半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第62話

2018-09-30 09:18:31 | webブログ
おはようございます、バレエ教師の半澤です!

台風?いやいや、スタジオやってますよ~っ!

発表会の練習が始まったよ~っ!
http://hanzanov.com/ ホームページ
http://hanzanov.com/official/オフィシャル ウエブサイト)
皆様、2018年12月26日(水)に私の発表会があります。
もし、良かったら出演してみませんか?バリエーションでも良いですし、
グランパドドゥでも良いですよ!もちろんコンテンポラリーでも
良いですし、オペラでも舞台で歌います?
どうぞ、どんどん出演してください。
私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

連絡をお待ちしてますね!!
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/
朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分から初級レベルの
レッスン、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

日曜日のバリエーションは考え中です。
ではクリスタル・ルームでお待ちしておりますね
連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第62話
再びバスに乗り込みホッとした。「大丈夫だった…
そりゃそうだ、僕は既に大使館から旅行ビザを
もらっているんだから…」 数時間経ってバスは
街の中へ入って来た。そこはもうショージが見てきた
今までの西ヨーロッパの景色とは打って変わった
ソビエトの街の景色であった。「一体、何なんだ、
この国は…!?」

レニングラード到着!ここが…!?

バスは揺れながら、レニングラードの街中へ
入って来た。建物も都市だけあって大きく、
バスが走っているこの道も片側5車線くらいも
あるかなり広い道だ。だが、昭和初期の銀座通り
さえ、もっとカラフルだったのではないで
あろうか。この国には色というものがあまり
ない。看板もない。ただ建物と道だけだ。
 
ホテルにようやく到着した。周りに高い壁が
張り巡らされた中に入って行くと、駐車場
にはたくさんのバスが停まっており、その
一角に降ろされた。大勢の軍人や検査官たちに
囲まれてホテル内へと引率された。ホテル内は
暗く、軍人や検査官たちも入り混じって誰が
誰なのか、客なのかホテルの使用人なのか全然
判らないほどごった返していた。

ガイドも一緒であったが、ここでは笑顔が全く
ない無表情な女性検査官が一切の指揮を取って
おり、ショージたちのグループをロビーの一角に
集めてパスポートを徴収した。パスポートの
返還はなかった。ガイドが「帰る時まで、
パスポートを預かります」とショージたち全員に
伝えた。「何故、パスポートを返してくれない
のだろう…?」訳が分らかった。
 
 取り敢えず制服の女性官に「レストランあり
ますか?」と尋ねると、「ダー!」(イエスの
意味)2階にあるようなので早速行ってみた。
「うわ~、何て広いレストランなんだ~っ!?」
料金はドル払いだ。5ドルほどでスープと肉の
煮込み料理を頼んだ。意外に美味しい。そのレスト
ランで水のボトルを買い込んで部屋へ戻った。
 
レニングラードの人々…

到着から翌日の朝になった。部屋を共有する
フィンランド人の男は爆睡中であった。
ガイドとショージたち一行も全員ロビーに集合
した。部屋を共有している男はこの点呼に現れ
なかった。横では朝だというのにグデングデンに
酔っ払ったフィンランド人の男たちがウォッカを
ひたすら飲み続けている。ショージは、少々の
ドルを持ってホテル内の商店にパンを買いに
行った。2階のレストランの横にその店はあった。
「ドルで買うよりロシアの金ルーブルでは買え
ないのかな…?」

店のおばさんに「ドルの表示しかありませんが
ルーブルだったら幾らなんですか?」と英語で
尋ねると、「ルーブルでは売らないっ!」と、
ロシア語で断るおばさんの突然の大声でショージは
腰を抜かしそうになった。「なんでさ!ここは
ロシアで、この国のお金はルーブルでしょうよ!」
おばさんは更に恐ろしい形相で「売らないんだよっ!
けっ!」その剣幕にショージは「殴られるかもしれない…」と
諦めて、とりあえずドルで買い込む事にした。多分
この外国人だけが泊まれるホテルでは宿泊客から
たっぷりとドルを巻き上げる策略なのだ。
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第61話

