前回書ききれなかったことを綴ります。
法政二高の監督、K先生が「あの子良いね!」と名を挙げたのは女子の6番の子でした。
これまで他チームに一度も名を挙げたことのない子で、正直私自身も驚きました。
というのも、他の子と比べてしまうとどうしても伸び悩みを感じてしまう子でして、成長させるのにずっと悩んでいるからです。
身長も160センチあり、去年も試合に出る機会のあった選手。
その子がもっと伸びれば、チームはかなり強くなることは間違いないです。
しかし中々伸びないのが現実。
上手くはなっているのですが、いまいち熱量を感じない…
ならばなぜ、先生の目に止まったのか?
私よりもずっと広い世界を見てきて、指導者としての経験も知識もある先生が、なぜ他の子ではなく彼女を選んだのか?
私なりの解釈をするなら、彼女がチームの鍵であること、そしてこの先がある彼女のことを焦らずゆっくり見守りなさいというメッセージ。
10を教えて10できる人、10を教えても3くらいしかできない人がいますね。
小学生は特にそれが顕著に現れると感じます。
ですが小学生という成長の段階で、それを180度変えることは子供にとっても負担となるはず。
また、「できてしまう人」が周りにいることも、自信を失わせることになるでしょう。
その子なりに頑張っているなら、見守ること、制限をかけたり強い言葉をかけたりして傷つけてしまっては、私の目指すものと真逆になってしまう。
誰もが最初からできる訳ではない、がんばれる訳ではないことは私が誰よりも知っていること。
「チームにプラスのエネルギーをもたらす存在になれるけど、指導者が焦ってそれを求めすぎるな!!」
心の中で先生がそう言ってくれています。
勝ちを求めすぎた私は、いつしか子供達に強く言う場面が増えました。
「なんでできないんだ」が増えました。
自分が小学生の頃は、彼らよりもずっとできなかったはずなのに。
しかしこれからも強く言う場面はあるでしょう。
彼らがこれから先バスケを続けても、辞める日が来ても、人生のどこかでこの経験がいきて、かっこいい人になって欲しい。
これが私の変わることのない軸。
その為に、今試合に勝つことは手段。
試合に勝つ為に時に叱るのもまた手段。
私が勝つことでプライドを保とうとするなら、子供達はただの被害者でしょう。
勝つことが全てではない、誰もが強い訳ではないことは承知の上で、それでも強くしてあげたいし、勝たせてあげたい。
ただ、焦りは禁物。
常に子供達の立場で考えなさい。
当たり前のことですが、熱が入りすぎるとそれすらも盲目になっていたのが私でした。
私が指導者になったことも、多くの巡り合わせ、人との出会いが重なった奇跡。
キッカケが生み出される環境だったからこそ、それをいかして素晴らしい結果が生まれる。
そして彼らもまた、偶然私が大学生で、彼らが小学生で、奇跡的に出会いました。
だとすれば、キッカケを何百、何千と与え続けよう。
私に関わってくれた人がそうしてくれたように。