半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第126話

2024-10-25 08:43:41 | webブログ


バレエ教師の半澤です。
火曜日から土曜日までの朝は11時からレッスンやってます。
水曜日と金曜日の5時20分からは、小学生を対象とした
レッスンをやってます。
夜は火曜日から金曜日まで7時からです。土曜日は夕方の6時からです。
祭日は月曜日も他の曜日でも朝11時からです。


皆さま、お待ちしております!


ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)


私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/



連絡をお待ちしてますね!


2024年12月28日(土曜日)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。


スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。


バリエーションは「バヤデール」から「ニキヤの登場」シーンのバリエーションです。
男子も自分の好きなヴァリエーションしましょう!
さ、やりましょう!!


連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
掴んだチャンス
第126話
「じゃ、ショージ、明日の舞台の後に…そうだな、んー、
そこの関係者入口で待っていてもらおうかな…」ショージは
「えーっ!そこですか!?」「それがどうかしたかな?」
「あ、いや、何でもないのですが、あ、分かりました。では
本当にお忙しいところを僕の為に済みません…」ペコリと
頭を下げた。ワシリエフ氏と握手を交わした。


「グラッツィエ!セニョール・ワシリエフ!スパシーバ 
ボリショイ!」(ありがとうございます)そう挨拶したのだ。
「良かった…粘った甲斐があった…」今の自分にチャンスが
到来し、そのチャンスをどうにかショージなりに掴んだのだ。
あの謎の老紳士の先生には、帰りがけのところを大変に申し訳
無かったし、ワシリエフ氏の忙しいところを邪魔してしまったが、
ショージはこれ以上に胸の内がすっきりした試しがないほど、
晴れやかな気分であった。


残念無念!


ショージは門衛の4人の爺様たちにきつく睨まれるかな…と、
思いながら前を通ると、意外にもそっぽを向いて何も言わ
ないしショージを見もしなかった。ショージは小声で「ドスビ
ダニエ…」(さようなら)と言うと、門の外に出た。「そうだっ!
正面玄関で明日の初公演のアニョータのチケットを買おう!」
と行ってみると凄い列だ。ロシアでは並ぶのは当たり前(勿論、
日本でもそうだが)で、せめてもの救いは玄関の中は非常に
温かい事だ。


普段からショージはあまり長い列に並ぶ事はない。と言うのは、
他所のバレエ団の公演を見る時は大抵、チケットを予めその
バレエ団のメンバーかスタッフに取ってもらうため、並ぶ
必要がないし自分で買う時もこんなに延々と続く列には並んだ
事がないからだ。


しかしこの時だけは不運であった。チケットはショージの数十人
前で完売してしまったのだ。「あ~、残念!でも、バレエが
見る事が出来ないにしても劇場には来なくては!ワシリエフさん
との約束もある事だし…」


本番当日になり、来られなかった客がいるかもしれないから
早めにボリショイ劇場の前に来たのだが、日本や他の西側の
国とは違って、ダフ屋(チケットにプレミアプライス…つまり
付加価値を付けて、正規の値段よりも高く売る人)はおらず、
倍の値段だろうが買えるものなら欲しいと思っていたが、
これまた残念にも買えずじまい。


「ん~、どうしようか…?」どうしようもこうしようも、バレエ
「アニョータ」が終わるまではここにいなければならないの
だから、待つしかない。しかし、マイナス38度だし「こんな
外で2時間以上も待てるか?関係者入口にはもう行けないかな…
いや、行ってみよう!」そして劇場の正面玄関から外の凍りつく
雪をガチガチと踏み歩きながら再び関係者入口に入って行くと、
爺さんたちは苦虫を噛み潰したような顔でショージを見た。「チッ!」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第125話

2024-10-24 08:26:22 | webブログ


バレエ教師の半澤です。
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水曜日と金曜日の5時20分からは、小学生を対象とした
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夜は火曜日から金曜日まで7時からです。土曜日は夕方の6時からです。
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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
世界中に友だち?
第125話
まさか、ウラディーミル・ワシリエフ氏の口から、この人の
名前が出てくるとは夢にも思わなかった。やはりあの時に
マリネルが言っていた「世界中の友だちに電話して…」
あれは嘘じゃなかったのだ。背中に冷や汗がドッと流れ出た。


