原発は日本人にセットされた時限爆弾だ!

原発再稼動阻止のために、原発関連事項を整理して随時アップする。また、集団自衛権の行使の阻止のために同様に取り組みたい。

熊本地震に関連して(今回の地震は、建築基準法では想定していない地震動である。注意!!!)

2016-05-01 08:01:28 | 原子力

亡くなられた方のご冥福をお祈りします。また、一連の余震に遭われている人達にお見舞い申しあげます。

 一般家屋(現在の建築基準法に基づく)と原子力発電所の耐震性の比較検討をしたいと思い検索したところ、

一般財団法人 高度情報科学技術研究機構の「原子力百科事典ATOMICA」に下表があった。

         

 http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=02-02-05-05

(2008年9月更新)

 (1)設計用地震動が一般家屋と原発でそれぞれ違う(違うのは、それぞれに求められる耐震性が違うからと思いたい)。

  しかし、「Cクラス:一般建築構造物の一次設計の1.0倍の地震力」と規定されており、一般建築構造物の二次設計が適用されていない。

  ということは、二次設計をクリアした一般建築物構造物が原発Cクラスの建築構造物の耐震性より高い場合もあり得ることになる。


(2)熊本地震の報道に接して、 現行の、一般および原発に関する耐震指針には、機械技術者の目から見て、重大な欠陥がありそうだ

 即ち、現行の種々の耐震性の基準は、原発の耐震基準も含め、一回の大地震に耐えれば良い(例の、経済的観点からの弾塑性設計法を採用しているところを見ると辛うじて)、として作成されている。

 しかも、100%安全であることを保証していない。まるで、原発再稼働に関する原子力規制委員長の発言みたい。

 しかし、熊本地震のように、例えば、震度7未満の地震が、被害構造物の補修の暇なく、数回から数百回に亘り連続して襲うことを想定していない。即ち、ボクシングで連打を浴びるようなものである。

 したがって、今回の熊本地震では住宅の倒壊が想定以上に大きくなる可能性がある建築基準法では想定していない連続地震!!!そうならないことを祈るだけである、また、安全な場所に避難することがとても大事である。

 前回より弱いと侮るなかれ!!!)。

(3)震度7の、14日の地震は、日奈久断層帯(81km)の高野―白旗区間(16km)で発生したと想定される。その断層帯について、熊本県は耐震補強計画作成のために、住宅被害をシミュレーションしている(平成28年4月)。
以下に示す。

建築された年代で耐震性が異なることを注目して欲しい。また、この被害推定は、地震動および地盤等により大きくことなる。更に、下表には、地盤の液状化および地盤の滑りによる倒壊を含まないことに注意。

 

 

 http://cyber.pref.kumamoto.jp/bousai/


原子炉耐震設計審査基準対比表の作成のための項目比較表

2016-05-01 07:48:37 | 原子力

原子炉耐震設計審査基準対比表(1/6~6/6)を完成させた。

比較表を作成しようとしたところ、各指針毎に項立てが異なっていた。

更に、その項目の名称も、例えば、地震力の策定、地震力の評価、地震力の評価のように、それらの名称から相互の関係が直ぐには分からない。

まるで、「耐震設計審査指針のジャングル」内に彷徨った感があった。

各指針の項目の相関関係を本表のようにまとめて、ようやく各対比表が作成できた。

重要な指針なので、規定を作成する場合に、担当する関係者には分かり易い規定作りを心掛けて頂きたい。

また、本対比表を、原子炉耐震設計審査基準対比表(1/6~6/6)を見るときに参考にして欲しい。

項目

初期指針1/2

旧指針

新指針

新規制基準

発行年

1970/1978年

1981年

2006年

2013年

対比表(1)

1.はしがき

 

Ⅱ適用範囲

Ⅲ安全審査指針

1定義

2.原子炉全般

2.1準拠規格および基準

2.2敷地の自然条件に対する設計上の考慮

2.3耐震設計

 

 

 

 

 

 

 

 

重要度分類のクラス別施設から指針2に移る

1.はしがき

 

2.適用範囲

 

 

 

 

 

 

 

3.基本方針

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.耐震設計上の重要度分類

1.はしがき

 

2.適用範囲

 

 

 

 

 

 

 

3.基本方針

解説:Ⅰ基本方針について、(1)耐震設計における地震動の策定、(2)残余のリスクの存在について

 

 

 

 

4.耐震設計上の重要度分類

 

 

第一条

第二条

 

 

 

 

 

第二章 設計基準対象施設

第三条(設計基準対象施設の地盤)、1~3項

第3条1~3項の解釈

第四条(地震による損傷の防止)、1~4項

第4条第1項、第2項(含む、重要度分類)の解釈



対比表(2)

5.耐震設計評価法  (4)基準地震動の評価法

5.基準地震動の策定

5.基準地震動の策定

5.第4条3項の基準地震動、一(含む、解放基盤表面)、二(三地震タイプ)、三(含む、震源を特定せず策定する地震動)、四(含む、策定に当たっての調査)

対比表(3)

解説:I.基準地震動の評価について、1(意味解釈)、2(S1、S2の二種に区分)、3(考慮すべき事項)、4(策定要素)

 

解説:Ⅱ活断層の評価について、1~3の再来期間(R年)まで

解説:I.基準地震動の評価について、1(意味解釈)、2(S1、S2の二種に区分)、3(考慮すべき事項)、4(策定要素)

 

解説:Ⅱ活断層の評価について、1~3の再来期間(R年)まで

解説:II. 基準地震動Ssの策定について、(1)基準地震動Ssの性格、(2)用語の意味解釈、(3)基準地震動Ssの策定方針にっいて

II. 基準地震動Ssの策定について (4) 震源として想定する断層の評価にっいて

 

対比表(4)

5.耐震設計評価法

(1) 方針

(2)静的解析

(3)動的解析

(3)基準地震動の評価法

5.耐震設計評価法

(1) 方針

(2)地震力の算定法、①設計用最強地震及び設計用限界地震による地震力、②静的地震力

(3)基準地震動の評価法

6.耐震設計方針

(1)基本的な方針

(2)地震力の算定法、① 基準地震動Ssによる地震力、②弾性設計用地震動Sdによる地震力、③静的地震力

解説:Ⅲ.耐震設計方針について、(1)~(3)の地震力の算定について

3.第4条3項の解釈、一~二

4.第4条第2項の解釈、一~二

 

