以前、どこで、あるいは何で見聞きしたかは忘れましたが、
あるタレントの沖縄戦に関する幽霊話を聞きました…いや、読んだのかな?まぁいいや…
その話は沖縄戦で一番有名なひめゆりの塔ではなく、
ひめゆりにゆかりのある自然壕でのことでした。
ま、沖縄には自然洞窟、ガマと呼ばれているものがたくさんあることはご承知のことですし、
ひめゆりの塔もガマの一つです。
また、ひめゆりに関するガマは複数あり、話の内容を聞くとどうやら第一外科壕のことと思われます。
自分も何度となく行ったことはあるのですが、そこはある程度中に入ることができるのです。
そのタレントさんは第一外科壕に行ったとき、誰もいないはずのガマに防空頭巾をかぶった複数の少女を見たらしいのです。
しかもその少女たちが、なぜかホテルの部屋まで出てきたそうです。
いゃ~怖いですねぇ~
恐ろしいですねぇ~
こんな幽霊話をどこかで聞いたこと、あるいは読んだことがあるのではないでしょうか?
ただ、自分はこの話を初めて聞いた(読んだ)時、決してひめゆりの少女が怖いのではなく、
このタレントさんのほうが怖いと思いました。
なぜかっていうと、
まぁ、結果を先に言えば、ひめゆりの少女たちが防空頭巾をかぶっていた事実がないからです。
防空頭巾というのは、布団の中に入っているような真綿を使用するのが普通なんです。
この真綿っていうのがミソで、布団に使っているからこそ、あったかいんですよね。
また、沖縄戦が始まったのが4月で、事実上終了したのは6月。
この時期もミソですね。沖縄の気候をよく考えてみてくださいな。
ひめゆりについては詳述するつもりはございません。様々な文献が簡単に入手できますからね。
ただここで提起しておきたいのは、彼女たちの仕事や生活がガマの中で行われていたこと。
それ以前は人為的に掘った野戦病院の地下壕ですから、状況はほぼ同じですね。
そうなると使い物にならないんですよ、防空頭巾自体が…
とにかく暑いでしょうね。しかもたくさんの人がいる地下壕やガマの中は湿度も高いし…
看護作業や生活自体を阻害するものだということは、特にひめゆりを研究していなくてもわかりますよね。
だからひめゆりの生存者からも、防空頭巾をかぶって行動したというような証言が見当たりません。
ただし、鉄兜(ヘルメット)を支給されたというものはあったはず。
ま、彼女たちは公的には軍属ですからね。支給されても違和感はありませんし、
砲弾の飛び交う戦場を走り回っていたのですから、むしろ当然だと思われます。
さてさて、防空頭巾をかぶったひめゆりに戻ります。
そのタレントさんは、いったい何を見たのでしょうか?
ここからは個人の意見ですが、どうも東京大空襲の時とゴッチャになっているんではないかな?
例えば「ガラスのうさぎ」という小説に代表されるような、
空襲のなかを逃げまどう防空頭巾をかぶった少女と、
ひめゆりの少女をゴチャゴチャにミックスさせたようなことを語っていたのかな…
そうなると、このタレントさんのほうが怖いんです…
見えるはずのないものを見てしまったこの超能力がね。
空襲で逃げまどう防空頭巾をかぶった少女や、ひめゆりの少女が怖いんじゃありませんよ!
あの悲劇をそんな風にして幽霊話にしないでください。
そして、こんな話を単に怖い話として片づけないでくださいな…
ま、それは信じなければいいだけのことですけどね。
ただそれだけです。