大井川鉄道で山奥へ 1
「蒸気機関車と寸又峡」
ここ数年、私は旅先選びをする時、「まだ自分が泊ったことがない都道府県」を選んでいた。
なので、案外行き先選びは、割とすぐにリストアップできてたし、選びやすかった。
だが、そのテーマも去年2018年に佐賀県と福岡県に泊ったことで、晴れて日本全47都道府県全てに泊ったことになった。
一応クリア・・そんな感じ。
なので、今回の旅先選びは少々時間がかかった。
もちろん、行ってみたい旅先は多数ある。
でも、その全てに行けるものでもないので、「選んで」行かなきゃならない。
あれこれ迷った末、今回のテーマは、かねてから気になっていた大井川鉄道に乗ってみようと思った。
この旅行は日帰りではないので、宿は寸又峡に取った。
寸又峡の泉質は良いらしい。
私にとっては、久しぶりに山奥の温泉宿に泊まれることになる。
山奥の温泉宿って・・・いいんだよねえ。ましてや泉質が良ければ、さらにグッドではないか。
実は昔私は大井川鉄道には一回だけ乗ったことがあった。
仕事で静岡の金谷駅に行った時、せっかくだから大井川鉄道に乗ったのだが、取材という目的もあったし、その時は日帰りでもあったから、時間配分的に1駅分しか乗れなかった。
金谷駅から新金谷駅までの、たった1駅分だった。
その時、無性に「その先」にも行ってみたくなったのだが、それをやってしまったら、取材して日帰りするという本来の目的が達成できなくなりそうに思えた。
大井川鉄道に乗ることは仕事の目的には関係なかったし、あくまで時間の隙間に「ついで」に乗っただけだから、1駅分だけでも仕方なかった。
だが、悔いは残った。
宿題が残された気がした。
大井川鉄道といえば、人気の高い電車だ。なにやら名前もいい。
私は熱心な鉄道ファンというほどではないが、鉄道での旅行は好きだ。
鉄道マニアには「撮り鉄」「乗り鉄」など色んなタイプがいるが、私の場合は・・強いてあげれば「乗り鉄」に近いのかもしれない。
ともかく、私の中に「大井川鉄道に乗る」「大井川鉄道に乗って、奥のほうまで行く」というテーマは長年残されていたので、今回の旅行はそれをクリアしてしまおうと思った。
また、せっかく大井川鉄道に乗るなら、蒸気機関車に乗ってみたいとも思った。
私は蒸気機関車には乗ったことがなかったからだ。
ともかく1回乗ってみたかった。
このチャンスを活かさない手はない。
蒸気機関車は人気があるから、乗るならあらかじめ予約しておかねばならなかった。
蒸気機関車の予約をし、宿の予約も入れ、旅行の日が来るのを待った。いよいよ蒸気機関車に乗れるぞと思うと、けっこうわくわく。
旅行初日、まずは品川駅から新幹線に乗って静岡駅へ。
↑ 静岡駅で降りたのは久々だった。
で静岡駅で東海道本線に乗りかえて金谷駅へ。
そして金谷駅から、長年の課題だった大井川鉄道に乗りかえ、新金谷駅へ。
ここまでは、昔の出張と同じだ。
だが、今回はその先がある。それこそが目玉だ。
今度こそ、大井川鉄道の路線の奥まで行くぞ。
↑ 東海道本線、金谷駅。ここに来るのは2回目。大井川鉄道乗り換えの駅。ここから大井川鉄道の旅は始まる。
↑ 東海道本線の金谷駅のホームは空いていた。だが、大井川鉄道の駅はそこそこ賑わっていた。
大井川鉄道に乗って千頭駅方面に行くなら、金谷駅で乗り換えた大井川鉄道にそのまま乗っていればいい。
だが、私にとってはそれだけじゃ収まらなかった。
金谷駅から1個目の駅「新金谷駅」で、いよいよ蒸気機関車に乗り換えるのだ!
