半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第39話

2017-09-30 10:39:23 | webブログ
谷町開設 祝 10周年 !!!! やった~っ!

皆さん、バレエ教師の半澤です!よっしゃ~っ、レッスンしましょう~っ!!
http://hanzanov.web.fc2.com/top.html (ホームページ)
http://hanzanov.web.fc2.com/index-J.html(オフィシャル ウエブサイト)
皆様、12月23日 天皇誕生日の祭日に私の発表会があります。
もし、良かったら出演してみませんか?バリエーションでも良いですし、
グランパドドゥでも良いですよ!もちろんコンテンポラリーでも
良いですし、オペラでも舞台で歌います?
どうぞ、どんどん出演してください。
私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus,eonet.ne.jp

連絡をお待ちしてますね!!

朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分から初級レベルの
レッスン、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

日曜日のバリエーションはラフィユ・マルガルデより「リーズ」の
バリエーションです。とても可愛らしい音楽と歯切れの良い振りが
見ている人を魅了しますよ!!
ではクリスタル・ルームでお待ちしておりますね
連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第39話
メール校長は不安顔のショージに優しく言った。
「今、フランスのモナコという場所で、私が信頼
できる方に電話をしているのよ…マリカ先生と言う
のだけれど、モナコ王立バレエ学校の創設者よ。
そのマリカ先生が、あなたがお掃除と買い物を
こなせるんだったら、マリカ先生の自宅から通わ
せてくれ、奨学金の代わりに学費は要らないって
言ってくださっているわ…フランスへ渡りなさい!
こんなチャンスは普通無いのよ…良かったわね!」

 なんと優しい言葉であろうか。異国人のショージを
思いやってくれる人間身溢れたメール・パーク校長。
こんなに素晴らしい世話をしてくれる人は滅多に居ない。
しかし、ショージと言う人間の頭は何処まで馬鹿
なのか、次のこんな言葉を聞くと情けなくなる。
 
ショージはメール校長に「私はこの学校のメソードを
勉強したいためにやって来て、今はお金がありませんが、
お金がないからといってフランスへ渡ろうなどと思って
おりません。私の憧れはロイヤルバレエ学校であり、
このメソードが学びたいのです!
なのに聞いた事も無い先生を訪ねて遥々フランスには
行きません。今日は本当にありがとうございました!」
と言ってしまったのだ。
 
秘書や校長もショージの事を心配してくれたが
「皆さんには、突然の出来事で申し訳なかったです、
本当にありがとうございました」と深々と頭を下げ
メール・パーク校長に礼を言うとロイヤルバレエ
学校を後にした。
 
メール・パーク校長にはあんな事を言ってしまった
のだが本当のところは「今日の食べる物さえ買え
ない僕がどうしてフランスなど行くお金があるのか…
今日、持っていたお金はこの地下鉄の切符代を払うと
無くなってしまったと言うのに…」おにぎり目当てで
バイト先へ行く駅に向かって歩いている途中、自分の
想像していた夢が途絶えたのだとはっきりと感じた。
あまりの悲しさでショージは涙が止まらなかった。
 ところが歩くうちに心の何処かで何か大事なものを
失ったのと同時にブワーンと何かが広がって行く
ような気がした。「心の隙間を不思議な物が埋めて
行く様だ…一体これは何なんだろう…。」

ダンサーでごった返すダンスワークス!

ショージは学校を卒業したが担任教師のビビアンの
事が好きで、ビビアンもショージが皿洗いのバイトで
生活しているのを知っていたから「オープンクラスの
料金は要らないわよ」と言ってくれた。これは
ショージにとっても、とても助かる事だった。
ロイヤルバレエ学校のオーディションの結果も
報告した。ビビアンは心配してくれていた。

ある日、オープン・バレエ・クラスを受け持っている
人気バレエ教師のパスィがレッスン前に「ショージ、
ちょっとこっちに…」と皆が居ないカフェで、ショージを
呼んで言った。

 「僕の奥さんが言ってたけど、君、大変なんだってね…
僕のクラスは料金払わなくても良いから、頑張りなさい!」
「…えーと、奥さんって誰でしょう? え、ビビアン?
ビビアンって僕の担任のビビアン先生の事ですか!?
うわーっ凄いな!人気抜群の二人がご夫婦なんですね…
ありがとうございます、本当に助かります!」
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第38話