7第4条第3項に規定する「基準地震動による地震力」の算定

対比表(5)

(記載なし)

解説:Ⅲ.静的地震力について

解説:Ⅲ.耐震設計方針について、(4)の静的地震力について

6.第4条3項に規定する安全機能ーーー、一~二

対比表(6)

6 荷重の組合わせと許容限界

解説:Ⅲ

(記載なし)

6 荷重の組合わせと許容限界

解説:IV

(記載なし)

7荷重の組合わせと許容限界

 

8.地震随伴事象に対する考慮

(記載なし)

左記新指針の解説:V

 


原子炉耐震設計審査基準対比表(6/6)ー(荷重の組合わせと許容限界)

2016-04-30 12:16:56 | 原発

計算結果は、それぞれの部材の、建築基準法で定める許容限度に対し比較される。

 項目

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について

 

  (初期指針)

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について

 

      (旧指針)

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針

 

(新指針)

実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則および解釈

(新規制基準)

 

昭和53年9月29日

原子力委員会

  (1978年)

昭和五六年七月二〇日

原子力安全委員会決定

    (1981年)

平成18年9月19日

原子力安全委員会決定

   (2006年)

平成二十五年六月二十八日

原子力規制委員会規則第五号

      (2013年)

7. 荷重の組合せと許容限界

6 荷重の組合わせと許容限界

 耐震安全性の設計方針の妥当性を評価するに際して検討すべき耐震設計に関する荷重の組合わせと許容限界の基本的考え方は以下によらなければならない。

  (1) 建物・構築物

① Asクラスの建物・構築物

(i) 基準地震動S1等との組合わせと許容限界

 常時作用している荷重及び運転時に施設に作用する荷重と、基準地震動S1による地震力又は静的地震力と組合わせ、その結果発生する応力に対して、建築基準法に定める「短期応力に対する許容応力度」を許容限界とする。

 (ii) 基準地震動S2との組合わせと許容限界

 常時作用している荷重及び運転時に施設に作用する荷重と基準地震動S2による地震力との組合わせに対して、当該建物・構築物が構造物全体として十分変形能力(ねばり)の余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること。

② Aクラス(Asクラスを除く。)の建物・構築物

 上記①、(i)「基準地震動S1等との組合わせと許容限界」を適用する。

③ B、Cクラスの建物・構築物

 常時作用している荷重及び運転時に施設に作用する荷重と、静的地震力を組合わせ、その結果発生する応力に対して、建築基準法に定める「短期応力に対する許容応力度」を許容限界とする。

  (2) 機器・配管系

 

① Asクラスの機器・配管

 

 (i) 基準地震動S1等との組合わせと許容限界

 通常運転時、運転時の異常な過渡変化時、及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動S1による地震力又は静的地震力とを組合わせ、その結果発生する応力に対して、降伏応力又はこれと同等な安全性を有する応力を許容限界とする。

(ii) 基準地震動S2との組合わせと許容限界

 通常運転時、運転時の異常な過渡変化時、及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動S2による地震力とを組合わせ、その結果発生する応力に対して、構造物の相当部分が降伏し、塑性変形する場合でも過大な変形、亀裂、破損等が生じ、その施設の機能に影響を及ぼすことがないこと。

② Aクラス(Asクラスを除く。)の機器・配管

 上記①(i)「基準地震動S1等との組合わせと許容限界」を適用する。

③ B、Cクラスの機器・配管

 通常運転時、運転時の異常な過渡変化時の荷重と静的地震力とを組合わせ、その結果発生する応力に対して、降伏応力又はこれと同等な安全性を有する応力を許容限界とする。

(解説始まり)

Ⅲ 地震力と他の荷重との組合せについて

 耐震安全性の設計方針の妥当性を評価するに際して考慮すべき荷重の組合わせについては、「6.荷重の組合わせと許容限界」に示す通りであるが、同項中機器・配管に関する荷重の組合わせ方等についの解釈は以下による。

(1) 「運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重」については、いずれも地震によって引き起こされるおそれのある事象によって作用する荷重について考察すればよいことを意味する。

 また、「事故時に生じる荷重」であっても、その事故の発生事象が極めて稀であり、かつその事故事象が極めて短期に終結するものであれば、そのような事象によって発生する荷重までも地震力と組合わせて考慮する必要はない。

 上記にかかわらず、地震動によって引き起こされるおそれのない事象であっても、一たん事故が発生した場合は長時間事象が継続するものであれば、そのような事故事象によって発生する荷重は地震力と組合わせて考慮しなければならない。

(2) 機器・配管系の許容限界については、「発生する応力に対して降伏応力又はこれと同等な安全性」を有することを基本的な考え方としたが、具体的には、電気事業法に定める「発電用原子力設備に関する技術基準」がこれに対応する。

 なお、同項中「終局耐力」とは構造物に対する荷重を漸次増大した際、構造物の変形又は歪が著しく増加する状態を構造物の終局状態と考え、この状態に至る限界の最大荷重負荷を意味する。

6.荷重の組合せと許容限界

耐震安全性の設計方針の妥当性を評価するに際して検討すべき耐震設計に関する荷重の組合せと許容限界の基本的考え方は以下によらなければならない。

 

(1) 建物・構築物

①ASクラスの建物・構築物

(i) 基本地震動S1等との組合せと許容限界

常時作用している荷重及び運転時に施設に作用する荷重と、基準地震動S1による地震力又は静的地震力とを組み合わせ、その結果発生する応力に対して、安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度を許容限界とする。

(ii) 基準地震動S2との組合せと許容限界

常時作用している荷重及び運転時に施設に作用する荷重と基準地震動S2による地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体として十分変形能力(ねばり)の余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること。

 

①    Aクラス(ASクラスを除く。)の建物・構築物

 

上記①(i)「基準地震動S1等との組合せと許容限界」を適用する。

 

②    B、Cクラスの建物・構築物

 

常時作用している荷重及び運転時に施設に作用する荷重と、静的地震力を組み合わせ、その結果発生する応力に対して、上記①(i)の許容応力度を許容限界とする。

 

 

 

 

 

 

