おそらく年輩の人から子供まで知ってて、昔からあったが今もある曲であるにも関わらず、正体や起源がわからない謎の曲というものがある。
今回取り上げるのは、そんな曲のなかのひとつ。
その曲とは・・
♪ い〜けないんだ いけないんだ〜 先生に言ってやろ〜
という曲だ。
これ、まったくもって不思議な曲なのだ。正式なタイトルすらはっきりしない。
でも誰もが知っている。全国各地に多数の歌詞バージョンがある。
だが、曲の意図や、メロディーは共通している。どんな時に歌われるかもわかっている。
学校の音楽の時間などで教わった覚えはない。親に教わった覚えもない。
シンガーがカバーしてるのを聴いたこともないし、演奏家が演奏してるのを聴いたこともない。
レコードなどで聴いた覚えもない。
ちなみにあなたはそういうのを聴いたことがあるだろうか?少なくても私は、ない。
でもこの曲は知っている。知ったキッカケはわからない。
強いてあげれば、子どもの頃に友達が歌ってたのを聴いて覚えた可能性はある。
よく考えてみると、元歌らしきものは見当がつかない。
その歌を歌ってた友達だって、その歌をどこで誰から教わったかはわからなかっただろう。
年配の人たちも親の世代も、子供の世代も誰もが知ってるけど、誰もその詳細を知らない、そんなこの歌の元歌や作者、背景、正体を知りたくて調べてみた。
だが、私の調べ方が悪かったのかもしれないが、この歌の正体ははっきりしなかった。
作詞作曲者、不明。
正式タイトルもよくわからない。
巷では「い〜けないんだのうた」「先生に言ってやろ」「告げ口のうた」「あららこらら」などと便宜上呼ばれたりしてるようだ。だが、どれも決め手はない。いつ頃出来た歌なのかも不明。
元歌があるかどうかも不明。
この歌がレコーディングされたことがあるかどうかもわからない。
この歌を持ち歌にした歌手がいるかどうかもわからない、
なぜ、こんなに知られているかもはっきりしない。
戦前からあったという説もあれば、昭和20年代からあったという説もある。
もしや江戸の時代にも起源となった歌があったりしたのだろうか。
考えられるとすると、まずは元になった何らかの歌というより囃子言葉みたいなフレーズがあって、誰かがそれを口に出したら他の子供たちも同調して真似して言ったり歌ったりするようになって広まったのではないか。
ただ、仮にそうだとしたら、その広まった範囲は割と限定的だと思うのだが。
だが、その歌はあまりに広く知られすぎているし、知ってる世代は幅広いすぎる。決して限定的ではない。
そのへんが不思議。
そう考えると、やはり謎なのだ。
ちなみにこの歌は、各地によって色んな歌詞パターンがある。
私が知ってるパターンは
♪あ〜らら こらら〜 い〜けないんだ いけないんだ〜 先生に言ってやろ〜
という歌詞。
ちょっと調べてみたところ、日本各地には各地方の方言が盛り込まれた歌詞になってるようだ。
そのパターンは、地方によって言い方は違うが、歌の趣旨としてはいずれにせよ「先生に言ってやろ」という点が共通している。
ということは、なんにせよ「君のやったこと(言ったこと)を、先生に言いつけてやる」という歌なのだろう。
友達と一緒にいて、自分が何かをやらかした時にその場にいる誰かからこの歌を歌われると、やばい気分になったものだった。
その時、その歌を自分に対して歌った級友に対して思ったことは「こいつは僕の友達じゃない」ということだった。ある意味、その瞬間、自分にとって誰が友達で、誰が友達じゃないかがバッキリしたような気になった。
もしくは、その瞬間、仲間だと思っていた友達が自分から離れた気になった。
先生に告げ口されると、自分は皆の中で悪者にされてしまう気にもなった。
ある意味、その歌は脅しにも聞こえた。
告げ口されたら、歌われた私は何らかの罰則は受けるか、怒られるだろうから。
そう、その歌は一種の脅迫歌のように聞こえた。
それくらいの効果はある歌だった。
つまり、そういう力のある歌であった。
相手をひるませる力のある歌なんて、そうそうない。
にもかかわらず、多くの人がその歌の元歌や出典を知らない。その歌にまつわる詳細を知らない。
考えてみれば、やはり不思議な歌であり、謎の歌であった。
どなたか、この歌の正体や詳細をご存知のかたはいらっしゃるだろうか。
この歌の発祥の地、作者、本歌、歴史を、貴方はご存知たろうか。
おそらく、多くの人がそんなことは気にもせず、気がつけば歌っていたのではないかと思えるのたが。
・・と。ここまで書いてふと思ったことがある。
この「先生に言ってやろ〜」の歌を、プロのシンガーがカバーしてるのを聴いたことがないのは確かなんだが、逆にプロのシンガーが正式にカバーしてたら、どんな風に聴こえるだろう。
激しくシャウトするパンクロック系なら、まだわからないでもない。
だが!
ジャズ風のオシャレなサウンドで、バラード系でしっとりと歌われたり、壮大に歌いあげられたり、ボサノバ風にけだるく歌われたりしたら・・私はどうなるだろう。
その答えは・・・
きっと私は・・・
困る!
悩む。
いや、待てよ・・ ボサノバ風で、ささやくように歌われたら・・
むしろ、怖いわ・・・。
想像してみてほしい。それって、かえって怖くないだろうか?
・・・。
まあ、そんなことするシンガーなど、まず・・いないだろうけどね(笑)。
もし居たら、・・・先生に言ってやろ〜。
「ゆうちゃろ、ゆうちゃろ、先生にゆうちゃろ」です。
意味は本歌(?)と同じく
「言ってやろ言ってやろ、先生に言ってやろ」です。
主に小学校の低学年で歌ってましたね。
誰かを泣かした、ガラスを割った、花瓶を倒した、掲示物を破った・・・
主にそれらをしでかした子に向かってやってたような。
集団で一人の子を糾弾する訳ですから、まあ、子供ならではの残酷な仕打ちですな。
それにやられた子はほぼ泣いていた気もしますし(笑)
今だったら間違いなくイジメ認定されそうですが、なんかその場限りでもあったようで、不思議とあとに妙な遺恨を残す事もなかったですね。
しかもそれって、誰かに正式に教わったわけでもないのに、知られてある。
伝承曲なのでしょう。
だからこそ元歌や、誰によって作られたのか突き止めたかったんですが、私が調べた限りじゃ結局不明でした。
誰かこの歌の作詞作曲家や、どの地方から生まれたのか、正式なタイトルは何なのか知ってる方でもいればいいんですが、今も正体は、謎のままです。
そう、この曲を歌うのは主に小学校低学年生が多いかなと思います。
おとなはこの歌はさすがに歌わないですよね(笑)。
しかもこの歌が歌われるのはたいがいネガティブな状況下。
だから大人が正式な形で子供に伝えることはなかったのでしょう。
ホントは大人もこの歌を知ってるにもかかわらず。
この歌、歌われる状況によっては、今ならイジメ扱いされてもおかしくない気もしますから。
仲間外れみたいな。