蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

Leonard 彗星 と なんちゃってメトカーフ法 の巻

2021-12-25 09:12:07 | 天体観測

北海道出張の飛行機の待ち時間時に書いています。年末が迫って、ベランダから星を見る時間がなかなか取れません。とほほ。

ここ羽田は、家族連れなどで、かなり混雑しています。新型コロナの感染が増えてきているので、少し心配です。Balconは、仕事でなければ、飛行機には、乗りたくないです。とほほ。

12月18日、19日の日没後にLeonard彗星をベランダから撮影しました。18日の経験で、薄明時には、ある程度F値の大きな鏡筒の方が、コントラストがつきやすいのではないかと考え、19日には、F5.3の、FSQ 85 edpで撮影することとしました。

赤道儀は、極軸を合わせたまま、ベランダに置きっぱなしですから、自動導入で、前回同様、すぐに中心に入りました。今回は、彗星が見える15分間の間に、30秒の露出で、14枚撮影しました。

彗星を撮るときによく用いられるメカトーフ法は、銀塩時代には、主鏡と同軸に設置した副鏡を覗いて、十字線に捉えた彗星を微動ハンドルで追尾していましたが、今の赤道儀には手動ハンドルがついていないので、彗星を基準星にオートガイドを試みようかと考えましたが、キャリブレーションだの取っていたら、彗星は沈んしまうので断念、日周運動追尾で撮ることとあいなりました。

後で知ったのですが、彗星の移動速度は、プラネタリウムアプリで観測時刻と1時間後の赤緯、赤径の差から、速度を出し、赤道儀の追尾速度をセットするという手があるようです。  BalconのLosmandy GM8のコントローラ、gemini2 も、追尾速度を手入力できるようになっていますから充分実現可能な方法なので、次の機会に試してみたいと思います。さすが21世紀にもなると、思いもよらない解決方法があるものです。

撮影した14枚のうち、一枚は、シーイングが悪くてボツ、もう一枚は、ヘリコプターが、通過して、航法灯火(衝突防止灯と左舷の赤い灯火)が映りこんでいていてこれもボツ。

Balconのベランダの南側に、横田基地と都心を結ぶ最短ラインが通っているらしく、朝と夕方に軍用ヘリががよく通過します。いわゆる、「起こりうることは、必ず、最悪のタイミングでおこる」というマーフィの法則が発動しました。

ということで、残り12枚をスタックすることに、スタックする際に、彗星を不動点として、平行移動しながら、各コマを、「目の子で、」重ねて平均加算して作った画像がこんな感じになりました。なんちゃってメトーカフ・コンポジットです。18日の写真よりは、少しマシになりました。

12枚だから、できたけれど、もっとコマ数が多かったら、大変だろうなぁと思います。よく知らないけれど、天体写真デジタル処理ソフト、Pixinsightなどを使うと、バッチでできるのかしらんなどと、思いながら、デジタル写真初心者のBalconは手作業をするのでありました。

サイトロンのComet Band Pass Filter は、少し赤みが強く写るので、背景がニュートラルグレーになるように、カラーバランスを修正しています。彗星らしく、C2のスペクトル強調風に写りました。

Leonard彗星になにが起こったのか

という記事が、COBS(Comet Observers Database)のサイトにあがっていました。

Nicolas Biver さんによると、電波望遠鏡の観測によれば、Leonard彗星からの、水の放出が、12月13日1.8 tons/s から to 6 tons/s (12月15日) に増加しているとのことです。

下のグラフは12月中のLeonard彗星の明るさをプロットしたものです。縦軸は明るさの等級、青の線は、近日点通過45日前から、25日前までの観測から予想されるLeonard彗星の明るさ、黄色の線は、コマの塵とガスと比が0.05の場合の明るさの予想、赤の線は、コマの塵とガスの比が0.25の場合の予想です。12月12日までは、緑の十字の実測値は黄色の線とよく一致していましたが、15日前後に2.6等級まで、増光して、その後は、赤の線にそって推移しています。

以上のデータから、12月15日付近で、彗星が、outburstして、塵の成分が増えて、その結果予想された明るさより明るくなったと推定されるとのことです。

彗星の核の崩壊が今後も続くとすれば、今後、Leonard彗星の明るさ今後急速に変化していくかもしれません。

 

https://www.cobs.si/show?id=679

Balconが18日、初めてLeonard彗星を見たとき、5,6等級にしては、明るいなという印象持ったのは、本当に増光していたためのようです。

年末年始の休み中に機会があれば、もう一度見てみたいと思っています。



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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (starskys2)
2021-12-27 23:07:57
新星空の友です。

口径85㎜によるレナード彗星の写真、拝見しました。
何とか写りましたね。この写真も記録撮影として意義がありますよ。
これから彗星の地平高度が低くなりますが、チャンスがあけばもう一度撮影に挑戦して頂きたく思います。
彗星の予報位置は私のブログを参照下さい。
尚、動画撮影の静止画やデジカメ写真はステライメージ9ソフトであれば、加算平均(σクリッピング)でコンポジットしますと、飛行機等の邪魔な像を消えます。
ですから、飛行機が画像に入っても飛行機のない写真にでき上がります。(参考に書きました)
今後もどうぞよろしくお願いします。
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Unknown (starskys2)
2021-12-27 23:10:28
新星空の友です。

先のコメントで誤記訂正します。
チャンスがあれば、です。
よろしくお願いします。
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Unknown (balcon)
2021-12-28 14:01:22
いつもコメントありがとうございます。
Balconは、1980年代からのMac ユーザで、MacとUnixが有れば幸せだと思っていました。 Macは、Unix ベースなので、BSDのコマンドも通るし、便利なんです。 仕事以外では、Windows PCは使ったことはありません。Windowsソフトもインストールしたことがないので、ステライメージは敷居が高いです。
Macで動く処理ソフトでは、Pixinsightか、Sirilを使いたいと考えています.年末年始に時間が取れたら、フリーソフトのSirilの勉強を始めようかと考えております。デジタル処理はGIMPでやれたらいいなと思っています。
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Unknown (starskys2)
2021-12-29 08:13:16
新星空の友です。

パソコン、Macなんですね。
私はWindowsパソコンですので、Macパソコンは判りません。
(私の息子はMacユーザですが)
天文ソフトはWindows対応が多いです。ステライメージ9ソフト、ステラナビゲータ11もWindows対応のみです。
このソフトは天文用に非常に便利ですので、Windowsパソコンも1台あると良いと思います。
ステラナビゲータ11はシミュレーションに常用しています。レナード彗星の予報位置もこれで調べています。
費用は要りますが、一度検討して頂けたら、思います。
来年もどうぞよろしくお願いします。
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Unknown (balcon)
2021-12-31 10:22:45
元々仕事では、Windowsというものが、まだ、存在しない頃から、Unixで、Fortranや、アッセンブラで、データ解析のソフトを書いていました.その後、私用には、Macで通しています。Macは、ターミナルから、Unixのコマンドラインが入力できるので気に入っています。
最近は、仕方なく、Wondows PCも使いますが、データの入出力以外には、使ったことがありません。
天文趣味に復帰してから、五藤テレスープさんのアマチュア用分光分析セットに興味があるのですが、解析ソフトがWindowsなので迷っています。
Windowsは、アカウント管理とか面倒で、突然、アカウントが無効になったり、パスワード管理が、面倒で、個人で使う気になれません。とほほ。
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