2017-09-29 10:44:11 | webブログ
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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第38話
「では今からすぐ着替えてください。そして一番上級の
クラスでレッスンを受けて頂きます」と言った。  
「よし、最初の難関は突破した!後は神のみぞ知るだ!
全力投球するしかない!」 秘書の女性がショージを
連れて稽古場に案内した。

そしてクラスが始まる前に生徒全員に「今から突然
ですが入学オーディションのレッスンに切り替わります。
時間も延長します」と説明した。白人の生徒たちが
一斉にショージを白い目で見ている。ショージは彼ら
とは目を合わさずに黙ってレッスンを担当するであろう
男性の先生だけを注視した。

 暫くすると、メール校長を含む4人の先生たちが鏡の
前に椅子を並べて、レッスンは遂に始まった。1時間半
に及ぶレッスンで内容はとても難しく、どのダンサーも
素晴らしい身体を持ち合わせているのだな…と感心する
半面、ショージは何故かこのクラスに自分がいて当然だと
思えた。実にふてぶてしいと自分でさえ思った。

そして全てのエクセサイズが終わり、再び校長室へ
呼ばれた。緊張の一瞬だ。メール校長が椅子にゆっくり
と座り、とても静かに言った。「要件から言います。
合格です。あなたを学校に入れましょう。でも、奨学金は
イギリス人のみが適用出来ます。この学校の一学期の
料金は130万円。年間に3学期あるから390万円
かかりますが、あなたは払える?」

ショージは血相を変えた。「さ、390万円!?
そんなお金あるわけありません。2ポンドも持って
おりません」と答えてポケットにある細かいお金を
出して「これが全財産です」と言った。電車賃のみで
あった。本当にそれしか持ち合わせが無かったのだ。

校長はショージをじっと見つめて、目の前の机の上の
電話を引き寄せるといきなりダイヤルを回した。
ショージは危機を感じ取った。「何だろう?何処に、
電話するんだろう…?」声も出さずに内心ドキドキ
しながらその受話器の向こうが何処と繋がっているのか
とても不安で堪らなかった。「ま、まさか警察!?」

モナコ・王立バレエ学校のマリカ・ベゾブラーゾバ女史

「あ-もしもし、メール パークですがご機嫌 如何?
今ここに、若いジェントルマンがいてね、オーディ
ションを済ませたのよ…。ええ、入学は許可しましたの。
そう、え?この彼は21歳!お金を全然持っていないの…
学校側では奨学金を出せないので、マリカ先生の方に
お願い出来ないものかと…どうしましょうね?え?
聞いてみるわね…」
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第37話

2017-09-28 10:49:31 | webブログ
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滅茶苦茶な英語の挑戦者!
第37話
地下鉄ピカデリー線をヒースロー空港方面に乗り継ぎ、
バロンズコート駅でおりて暫く歩いた。「ここだな…」
ロイヤルバレエ学校の門前で緊張と自身を奮い立たせる
ために深呼吸をした。「この場所こそ僕が夢見た学校
なのだ!」門を入るとセキューリティの門衛の男が
「何かここに用事でも?」と質問して来た。

ショージは頭の中で思っていた事をそのまま自分流の
英語でこの男性に言った。「校長先生に会わせて欲しい
のです」すると男性はかなり困惑して、「えーと、
あなたは校長先生とお約束をしておられますか?」
ショージは頭を横に振りながら「いえ、今から約束を
取り付けたいと思っていますが、約束したところで
会いたいのは今日なのです」

面喰っている門衛は目をパチパチさせながら「ちょっと
待って下さい、あなたは校長先生と面識でもあるのです
か?一体、どのようなご用事があると言うのですか?」
ショージは単刀直入に答えた。「私はこのバレエ学校に
入るために日本から来たのです」すると漸く考えていた
男がようやく頭を縦に振って「ああ、そう言う事ですか!
あなたは学校側から入学の許可を貰ったから入学の手続き
のためにここに来たと言いたかったのですね?それなら
それを早く言ってください!」

