半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第116話

2023-12-19 08:23:18 | webブログ


バレエ教師の半澤です。


平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、水曜日、金曜日の
夕方5時20分は子供の初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日と祭日も朝11時から初級のレッスン、ポアントもあります。


皆さま、お待ちしております!


ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)


私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/


連絡をお待ちしてますね!


2023年12月24日(日曜日)枚方(ひらかた)芸術文化センターにて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。


スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。


バリエーションは「フローラの目覚め」からフローラのVaです。
男子も自分の好きなヴァリエーションしましょう!
さ、やりましょう!!


連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第116話
後になって知った事なのだが、彼こそ世界的に有名な
ダンサーで名前をユーリー・ウラディーミロフと言う。
モスクワ国際バレエコンクールで金賞に輝いた驚きの
バレエダンサーだ。


彼の神々しいまでの上半身と誰もやれそうにない神業的な
空中での斜めの回転、更にはピルエット(こまのように
回転する技術)からいきなり、パンシェ(片足を背中の
後ろに高々と上げて止まれる技術)して回ってしまう
突拍子もないテクニックだ。そしてクラッシックバレエ
ダンサーと思えないような醜い足先をしている。(世界的な
ダンサーに対して失礼しました)


しかし、彼の出場したモスクワ国際バレエコンクールの
決選における審査員たちも「む~…これは困った事に
なったぞ!あいつはボリショイバレエの代表でこのコンクール
に出て来たものの、何と野獣の様な足先…これじゃバレエ
ダンサーとは言いずらいが…。


しかし、ずば抜けたテクニックに唸るほどの強烈な個性!
あいつに付ける点数はゼロか100点しかない…む~、
これは困った…」と審査員全員が評議に掛けたと言う。
そして彼はとうとう1位に当たる金賞に輝いたのだ。
そんなユーリー・ウラディーミロフにショージはプレゼント
したいものがあった。「今回は持って来て無いからあげる
事が出来ないけれど、シャンプーとリンス…これが
あなたには絶対に必要かもしれない。」


ダンサーとしての誇示


ダンサーに話しかければ、何らかの切っ掛けでボリショイ
劇場の中に入れて貰えるんじゃないかという甘い期待を
抱きながら門の前に立っていたが、ダンサーたちが
オーケストラの連中と混ざって入ってしまったり、人相が
怖かったり、そうこうしている内にどんどんダンサーが
中に消えて行ってしまった。


 ショージは焦るばかりで前を通りすがるダンサーたちに
話し出す切っ掛けが掴めなかった。と、ようやく若い男性
ダンサーが向こうから来たので、ショージは急にバッグから
バレエシューズを取り出して向こうからやって来る男性
ダンサーに見えるようにしながら、足を開いて2番のプリエを
しながら股関節が詰まっている時にするような仕草をした。
明らかに「私はバレエダンサーなのだ!」と言う事を誇示
するために他ならない。


 しかし、限界温度のマイナス40度の中で股関節を
鳴らそうとした時に本当に股関節が「バキッ!」と音が
して眼の玉が飛び出しそうになった。「ぎょえ~っ、
痛~っ!」ショージのような見知らぬ男にいきなり声を
掛けられれば相手も怪しむだろうが、バレエシューズを
片手に2つとも持って二番でプリエしたら、ショージも
そのような人に声を仮に掛けられたとしても安心して
「あ、君もダンサーなのか…いやー、仲間じゃないか!」
と思ってもらえるかもしれないからだった。


恐らくそれも一人合点であろう。「あれ?」遠目で見て
いると向こうから若そうな男ダンサーが…と思っていると
近づいて来た男はおっさんだった。でももう怯んでいる
場合ではない。


「アー、ドウブレイ ウートラ!(お早う!)今日は何の
リハーサルがあるのかな…レッスンもあるんでしょう?」
と言いながら、これ見よがしにショージの汚いバレエ
シューズ見せつけるように、アキレス腱なども伸ばすような
仕草までしながら聞いてみた。 これを普通の人が見たら、
「ちょっと、ちょっと何してんですか?もっと普通に
動かないで喋れないんですか?」と言いたくなるだろうが、
ダンサー同士なら分って貰えるのではないか…と自問自答
していると、そのおっさんダンサーは反応した!