2018-09-29 09:20:47 | webブログ
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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第61話
ガイドはバスの中に一人残ったショージに目合図を
した。「こっちに来なさい…」バスから降りて人が
いない静かな木々の間のところに呼び、「さっきは
ごめんなさいね…あなたは知らないと思うけれど、
バスの中には録音装置が付いていて会話を全部盗聴
されてるの…。私も小さい頃からバレエを習って
いたわ…あなたの気持ちは私にもよく分るわ。あちらに
着いたら、最初にホテルでパスポート検査とグループ
行動のための注意事項を監視官たちから説明され、
それからホテルの部屋割りがあるわ。今日はそれだけに
なるけど 明日の朝からは決まった場所にショッピング
や食事など監視官付きの自由行動が5時間あるから
その時にあなたはグループから離れて。私は見て見ぬ
振りをするから、なんとかその5時間で自分の思いを
遂げなさい…」と言いながら、ガイドは周りに人が
近づかないように用心するのを忘れない。

「頑張りなさいね…ああ羨ましいわ、あなたはバレエが
出来て。私もバレエが続ける事が出来ていたなら…
忘れないでね、5時間よ。さあ、あっちへ行きなさい」
ショージはこのバスガイドの優しい言葉で緊張と希望で
胸が一杯になった。

え、ここが芸術の国 ソビエト!?

バスの中はウォッカとたくさんの酔っ払いの男たちの
臭気でムンムンした。ショージは、座席の間の通路の
向こう側に一人で座っている女の子に紙とペンを見せて
「すみませんが、ロシア語を教えて頂けませんでしょ
うか?」と話しかけた。女の子は少し戸惑いを見せ
ながら「え?ああ、どうぞ…」ロシア語講座の時間だ。
まずは「こんにちは」や、「初めまして」で、ショージの
自前の辞書作りはいつもショージが持ち歩く紙と鉛筆
だけで作られる。そして「いつ? 」「どこ?」「誰?」
など次々にメモをして行き 最後にレニングラードの
バレエ団へうまい事入れたのを想定して、「レッスンを
受けさせて欲しい」と、口頭で喋れるようにロシア語を
教わった。
 
ショージはこの女の子が何故、レニングラードへ行くのか
聞いてみたら、なんでも彼女はフィンランド人とロシア人
のハーフで、彼氏がロシア人なので久しぶりに会いに行くのだ
と言う。しかし彼氏に会いに行くと言うのにちっとも楽し
そうには見えなかった。

ソビエト国境に着いた。全員バスを降りたが、ショージは
唖然とした。夥しい数の軍人たちが、腕の中にマシンガンを
抱えて立っていたのだカラシニコフと言うこの恐ろしい
機関銃はオモチャではなく、銃弾が入っていて銃口は
本当に穴が開いていた。ショージが小さい頃持っていた
オモチャのピストルの銃口は穴が開いていなかった。
開いているオモチャは銀玉鉄砲くらいの物であった。

「ま、まずい…もし僕が日本人である事がばれたその時は
どうなってしまうのか…まさかシベリアに送られてしまう
なんて恐ろしい話に発展してしまわないだろうな…」
列を作って並び、パスポートを差し出しても表情一つ
変えない恐ろしい形相の検査官。スタンプを押す時間が
なんと長く感じられたことか。数百人はいそうな軍人たちも
ショージたち一行の方をちらりとも見せない。「なんと
冷たい人たちなんだろう…」この時。ショージははっと
思い出した。「あっ!僕はアムステルダムの黒人から
売られた大麻を所持している!こんな物見つかったら
銃殺かシベリアに連行されるのは必至だ!大変な事に
なってしまった!」
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第60話

2018-09-28 09:01:42 | webブログ
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ウォッカツアー!バスはやって来た!
第60話
街角にあるバスの待合い所へ来ると既に幾人かの
男たちが居た。これから旅行に行くというような
服装ではない。どちらかと言えば、酔っ払いの
オヤジが朝方に二日酔いで疲れて数人で屯している
という感じだ。ショージはその男たちに向かって
「レニングラード行きのバスはここからですか?」
と英語で質問した。すると男たちは黙って頷いた。
指定の時間が近づくにつれ、段々とその数だけは
増えたが これは間違い無く異様なグループに見えた。
30人くらいの酔っ払いの男たちが集まったところで、
バスガイドが「レニングラード行きです!」と
声をあげて、バスから降りて来た。金髪の40歳位の
優しそうな女性であった。 

男たちは黙ってぞろぞろとバスに乗り込み、ショージ
も乗り込むと中に一人だけ女の子がいた。若いと
言えばその女の子とアジア人のショージのみだ。
窓ぎわに女の子が座り、ショージは通路を挟んで
反対側に腰掛けた。バスが動き出し、バスガイドが
これからのツアーのプランと注意事項を説明し始めた。
 