ショージはまじまじとその男を見ながら「いえ、私は
校長先生から学校に入るための許可を貰いに来たのです。
手続きはその後になると思います」これでセキューリティの
男性は完全にノックアウトだった。「は?どう言う事か
理解出来ないが、ちょっとそこで待っていなさい。
とりあえず校長先生にあなたの事を聞いてみますから!」

男が眉間に皺を寄せながら電話をかけて「いえ、私にも
何を言っているのか理解が出来ないのです!」と話して
いるのが見える。そして受話器を置くと「校長先生が
あなたに直接会って話を聞いてくれるそうだから、
どうぞ中に…」ここでショージは拳をグッと握り
「やった!中に入れた!次は校長先生か…」

セキューリティの門衛に校長室へと案内された。初めて
ロイヤル・バレエ学校の校長であるメール・パークに
会うと、メール校長が「どのようなご用事ですか?」
ショージは再び単刀直入に「私はこのバレエ学校に入り
たくて東京から来たのです!どうぞオーディションを
してください!」と切り出してみた。すると校長が
「あなたは今、何歳?」と聞き「21歳です。」と
答えた。

メール校長が「21歳ですって?普通その歳なら、
学校ではなくてバレエ団で働く歳ですよ、それでも
オーディションをしたいのですか?」ときびきびと
質問をした。ショージはその場ではっきりと、
「21歳であろうとこの学校にどうしても入りたい
のです!」と答えた。すると校長が暫く黙り、考え
込みながらショージをじっと見ている。
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第36話

2017-09-27 10:09:16 | webブログ
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第36話
次々に失敗するオーディション!一体どうなるんだろう?

「考えていたり、落ち込んでいても前には進まないから、
また一からトレーニングして頑張るしかない…!」と自分
を励まし、ロンドン市内にあるパイナップルというオープン
バレエスタジオやダンスワークス、そしてコベントガーデン・
アダン・オープン・バレエなどに毎日あちこちのスタジオを
回っていろんなクラスを受けながらオーディションの情報
収集をした。

すると、今度の日曜日に「ロンドンシティ・バレエ団で
コールドダンサー(群舞)のオーディション…」と言う
張り紙が壁に貼ってあった。早速日曜日にオーディション
に行ってみた。シティ・バレエ団のダンサーたちの幾人
かは、オープンクラスで顔見知りであったが、オーディ
ションともなると誰も声を掛けてはくれない。自分たちも
自分のポストをしっかりと守らなければならないし、
新しいダンサーは結局ライバルになるからだ。

オーディションに来る膨大なる数のダンサーたちの意気込み
は凄まじい。それに対してショージも負けじと思うのだが、
ロンドン・フェスティバル・バレエ団でタジタジだった
敗北者の気持ちがまたぶり返し、自分にかげろうの様に
付きまとい、ショージは萎縮した。そして結果はまた
ダメだった。

ショージは久しぶりにテレンスに会った。テレンスの口から
「今度、ピーター・マレクと一緒にヴィエナ・フェスティバル・
バレエ団を立ち上げるから、ショウジ、君をソリストで呼ぶ
つもりだからな…」とりあえず選任振付師となったテレンスは
早速ショージを呼び出し、新しいバレエ団の演目となる創作
バレエのリハーサルを開始したが、2日目にショージは
テレンスに「契約書について伺いたい…」と聞くと、
どうやら何か怪しい雰囲気である。数日後、やはりその
バレエ団の立ち上げの話しはおじゃんになった。監督に
なるはずだったピーター・マレクが資金の調達に失敗した
のだと言う。
 
それでもめげずに、ショージはバイト先に直行する。
ショージにとってのバレエ、そして未来がどんなに上手く
行かなくても確実に腹だけは減る。しかし皿を洗えば確実に
おにぎりが食べられるからだ。

ロンドンに来た理由、モティベ-ション

ロンドンへやって来て以来、どれほどの月日が流れたので
あろうか。ショージには時計も無ければカレンダーも
なかった。学校という枠から離されてオープンクラスと
バイト先の往復。そして度重なるオーディションの失敗。
 ロンドンの安アパートの自室で一人考えた。「何故僕は、
日本を離れこんなに遠い異国の、言葉さえわからない所
までやって来たのだろうか…オープンクラスだったら東京
にもあるし、日本にいれば言葉も通じる。バイトもイギリス
のように足元をみられて安くこき使われる事なんかない
のに…。日本にいた方が時給が良いから食事だってちゃんと
出来るのに…。