人間は最後の最後まで結果は分からないのだから諦めては
いけないという事なのである。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 友だち作り 第115話

2023-12-17 08:39:28 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
友だち作り
第115話
例えば何処の国であろうが誰であろうが、劇場の門前で
ダンサーたちと一瞬で友達になれる人はいるだろうか?
仮にここがスイスやイギリス、またはフィンランドだと
したらまだ可能性は少しだけでもあるかもしれないが、
ここはソビエト連邦のど真ん中のモスクワだ。共産圏の
人々には笑顔など無いのだ。そして強烈に寒く、知らない
人間なんかと一瞬でも時間を潰す人はいないだろう。


共産圏では自分が暮らすのに必死で、他人の事なんかに
構っている余裕は無いに違いない。「さてどうしたものか…
仮に知らない人間が僕に話しかけ来たら僕は直ぐに
友だちになれるだろうか…訳の分からない外国人で
見かけが貧相で実に怪しい風体にしか見えないだろうな。
しかも話す言葉が「あ~、う~…」の連発でまるで
大平元総理大臣みたいじゃないか…う~寒気がして来た!
さ、本気で考えなきゃ…どうやって話し掛けようか…。」


ショージ空想の中でどのようにダンサーたちに声を
掛けたら良いのかシミュレーションしてみた。「ハーイ!
How are you!元気かーい?僕は君と友だちになろうと
思ってここにこうしているんだよ!君はどう思う?さ、
友達になろうよっ!」


「これじゃ精神科に行った方が友だちではなくて、仲間が
たくさん出来るに違いないか。こんな訳も解からない
小さな変人を相手に止まってくれる人はいないかもな。
あっ!来た来た、あれは女性バレリーナだな…それにしても
随分と大きな女性ダンサーだな、ちょっと最初は男性の
ダンサーに話しかけるとしよう。」


女性ダンサーがショージの前を通り過ぎる時、ショージの
身長を遥かに超えているのを茫然としながら上目づかいで
見送った。「今日はアンドリスは来ないのかな?彼が
来れば話しが一番早いのに。おっ、あれもダンサーだな、
よしっ、男だぞ!あの人…ん?ダンサーか?背中が丸く
なっているけど、足が外股だし…兎に角、話し掛けて
一刻も早くチャンスを作らなきゃ…!」


世界バレエコンクール金メダリスト


向こうからやって来た男性ダンサーが関係者入口に
近づいてくるにつれて、その容貌がはっきりして来た。
この極限の寒さの中だというのに帽子もシャプカも
被っていない。そしてその男は若くはなかった。
40歳くらいか。頭の髪は前頭葉に辛うじて少し生えて
はいるが、後頭部の髪が肩まで長く「落ち武者」の
ばさら髪みたいだ。しかもギトギトの油の様な物で
べったりとしている。


男がショージの直ぐ傍まで来た時にその顔はまるで鬼の
様に怖い顔で死神の様な冷酷さをショージは感じ取り、
話しかけるどころか顔を見るのも怖くなった。ショージが
顔を向こうに背けようとした刹那、彼にギラっとした目で
瞬間見られた時には背骨がゾワ~ッとし、悪魔にでも
見られた様な怖さを全身で感じた。


男が離れて行く時にショージはその後ろ姿を横目で見ながら
「あー、話しかけなくて良かった…ふー」と溜息が出た。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第114話

2023-12-16 08:50:06 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
キリル文字
第114話
ショージはようやく念願のシャプカを手に入れる事が
出来た。「何と言う温かさだろう…」外気温を全く
感じなくなった。そして頭に手をやればその極上の
毛の肌触りはしっとりとしている。なるほどこの様な
極限的に寒いこの国には無くてはならない帽子なのだ。


初めてモスクワに到着した際、空港で見かけた長身の
イケメン男の頭の巨大なシャンピニオンのような異常な
帽子姿にビックリしたが、実は冗談で被っていた訳では
なかったのだ。ショージも今ではこの温かさを知って、
この地にいる限り手放そうなどと思わなかった。


プロスペクト・ミーラ公園の市場に向かう前に、
ボリショイ劇場の正面玄関に立ち寄り、今夜も何か
バレエを公演するのかチケット売り場に行き確かめた。
するとラッキーな事に「バリェット…」と見出しが
プラスティックのボードに掲げてある。


ショージはロシア語のキリル文字があまり読めなくて、
難儀しながらどうにか読んでみた。「ギジャル…
ジジャル…?ジ…」当たり前であった。そんなバレエは
「ジゼル」しかない。そしてバレエ「ジゼル」全幕も
拝見し、モスクワの夜を満喫した。だが、肝心要の
ショージの夢はまだ叶っていない。何としてでも
ボリショイバレエのレッスンがしたいのである。


