時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

旦那と半次  仲がいいのか悪いのか (近衛十四郎と品川隆二)

2010年03月15日 | 懐かしい系、あれこれ

私は、子供の頃に大好きだった時代劇が2作品ある。
この場合、勿論「実写」である。

1作は「仮面の忍者 赤影」であり、で、もう1作は「素浪人シリーズ」である。

素浪人シリーズ・・と言われてピンとこなくても、「素浪人 月影兵庫」「素浪人 花山大吉」の2作品の名前を出せば分かる人は多いだろう。

厳密には、この2作品以外にも「素浪人シリーズ」と呼べる番組はあったのだが、私にとっては「月影」と「花山」こそが「素浪人シリーズ」であった。

「月影」も「花山」も主役は同じ俳優。
近衛十四郎と品川隆二である。

月影兵庫は、大酒飲みで、猫が苦手。だが剣の腕前は超一流の剣豪。
実は松平伊豆守の甥なのだが、ゆえあって諸国を漫遊している。

花山大吉は、驚くとすぐにシャックリが出る、剣の腕前は月影同様に超一流の剣豪。
だが、好物のオカラに対する執着は常識を超えており(爆)、オカラにありつく時の様は、まさに「がっつく」「むさぼり食う」と言った表現がふさわしく、みっともないくらいの醜態を晒す。

兵庫も花山も、近衛十四郎が演じた。
普段は一見「どっしり」構えており、相方の「焼津の半次」とは対照的。

一方、品川隆二は、月影にも花山にも「焼津の半次」役として登場し、月影や花山とからむ。焼津の半次は蜘蛛が大の苦手で、おっちょこちょいで人情に脆く、単純で純粋。偏屈なぐらい、曲がったことは何でも嫌い!という、喜怒哀楽がはっきりした渡世人。
跳ねたり走ったり、騙されたり、目ん玉開いて驚いたり、落ち込んだり笑ったり、ともかく表情豊かで忙しい(笑)。ギャグ漫画のキャラが実写化したように見えたり。


「月影兵庫」は原作がある「剣豪もの」として大人気の時代劇だったが、回をかさねるうちに、兵庫と半次のかけあいがコメディ風に面白くなっていき、それは人気の大きなな要素になっていった。
だが、その辺に対して原作側からクレームがあったとかなかったとか・・で、「月影兵庫」は終わらせることになってしまった。

だが、局としては、せっかく人気があるのに、そのまま終わらせるのはあまりにも勿体ない。
なんてったって、最高視聴率は35%を超えていた・・という怪物番組だったからね。
そこで、同じキャストで、同じ様な作品にして誕生したのが「花山」であった。


「花山」になると、旦那(半次は兵庫のことも大吉のことも「旦那」と呼んでいた)と半次のかけあいがますますヒートアップしていき、その面白さはまるでギャグのような面白さになっていき、人気はますます加熱した。


この旦那と半次の関係が私は大好きだった。

共に旅をしてるにもかかわらず、普段は互いに憎まれ口ばかり言い合う。
時には単なる「罵り合い」にしか見えない事もある。

でも共に人情に熱く、いざという時は弱い庶民の味方となって、協力して悪人たちをやっつける。

旦那の剣の腕は超一流だが、半次はケンカ剣法。
半次も、そこそこ強い。
だが、敵が剣の名手だと半次はさすがに敵わない。
そんな時に、旦那が「半次、お前はここはどいてろ」と言って、さっそうと立ち向かい、勝利する。

なんてったって、近衛十四郎といえば「日本一のチャンバリスト」である。
その殺陣は見事。その、かっこいいこと、かっこいいこと。

今の「即席・剣豪」とはわけが違う、年季も貫禄も違う。
レベルが違う。


普段、だらしない面や情けない面で醜態をさらしていることも多い2人が、いざというときは実に強くカッコ良く、また、情にもあふれている。
だからこそ、そのギャップに、しびれた。


旦那と半次は、互いに罵り合っていながらも、実は心の中では強く繋がっている。

なんだかんだで、互いを認め合っているのだ。
罵り合いは、仲の良さの証明でもあった。

共に旅してはいるものの、決して「仲良しこよし」してるわけでもない。
いつも一緒にいるとは限らない。
別々に行動していることも多い。
でも、何か問題が起きると、約束したわけでもないのに、気づけばいつしか一緒にいる。

仲がいいのか悪いのか分からない。
そんなに罵倒し合ってばかりなら、別れればいいのに(笑)。普通はケンカ別れだろう。
なんで一緒に旅を続けられるのだろう。
・・それは心の中でお互いを認め合っていたからなのだ。


そんな点が私は大好きだった。
理想の友達関係に思えた。

互いに認め合い信頼しあっていながらも、遠慮なくへらず口を言い合い、ベタベタ一緒にいるわけでもないのに、気づけば自然に一緒にいて、いざという時は力を合わせて問題を解決し、苦労を共にしながら悠々と旅を続ける。

私にとっては、こんな旦那と半次の友情関係は、めちゃくちゃカッコ良く思えた。
こんな友人関係って、いいなあ・・と思いつつ見ていた。
この2人の関係は、コメディタッチでありながら、極めてカッコいい関係だった。

このへんは、私は相当影響を受けたと思う。


近衛十四郎演じる「旦那」と、品川隆二演じる「焼津の半次」。
私にとっては、この2人のどちらかが欠けてもダメだった。
この2人がコンビを組んだからこそ!の面白さだった。

