半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第80話

2020-06-30 08:18:43 | webブログ

おはようございます、バレエ教師の半澤です!
平日の朝は11時から、夕方は5時20分から、夜は7時から
レッスンをやっております。
土曜日は朝11時から、夕方は6時からです。
日曜日は朝10時から、昼の12時からです。どうぞ宜しく
お願い致します。

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/
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ルイースと写真.jpg






創業36年、本場博多のもつ鍋・水炊き専門店【博多若杉】


連絡をお待ちしてますね!

2020年12月23日(水)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
遂にベルリン到着!ベルリンで叫ぶ悲痛な声…
第80話
ヘルベルト・フォン・カラヤンが白髪を振り乱し
ながら両頬を震わせてベルリン・フィルハーモニー
を指揮している姿を想像し、ベルリンの人々が
世界に向けてその悲痛さを訴えているのをずっと
想像して、このベルリンに来る日をショージは
夢見て来たのに、ベルリンに到着した瞬間に
プラットホームからショージは大きな叫び声で
「ンギャ~ッ!誰かが僕のバッグを盗っちゃっ
た~っ!」と逆にショージからベルリンの人々に
悲痛さを訴えるような事態になってしまった。

かなり長い間歩き回っていたら、自然にオペラ座
らしい劇場を見つけた。壁一面にバレエの
ポスターが張り出されており、看板には「ドイチュ
・オパー・ベルリン」と書いてある。ここが
ドイツの最大級のカテゴリー・Aクラスのバレエ団
であり、早くスウェーデンに帰って仕事をし始め
なければ生活費が危ういショージにとって残り
僅かな時間で最後に訪れる事が出来るバレエ団
でもあった。表の大きなポスターと看板を見ながら
ショージはと言うと、「手ぶら」だった。

ドイツ最大級のバレエ団、ドイツ・オペラ・ベルリン・バレエ団!

「劇場の中の3階まで上ってください。秘書室と
稽古場は4階です」と門衛が親切に教えてくれた。
手ぶらで3階まで来たらダンサーらしき男性が
いたので、「今、リハーサルの最中ですか?」
と聞くと、背の高い男性ダンサーは「あー、今
終わったんだ…」と、答えた。ショージは着替える
物も無いまま、「ガードローブはどっちで
しょうね?」と聞くと、「こっちだよ、僕も
今から着替えるんだ、付いて来て…」と更衣室に
連れて行ってくれた。

ショージは更衣室に着くと、その男性に泣き顔で
「僕はこのバレエ団でレッスンを受けようと
楽しみにしてやって来たのに、東ドイツの国境
あたりで列車の中で僕の大切なバッグを盗られて
しまったのです!」と見も知らない彼に打ち明けた。
その話が終わらない内に続々と、男性ダンサー
たちが入って来て、「おい、何だ!どうした、
この人は誰?」と不審がっていたが、今度は
ショージの話を聞いてくれていた男性が、
集まって来た男性ダンサーたち全員にショージの
身の上に起こった話を話した。

ショージはもう一度繰り返して全てを話すと、
「皆さん、お願いです!なんでも良いですから、
僕がレッスンを出来るように、シューズや
着る物を貸してくださいませんか…」と集まって
いるダンサーたちに訴えた。皆、顔を見合わせ
ながら暫し唖然とし、沈黙した。

バレエ団の更衣室にて…

ダンサーの一人が言い出した。「あの列車の
中ではいつも物が無くなるので有名なんだよ」
すると、他のダンサーが「そうそう、あいつら
と来たら何でもかんでも盗るんだから堪った
もんじゃないよ!僕の知り合いもあいつらに
盗まれたんだ!」

すると、1番最初の更衣室まで連れてきて
くれた、背が高く皆からマーティンと呼ばれて
いる男が、「これで良かったら使っていいよ…
返さなくてもいいんだよ、どうせ捨てようと
思っていたんだし…あ、でもちゃんと綺麗
だからね…」と、バレエのレッスンではとても
大事なティーバックのサポーターをくれた。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第79話

2020-06-28 07:24:58 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第79話 
ショージは女性検査官にパスポートを取り上げられ、
この女性検査官は消えてしまったが、代わりに
恐ろしく大きい体格をした軍人が、数名で
ビュッフェの中のショージたちを取り囲み黙って
立った。この大きな軍人たちはそれぞれにマシン
ガンを手に持っているではないか!