「ああ…あの時、狂人になっておいて良かった…」ワシリエフ氏の
「君はマリネル・ステファネスクって言うダンサーを知っている
かい?」の問いには頭を横に振った。すると「そうか…あ、先生が
言っていた、大使館宛ての推薦状ね、ちょっとその前に聞いて
おきたい事があるんだが…君はさっき私にスウェーデンのバレエ団
で働いていると言ったね?そして君はロシアに来てバレエの勉強が
したいと言った。それはバレエ団に入りたいのかな?それとも
学校に入りたいのかな?」


ショージは直ぐに「バレエ団に入れるのは多分無理です。僕は
ロシアの滞在許可証を持っておりませんし、今、こうして
ここにいられるのはスウェーデンからのツアー客と一緒に
グループとして一週間、滞在出来るだけなのです。バレエ団で
働くには労働許可証が必要になると思いますが滞在許可証も
取得出来ない私に労働許可証の取得は無理です。ですから、
学校に入る事が出来れば嬉しいのですが…もし、推薦状が
頂ければ学校に入るための学生ビザは下りると思うのです。」


するとワシリエフ氏はショージから視線を逸らさずに「ショージ、
バレエ学校というのはバレエ団に入るために学ぶ所だ。だが、
君は既にスウェーデンのバレエ団で働いているのだろう?
なのに学校に入る必要はないじゃないか。スウェーデンの
バレエ団で働けるなんて、この国のダンサーたちがどれほど
夢見る事か!」  


ショージははっきりとワシリエフ氏の言葉に答えた。「確かに
僕は働いておりますが、まだまだ分からない事がたくさんある
のです。ですが、以前にこの国に来た時、僕はダンサーたちを
見て感動したのです。この国のダンサーたちは素晴らしい!
この国の学校で学べば僕もあのような素晴らしいダンサーに
なれるのではないかと。だからどうしてもこの国の学校で
学びたいのです!」


ワシリエフ氏は瞬きもせずにじっとショージを見つめた。
そしてショージはさっき老紳士の先生に見せた2枚の写真を
ワシリエフ氏にも見せた。じっと写真を見た後に「そうか…
んー、実は明日、私の振付をした大事な初公演が控えて
いるから、今日って訳には行かないのだが、君はまだこの
モスクワにいられるのかい?」


ショージはほっとしながら、「スィー、セニョール ワシリエフ!
(はい、ミスターワシリエフ!)まだ数日は大丈夫です。あの、
初公演ってアニョータですよね?」またワシリエフ氏がにっこりと
微笑んだ。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第124話

2024-10-23 08:20:27 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
2人の共通語
第124話
「君は日本から来たのかい?何処のバレエ学校から
来たのだ?」ワシリエフ氏は静かであったが、トーンが
低くても滑舌がはっきりしており言葉がとても聞き取り
易かった。


「いえ…あの、実を言うと僕はスウェーデンに住んで
おりまして、バレエ団に所属しております。イギリスで
学び、イタリアのバレエ団などでも働いておりました。」
 するとワシリエフ氏は「おやっ?」と言うような顔を
して「君はイタリアのバレエ団に働いていたのかい?
ならば、イタリア語も話せるのかい?」


ショージはイタリア語で「スィー、セニョール!イオ 
パーラ イタリアーノ!ノン ベーネ、ベーネ…ペロー、
ペンソケ アバスタンツァ ノルマーレ…」(はい、私は
イタリア語を話します。それほど上手と言う訳ではありま
せんが、まあ、普通ぐらいでしょうか…)


するとワシリエフ氏の顔が一気にパッと笑顔になり、突然
イタリア語でテンポ良く話出した。「なーんだ、そうか!
じゃあ、イタリア語で話そうじゃないか!私もイタリア
へは年間に何回も行くのだよ。ミラノにも行くし、
ローマにも行く。ついこの間もナポリに行って来たところさ!
イタリアにはどのくらい住んでいた?」


ショージはワシリエフ氏が、あまりに流暢なイタリア語
なので驚いた。そして少ししか知らないロシア語で話す
よりも、イタリア語を通じて話す事で自分の言いたい事も、
もっとはっきりと伝えられる事、そして更にはこの知らない
極寒の国の中で、ショージが慣れ親しんだ暖かい国の
イタリア語で話せるという事で憧れていたワシリエフ氏に
親近感が湧いた。