果たしてイギリスにいる意味があるのだろうか?懐に一体
幾らの金の持ち合わせがあるのか?イギリス人たちは銀行
からチェックと言う物でお金を借りる事が出来るけれど、
僕には銀行に口座など作れないし、財布にはその日の
サンドイッチを買う金にも満たない僅かな持ち合わせ
しかないじゃないか…」
 
だがこのショージはいつも土壇場の窮地でひらめいた。
「こんな僕に何が出来るのだろう…一体何をしたいのか?
あっ、そうだ…僕はロイヤルバレエ学校でメソードを
しっかり学びたかったんだ!だから日本で夜中までバイト
して頑張って旅費をためて遥々ロンドンまで来たんじゃ
なかったのか!よしっ、明日 ロイヤルバレエ学校に
行ってみよう!電話する金がないから直談判だ!」
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第35話

2017-09-26 09:32:44 | webブログ
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第35話
ある日、アダン校長がショージを校長室に呼んで
言った。「今度の卒業公演にはチェケッティクラス
を担当しているホアン・サンシェズ先生が3人の
女の子とあなたで振り付けをしたいそうよ。
スペインの曲、グラナダですって。それと、ラストの
ハイライト・バレエ「パキータ」の主役はあなたが
やるのよ。頑張ってね…」

唐突な校長の言葉に驚いたショージは「 え?卒業
公演ですって?じゃあ、それが終わったら僕はどう
なるのでしょうか?」校長は淡々と言った。
「 そうね卒業です…」ガーン!と頭を叩かれた
ような感覚になった。学校に入ってまだ半年足らず
なのだ。ショージは卒業後に何をしたら良いのか全く
考えた事もなかったのだ。いよいよ本番当日になり、
比較的こじんまりとした舞台と客席。

あらかじめ舞台上で場当たりしながら、歩幅や目線の
フォーカス先のチェックをした後、主役であり
ショージのパートナーであるポーラに挨拶をする
ためにいる楽屋に行ってみた。「あれ?」ポーラは
酷い緊張状態だった。それもそのはずだった。
ポーラは客がたくさん入っている舞台で初めての
卒業公演の主役を踊るのだ。緊張しない人間は
まずいない。

ショージは…と言えば幸いに日本で、舞台数だけは
比較的踏んでいたので、そういう意味の緊張は
なかった。ただ、「ポーラをしっかりと綺麗に
見せられるように男性の責任であるサポートが
上手く出来るのか…」そういった不安があるものの、
今日は失敗の許されない本番なのだから一切の邪念を
取り払い集中するしかない。

緊張しているのはポーラだけではなかった。主役を
取り囲み、群舞として踊るたくさんの女子生徒や
他の作品に出演するモダンダンスの人々…
ミュージカルを目指すダンサーたち、そしてこの
卒業公演に出演する全てのダンサーたちも同じで
あった。

朝の舞台挨拶ではミス・アダン校長から「今日は
あちこちのたくさんのディレクターたちも見に
来るから、ベストを尽くして、自分の人生を
勝ち取るんですよ!」と言われ、皆、益々緊張の
坩堝(るつぼ)にはまった。ショージはこの校長の
最後の言葉が耳に残った。「グッド ラック!アンド 
テイク ユア チャンス!」

卒業公演の次の日に、校長先生が改めてショージに
言った。「あなたは学校なんかにいないでバレエ団で
十分やって行けるわよ。明日、ロンドン・フェスティ
バル・バレエ団にオーディションしてもらえるように
頼んでおいたから、頑張りなさいね!明日から学校は
休みに入ります!」

「え~っ!フェスティバル・バレエ団だって!?
凄いぞ、よしっ!頑張るぞ!」次の日にロンドン・
コロシアム劇場に行き、オーディションが始まった。
ロイヤル・バレエ団をも凌ぐフェスティバル・
バレエ団には超精鋭のダンサーたちが顔を揃え、
ショージは自分の踊りの技術が彼らに比べると、
まるで児戯に等しいのを自覚した。結果は散々な
ものだったのである。
(つづく)