やがて、女性検査官が帰って来て金を要求して
来たが、それは既に知っていた事なので言われた
ままの金額を差し出した。20分ほど経ったで
あろうか…、沈黙が続いた後、電車は静かに動き
出した。「げーっ!パスポートは返してくれないの?」

 そこから5分も経たない所に今度は更に陰湿な
駅があり、そこでも約40分ほど待たされた。
しかし、ショージの眼はその薄暗い駅の影に先ほどの
人数など比べ物にならないほどのとんでもない数の
軍人が、マシンガンを抱えて立っているのを
見逃さなかった。

「こ、これは、とんでもない所に来てしまった…」
が、近くにいる老夫婦の紳士が、英語で「パスポートは
ベルリン近くに来たら返してくれるから、心配しな
くてもよろしいよ…」と、言ったので少し安心したが、
こんな酷い扱いに腹を立てているのも束の間、卒倒する
ような事件が起きたのだ。

何処!?一体、何処に行ってしまったの…!?

列車は静かに動き始めた。そこはもう東ドイツの国に
入り共産国家のソビエトが支配している土地なのだ。
ショージの傍にいた老夫婦の紳士が「もう、動いても
大丈夫だよ…」と首を縦に振りながら微笑んでいる。
ショージも老夫婦に微笑みながら、軽く会釈して
ビュッフェを出た。

揺れる列車の細い廊下の壁を両手で押さえながら、
何両か後ろのショージの荷物が置いてあるコンパート
メントに戻って来た。「ん…あれ?ドアーが開かない…
何でだ?」力一杯引いてもドアーが開かない。
ガラス越しに中を覗くとショージの大きいバッグが
見当たらない。「何だ、コンパートメントを間違え
たのか…」しかし、隣のコンパートメントには
さっきまでいたうるさい客たちの顔があったから、
やっぱり間違ってはいない。

「えっ!じゃあ、何で僕のコンパートメントの鍵が
閉まっていて荷物がないの?もしや、誰かが置き引き
したのかな?よしっ、全ての客室の検査開始!」と、
端から端までの列車内のコンパートメントを全て
チェックしたがやはり無い。「置き引きしたところで
列車の中からは逃げられないのに…」と、たかを
くくっていたのだが、段々と顔が青ざめて行くのが
自分でも分かった。「ひ、ひ、ひえーっ!じゃあ、
一体何処にあるんだよーっ!?」

 急に腰が立たなくなり、よろけて廊下の壁に
くっ付いている椅子に倒れ込んだ。だがもう一度
ショージは腰を上げて、始めからコンパートメントを
一つずつ、丁寧に見る事にした。ガラッ!とドアーを
開けて「アイム、ソーリー!」と客たちにお辞儀をして
部屋の上の棚の荷物置きや部屋内部の中を全て探った。
幸いに金やパスポートはショージの腹に括り付けて
あった。

「あのバッグが無かったら僕は踊れないじゃないか…。
待てよ、こんな事で落胆してる場合じゃない!
もう一回始めからだ!絶対に探し出さないと!」
すると、中からは鍵が閉められないはずのコンパート
メントのドアーの内側からつっかえ棒をしてドアーを
開かないようにする客が続出した。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第78話

2020-06-27 07:48:45 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第78話
このソ連の地図はモスクワが中心点になっており、
ソビエトでしか買えない地図だ。一体何のために
持ち歩いているのか…それはいつかショージが
ソビエトに再び侵入するか、またはちゃんとした
正規のルールで入国するつもりだからであった。
共産主義国であるソ連。ショージの夢はレニン
グラード(現在のサントペテルスブルグ)の
バレエ団、もしくはバレエ学校に入る事だ。
ショージの頭の中にはいつもそれしかなかった。

列車は猛烈なスピードで進み、時間が暫く経つと
コンパートメントは少し窮屈になって来た。
ショージはビュッフェでたまにはコーヒーでも
飲みながら、ウォークマンに入っているカラヤンの
「アルビノーニ」の素晴らしい曲を楽しもうと、
コンパートメントを出た。大事なパスポートや金、
列車のインターレイルチケットなどは、ポシェットに
入れて腹の前にきつく巻いた。

コンパートメントの中に置いた大きなバッグは
そのまま、ショージの大事な席を他の客に
取られないように椅子の上に置いたままに
した。ビュッフェでは隣に身なりの良い老夫婦が
食事を摂っており、ショージは軽く頭を下げ
挨拶してから隣の椅子に腰掛けた。ショージは
初めてビュッフェに座った。金でいつも不自由
しているショージが何故かこの時だけはVIP
にでもなったような錯覚を覚えた。「こんな事も
滅多にする事じゃないから、コーヒーを十分に
楽しんで味わなきゃ!」

