観測者は、赤道儀の北に立って、南の空に望遠鏡を向けているとします。あれれ、赤道儀の回転軸は、東にズレているぞと思った方は鋭い! 赤道儀の極軸は、北半球では、天の北極を基準にズレを表現するので、今見ている向きは、極軸を反対側から見ているのです。いわば犬の頭からお尻を見ている感じです。「犬が西向けば、尾は東」なので、赤道儀が西に向けば、赤道儀の回転の軌跡は南天では、東にズレるわけです。日周運動は、この場合東から西に向かうので、図にあるように、星は北にドリフトします。通常利用するケプラー式望遠鏡は、上下が逆転するので、望遠鏡の視野内では、下向きにドリフトします。
各場合についても、図を書くと、表の通りにドリフトします。図を書くときは、「犬が西向けば、尾は、東」をお忘れなく。
しかし、複雑でわかりづらいです。また、極軸のズレが小さい場合、どちらの方向にドリフトしているのか判断するのも難しいです。
そこで、次回は、デジタル写真を利用して、直感的に、正確に極軸を合わせる方法を紹介する予定です。
「新版 天体望遠鏡ガイドブック」は、良書だと思いますが、残念ながら絶版です。デジタル写真関連の記事を加え、「新新版 天体望遠鏡ガイドブック」としたら、ー絶対、売れると思いますが、どうでしょうか誠文堂新光社さん。
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