1987年12月25日 可能性


次の日になって再び朝早くからボリショイ劇場へと
向かった。ここがショージならではの行動だ。普通の
人であれば何か理由があるからその行きたい場所に
向かうのであろう。それはショージも一緒で、
ボリショイ劇場内に潜り込もうと向かった。しかし
その目的は爺さんたち4人によって阻まれてしまい、
終いには担がれて関係者入口の外に粗大ゴミの様に
ポイッだった。


彼らにしてみればショージも粗大ゴミもあまり変わら
ないかもしれないが。ショージだったら粗大ゴミの
中から、使える物を発見するのは得意中の得意だ。
普通の人ならここらで諦めるであろう。しかし、
ショージは「帝王の門」から女性のトップダンサー
であるリュドミラ・セメニャーカによって、まんまと
劇場内へと入る事が出来た。またセメニャーカに入れて
貰えれば良いのだが、どう考えてもそれは無理だろう。


「どうにかまた入り込めないだろうか…?だが入った
ところでどうするのか?」勿論、ボリショイ劇場の
ダンサーたちと一緒にレッスンをしたいのである。
「しかし、どうやって…」結局、ここが最難関だ。
爺ぃたちがいる限り、侵入は不可能である。ショージは
必死で考えた。そして無理と分っていながら再び
ボリショイ劇場に行くしかないと決めた。


爺ぃたち4人と再びドンガラガッチャンの騒動は
起こしたくはないのだが、行かなきゃ可能性はゼロ
なのだ。ショージの思っているポイントとは、行けば
もしかして何かのチャンスに巡り合える可能性がある
訳だが、行かなきゃ可能性はゼロと言う事である。


「じゃ、どっちを選ぶ?」と選択を選ばなければ
ならない場合、ショージはまず行動に出る。普通の
人なら劇場に入れるチャンスを作るために予め下準備
をするだろう。しかしこの男は計画性0だ。


ショージはこのモスクワに地震や災害のように突然と
やって来た。下準備など全くしていない。そして
ショージは既に再び関係者入口の前に到着した。二重の
門を潜ると大騒動になる。そこで暫しの間、ダンサー
たちが入るのを見届けようと関係者入口の傍で待ち構えた。
この時点でもマイナス40度近い極限状態の寒さだった。


ショージが立てた秘策は「ここでダンサーたちと一瞬で
友達になるぞ!」であり、腹を括っていたが鼻水が顎まで
垂れてツララになりかけている。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第113話

2023-12-15 08:15:50 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第113話
さて、ショージは数字にかけては何よりも強いと自分で
自負している。暗算に関して言えば「神童」とまで
呼ばれた事など無いものの、誰よりも軽い脳をフル回転
させてドルとルーブルの両替を必死に計算した。およそ
30分以上も掛かって、ある事にどうしても合点が行かな
かった。


「ん?1ドルがこのルーブルになるんでしょ?そしたら
僕の稼いだルーブルは何ドルになるの??えーと、えーと…」
ようやく大体の数字が頭の中に揃って来て、その不思議が
解けて来た…と、その瞬間!


ショック!


ショージの財布の中の市場で稼いだルーブルを全て取り出し、
数えて見てから、また為替レートの数字を何度もチェック
した。「こ、これって本当か…嘘だろ!?」ルーブルを
ドルに換算すると、丁度、ショージが売りさばいた商品を
買った時の値段にピッタリだったのだ。


「って言う事は、も、もしや僕は…げ~っ!100円で
買った物を100円で売っていたと言う事と同じじゃん!
んぎゃ~っ!じゃ、じゃあ、あんな寒い所でわざわざ商売
なんかしなくたって、持っていたお金をそのまま、この
銀行で両替していたら済んでいたっていう事じゃんか…
ぎょぇ~っ!?タハハハ…」と声にならない言葉が口から
出ながら「ンガガガ…」


白目を剥き出して後ろに卒倒しそうになった。慣れない
事をするものじゃないって言う事を勉強出来たわけか。
ショージはベニスの商人よりも数段商売に長けている
つもりだったのだが。「あんたバッカじゃない?」と
言う話だった。


もう済んだ話だから仕方がないが一気に気が萎えた。
「ま、良いとしておくべきだ!貴重な体験が出来たん
だから…一生涯、忘れる事の無い思い出を作ったんだし、
ソ連の人々が何を欲っしているのかも勉強出来たん
だから…」と自分で自分を慰めてみても直ぐその後に、
こんな勉強なんか金輪際するつもりはない!と自分に
腹が立った。肩の力が抜けてお尻にまで下がるほど
ショッキングな出来事であった。