今思い出してみれば、この2人が組んで、ああいう作品になった・・ということは、何やら奇跡のようにも思える。

そう・・「奇跡」と言いたくなるくらいの、名コンビだった。
「伝説の名コンビ」と呼ばれたのは当然なのだ。

コメディのようでありながらも、決めるべきところはしっかりとカッコ良く決める。番組として、メリハリも効いていた。
このメリハリって、大事だよね。
「必殺シリーズ」の中村主水も、メリハリが効いていたしね。


近年、「月影」「花山」以外の、近衛が主役を演じる素浪人シリーズを見る機会があったのだが(Jさん、その節はお世話になりました)、やはり私には、少し物足りないものがあった。

もちろん、近衛が良いのは今更言うまでもないのだが、どうも何かが物足りない。
焼津の半次が出ていないのが大きい。

半次以外の「旦那の相棒」だと、どうも旦那と距離がある感があった。
主従関係みたいなものを感じ、旦那に対して「遠慮」があるような感があった。
だから旦那はあまり崩れない。良い面、かっこいい面が表にたち、人間くさい面が「月影」「花山」に比べ、おとなしかった気がした。

だが、相手が半次だと、そうはいかなかった。

一応、旦那と半次の間にも、主従関係みたいなものはないこともないのだが、そんなことはあまり気にとめずに半次は旦那に食ってかかっていくもんだから、旦那もついやりあってしまう。
そんな裸のつきあいを、旦那は許していた・・というよりも、それを楽しんでいた。
受け入れていた。そんな点で、旦那には包容力という魅力もあった。人間くささも全開だった。

こんな関係なので、存在感という意味で半次は旦那と対等だった。
旦那に向かって半次は平気できついツッコミを入れることができた。
だからこそ、旦那の面白さはより引き出され、魅力も際立っていたのだ。
相乗効果だったのだ、あの2人は。


「月影兵庫」と「花山大吉」。
この2作は、私にとっていつまでも「心の時代劇」であり続けている。

「男の友情」の1つの理想像・・というものを、私はこの作品から教わったような気がしている。

それほど、私にとっては大きな作品なのだ。


近衛十四郎が亡くなった時、私は本当にショックだった。泣いた。

もしも、いつか品川隆二に何かあったら・・・それは、あまり考えたくない。

品川隆二さん、いつまでも元気でいてください。




最後に・・・「花山大吉」を見た事がない方のために、大吉と半次のやりとりを、私のイメージで、ここで私なりにオリジナルで再現してみる。

シチュエーションは・・花山大吉と半次が、ある宿場町で2人で居酒屋に入ったシーン・・という設定でいく。






    ■架空のサブタイトル 「おからがなくて、蜘蛛がいた」■
                     by だんぞう


居酒屋に入った大吉と半次のご両人。
旦那は悠然とした態度。
半次は少し前屈みでヒョコヒョコと歩き、やや上目遣いで店内を見渡しています。鼻歌なども歌ってます。
席に座ったとたん、旦那は店の主人にこう切り出します。

大吉「ご主人。この店にオカラはあるかね?」
主人「お侍さん、あいにくオカラはきらしておりまして・・」
大吉「なに?オカラがないとは何事だ。まったく、どうしようもない店だな。けしからん、断じてけしからん!」

どうやら旦那はすっかり機嫌が悪くなったようです。

半次「(モノローグで)おおお~、どうだろうね~、また始まりやがった」

・・と半次は少しニヤついています。
それを見た旦那は、半次に八つ当たりしてきます。

大吉「半の字! お前は何を1人でブツブツ言ってるんだ、このバカタレが!」
半次「(飛び上がって)こ、こ、こきゃ~がったな!バ、バカタレとはなんだ!?このオカラめ!」
大吉「バカタレをバカタレと言って、何が悪いんだよぉ、このウスラバカタレが!」
半次「ウ・・ウ・・ウスラバカタレだとぉ~?!アッタマに来た~、俺ぁ、アッタマに来た!このオカラ野郎!」

・・と、その時、アップになった半次の顔の前に、天井から蜘蛛(クモ)が糸をひいて降りて来ました。
半次は蜘蛛(クモ)が大の苦手なのです。
目の前に降りて来た蜘蛛を見た半次は・・・・

半次「(寄り目になって)・・で・・・で・・出たぁ~~!!!!」

と絶叫するなり、一目散にはるか彼方に逃げさっていくのでした。

店の主人は、こんなくだらないことで大騒ぎするご両人を、呆れて見てるのでした。


       ~終わり~



・・・以上、私なりのイメージで再現した、架空の1シーン、架空のサブタイトルでありました。

これで、少しでも「花山大吉」というドラマを想像していただけたら、こんな嬉しいことはないのです。


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2 コメント

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懐かしい過ぎる! (LOVE)
2018-12-19 15:38:17
本当に4、5歳の頃祖父母が観てた花山大吉品川隆二さんお元気なんですかね…近衛重四郎さんが祖父に少し似てたの…性格は全く違うけどね…当時としたら珍しい180cmのイケメンで…祖父に時代劇のかつらをかぶせると近衛重四郎さんになるかも…って感じでした!幼い頃の思い出っていつまでも忘れないですよね…品川さん…いつまでもお元気で
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Unknown (だんぞう)
2018-12-19 16:41:22
はじめまして。
時間の外にようこそ。

近衛さんはもうだいぶ前に亡くなりましたね。
品川さんはもう80歳をゆうに超えてます。体調を崩されてる、、、という噂も耳にしたことがありますので、心配です。
長生きしてほしいです。

LOVEさんの御祖父様は近衛さんに似てらっしゃったのですか。
ならば若い頃はイケメンだったのでしょうね。
実は私の亡き父も、昔は近衛さんに少し似てました。

たから私は近衛さんに親しみを感じてたのかもしれません。

品川さんも、若い頃は、相当なイケメンだったんですよね。
2枚目俳優でした。
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