「僕は2年ほどイタリアに住んでいました。街はレッジオ
エミリアと言う、本当に小さな街ですが…」するとワシリ
エフ氏は「えっ?レッジオエミリアだって!?なんと
懐かしい!私の友人があそこの街に住んでいるのだよ!
君が知っているかどうかは分らんが、古い友人だ。
非常に素晴らしいダンサーでもあった…ん~思い出すな…
えーと、彼の名前はね…」ショージは犬のような直感で
ワシリエフ氏の声に両耳が鋭く反応した。


イタリアの友人


「そう、彼の名前はステファネスク…マリネル・ステファ
ネスクって言うんだ…友だちと言っても彼はロシア人では
なく、ルーマニア人だがね…」ショージはそれを聞いた瞬間、
口から心臓が飛び出しそうになった。声には出さなかったが
「な、なんだって…ぎょえ~っ!?あの鬼の事ですか~っ!?」


ワシリエフ氏の古い友人…それは紛れも無く、ショージを
恐怖のどん底に陥れた、イタリア時代のバレエ団の芸術監督に
他ならない。そう言えば確かにマリネルは言っていた。
「私はボリショイバレエのプリンシパルをしていた時期が
あったさ…」と。本当に偉いダンサーだったのであろうが、


ショージにしてみれば鬼以外の何者でもない。今から
イタリアのバレエ団での最後の問答をここに再び再現して
みよう。


「ショージ!お前がこのバレエ団を辞めたいだって?
ふざけるな~っ!絶対にそんな事はさせん!お前を何処にも
行かせはしないぞ!いいか?この俺は世界中の何処にでも
友だちがおるのだ!お前が行くところならば、一本の電話を
入れれば済む事だ!そしてお前はここにいるしかなくなる
だろう…言ってみろ、ここを捨てて一体何処に行きたいと
言うのだ?」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第123話

2024-10-22 08:06:02 | webブログ


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火曜日から土曜日までの朝は11時からレッスンやってます。
水曜日と金曜日の5時20分からは、小学生を対象とした
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夜は火曜日から金曜日まで7時からです。土曜日は夕方の6時からです。
祭日は月曜日も他の曜日でも朝11時からです。


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第123話
ショージはプリエを始めた。「確か、こんな風だった
かな…?」そうやって一つずつを先生に教え直して
もらった。先生が「君に一つ言っておくが君が本当に
勉強をしたいのなら、このモスクワに来るよりもレニン
グラードに行きなさい…」


先生が何故、ここモスクワではなくレニングラードに…と
言ったのかは分からなかった。クラッシックの技法を
学ぶのなら、モスクワよりもレニングラードの方が上
なのか?それともこんな馬鹿にモスクワに来られたんじゃ
かなわないと思ったからか…。ショージはロシアに
来られるのならどっちでも良いと思っている。


その時に金髪の髪をした初老の男と、頭の髪は少し
薄くはなっているが体躯が大きくがっしりとした
やはり初老の男が入口から入って来た。この人たちが
誰なのかが直ぐに分かった。ボリショイの神々と
言っても過言ではない。最初の金髪の男性は世界中で
名を轟かせているウラディーミル・ワシリエフだ。
そして2番目はこのボリショイバレエ団の双璧である
ミカエル・ラブロフスキーだったのだ。どちらも
バレエ団の完全なるトップダンサーである。


ボリショイの神々…


老紳士の先生はワシリエフとラブロフスキーにボソボソ…
と立ち話をし始めた。先生はショージの方に向き直り
「私なんかより、彼に推薦状を書いてもらった方が
大使館になら利くだろう…」そこに止まってショージを
見てくれているワシリエフ氏を見ながら「今、彼に話を
しておいたから後は彼と話しなさい。私はこれで行くから…
あ、そうそう、君も日本人ならあの占いを勉強した方が
良い。実に興味深いものだからね。じゃあ、これで…」
そしてジャケットを着ると行ってしまわれた。


「占いだって!?」ショージはブルッと震えると「勉強
したいのはバレエなのに…」と先生の後ろ姿に頭を下げた。


ワシリエフ氏はショージを見ながら言った。「今、先生
から話は聞いたけど、君はロシアで勉強がしたいのだね?
君の名前はなんて言うのかい?」世界のスーパースターに
自分の名前を聞いて頂けるとは!ワシリエフ氏の声は
柔らかいながらもアクセントがはっきりしていて、
誠実そうで優しさに溢れる人柄が瞬時に分かった。