「それより、早くお金を両替しないと!早くしないと
ゴールデンフォックスが売れちゃうかもしれないぞ…
いやいや、あんなに高価な物が売れるはずはないけれど、
いずれにしても時間が勿体ないか。」ショージはロシア人
なら数か月もかかって稼がなければならないたくさんの
ルーブルを持って、あの「ヨーダ」に似た妖怪こと、
度迫力おばちゃんが待つ公園に走って帰った。


マイナス40度に近い極寒のため、「歌でも歌って士気を
鼓舞しなければ!カー、リンカ、カリーンカ、カリーン
カマヤ…シャプーカ、シャプーカ、シャプーカマヤ~!
おばちゃ~ん、あんたの好きな大量のルーブルを手に
入れたぜ~っ!」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第112話

2023-12-14 08:46:26 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第112話
「何処かに銀行は無いかな…?」広いプロスペクト・
ミーラ(ミーラ大通り)は片道が5車線ほどもある
巨大な通りで、空気が灰色によどむほど、そこには
ソ連の酷い車がボーボーと黒い排気ガスを吐き出し
ながら走っている。なんと酷い臭いか。「ゴホッ、
ゴホッ!」と咳が出るほど本当に酷い空気だった。
道行く人の数が日本などとは比較にはならない。


そして驚くのはその多種の顔ぶれだ。金髪の西洋人
みたいな髪なのに、顔がアジア人ぽい人もいれば
アラブ人もいる。かと思えば、かなり怖い人相の
モンゴル人やベトナム人もいた。「モンゴル人って
不気味なお面を着けてるみたいですね…」などと
言ってしまおうものなら、モンゴル人の人に「お前は
一体、自分どんな顔だと思ってんだっ!」と怒られるので、
思うだけに留めておいた。


それにしても本当に色々な人種が混じった大国である。
世界地図を見ればこの国がどれほど大きな事かが一目
瞭然だ。東はシベリアから西はドイツの方まである
のだ。北は北極海の方から南は中国近くやアラブ系の
国々の近辺までだだっ広い。因みにこの当時はベトナムは
共産主義であったから、ロシアには多数のベトナム人が
入り込んでおり、中近東の方もコサックで有名な
グルージア諸国やオデッサ地方の国もソ連に包みこまれ
ていた。果てはトルコの東の方面までソビエトが無理やり
侵攻して領地を分捕ったのだ。


故に多種の人種が入り混じるのもなるほど…なのである。
そこに日本人が侵入して商売やっているのであるから、
ショージも自分の内面にあったふてぶてしさに自分でも
呆れた。「何処かに銀行は無いかな…?お、あれは
銀行じゃないかな…よしっ、行ってみよう!あ、
ポーチはちゃんと腰に…ん、大丈夫ちゃんと付いてるし。
待てよ…中身は無事か?チャックを開いて…よしっ、
大丈夫!じゃ、銀行に突撃~っ、行ったらんか~いっ!」


モスクワの銀行事情


ポーチの中の財布の少々のドル紙幣と、腹に巻き付けて
誰にも分らないように隠してある内緒の財布には1ドル
紙幣がたくさん入っていた。それを取り出し、ルーブル
に両替するのだ。「今は何ドルが何ルーブルに両替
出来るのかな?」電光掲示板では無く、四角いプラス
ティックの白いボードに数字を銀行員の手で並べ替える
簡素な物であった。「銀行ならもうちょっと金を
かけろよ!」と言いたいところだが、それよりも両替を
するために為替の表示板をジーッと見つめた。


ショージの他にもアメリカ人のツアー客みたいな人たちも
数人並んでいた。ショージはドルを持って来ていて
良かったと改めて思った。何故ならばここロシアでは
限られた国の金しか両替出来ないのだ。例えばソビエトの
時代では日本の金は両替など出来ないし、スウェーデンの
金も駄目である。イタリアも駄目なのだ。


アメリカのドルとスイス、イギリス、ドイツなどの主要国
以外は駄目なのである。今でこそ日本の金もイギリスの
ポンドやドイツのマルク…今や、ユーロになったが、
大丈夫になったのはソビエトが崩壊してからだ。そう言った
訳でショージがうろうろと策略を見つけながら彷徨って
いる、ソビエト崩壊前のこの時代では、ツーリストに
優しくない銀行体制であった。
(つづく)