(2) 機器・配管系

① ASクラスの機器・配管

(i) 基準地震動S1等との組合せと許容限界

 

通常運転時、運転時の異常な過渡変化時、及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動S1による地震力又は静的地震力とを組み合わせ、その結果発生する応力に対して、降伏応力又はこれと同等な安全性を有する応力を許容限界とする。

 

 

(ii) 基準地震動S2との組合せと許容限界

通常運転時、運転時の異常な過渡変化時、及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動S2による地震力とを組み合わせ、その結果発生する応力に対して、構造物の相当部分が降伏し、塑性変形する場合でも過大な変形、亀裂、破損等が生じ、その施設の機能に影響を及ぼすことがないこと。

 

②Aクラス(ASクラスを除く。)の機器・配管

 

上記①(i)「基準地震動S1等との組合せと許容限界」を適用する。

 

③    B、Cクラスの機器・配管

 

通常運転時、運転時の異常な過渡変化時の荷重と静的地震力とを組み合わせ、その結果発生する応力に対して、降伏応力又はこれと同等な安全性を有する応力を許容限界とする。

(解説始まり)

Ⅳ地震力と他の荷重との組合せについて

耐震安全性の設計方針の妥当性を評価するに際して考慮すべき荷重の組合わせについては、「6.荷重の組合わせと許容限界」に示す通りであるが、同項中機器・配管に関する荷重の組合わせ方等についの解釈は以下による。

(1) 「運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重」については、いずれも地震によって引き起こされるおそれのある事象によって作用する荷重について考察すればよいことを意味する。

 また、「事故時に生じる荷重」であっても、その事故の発生事象が極めて稀であり、かつその事故事象が極めて短期に終結するものであれば、そのような事象によって発生する荷重までも地震力と組合わせて考慮する必要はない。

 上記にかかわらず、地震動によって引き起こされるおそれのない事象であっても、一たん事故が発生した場合は長時間事象が継続するものであれば、そのような事故事象によって発生する荷重は地震力と組合わせて考慮しなければならない。

(2) 機器・配管系の許容限界については、「発生する応力に対して降伏応力又はこれと同等な安全性」を有することを基本的な考え方としたが、具体的には、電気事業法に定める「発電用原子力設備に関する技術基準」がこれに対応する。

 なお、同項中「終局耐力」とは構造物に対する荷重を漸次増大した際、構造物の変形又は歪が著しく増加する状態を構造物の終局状態と考え、この状態に至る限界の最大荷重負荷を意味する。

(3) 建物・構築物の基準地震動S2との組合せに対する項目中「終局耐力」とは構造物に対する荷重を漸次増大した際、構造物の変形又は歪みが著しく増加する状態を構造物を終局状態と考え、この状態に至る限界の最大荷重負荷を意味する。

(4) 機器・配管系の許容限界については、「発生する応力に対して降伏応力又はこれと同等な安全性」を有することを基本的な考え方としたが、具体的には、電気事業法に定める「発電用原子力設備に関する技術基準」等がこれに対応する。

7. 荷重の組合せと許容限界

耐震安全性に関する設計方針の妥当性の評価に当たって考慮すべき荷重の組合せと許容限界についての基本的考え方は、以下に示すとおりである。

 

(1)  建物・構築物

①  Sクラスの建物・構築物

i) 基準地震動Ssとの組合せと許容限界

常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動Ssによる地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること。

ii) 弾性設計用地震動Sd等との組合せと許容限界が生じ、 その施設の機能に影響を及ぼすことがないこと。

常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と、 弾性設計用地震動Sdによる地震力又は静的地震力とを組み合わせ、 その結果発生する応力に対して、 安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度を許容限界とする。

 

 

 

 

 

 

④    Bクラス、Cクラスの建物・構築物

常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と静的地震力を組み合わせ、その結果発生する応力に対して、 上記①ii) の許容応力度を許容限界とする。

 

 

 

 

 

 

(2)  機器・配管系

①  Sクラスの機器・配管系

i) 基準地震動Ssとの組合せと許容限界

通常違転時、運転時の異常な過渡変化時、及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動Ssによる地震力とを組み合わせ、 その結果発生する応力に対して、構造物の相当部分が降伏し、塑性変形する場合でも、 過大な変形、 亀裂、 破損等が生じ、その施設の機能に影響を及ぼすことがないこと。

 

 

なお、 動的機器等については、基準地震動Ssによる応答に対して、 実証試験等により確認されている機能維持加速度等を許容限界とする。

ii)弾性設計用地震動Sd等との組合せと許容限界

通常運転時、運転時の異常な過渡変化時、 及び事故時に生じるそれぞれの荷重と、 弾性設計用地震動Sdによる地震力又は静的地震力とを組み合わせ、 その結果発生する応力に対して、降伏応力又はこれと同等な安全性を有する応力を許容限界とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

②  Bクラス、Cクラスの機器・配管系

通常運転時、運転時の異常な過渡変化時の荷重と静的地震力とを組み合わせ、その結果発生する応力に対して、 降伏応力又はこれと同等な安全性を有する応力を許容限界とする。

 

 

(左記新指針!!!の解説)

V. 荷重の組合せと許容限界につい

荷重の組合せと許容限界にっいての解釈は以下による。

(1)    「運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重」にっいては、地震によって引き起こされるおそれのある事象によって作用する荷重、 及び地震によって引き起こされるおそれのない事象であっても、 一たん事故が発生した場合は長時間継続する事象による荷重は、 地震力と組み合わせて考慮しなければならない。      .