「ぼ、僕はショージ…ショージ・ハンザワです…あ、あの~、
ワシリエフさんですよね?」金髪というよりも金その物と
言った方が的を得ているような彼の髪が非常に印象的だ。
彼はショージを真っ直ぐに見ながら、縦に頷いた。


ショージはソ連に来る前から憧れのワシリエフ氏はきっと
大きなロシア人で190センチくらいのダンサーなの
だろうな…と想像していた。憧れのスーパーダンサーが
ショージの手を握ってくれた時は感動だったが、と同時に
驚愕でもあった。何故ならワシリエフ氏はショージの
顎(あご)ほどくらいの身長だったからある。


「僕がロシア大使館に行っても、そう簡単には滞在許可証
がおりないのです。そこで、大使館宛てに僕への推薦状を
書いて頂けたら、もしかして…いや、必ずビザが下りると
思うのです。どうか推薦状を書いて貰えないでしょうか?」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第122話

2024-10-20 08:01:22 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
先生に質問
第122話
「君には質問は無いのかね?」先生は静かな声で聞いた。
先生が何故、そんな質問するのかショージには理解
出来無いまま、「え、質問ですか?いえいえ、先生に
そんな…無いです」先生は「あ、そう…じゃ、続けよう!
グランバットマン(片足を大きく前、横、後ろに振り上げる
運動)と言うのは足を振り上げるのも大事だが、下ろす方が
難しい…ただ重力で下ろすだけでは駄目だよ。分かるかね?
ラ~ス、ドゥバー、トリー…このようにね…」


ショージは先生の言いたい事はそう言う事なんだなと思い
ながら「あ、はい…」とさっきから同じ返事を繰り返した。
「じゃ、行ってみよう…どうぞ!」先生はショージを見て
言った。ショージは先生の言う「じゃ、行ってみよう…」
に頭を斜めに傾けながら反応しなかった。それどころか
逆に先生に質問した。


「え、何処に?」先生はカッと目を見開いて、「何処に?
何を言っているんだ君は!始めから終りに決まっている
じゃないか!はい、始めなさい!」そして先生はショージを
見つめた。「げ~っ!先生、始めから終わりって、もしか
したら先生が見せたプリエからグランバットマンまでの
全部をですか!?そんな事急に言われても覚えてないっすよ~!」


今度は先生の方がギョッとした顔で、「覚えてないだって!?
だって君は質問がないって言ってたじゃないか!私が一つ
ずつ見せて分かるかねと聞いた時にも全てにおいて、「はい」
と答えたじゃないか!覚えてないって…え~っ!?」2人で
驚き合いだ。ショージは直ぐに謝りながら、「あ、あの~、
一つずつでもいいですか?あの、その後に次のを教えて
もらってもいいですかね?」


先生は呆れた顔して「ふ~、何故、君は分りましたと言った
のか?君と同じような年代のモスクワの男たちも全く一緒だ!
何故あいつらは、分かってもいないのに分りましたと、返事
するのか!実に嘆かわしい事だ。私に言わせれば馬鹿だ!」
先生の嘆きにショージも同情した。「そうですか…
モスクワの生徒はそんなに馬鹿なんですか…」先生が
クルッと口を開いてショージを返り見た。「こ、この…!」


「あの先生…日本では相槌(あいづち)と言うのがあり
まして、目上の方から話された時には必ず、はいと答え
なければならない習慣があるのです。先生が見せる前に、
全てを覚えなさいよ!それを最後に全部始めから終りまで
するから…と言ってくださっていたら、空返事はしなかった…
とは思うのですが、いずれにしても始めから終りまでの
全部を覚える事は難しいと思います」


すると先生は手で顔を覆い、「オー、ノ~ッ!」と言った
マイムを見せた。「モスクワのダンサーたちって、始め
から終りまでこんなに長い順番を全部覚える事が出来んの!?
そんな習慣があるのだろうか?少なくとも僕にはそんな
習慣が無いし、今まで何処のバレエ学校でもバレエ団でも
始めから終りまで一気になんて…」
(つづく)