蒸気機関車は金谷駅からは出ていない。新金谷駅から出てるのだ。
ちなみに、大井川鉄道の金谷駅の券売り場では、蒸気機関車の席はすでに満員と書かれていた。
やはり、いきなり来ていきなり蒸気機関車に乗れるというわけでもないのだ。。
予約しておいてよかった。
あらかじめ用意してあった蒸気機関車の乗車予約票みたいなものを駅員に渡したら、その紙に座席番号を手書きで書いてくれた。
その座席番号こそ、蒸気機関車の私の座席なのだ。
ようし、これで完全確保!乗れるぞ乗れるぞ、SLに。現実感さらにアップ。
待ってろ蒸気機関車。
↑ 東海道本線のホームからは大井川鉄道の小さな駅舎が見えた。隣接してるから、乗り換えは容易。SLに乗るなら予約しとかないと、座れないかも。
大井川鉄道の金谷駅は決して大きくない。駅舎も小さい。
でも、観光列車としての側面も強い大井川鉄道なので、小さな駅舎の中には小さな売店もあり、そこで大井川鉄道のグッズも売られていた。大井川鉄道駅弁も売られていた。
その駅弁はおにぎり弁当だった。
ちなみに私は、売店で大井川鉄道のタオルを1枚買った。
↑ 大井川鉄道、金谷駅のホーム。始発駅であり、終点でもあるから、線路は途切れていた。
大井川鉄道というのは、日本各地で引退した古い電車が持ち込まれ、通常運行で使われており、ここでは古い電車に出会う・・・というか、人によっては再会し、なおかつ乗ることができる。れっきとした移動手段として。
ある意味、古くなって引退した電車の車両の、第2の人生ともいうべき働き場なのだ。
私がこの日乗った車両もレトロでいい感じ。年季も入ってた。
きっと昭和の時代に第1戦で活躍していた電車だったのだろう。
古い車両には、「良い働き場を新たに与えられてよかったね」・・・と言ってやりたかった。
↑ なんだか懐かしい車両。ここに来る前は、どこを走っていたんだろう。
↑ この日は、そこそこ乗客は多かった。発車までに空席はほぼ埋まった。
新金谷駅に着いてみると、駅ではいきなり蒸気機関車が待ち構えているかのように止まっていた。見れは、多数の旅行者が蒸気機関車の写真をあちこちで撮りまくっていた。
目の前で悠然と(?)待ち構えていた蒸気機関車、そのルックスはやはりカッコよろしなあ。
迫力もあった。
なにやら黒光りしているようにも見えた。
↑ 大井川鉄道、新金谷駅の駅舎。
この日の新金谷駅の賑わいは半端なかった。
駅舎の中も、駅舎の外も、大変な賑わいで、団体客でごったがえしていた。
駅前は思った以上に開けていた。駅舎の中では、ここでも大井川鉄道グッズが売られていたし、ソフトクリームなども売られていた。
↑ 駅舎の前や横でたむろしてる人たちの目当ては、やはりSL!
↑ 金谷駅より、新金谷駅前のほうが開けて、賑わっていた。駅前にはスーパーもあった。
↑ 新金谷駅入口の脇には、こんなものが。黒くてレトロな郵便ポストが楽しい。
柵ごしに、蒸気機関車がどアップで止まって、出発を待っていた。
駅前にいる人たちは、この蒸気機関車に乗れる人が多いと思うが、乗れない人もいたはず。乗れない人は・・きっと乗りたかったのだろうなあ。
こんな機会めったにないもの。
やがて・・私の乗りこむ蒸気機関車の発車の時間が近づいてきた。
ようし・・そろそろ乗り込むか!
ぼくは、少年時代のころの旅で、山陰地方のどこかの路線で、
蒸気機関車に乗ったことがあります。
、、、もう、嬉しかったですね。
わくわくしました。
帰ってから、「ぼく、蒸気機関車に乗ったよ。ほんとなんだあ!!」って言いふらしていました。(笑)
いにしえの1960年代のころは、大阪駅や東京駅にも、蒸気機関車は
入ってきたそうです。、、、、古き良き時代??ですよね。
★★★★★★★★
まあ、ぼくたちは、蒸気機関車には、甘いノスタルジアとロマンを感じますが、、、、
★★★★★★★★★しかし、
昔の人にとっては、蒸気機関車は明るいイメージばかりとは言えないかもしれません。
蒸気機関車といえば、、、、貧しい農村の中学卒業生が、都会に「集団就職」するときの運搬車というイメージ
の人もいるかもしれません。
あるいは、鉄道職員の下積み階級のひとは、長年、蒸気機関車の釜焚きをやって、
定年少し前に、やっと小さな駅の駅長になるのが、定番コ-ススだったでしょう。
ま、どんなものでも、感想は、人それぞれかもしれません。
☆蒸気機関車は、いろいろな社会背景や人生の機微や恩讐を背負っているわけですが、、、
それが、また、深い魅力なんでしょうね。
武骨なイメージがある半面、気品も感じます。
中森さんは少年時代にSLに乗ったことがあるんですか!
子供の頃にSLに乗ったことは、大人になってから初めて乗るのとは違った思いがあるでしょう。
東京や大阪にもSLが入っていた・・・今となっては嘘のようです。
東京から夜汽車のSLに乗って、どっか田舎に行くことを、少年時代には私はよく妄想したもんでした。
集団就職で東京に出てくる・・・というと、上野駅のイメージがあります。
蒸気機関車の運転席は、夏は相当暑いんでしょうね。
どれぐらいの温度になるのかな・・・運転者が大変だと思います。
でも、蒸気機関車を運転するのは、今の時代ではかっこよく見えます。
この旅行記の、「2」では蒸気機関車に乗った体験が綴られます。
とりあえずは、私が大井川鉄道でSLに乗るまでのいきさつを、この「1」では書いておきました。
大型の乗り物は、走行中は、もちろんかっこいいです!
しかし駅舎で、空港で、港で、出発準備中である乗り物も、大変かっこいいですよね。
蒸気機関車は、鉄道ファンならずとも、その古風で、威風堂々とした姿に、惚れ惚れする人は、たくさんいます♪
現在では、特定の地域でのみ見ること乗ることが出来るわけですから、なおさらですね。
蒸気機関車が汽笛一声、車輪をガタンと廻す、その瞬間、私は汽車に恋しているでしょう(笑)
今回の旅行記1は、ほんの序の口です。
蒸気機関車は、本当にファンが多いですね。
乗ってみて、あらためてそれを実感しました。
近年、少しずつでも復活してるのは、やはりその人気が大きいのでしょう。
なにより、ルックスがカッコ良くて、絵になりますから。
全国には、蒸気機関車に恋してる鉄道マニアが多数いるから、ライバルだらけかもですよ(笑)。