ただし、 「事故時に生じる荷重」 であっても、 その事故事象の発生確率と継続時間及び地震動の超過確率の関係を踏まえ、 両者が同時に発生する可能性が極めて小さい場合には、 そのような事象によって発生する荷重を地震力と組み合わせて考慮する必要はない。

(2)  建物・構築物の弾性設計用地震動Sd等との組合せに対する許容限界にっいては、「安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度」 としたが、 具体的には建築基準法等がこれに相当する。 

 (3) 建物・構築物の基準地震動Ssとの組合せに対する項目中の 「終局耐力」 とは、構造物に対する荷重を漸次増大した際、 構造物の変形又は歪みが著しく増加する状態を構造物の終局状態と考え、この状態に至る限界の最大荷重負荷を意味する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)  機器・配管系の許容限界にっいては、 「発生する応力に対して降伏応力又はこれと同等な安全性」 を有することを基本的な考え方としたが、 具体的には、 電気事業法に定める「発電用原子力設備に関する技術基準」等がこれに相当する。

 

8.地震随伴事象に対する考慮

(規定なし)

(規定なし)

施設は、地震随伴事象にっいて、次に示す事項を十分考慮したうえで設計されなければならない。

(1')  施設の周辺斜面で地震時に想定しうる崩壊等によっても、施設の安全機能が重大な

('2)  施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があると想定することが適切な津波によっても、施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと。

(記載なし)

 


原子炉耐震設計審査基準対比表(5/6)ー(静的地震力)

2016-04-30 12:11:20 | 原発

重要度分類によっては、動的荷重である地震力の影響に対する強度を計算することに静的解析をしても良いとしている。

 

 項目

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について

 

       (初期指針)

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について

 

      (旧指針)

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針

 

(新指針)

実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則および解釈

(新規制基準)

 

昭和53年9月29日

原子力委員会

  (1978年)

昭和五六年七月二〇日

原子力安全委員会決定

    (1981年)

平成18年9月19日

原子力安全委員会決定

   (2006年)

平成二十五年六月二十八日

原子力規制委員会規則第五号

      (2013年)

6.耐震設計方針

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(耐震設計方針)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(耐震設計方針)

 

 

(記載なし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基準地震動の評価について

1. 基準地震動に関して使用する用語の意味解釈は次による。

(1) 「解放基盤表面」とは基盤(概ね第三紀層及びそれ以前の堅牢な岩盤であって、著しい風化を受けていないもの)面上の表層や構造物がないものと仮定した上で、基盤面に著しい高低差がなく、ほぼ水平であって相当な拡がりのある基盤の表面をいう。

(2) 「活断層」とは第四紀(第180万年前以降)に活動した断層であって、将来も活動する可能性のある断層をいう。活断層の認定は地形学的及び地質学的調査並びに地震観測資料等によって求めるものとする。

(3) 「地震地体構造」とは地震規模、震源深さ、発震機構、地震発生頻度等に着目するとき、地震の発生の仕方に共通の性質をもっているある拡がりをもった一定の地域の地質構造をいう。

2. 基準地震動は、原子炉施設の建物・構築物及び機器・配管の重要度に相応した地震動として、その強さの程度に応じS1、S2の二種に区分することとした。

(1) 基準地震動S1の決定に際して考慮すべき地震は、工学的見地から起こることを予期することが適切と考えられる地震である。すなわち、歴史的証拠から過去において敷地又はその近傍に影響を与えたと考えられる地震が、近い将来再び起こり敷地及びその周辺に同様の影響を与えるおそれがあると考えることは妥当であると思われる。また近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震を考慮することも必要である。これらのうち敷地の基盤に最大の地震動を与える地震を設計用最強地震といい、これが現実に起こることを仮定して建物・構築物及び機器・配管に基準地震動S1を与えるものとしたのである。

(2) 基準地震動S2の決定に際して考慮すべき地震は、地震学的見地に立てば設計用最強地震を超える地震の発生が否定できない場合があるので地震学上設計用最強地震を上回る地震が比較的近い時代に発生したことがあると判断される場合、さらに工学的見地からの検討を加えて、これが将来再び起こると仮定したものである。しかし地震地体構造の見地及び過去の地震の発生状況からすると、それぞれの地震発生区域ごとに地震の上限があるとみなすことができるのでそのような地震の規模と発生域を敷地周辺の活断層及び地震地体構造に基づいて考えることは可能である。これら地震のうち敷地の基盤に最大の地震動を与える地震を設計用限界地震とし、それが起こると仮定して建物・構築物及び機器・配管の基準地震動S2を与えたのである。

 また解放基盤表面における地震動の諸特性は震源距離によって異なるので、設計用最強地震及び設計用限界地震の策定において近距離及び遠距離の地震を考慮することとした。

3. 基準地震動を評価するに当って考慮すべき事項を以下に示す。

(1) 評価に際して考慮すべき過去の地震の範囲は敷地の基盤の地震動を策定する上で考慮に含めることが望ましいと考えられる地震、たとえば敷地又はその周辺地域に気象庁震度階震度Ⅴ以上の地震動を与えたか又は与えたと推定される地震とする。過去の地震ではできる限り多くの資料について調査されなければならない。資料のマグニチュード、震央位置、震源深さ、余震域、被害状況等可能な限りの情報が網羅されていなければならない。また地震の被害状況と地形又は地盤との関係についても調査することが望ましい。なお、地域によっては歴史地震の空白地帯が存在することが認められている。このような場合には、周辺領域の地震について十分な調査を行うものとする。

(2) 「地震動の強さの統計的期待値」とは、たとえば河角マップあるいは金井マップのような統計的な研究成果に基づいて、敷地の基盤に起こると推定される震度、最大加速度又は速度をいう。これらの値は破壊的地震のマグニチュードと震源の見直しや、対象とする地震の範囲あるいは調査期間によって異なるので、最近までに得られた知見に基づき要すれば改めて統計的期待値を算出するものとする。

(3) 1) 設計用最強地震のマグニチュードは、敷地に影響を与えた過去の地震の生起状況を主体として、近距離に存在する活断層の状況などを考慮して定め、また、設計用限界地震のマグニチュードは、地震地体構造及び近距離に存在する活断層の規模等を考慮して定めなければならない。

 大地震は一般に同一地域でくり返し起こると認められているので、基本的には設計用最強地震のマグニチュードは敷地あるいはその近傍に影響を与えた過去の地震によって定められるものと考えられる。なお古い地震資料には不備があるかもしれないことを考慮し、また、有史期間にはたまたま発生しなかったくり返し期間の長い地震の生起を看過することがないよう、確実な地質学的証拠と工学的判断に基づいて近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震を考慮に入れることとする。

 設計用限界地震のマグニチュードは、地震地体構造及び歴史地震の分布等を地域ごとに考慮して定めることができるが、近距離に存在する活断層にも着目することとしている。しかし活断層の性質(発生する地震の規模や頻度等)は断層ごとに著しい差異があり、すべての活断層を等しく考慮に入れることは実際的でない。たとえば今後活動する可能性があるとはいえ、大地震発生の可能性が極めて低い活断層に対して、再びそれが発生することを予期するのは、工学的見地からは必ずしも適切とはいえない。したがって活断層を考慮する場合には、その活動度を評価しその大小に応じた考慮を行うものとする。