男たちは眠り始めたか、興味無さそうにそっぽを
向き、女の子さえガイドの話は上の空だ。エキサ
イトしながらガイドにかぶり付くように聞いている
のは、ショージ一人だけであった。 何時間走った
のか、たくさんの酔っぱらいとショージを乗せた
バスがフィンランド国境を出た。バスを見送るように
フィンランド国境監視官たちが、見る見る遠ざかって
行った。

ツアープランや注意事項を説明し終えたガイドが
一息ついて、「あら?」と不思議そうにショージを
見つめた。「ガイドに僕の本当の事情を打ち明けて
おいた方がいいかもしれないな…」とショージは
ガイドに近寄って行った。「実は僕はアルコールの
ためにレニングラードへ行くのではありません。僕は
バレエダンサーで、レニングラードでバレエを見たい
のです。出来ればキーロフバレエ団へ行ってオーディ
ションを受けたいのです。でなければバレエ学校でも
いいから、レッスンを受けたいと思っているのです」
 
ガイドは驚いた顔して、ショージをしばらくは見つめた。
しかし、表情がさっと曇り、「勝手な行動は許されま
せんよ!あなたは自分が一体、何を言っているのか
分ってないみたいね…!あなたは監視下にあるのですよ!」
暫くガイドにそっぽを向かれて、もうショージの話しは
聞いてはくれなかった。ショージは悲しくなった。

5時間よ!5時間で何とかしなさいっ!

既にフィンランド国境は過ぎて見渡す限り何にも無く
恐ろしい無毛の土地だ。「この空間は一体、何処の
領地になるんだろう…?もしかすると、逃げてくる
ソビエトの人たちのために地雷があちこちに埋めて
あるのかな?」バスの中から今来た道を振り返れば、
アスファルトなんかではない。それはなんとも醜い
凹凸が激しく剥き出している泥道だった。半永久凍土
が何百年も凍っては溶け、溶けては凍り、「うわーっ!
なんて醜い道なんだーっ!」
 
その長くて、どちらの国にも属さない領地の休憩地点で
バスが止まった。ガイドは20分ほど停車する事を
男たちに伝えた。ぞろぞろと30人くらいの酔っ払いの
男たちも女の子もバスから降りて行った。
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第59話

2018-09-27 09:19:39 | webブログ
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第59話
本屋に寄りソ連の地図を見てみた。ソ連がどのような
場所なのかを確かめたかったからだ。地図を広げて
見ると驚いた。「ソビエト連邦ってこんなに大きいのか!
地球の半分くらいがソビエト連邦なんじゃないか…?
バレエで有名なレニングラードはと…おー?フィンランド
の直ぐ近くだぞ!」地図上には、西ヨーロッパがソビエト
連邦の端にチョコンと添え付けてあるような感じだ。
フランスやドイツ、スイスやスペイン、オーストリアと
全部まとめてもこのソビエト連邦の大きさと比べる、
象と子犬みたいである。

 しかし文化はせかせかと窮屈そうな西ヨーロッパで
花開き、しかもこんなに小さな国々は独自の言葉を
持ちながら、国境では入国しようとしている人間の
パスポートを確認して自分たちの領土を主張している。
「ソビエト連邦ってどんな所なんだろう…?」
また生まれて来たショージの身体の中にある強烈な
疑問と興味が。

ソ連に入りたい!

ショージはロシア大使館に行ってみた。どうしたら
ロシアに行けるのか知りたかったのだ。大使館の中は
異様に暗い雰囲気が漂っていた。そして並んでいる
人々も暗い感じがした。散々待たされた挙句、たった
一言「日本とは国交をしていません。無理です!」結局、
それ以上相手にしてもらえなかった。

午後からあちこちの旅行サービスセンターへ行って
みたが、ソビエト行きの旅行など見当たらなかった。
最後に行ったサービスセンターの男が「ウォッカ
ツアーにでも行ってみたら?」と笑いながら言った。
ショージは真剣に「本当にそんなツアーがあるのですか?」
と聞いた。「確かにあるよ…えーと…」事務所の奥に
入ってそのバスツアーの企画をしている旅行会社の
場所を丁寧に紙に書いてくれた。ショージは礼を言うと
大急ぎでそのツアー会社に行った。およそ一週間の
ツアーであった。

このツアーの金額は割合に安く、ショージの懐事情
でも問題なく賄うことが出来る。アムステルダムで
拾った金があるから大丈夫なのだ。早速申し込んだが、
ショージのパスポートを見た店員は顔を曇らせて
「ビザが出るかどうか分からないな…」と心配そうだ。
当時、まだソビエト連邦は西ヨーロッパの人たちに
さえ、入国は困難を極めていた。このフィンランド以外、
旅行を斡旋する所は無かったに違いない。

