那覇に到着しましたから、
マウンテンバイクの旅はこれで終わりです。
友人が住んでいるアパートの前には児童公園というか、
ちっちゃな公園がありましたので、
そこでマウンテンバイクを分解。
その他の荷物も預けようと友人宅を訪問しました。
あいにく友人は仕事から帰っていませんでしたが、
妹さんがおりましたので、
事情を説明しマウンテンバイクと荷物を預かってもらいました。
本来なら一人暮らしの友人宅に泊まるのですが、
この日は妹さんがたまたま泊っているということで、
遠慮して予約を入れておいたビジネスホテルへと向かいます。
途中で一人夕食をしましたけど、
どこで何を食べたかわかりません。
なんせ沖縄に行けば必ず立ち寄る那覇ですから、
他日の旅行の記憶とゴッチャになってしまいました…
友人宅から1時間以上歩いてビジネスホテルに到着。
しかし、
あれだけマウンテンバイクを乗り回していたのに、
1時間以上も歩けたんですから、
若いってことはスバらしいですよね!
40代後半の後半となった今、
同じことをやれと言われたらできるのでしょうか?
もう体力的に自信がないですね…ハイ。
ビジネスホテルも他の記憶が混ざり合って覚えていませんが、
国道58号線を横断して少し歩いたそのあたりの、
何の変哲もない普通のビジネスホテルでした。
二日ぶりに温かいシャワーを浴び、
きれいなシーツのベッドで眠ります。
翌日になりました。
今日は休日だった友人とドライブする予定でしたので、
朝食は取らずにホテルを出発。
前日の夜は1時間以上歩いたのですが、
この日はさすがに面倒になりましたね。
友人宅のアパートは車だと10分前後の距離なので、
普段はほとんど乗らないタクシーを使うことに決めました。
タクシーが嫌いというわけではありませんが、
夜の那覇空港~那覇市内ぐらいしか使いませんでしたね。
特に路線バスの最終が出てしまったときとか…
沖縄以外の旅行でもレンタカーは使いますが、
余程のことがない限りタクシーは利用しないんです。
鉄道なんかがあれば率先して利用しますし、
5キロぐらいなら普通に歩けますね。
ちなみにゆいレールなんてものは、
建設が始まったばかりの時期なのでありません。
とりあえず国道58号線に向かって歩きます。
友人の話によりますと
「むやみにタクシーの運転手とは目を合わすな」とのことです。
つまり、
目を合わせてしまえば、たとえ手を上げなくても止まってしまうとのことです。
最初はホントかな?
なんて半信半疑でしたし、
ナイチャーだった自分をからかったのかもしれません。
ほとんどレンタカーしか使っていなかったので、
事の真偽はわからないままです。
もう20年以上前のことですし、
今もそういった話があるのかないのかも知りません。
地元の栃木県はおろか沖縄県のタクシー事情でさえ疎いのですが、
仮にそれが本当の話だったとしても、
顧客の獲得競争が他地域よりも激しいといった実情があるならば、
そういうことをしなければならないほどの、
切実な問題があるのかもしれません。
国道58号線沿いでは、
ちょっと手を上げただけで、
ものの5秒ぐらいでタクシーが止まってくれました。
それだけタクシーが多いんでしょうね。
「とりあえず沖縄大学までお願いします」
沖大まで行ってしまえば、
あとはどこで降りても迷いはしませんから、
それまでただ座って窓の外を眺めているだけでした。
タクシーの中では特に会話もありませんでした。
ボ~っとボ~っと景色を見ているだけです。
でも突然、運転手さんが話し始めたんです。
「お客さん、昨日は糸満で自転車乗ってませんでしたか?」
「え?ええ…たしかにそうですね」
こんな感じの返事をしたと思います。
まぁ、アホみたいにクソ暑いなかを自転車で走ってたもんだから、
それなりに目立っていたのかな…
その姿を糸満あたりで見かけたのかな?
なんて思っていたりしましたが、
「海で自転車乗ってましたよね?」
この「海で」と言われた瞬間、
ハッ!としました。
いやはや文字通りハッ!とです。
後部座席なので横顔しかわかりませんが、
荒崎海岸で出会った、
あの気さくな運転手さんだったのです!
「アッ!あの時の人ですか?」
ビックリすると大声出しちゃいますが、この時がまさにそうでした。
お互いに連絡先を取り交わしたわけではありません。
どのタクシー会社なのか、
個人タクシーなのかもわかりません。
タクシーの色だって覚えているわけではありませんが、
時々見るようなカラーリングでした。
そんな運転手さんのタクシーに乗ったのです。
偶然にしてはあまりにも出来すぎていると思いますが、
その偶然が奇跡的に起こったことへの驚き!
マウンテンバイクの旅なのに、
マウンテンバイクの思い出よりインパクトがありました。
その当時何百台、
何千台のタクシーがあるのかは調べたことがありませんが、
沖縄の中心地である那覇市内ということを考えると、
確率的には非常に低いと思いませんか?
たまたまいた妹さんがいなかった友人宅に泊まっていたら、
絶対にありえなかったでしょう。
あのビジネスホテルに泊まらなかったら、
絶対にありえないでしょう。
あの場所、あの時間で手を挙げなかったら、
絶対にありえないでしょう。
そもそも運転手さんがその時その瞬間に国道58号線を通らなかったら、
それこそ絶対にありえないでしょう。
沖縄ではタクシーはおろか、
路線バスだってあまり利用したことがないのに…
それでも運転手さんと再会することができました。
自分のことを覚えてくれていたのですね、
とてもとてもうれしいです。
自分は前述したルートで帰っていったことを話しました。
運転手さんも取材後のことを話してくれました。
「でもさぁ~、あのバアちゃんってのはさぁ…」
あれしろこれしろ!あ~でもないこ~でもないと…
要はお客さんとはいえ、
あのおばあさんに顎でこき使われていたらしくて、
その愚痴ばかりをずっと話してくれましたね。
こちらとすれば、
もう、苦笑いしかできないほどです…
よっぽどムカついたんでしょうね。
友人宅までの所要時間はタクシーで10分ほどです。
だからそんなに話はできなかったですね。
かといってお客とタクシーという関係上、
どこかであらためて続きを、
ってこともしていません。
予定通り沖大の近くで降りました。
そしてそのまま運転手さんと最後の挨拶をして別れました。
ちょっとそっけない別れ方だったけど、
20年以上たった今でも忘れません!
あの運転手さんは今もタクシー運転手さんかな?
たとえ60代であっても、
年齢的にはまだまだ現役だとは思うんですが…
このブログを読んでくれるミラクルはおきないでしょうね、さすがに。
決してお金では買えないような、
素敵な出会いや楽しい思い出がつまったマウンテンバイクの旅でした。
これで「1990年代沖縄旅行 マウンテンバイクでほぼ縦断」は終了です。
読んでくださってありがとうございました。