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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

優しい雨のように by ザ・バンド

2012年02月23日 | 音楽全般

どうしようもなく好きな曲というものがある。

いっぱい・・ある。

そういう曲のタイトルを今全部あげろと言われてもシンドイ。
でも、いくつかのタイトルはあげることができる。

例えば、ザ・バンドの曲。
「同じことさ」、「ラストワルツ」そして・・・今回取り上げる曲「優しい雨のように」。

まず、イントロからして良い。
決して派手なイントロじゃないのだが、イントロだけ聞いただけでも、一瞬でこの歌のサウンド世界にひきこまれてしまう。

そして、このボーカルがまたいい。
決して上手じゃないのかもしれない。
不器用そうなボーカルにも聞こえるけど、こういう味は中々出せない。
暖かい。
ボーカルに人柄があふれ出てるような感じ。

メロディはどっちかというと一本調子。
でも、この穏やかで、心地よさはどうだ。
包まれるような気さえしてくる。

このテンポ、ボーカル、メロディライン、アレンジ、サウンド。
心が疲れている時に聴くと、もうたまらない。
個人的に、好きで仕方ない。


この曲はザバンドの「アイランド」というアルバムの冒頭に収録されていた曲だ。
「アイランド」というアルバムの収録曲では、以前このブログで「今宵はクリスマス」 という曲も取り上げたことがある。

一枚のアルバムから2曲も個別でこのブログで取り上げてるだけでも いかに私がこのアルバムが好きだったかを証明していると言える。

このアルバムは 私の個人的なタイミングとしては、受験生時代、そして長い受験生生活から解放された時によく聴いてたアルバムたちの中の一枚だ。

不思議なもので、同じ曲でも、受験生時代に聴くのと、受験生生活から解放された時に聴くのでは感じ方が違って聴こえた。
受験生時代に聴いてた時は、この曲の持つ穏やかさが遠く感じたし、なぜか枯渇感も感じてた。

だが、受験生時代の重苦しく尖った心理状態から抜け出し、穏やかな精神状態で聴いた時は、この曲の持つ穏やかさが、全開で私の心に染み渡ってきた。聴くたびにパーッと目の前が明るくなった。

そんなタイミングで聞いたこのアルバムは、当時の私の精神状態同様に穏やかな内容だった。
それまでのザバンドの持ってた荒削りさや独特の鋭さや緊張感や力強さは影を潜め その代わりにリラックスしてポップな穏やかがアルバム全体にあり、そんな点は当時の私にピッタリだった。

旅などに行くときに、カセットテープに自分のお気に入りの曲を集めて「オリジナルベスト」を作る時には、この「優しい雨のように」は大概選んでいたっけ。

特に忘れられないのは、伊豆大島に向かう船の中で聴いた時だった。
二等客船の室内は 見知らぬ客同士がザコ寝状態で客室に溢れてたのだが、友達が持ち込んだラジカセにこの曲が第一曲めに入ったオリジナルベストテープを入れ、ヘッドフォンでこの曲を聴きながら、まだ見ぬ伊豆大島への思いを膨らませていた。

そんな時に聴くこの曲には そのサウンドの広がりに なぜか「海」をも感じたものだった。


ザバンドは解散コンサートのような「ラストワルツ」 の後に この曲が入っている「アイランド」 というアルバムを出した。

解散を覚悟してた時にこのアルバムを出してくれたので安堵感を私は持ったものだった。
新たな活動を始めてくれるのかと期待した。

だが、大方の予想通り、実質的には「ラストワルツ」 で活動をやめてしまった。
その後、元メンバーの死などの情報も入ってくるようになった。

こうなるともう…、全盛期のような活動再開は、あきらめるしかなくなった。


かつて黄金時代を築いた大物バンド が 月日をへだてて再結成したりしてるが ザバンドにはそんな話はついになかった。
少なくても、メンバー全員が健在なうちには、なかった。

寂しい限りだ。

もっとも、あえて再結成しないからこそ ファンとしては全盛期のイメージを保っていられる部分もある。
そう、あの「ザ・ウェイト」
「同じことさ」 「アイシャルビーリリースト」 を発表してたザバンドのイメージで。


ザ・バンド。
日本ではボブ・ディランのバックバンドのようなイメージで記憶してる方も多いだろう。

確かにディランのバックを務めたのはバンド活動のきっかけにはなったと思うが、単に「ディランのバックバンド」で終わるようなバンドではなく、超一流のロックバンドだった。

蛇足だが、一時、吉田拓郎さんがザバンドをバックに音楽活動する計画があったらしい。

だが、実現しそうになったのに、それは流れてしまった。

その理由は・・・

ザバンドのメンバーのところに、あるアメリカ人アーティストから電話があったからだ。

その「あるアメリカ人アーティスト」がコンサートツアーをやるので、そのバックをやってほしい・・というオファーだった。

その「あるアメリカ人アーティスト」とは、あのボブ・ディランであった。


さすがの拓郎さんも、相手がディランじゃ仕方ない・・と思ったとか。



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