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今やコミックには様々なジャンルの作品がある。
その多岐にわたるジャンルの中には、「音楽モノ」もある。
「音楽モノ」・・・ロックやジャズなどを題材にしたコミックだ。
実例をあげれば分かりやすいかもしれないので、試しにいくつかあげてみよう。
古くは「ファイヤー!」という作品があった。
近年でも「ベック」「僕はビートルズ」。
今では「ブルージャイアント」などの作品がある。
もちろん、他にもある。
こうした音楽モノの作品を読んでると、よく思うことがある。
それは・・・登場人物(特に主役)が、天才的な才能の持ち主であるという設定で、しかもその人物が周りに騒がれ、その才能を認められ、次第に大成功をおさめていくようなストーリーだったりすると、そういう作品を映像化する時は、いつも難しいだろうなあということ。
こういう作品では、作品のジャンル上、「音」というものが、物語の展開の中で非常に大事になる。
音・・・・登場人物たちの「ボーカル」や、楽器の演奏音のことだ。
また同時に、その登場人物たちが歌ったり演奏したりする曲が「オリジナル曲」だったりすると、作品に出てくる「楽曲」も相当大きな要素になる。
だが、コミックの場合、実際の「音」は出ない。
なので、読者はそれぞれ自分なりに「音」をイメージしながら読める。イメージなら、どんな想像もできる。
例えば、ギター演奏はジミヘン、声はエルビス、楽曲は若き日のビートルズ・・みたいにもうこの世にいない人やグループの「音」を、読み手それぞれの好き勝手なイメージで頭の中に鳴らせる。
だが、そういう音楽コミックを映像化するとなると、実際の「音」を作らなければならない。
だから難しい。
「ベック」が映画化されたことを知った時、天才ボーカリストが主人公である音楽コミックをよく映像化できたな・・と思ったが、実際に見てみたら、主人公の歌う「声」は無音処理されていたりした。
一瞬違和感は感じたが、この方法は仕方ないとも思った。
いくら天才ボーカリストがいたとしても、世の中には無数の人たちがいて、無数の「好み」がある。
現実には、全ての人が魅了されるボーカルなんてないと思うし、その声を具体的に特定させるのは事実上不可能だとも思う。
多くの人が魅了されればされるほど、逆に反発したくなる人もいるのが現実なのだ。
となると、たとえ「演出上の逃げ」と受け取られても、無音にするしかなかったと思う。
同じ音楽モノでも、登場人物たちが「天才」ではなく、努力や情熱で進んでいくのが大筋の青春モノなら大丈夫だろうけど、登場人物を「天才」という設定にしてしまうと、やはり「音」が出てくる音楽モノコミックを映像化するのは難しいと思うのだ。
これが例えば現実には不可能な「魔球」が出てくるスポーツものなどなら、ワイヤーアクション、特撮、CGなどで映像化できても、音楽となると・・。
私が今楽しみに読んでいる「ブルージャイアント」は、ジャズのコミックで、ボーカルは出てこない。主人公はサックス奏者だ。
主人公「大」は、努力の人でもあるけど、同時に「天才」系の香りもする設定である。
好きなコミックなので、映像化してもらいたい気はあっても、実際に映像化するとなると、やはりけっこう難しいと思う。
もしも、主人公の「大」が、いずれ世界的な天才プレイヤーになっていくのだとしたら、
いっそドラマではなく、アニメにして、実際の演奏は世界的なジャズプレイヤーの音源を吹き替えに使うしかない・・・のかな。
同じジャズ系でも、以前の映画「スウィングガールズ」などは、登場人物たちは努力の女の子たちで、決して天才ではなかった。しかもボーカルではなかった。
ただ、出演者たちは相当楽器の演奏は練習しただろう。最後の演奏は、見事だった。
一風変わった「音楽モノ」では、以前このブログでも取りあげたことのあるコミック「僕はビートルズ」。
もう物語は完結してるし、ストーリー的には原作に即して物語は映像化できるかもしれないが、終盤に本物のビートルズの新曲・・・しかも、若かりし頃のビートルズの架空の新曲が登場する。これは、やっかいだろう。しかも物語的には、ファンとしても、登場人物たちにとっても極めて重要なくだりだ。
また、物語の中途では、ビートルズの曲がふんだんにでてくるので、著作権の問題もあるだろう。
そういう意味では・・やはり映像化にはハードルが高すぎるか・・。
もっとも、「僕はビートルズ」は、その終盤の話の展開が、前半に期待したほどの展開ではなかった・・という点が個人的には残念だったんだけど。
出だしのストーリーの展開や発想は素晴らしかったのに。せっかくの素晴らしい素材が、もったいない気がした・・。
まあ、ともあれ。
やはり、CGや特撮ではどうにもできない「音楽」ものの映像化は、主人公や主要人物が天才ボーカリストという設定だと、難しいと思う。
天才という設定ではなく、青春ものとしてなら、おおいに面白いけど。
とはいえ、個人的には好きなジャンルであるのは間違いない(笑)。
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