 2) 設計用最強地震あるいは設計用限界地震のエネルギー放出の中心から敷地までの距離は、過去の地震エネルギー放出の中心、近距離に存在する活断層の位置、及び地震地体構造を考慮して定めなければならない。

 地震と敷地の相互関係は地震のエネルギー放出の中心から敷地までの距離で表わすものとする。ただし、地震のエネルギー放出中心が敷地から十分な距離だけ隔っている場合は震央距離をもってかえることができる。

 3) なお、基準地震動の策定に当って基準地震動S2として考慮する近距離地震にはM=6.5の直下地震を想定するものとする。

 4) 地震動の最大振幅、周波数特性、継続時間、振幅包路線の経時的変化等と、地震のマグニチュード、震源距離あるいは基盤の岩質等、それぞれの間には、過去の観測結果に基づいて相関関係を求めた研究成果がかなりあり、必要に応じて参考とすべきである。しかし、これらの成果を参照する場合には、基礎となった観測資料について十分吟味する必要がある。

 敷地における観測結果は、有力な資料となる、しかし、微小な地震動の観測記録しか得られない場合が多く、このような記録を参照する場合には、強い地震動との諸性状の差異に十分留意することが必要である。

4. 基準地震動の策定は最大振幅、周波数特性、継続時間及び振幅包絡線の経時的変化の三要素に基づいて定めることとした。これは基準地震動がこの三要素によって適切に表現できることを踏まえたものである。

(1) 地震動の最大振幅

 地震動の振幅は速度で表わすことを原則とする。しかし、一般に短周期領域においては加速度振幅が大となり、建物・構築物及び機器・配管の設計に支配的な影響を与える傾向があるので、この点に関して注意する必要がある。

 解放基盤表面の地震動の水平方向における最大速度振幅は、地震動の実測結果に基づいた経験式あるいは適切な断層モデルに基づいた理論値を参照して定めることができる。なお実測結果に基づいた経験式は、地震のマグニチュードに応じた震源域の外ではその適用性も実証されているが、一般に震源域内では大き目の値を与えることもあり、震源域内では震源近傍の地震動の諸特性を考慮して補正あるいは震害状況から地震の強さを推測する等の方法によることは差し支えない。

(2) 地震動の周波数特性

 基盤における地震動の周波数特性は、地震のマグニチュード、エネルギー放出の中心からの距離及び基盤の振動特性等に支配されることから、これら因子について考察するほか、敷地の基盤における地震動、常時微動観測結果、又は類似の基盤における既往の測定資料等を参考として定めるものとする。

(3) 地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化

 継続時間としては、地震動の開始からそれが実効上消滅するとみなされるまでの時間を考慮する。また地震動の継続時間及び振幅包絡線と地震のマグニチュードとの間には密接な相関があると考えられるので、それぞれ設計用最強地震及び設計用限界地震のマグニチュードに応じて定めるものとする。

(解説終わり)

(解説始まり)

Ⅲ静的地震力について

1 水平地震力

(1) 水平地震力については、建物・構築物の各部分の高さに応じ、当該部分に作用する全体の地震力として算定するものとし、次の式による。

Q1=n・z・C1・W1

C1=Rt・AI・CO

この式において

Q1:水平地震力

n :重要度に応じた係数(Aクラス3.0、Bクラス1.5、Cクラス1.0)

z :地震地域係数(1.0とする。)

C1:せん断力係数

W1:当該部分が支える重量

Rt:振動特性係数で、次の表によって算出するものとする。

ただし、特別の調査又は研究の結果に基づき、建物・構築物の振動特性を表わす数値が同表の式によって算出した数値を下回ることが確かめられた場合においては、当該調査又は研究の結果に基づく値(0.7を限度とする。)まで減じたものとすることができる。

T<Tcの場合

Rt=1

Tc≦T<2Tcの場合

Rt=1−0.2((T/Tc)−1)2

2Tc≦Tの場合

Rt=(1.6Tc/T)

この表において、T及びTcはそれぞれ次の数値を表わすものとする。

T:次式により計算した建物・構築物の設計用一次固有周期(単位 秒)

T=h(0.02+0.01α)

この式において

h:建物・構築物の高さ(単位 メートル)

α:当該建物・構築物のうち柱及びはりの大部分が鉄骨構造である層の高さの合計のhに対する比

Tc:建物・構築物の基礎の底部(鋼強な支持くいを使用する場合にあっては、当該支持ぐいの先端)の直下の地盤の種別に応じて次の表に掲げる数値(単位 秒)

 

地盤の種別

Tc

  

第1種

岩盤、硬質砂れき層、その他主として第三紀以前の地層によって構成されているもの又は地盤周期等についての調査若しくは研究の結果に基づき、これと同程度の地盤周期を有すると認められるもの

0.4

第2種

第1種及び第3種以外のもの

0.6

第3種

腐植土、泥土その他これらに類するもので大部分が構成されている沖積層(盛土がある場合においてはこれを含む。)で、その深さがおおむね30メートル以上のもの、沼沢、泥海等を埋め立てた地盤の深さがおおむね3メートル以上であり、かつ、これらで埋め立てられてからおおむね30年経過していないもの、又は地盤周期等について調査若しくは研究の結果に基づき、これらと同程度の地盤周期を有すると認められるもの

0.8

           

 基準地震動の評価について

1. 基準地震動に関して使用する用語の意味解釈は次による。

(1) 「解放基盤表面」とは基盤(概ね第三紀層及びそれ以前の堅牢な岩盤であって、著しい風化を受けていないもの)面上の表層や構造物がないものと仮定した上で、基盤面に著しい高低差がなく、ほぼ水平であって相当な拡がりのある基盤の表面をいう。

(2) 「活断層」とは第四紀(第180万年前以降)に活動した断層であって、将来も活動する可能性のある断層をいう。活断層の認定は地形学的及び地質学的調査並びに地震観測資料等によって求めるものとする。