驚愕の景色…

コーヒーのマグカップに口をつけながら、
「な、なんだこれは…!?」窓に現れた異様な
光景に身体が凍りついた。それは列車がやけに
高い壁の間を潜り、暫くトンネルを通過し暗闇
を抜け出た後に突然と姿を現した。高い鉄塔の
上にサーチライトが幾つも付いていて、更に
高い櫓の上には人間が4,5人は入れるほどの
窓が付いた見張り台みたいな物があり、明らかに
その中には人がいてこちらを見下ろしながら
監視しているのが分かった。

「何なんだ、この光景は!これじゃあ、極悪犯人
を収容する北海道の網走の刑務所みたいじゃ
ないか!」電車はそこで一度、短時間の停車を
した。ショージはこの不気味な景観にしばし凍り
ついてしまったが、考えてみたら、電車の中で
共産主義国の東ドイツを通過出来るビザを
列車内で買わなければならないのだと言う事を
思い出した。

「コーヒーなんか飲んでいる場合じゃないかも
しれない…」ショージは急いで席を立ち、
コーヒーカップを置くと急いでビュッフェの
ドアを横に開いて出ようとしたその時、
ドアーの外側ではとんでもない事になっていた。
停まった列車の開いているドアーから
夥しい数の軍人がどやどやと雪崩れ込んで
列車の中に入って来ているのだ。軍服姿の
迷彩色の軍人やら、くすんだグリーンの警察隊の
姿らしき人々の腕に腕章を付けた監視官たちやら、
その総勢は列車の一両を丸々一杯にするだけの
人数でひしめき合っており、

その中の恐ろしい形相をした女性がショージを
後ろに突き飛ばし、ビュッフェに引き戻した。
「何が起こっているのだ…!?」恐ろしい形相の
女性検査官がドイツ語で低く押し殺したような
声で何か言ったが、何を言っているのか意味が
全く分らない。ショージは、「恐らく今は
動いてはいけない、このビュッフェから出ては
いけないのだろう…」と咄嗟に判断した。数人
いたビュッフェの人たちも、もう外には出られ
ないし、この恐ろしい女性検査官に無理やり
座らせられて、動く事さえ出来なかった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第77話

2020-06-26 09:13:16 | webブログ

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陸地に浮かぶ孤島
第77話
現在地点はハノーバーだ。そして目を地図上の
右に移していくと、ある部分から右は白紙に
なっている。それは西ヨーロッパの人間が入る
事を頑なに拒否したソ連が支配する東ドイツ
だからである。西側の人間は誰も入る事の許され
ない土地なのだ。

「ん?この地図上にある陸地に浮かぶ孤島の
ようなこの場所は一体、何なのだろう?」
それこそが、ベルリンだった。「ああベルリン…
此処こそ僕が行ってみたかった場所だ…」
陸の孤島…ベルリンの街は共産圏の軍隊で
包囲されて、その中で人々は世界に向けて
壮絶な叫び声を発信しているのではないのか。
共産圏とは一体何なのか?何故、人々は
こんなに苦しまなければならなかったのか?
強く生き抜くベルリンの人々とは一体
どのようなものなのか?ショージは
ハノーバーの中央駅で決心した。「スウェーデンに
帰るまでの残り僅かな時間を費やすのはここ
しかない…ベルリンだ…!」

共産国家境界線を越える!

ショージの持っている地図の共産圏は全て
色が真っ白で、何も描かれてはいない。
そこにポッコリと陸の孤島のようにベルリンが
描かれてある。空白の部分は西側の人間が
入り込めない土地…孤島のように描かれて
ある場所には「BERIN」と文字が
浮かび上がってあるが、どうしても納得が
いかない事がショージの脳裏をかすめた。

「この地図上の色が無い空白の部分は共産圏
だな…列車に乗ればここを通過しなければ
ベルリンには入れない訳だから日本人の僕は
どうなるのだろう?特別な通過許可証が
必要になるのではないのか…」そして駅で
調べるとベルリンに入るためにはやはり
列車通過ビザが必要な事が判明した。
途中下車は出来無い。電車で通行するだけの
特別なビザがあるという。本来は東ドイツの
大使館でビザを発行してもらえば料金は
安く済むのだが電車の中でも、少し割高には
なるがベルリンに渡るためのビザは取得
出来る。