 ショージは何が何でもレニングラードに行ってみた
かった。レニングラードにはショージが崇拝している
「バレエの殿堂」がある。ワガノワ・バレエ学校と
世界の頂点に立つ、キーロフバレエ団だ。店員が
「ビザ取得まで4、5日は掛かりますからまた来て
ください。でもビザ取得は難しいかも…」ショージは
宜しくお願い致しますと言うと旅行会社を後にした。
「ビザが取れますように…!」と祈る思いであった。

幾日が過ぎて、バスツアー会社を訪ねてみた。緊張と
期待、不安を胸に店員に聞いた。「レニングラードに
行きたい者ですが…」パスポートの束からショージの
パスポートを引き抜くと笑顔で「オーケーだったよ、
良かったね!」ショージは飛び上がって喜んだ。  
注意事項を説明され待ち合わせ場所を指定された。
注意事項の一番は、「グループ行動のみで指定された
場所と外国人に許可されている場所のみが行動可能」
と言う事と、「ツアーのプランに従う」と言う事で
あった。ショージはパスポートを持ってレニングラードへ
旅立つために荷物をまとめて待ち合わせ場所へ向かった。
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第58話

2018-09-26 09:08:46 | webブログ
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アムステルダム駅構内で地図と睨めっこ!
第58話
駅まで慌てて走って来て、とりあえず駅の構内にある
トラベラーズサービスまで来た。「全く今日と言う日は
何て事が起きたんだ…折角オーディションに受かった
バレエ団ではダンサーたちに散々な目に合わされて
しまった。契約書すら交わしていないのに、ダンサー
たちは僕に酷い事をした。だが待てよ…まだバレエ団に
入ると決まっていない僕を何故、牽制したのか?

そうか…きっとこの僕がまだ決まってもいない契約の
事を軽々しくダンサーたちに喋ったのが原因だったん
だろうな…そうか、それならこれからは気を付けな
ければいけないな…」落ち着きを取り戻すと「これから
どうすればいいのか…?まだまだ休暇は長いし、一体
何処に行こうか…?」と言う壁にぶつかった。

ショージの行動の基本的概念は「節約と合理的」
これは懐の貧しいショージの根本から生まれる
発想だ。ホテルに泊まれば当然、節約して貯めた
大事な金も直ぐになくなってしまう。それに
ショージは虫が嫌いなので刺されたり噛まれたり
しないのであれば野宿する事も平気だ。だが、寝て
いる間は移動が出来ない。寝ている間に移動出来る
手段を考えると列車の中での睡眠と言う事になる。
そして「睡眠は何時間必要になるのか…?」と言う
質問を自分で出し、「8時間」と言う答えを出した。

「列車の中で8時間の睡眠が出来る距離範囲はどこ
までか?」と言う質問を自分に出し地図で検証する。
コンパスは携帯してはいないがオランダのアムステル
ダムを中心として大きく丸を書くようにしながら
地図を眺めた。スイス、フランス、北欧…これが
丸の中の範囲になった。

「よし!未開拓の地を自分の目で確かめよう!
北欧って良いんじゃない?」列車の電光掲示板を
見ると偶然にも「デンマーク行き」と言うのがあり、
「これだっ!今夜はデンマーク行きの列車の中で
ショージの動く城だ!しかも空飛ぶ絨毯ではなく
夢を見せてくれる空飛ぶ寝袋があるからバッチリだ!」
と、それまですっかり落ち込んでいたはずの目が
キラリ!と光った。「決まり!北へ向かって驀進だ~っ!」

フィンランドの首都「ヘルシンキ」に到着!

デンマーク、スウェーデンを通過し、バルト海を
超大型の豪華フェリーに乗って横断した。朝、豪華
船内でも一番安い「マグロの保管棚」のような3段
ベッドの一番下でショージは目を覚ますと巨大な
青い船「シリアライン」はフィンランドの首都、
ヘルシンキに到着した。ショージの持っているインター
レイルチケットが使える範囲はここまでか。

「ん?どうしてチケットの付属品として貰ったこの
地図の右半分は空白なんだ?」もう地図には載って
いない場所…それはソビエト連邦。インターレイル
と言う1カ月間だけ有効のチケットは西ヨーロッパ
だけに限り何処までも乗れる優れものである。だが、
東ヨーロッパは適用外であった。だからソビエト連邦
に列車のレールが繋がっていようがそこはインター
レイルの範囲外なのである。従ってインターレイルの
チケットに付属した地図には適用外の場所は真っ白く
何も描かれていなかったのである。
(つづく)