(3) 「地震地体構造」とは地震規模、震源深さ、発震機構、地震発生頻度等に着目するとき、地震の発生の仕方に共通の性質をもっているある拡がりをもった一定の地域の地質構造をいう。

2. 基準地震動は、原子炉施設の建物・構築物及び機器・配管の重要度に相応した地震動として、その強さの程度に応じS1、S2の二種に区分することとした。

(1) 基準地震動S1の決定に際して考慮すべき地震は、工学的見地から起こることを予期することが適切と考えられる地震である。すなわち、歴史的証拠から過去において敷地又はその近傍に影響を与えたと考えられる地震が、近い将来再び起こり敷地及びその周辺に同様の影響を与えるおそれがあると考えることは妥当であると思われる。また近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震を考慮することも必要である。これらのうち敷地の基盤に最大の地震動を与える地震を設計用最強地震といい、これが現実に起こることを仮定して建物・構築物及び機器・配管に基準地震動S1を与えるものとしたのである。

(2) 基準地震動S2の決定に際して考慮すべき地震は、地震学的見地に立てば設計用最強地震を超える地震の発生が否定できない場合があるので地震学上設計用最強地震を上回る地震が比較的近い時代に発生したことがあると判断される場合、さらに工学的見地からの検討を加えて、これが将来再び起こると仮定したものである。しかし地震地体構造の見地及び過去の地震の発生状況からすると、それぞれの地震発生区域ごとに地震の上限があるとみなすことができるのでそのような地震の規模と発生域を敷地周辺の活断層及び地震地体構造に基づいて考えることは可能である。これら地震のうち敷地の基盤に最大の地震動を与える地震を設計用限界地震とし、それが起こると仮定して建物・構築物及び機器・配管の基準地震動S2を与えたのである。

また解放基盤表面における地震動の諸特性は震源距離によって異なるので、設計用最強地震及び設計用限界地震の策定において近距離及び遠距離の地震を考慮することとした。

3. 基準地震動を評価するに当って考慮すべき事項を以下に示す。

(1) 評価に際して考慮すべき過去の地震の範囲は敷地の基盤の地震動を策定する上で考慮に含めることが望ましいと考えられる地震、たとえば敷地又はその周辺地域に気象庁震度階震度Ⅴ以上の地震動を与えたか又は与えたと推定される地震とする。過去の地震ではできる限り多くの資料について調査されなければならない。資料のマグニチュード、震央位置、震源深さ、余震域、被害状況等可能な限りの情報が網羅されていなければならない。また地震の被害状況と地形又は地盤との関係についても調査することが望ましい。なお、地域によっては歴史地震の空白地帯が存在することが認められている。このような場合には、周辺領域の地震について十分な調査を行うものとする。

(2) 「地震動の強さの統計的期待値」とは、たとえば河角マップあるいは金井マップのような統計的な研究成果に基づいて、敷地の基盤に起こると推定される震度、最大加速度又は速度をいう。これらの値は破壊的地震のマグニチュードと震源の見直しや、対象とする地震の範囲あるいは調査期間によって異なるので、最近までに得られた知見に基づき要すれば改めて統計的期待値を算出するものとする。

(3) 1) 設計用最強地震のマグニチュードは、敷地に影響を与えた過去の地震の生起状況を主体として、近距離に存在する活断層の状況などを考慮して定め、また、設計用限界地震のマグニチュードは、地震地体構造及び近距離に存在する活断層の規模等を考慮して定めなければならない。

 大地震は一般に同一地域でくり返し起こると認められているので、基本的には設計用最強地震のマグニチュードは敷地あるいはその近傍に影響を与えた過去の地震によって定められるものと考えられる。なお古い地震資料には不備があるかもしれないことを考慮し、また、有史期間にはたまたま発生しなかったくり返し期間の長い地震の生起を看過することがないよう、確実な地質学的証拠と工学的判断に基づいて近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震を考慮に入れることとする。

 設計用限界地震のマグニチュードは、地震地体構造及び歴史地震の分布等を地域ごとに考慮して定めることができるが、近距離に存在する活断層にも着目することとしている。しかし活断層の性質(発生する地震の規模や頻度等)は断層ごとに著しい差異があり、すべての活断層を等しく考慮に入れることは実際的でない。たとえば今後活動する可能性があるとはいえ、大地震発生の可能性が極めて低い活断層に対して、再びそれが発生することを予期するのは、工学的見地からは必ずしも適切とはいえない。したがって活断層を考慮する場合には、その活動度を評価しその大小に応じた考慮を行うものとする。

 2) 設計用最強地震あるいは設計用限界地震のエネルギー放出の中心から敷地までの距離は、過去の地震エネルギー放出の中心、近距離に存在する活断層の位置、及び地震地体構造を考慮して定めなければならない。

 地震と敷地の相互関係は地震のエネルギー放出の中心から敷地までの距離で表わすものとする。ただし、地震のエネルギー放出中心が敷地から十分な距離だけ隔っている場合は震央距離をもってかえることができる。

 3) なお、基準地震動の策定に当って基準地震動S2として考慮する近距離地震にはM=6.5の直下地震を想定するものとする。

 4) 地震動の最大振幅、周波数特性、継続時間、振幅包路線の経時的変化等と、地震のマグニチュード、震源距離あるいは基盤の岩質等、それぞれの間には、過去の観測結果に基づいて相関関係を求めた研究成果がかなりあり、必要に応じて参考とすべきである。しかし、これらの成果を参照する場合には、基礎となった観測資料について十分吟味する必要がある。

 敷地における観測結果は、有力な資料となる、しかし、微小な地震動の観測記録しか得られない場合が多く、このような記録を参照する場合には、強い地震動との諸性状の差異に十分留意することが必要である。

4. 基準地震動の策定は最大振幅、周波数特性、継続時間及び振幅包絡線の経時的変化の三要素に基づいて定めることとした。これは基準地震動がこの三要素によって適切に表現できることを踏まえたものである。

(1) 地震動の最大振幅

 地震動の振幅は速度で表わすことを原則とする。しかし、一般に短周期領域においては加速度振幅が大となり、建物・構築物及び機器・配管の設計に支配的な影響を与える傾向があるので、この点に関して注意する必要がある。