そして遂にプラットフォームに「ベルリン行き」
の列車が入って来た。列車に乗ると「おおっ!」
ショージの大好きなコンパートメント形式
だった。6人部屋の個室で革張りの席だ。
3人づつが向き合う様になっている。椅子は
ちょっと引っ張れば手前に出て来る。向かい
合う反対側の椅子を引っ張り出せば簡易の
ベッドにも早変わりする。ただ、これが出来る
のは客が3人以下の場合のみだ。もし3人以上
客がいたとしたらベッドは諦めるしかない。

さあ、出発だ!列車は動き出し、ハノーバーを
後にしてベルリンへと向かい出した。

黒い大きなバッグ

ショージはいつも小さな子供が入れるほどの
黒の大きなバッグを持ち歩いて旅をして
いる。バレエをしていない人には驚くほどその
バッグは大きい。バレエ用具が数日分と
生活に必要な全てが入れているからだ。
バッグの中にはソビエト連邦共和国が一面に
書かれた巨大な地図とロシア語の辞書も
入っている。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第76話

2020-06-25 09:09:49 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第76話
素っ頓狂な声を上げた秘書を軽く制するように
ディレクターのウルフ氏がショージに向って、
「君はこれからイタリアまでビザ申請に行かな
ければならないし、何週間掛かるか判らない
から、半分の給料の前払いなら大丈夫だ。」
その言葉にまた、秘書は仰天しながら白目を
剥いた。

「そうだ、ここは事務局じゃないか…スザンナ、
早速手配してあげなさい!バレエ団の費用と
言えば良いじゃないか、そうだろ?私は先に
劇場に行っているから。じゃ、バーイ!」
スザンナは、「ちょっと、ちょっ…」

信頼は直感!

グレゴリーというイギリス籍の黒人ダンサーは、
ショージがゴッセンブルグの稽古場に突然やって
来た日、彼は周りのダンサーたちに向かって
度肝を抜くような痛烈な皮肉や毒舌を混じえ
ながら、その話の内容には完璧に筋が通っており、
その話しぶりにショージは魅了された。
ショージが今、実際に彼と稽古場内にある
リラックスルームで話をする時は全く別人の
ように静かで、彼の話す英語の流れに美しさを
感じた。ショージはグレゴリーに初めて会話を
するのに「僕はショージ…僕の友だちになって
くれませんか?」と申し出た。

彼がショージに問い返した。「友だちに?何故、
僕なんだね?君はこんなに沢山いるダンサーたちの
中から、どうして僕を選んだんだね…?」澄んだ
黒い瞳でショージの眼を見つめた。「僕はこの
稽古場で初めてあなたを見かけた時から、
あなたの話を静かに聞いていました。あなたの
話の中に矛盾点は無く、はっきりとした筋が
見えました。何故、あなたを選んだか…それは
インスピレーションです。つまり直感です!
私は、あなたが信頼出来る人間なのだと直感
したのです。そしてその直感にきっと間違いは
無いと信じるからです。」

 グレゴリーは、初めて出会うショージのような
人間からこのような事を言われて、かなり
戸惑ったであろう。しかし、「そうか…。多分
君は正しいかもしれない。僕は物事をはっきりと
言う性質だから、このバレエ団でも異種的に
見られがちだが嘘は言わない主義なんだ。それでも
良かったら、僕も君の事に大いに助言させて
貰うよ。」ショージはグレゴリーとがっちり
握手すると、彼は電話番号を書いたメモを
ショージに差出した。そして、グレゴリーは
リハーサルをするために消えて行きった。

翌朝、早速電車に乗り、またイタリアへと向かった。
もう慣れたものだ。今回はレッジオエミリアに
帰るのではなく、スウェーデン領事館のある
ミラノに向けてチケットを買った。片道切符だ。
何故、片道切符なのか…それはイタリアに戻れば、
領事館で労働許可証の申請後に一体どれくらいの
時間がかかるのか全く見当がつかない。その
申請中に何をすれば良いかショージには
はっきり分っているからであった。

つまり武者修行の続行である。武者修行をする
のには再びインターレイルパスが必要になる。
レッジオエミリアまで行けばこのユーロ鉄道
パスを買う事が出来るのだ。この特別なチケットは
在住先でしか買う事が出来ない。そしてイタリアに
到着し、ショージは鉄道パスをゲットした。
領事館で労働許可を申請すると、その足で
武者修行の続行が始まった。
(つづく)