先日、狭い道を歩いていたら、道の真ん中に何かうごめくものがあった。
遠目から見たら、最初はハッパが道の真ん中に落ちているのかと思ったが、風に吹かれて動いているような動きではなかったので、近付いてみると、それはカマキリだった。
茶色のカマキリだったので、ハッパかと思ってしまったわけだ。
こんな都心の路地にカマキリがいたとは。
周りには草むらもなければ、木もない場所で、カマキリがいるとは。
なぜ?
と思ったが、よく考えたら、その路地には、小さな庭に小さな花壇や、鉢植えの花を置いている家があったので、もしかしたらカマキリはそこに生息していたのかもしれない。
だが、なんにせよ、いくら狭い道ではあっても、多少なりとも車は通ることがあるし、道路の真ん中を歩いていたのでは、そのうち車などにひかれてしまうだろう。
カマキリ自体私は特に好きというわけではないが、かといって嫌いというほどでもない。
ゴキブリならすぐに退治したくなるが、カマキリに対してはそういう気持ちは持っていない。
そこで、道の脇にどかせてやろうと思った。
かといって、手で触りたいとも思わなかったので、軽く足で道の脇にどかそうとした。
すると、カマキリは殺されると思ったようで、ひっくりかえって死んだふりをした。
両手の鎌を折りたたんで。
そりゃそうだろう。
何せ人間の体は、カマキリの体の大きさの比ではない。
巨大であるということは、おそろしいはず。
カマキリなど、人間に踏んづけられたらひとたまりもない。つぶれてしまうだろう。
カマキリから見たら人間などは、人間にとってのゴジラみたいな大きさであろう。
人間がゴジラに襲われた時のことを想像すると、人間が近づいてきた時のカマキリの感じる恐怖感は想像できるような気はする。
ともあれ、道の真ん中で死んだふりしているカマキリを、足で道路の脇にどかし、私はその場を立ち去った。
そういえばカマキリは、首をまげて振り返ることができる昆虫だ。
振り返るという行為は、他の種族の虫にはできないだろう。
だから、カマキリの仕草というのは、近くて観察するとけっこう特徴的だ。
鎌をふりかざして威嚇する姿を見ると、あれがもしも怪獣並みの大きさだったら相当迫力あるだろうし、逆に鎌を折りたたんで防御する姿は、人間の私から見ると、少し愛嬌を感じてしまう。
それは、鎌を折りたたんだ姿が、拝んでいるような姿だからだろう。
鎌を折りたたんで防御する姿は、「ユルシテクダサイ」「ヤダヤダ、ヤメテ」とでも言っているかのようでもある。
また、首を動かしあちこちを見る姿は、どこかロボットみたいにも見える。
しかも、上半身を少し浮かせて歩いている。これまた普通の昆虫では珍しい態勢だと思う。
そういう意味では、カマキリは普通の昆虫とは一味違う。
そんなことを考えると、昆虫は私はあまり好きではないが、カマキリの観察をするのは、けっこう楽しいかもしれない。
なんにせよ、そんなカマキリも、最近は都心ではほとんど見かけなくなっていた。
少なくても私の住んでるエリアではそうだ。
そんなところに、道の真ん中を歩くカマキリを見かけたものだから、ちょっと嬉しくなってしまった(笑)。
いるんだね~。たくましい。
小さな虫たちにとっては恐ろしい存在であろうカマキリ。
あのルックスがもしもゴジラ並みだったことを想像すると、相当怖い容姿だと思う。
だが、人間にとっては・・というか、私にとっては、少なくてもゴキブリなどに比べたらどこか愛嬌を感じる虫さんではある。
だから・・・
おい、カマキリ君。
ゴキブリどもをやっつけてくれ。
カマキリ軍とゴキブリ軍の対決では、私は全面的にカマちゃんを応援する。
ゴキブリにはスピードという武器がある。それに比べたらカマキリの動きはスローモーに見える。
カマキリにゴキブリに対抗できるスピードがあったら・・・いや、そうなったらカマキリもけっこう嫌かもしれないなあ。
ってことは・・
ゴキブリが嫌われる最大の理由は、人の家の中に入ってくることが嫌われるのはもちろんだが、そのスピードが気持ち悪いからかもしれない。
それにくらべたらカマキリは、なにやら悠然とした動きをしている。
しかも、決して善人面をしていないところも、いさぎよい気さえする(笑)。
だって・・あの面構え、どう見ても善人系ではないよ。
いや、この場合、「善人」ではなく「善虫」か(笑)。
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