 解放基盤表面の地震動の水平方向における最大速度振幅は、地震動の実測結果に基づいた経験式あるいは適切な断層モデルに基づいた理論値を参照して定めることができる。なお実測結果に基づいた経験式は、地震のマグニチュードに応じた震源域の外ではその適用性も実証されているが、一般に震源域内では大き目の値を与えることもあり、震源域内では震源近傍の地震動の諸特性を考慮して補正あるいは震害状況から地震の強さを推測する等の方法によることは差し支えない。

(2) 地震動の周波数特性

 基盤における地震動の周波数特性は、地震のマグニチュード、エネルギー放出の中心からの距離及び基盤の振動特性等に支配されることから、これら因子について考察するほか、敷地の基盤における地震動、常時微動観測結果、又は類似の基盤における既往の測定資料等を参考として定めるものとする。

(3) 地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化

 継続時間としては、地震動の開始からそれが実効上消滅するとみなされるまでの時間を考慮する。また地震動の継続時間及び振幅包絡線と地震のマグニチュードとの間には密接な相関があると考えられるので、それぞれ設計用最強地震及び設計用限界地震のマグニチュードに応じて定めるものとする。

(解説終わり)

6.耐震設計方針

(解説の始まり)

Ⅲ.耐震設計方針について

(4)静的地震力にっいて

建物 ・構築物にっいての静的地震力の算定は以下に示す①及び②による。

また、建物構築物にっいては、当該建物構築物の保有水平耐力が必要保有水平耐力に対して、 施設の重要度に応じた妥当な安全余裕を有していることを確認するものとし、必要保有水平耐力の算定は、以下に示す③による。

①水平地震力

i)水平地震力を算定するうえでの基準面は原則として地表面とする。ただし、建物 ・構築物の構造や外周の地盤との関係等の特徴を考慮する必要がある場

合は、適切に基準面を設定し、 算定に反映させること。

ii)基準面より上の部分の水平地震力にっいては、建物・構築物の各部分の高さに応じ、 当該部分に作用する全体の地震力とし、 次の式による。

Qi=n・Ci・Wi

この式において、

Qi:基準面より上の部分に作用する水平地震力

n:施設の重要度分類に応じた係数(Sクラス3.0、Bクラス1.5、Cクラス1.0)

 

Ci:地震せん断力係数であり、次の式による。

Ci=Z・Rt・Ai・Co

Ciの算出式において、

Z:地震地域係数(地域による違いを考慮せず、1.0とする。)

Rt:振動特性係数であり、 安全上適切と認められる規格及び基準その他適切な方法により算出するものとする。 ここでいう 「安全上適切と認められる規格及び基準」 とは、建築基準法等がこれに相当する。ただし、建物・構築物の構造上の特徴や地震時における応答特性、 地盤の状況等を考慮して算定された振動特性を表す数値が、 建築基準法等に掲げる方法で算出した数値を下回ることが確かめられた場合においては、当該算定による値(0.7を下限とする。)まで減じたものとすることができる。

Ai: 地震層せん断力係数の高さ方向の分布係数であり、Rtと

同様に安全上適切と認められる規

格及び基準その他適切な方法により算出するものとする。

Co:標準せん断力係数で0.2とする。

Wi:当該部分が支える固定荷重と積載荷重の和

iii)建物・構築物の基準面より下の部分に作用する水平地震力は、次の式による。

Pk=n・k・Wk

この式において、

Pk 当該部分に作用する水平地震力

n 施設の重要度分類に応じた係数(Sクラス3.0、 Bクラス1.5、Cクラス1.0)

k 水平震度で次の式による。

k≧0.1・(1-H/40)・Z

kの算出において、

H:基準面より下の各部分の基準面からの深さ (20を超えるときは20とする。単位m)

Z :地震地域係数 (地域による違いを考慮せず、 1.0とする。)

 

Wk:当該部分の固定荷重と積載荷重の和

なお、 建物・構築物の構造上の特徴、 地震時における応答特性、 地盤の状況等を考慮して振動の性状を適切に評価して算出できる場合は、 当該算出によることができる。

②    鉛直地震力

Sクラスの静的地震力算定における鉛直地震力は、 次式による鉛直震度から算定する。

Cv=Rv・0・3

この式において、

Cv:鉛直震度

Rv::鉛直方向振動特性係数で1:0とする。ただし、特別の調査又は研究

に基づき、1.0を下回ることが確かめられた場合においては、当該調査又は研究の結果に基づく数値 (0.7を下限とする。) まで減じたものとすることができる。

③    必要保有水平耐力

必要保有水平耐力は、 安全上適切と認められる規格及び基準に基づく方法により算定するものとする。 ここでいう 「安全上適切と認められる規格及び基準」とは、 建築基準法等がこれに相当する。

なお、 必要保有水平耐力の算定においては、 地震層せん断力係数に乗じる施設の重要度分類に応じた係数は、 Sクラス、 Bクラス、 Cクラスともに.1.0とし、 その際に用いる標準せん断力係数Coは1.0とする。

(解説終わり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(規則の解釈)

6  第4条第3項に規定する「安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない」ことを満たすために、基準地震動に対する設計基準対象施設の設計に当たっては、 以下の方針によること。

一  耐震重要施設のうち、 二以外のもの

・基準地震動による地震力に対して、 その安全機能が保持できること。

・建物・構築物については、常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形能力 (終局耐力時の変形) について十分な余裕を有し、 建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること。

・機器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合わせた荷重条件に対して、 その施設に要求される機能を保持すること。 なお、上記により求められる荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、 その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、 その施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと。 また、 動的機器等については、 基準地震動による応答に対して、 その設備に要求される機能を保持すること。 具体的には、 実証試験等により確認されている機能維持加速度等を許容限界とすること。

なお、 上記の 「運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重」 については、 地震によって引き起こされるおそれのある事象によって作用する荷重及び地震によって引き起こされるおそれのない事象であっても、 いったん事故が発生した場合、 長時間継続する事象による荷重は、 その事故事象の発生確率、 継続時間及び地震動の超過確率の関係を踏まえ、 適切な地震力と組み合わせて考慮すること。

二  津波防護施設、浸水防止設備及び津波監視設備並びに浸水防止設備が設置された建物・構築物

・基準地震動による地震力に対して、 それぞれの施設及び設備に要求される機能 (津波防護機能、 浸水防止機能及び津波監視機能をいう。) が保持できること。

・津波防護施設及び浸水防止設備が設置された建物・構築物は、 常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力の組合せに対して、 当該施設及び建物・構築物が構造全体として変形能力 (終局耐力時の変形) について十分な余裕を有するとともに、 その施設に要求される機能 (津波防護機能及び浸水防止機能) を保持すること。

・ 浸水防止設備及び津波監視設備は、 常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重等と基準地震動による地震力の組合せに対して、その設備に要求される機能 (浸水防止機能及び津波監視機能) を保持すること。

・ これらの荷重組合せに関しては、 地震と津波が同時に作用する可能性について検討し、 必要に応じて基準地震動による地震力と津波による荷重の組合せを考慮すること。

なお、 上記の 「終局耐力」 とは、 構造物に対する荷重を漸次増大した際、 構造物の変形又は歪みが著しく増加する状態を構造物の終局状態と考え、 この状態に至る限界の最大荷重負荷をいう。

また、 耐震重要施設が、 耐震重要度分類の下位のクラスに属するものの波及的影響によって、 その安全機能を損なわないように設計すること。 この波及的影響の評価に当たっては、 敷地全体を俯瞰した調査・検討の内容等を含めて、 事象選定及び影響評価の結果の妥当性を示すとともに、 耐震重要施設の設計に用いる地震動又は地震力を適用すること。

なお、 上記の 「耐震重要施設が、 耐震重要度分類の下位のクラスに属するものの波及的影響によって、 その安全機能を損なわない」 とは、少なくとも次に示す事項について、 耐震重要施設の安全機能への影響が無いことを確認すること。

・ 設置地盤及び地震応答性状の相違等に起因する相対変位又は不等沈下による影響

・ 耐震重要施設と下位のクラスの施設との接続部における相互影響

・ 建屋内における下位のクラスの施設の損傷、 転倒及び落下等による耐震重要施設への影響

・ 建屋外における下位のクラスの施設の損傷、 転倒及び落下等による耐震重要施設への影響

 

 


原子炉耐震設計審査基準対比表(4/6)ー(耐震設計方針)

2016-04-30 11:58:54 | 原発

原子炉の耐震設計は、基本的に建築基準法が規定する設計法内にある。

言い替えれば、原子炉の耐震設計は、建築基準法の枠内にあることを、枠内からどの部分が飛び出ているかを認識することが大事である。

したがって、今時の熊本地震が提示する課題は、単に、一般住宅の建築だけでなく、原子炉の耐震設計へ影響するはずであるが。はてどうなることやら。

 

 項目

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について

 

   (初期指針)

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について

 

       (旧指針)

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針

 

(新指針)

実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則および解釈

(新規制基準)

 

昭和53年9月29日

原子力委員会

  (1978年)

昭和五六年七月二〇日

原子力安全委員会決定

    (1981年)

平成18年9月19日

原子力安全委員会決定

   (2006年)

平成二十五年六月二十八日

原子力規制委員会規則第五号

      (2013年)

6.耐震設計方針

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(耐震設計方針)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(耐震設計方針)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解説

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5 耐震設計評価法

(1) 方針

発電用原子炉施設は各クラス別に次に示す耐震設計に関する基本的な方針を満足していなければならない。

 

①  Aクラスの各施設は、以下に示す設計用最強地震による地震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に耐えること。

 さらに、Asクラスの各施設は、以下に示す設計用限界地震による地震力に対してその安全機能が保持できること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

② Bクラスの各施設は、以下に示す静的震度から得られる地震力に耐えること。また共振のおそれのある施設については動的な検討をも行なうこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③ Cクラスの各施設は、以下に示す静的震度から得られる地震力に耐えること。

④ 上記各号において、上位の分類に属するものは、下位の分類に属するものの破損によって波及的破損が生じないこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2) 静的解析

 建築基準法に示される震度をもとにし、水平震度と鉛直震度を用いて震度法により静的な耐震安全性の評価をしなければならない。

① 建物・構築物

 

 

ここに、水平震度CHは建築基準法に基づき基準震度を0.2とし、高さ方向の割増しを行ない、地盤、構築物の種別による係数を乗じた値とする。

 また、鉛直震度CVは、高さ方向については一定とし、基準震度0.2に上記係数を乗じた値とする。

 さらに、水平震度と鉛直震度とは、同時に不利な方向の組合わせで作用するものとする。

 

 

 

 

 

 

 

② 機器・配管系

 各クラスとも水平震度、鉛直震度共に、上記①の20%増しとする。建物・構築物と同様に、機器・配管系も水平震度と鉛直震度とは同時に不利な方向の組合わせで作用するものとする。

(3) 動的解析

 Aクラスの施設について行なう動的解析のための地震動は、次項「基準地震動の評価法」によらなければならない。

 なお、本動的解析による水平地震力は、上記鉛直震度から求めた鉛直地震力と同時に不利な方向の組合わせで作用するものとする。

 また、Bクラスの機器・配管系についても、共振するおそれのあるものについては動的検討を行なわなければならない。

(4)基準地震動の評価法

原子炉施設の耐震設計に用いる地震動は、敷地の解放基盤表面における地震動に基づいて評価しなければならない。敷地の解放基盤表面において考慮する地震動(以下「基準地震動」という。)は、次の各号に定める考え方により策定されていなければならない。

①    基準地震動は、その強さの程度に応じ2種類の地震動S1及びS2を選定するものとする。

(i)上記基準地震動S1をもたらす地震(「設計用最強地震」という。)としては、歴史的資料から過去において敷地又はその近傍に影響を与えたと考えられる地震が再び起こり、敷地及びその周辺に同様の影響を与えるおそれのある地震及び近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震のうちから最も影響の大きいものを想定する。

(ii)上記基準地震動S2をもたらず地震(「設計用限界地震」という。)としては、地震学的見地に立脚し設計用最強地震を上回る地震について、過去の地震の発生状況、敷地周辺の活断層の性質及び地震地体構造に基づき工学的見地からの検討を加え、最も影響の大きいものを想定する。

②基準地震動S1、S2を生起する地震については、近距離及び遠距離地震を考慮するものとする。なお、基準地震動S2には、直下地震によるものもこれに含む。

③基準地震動の策定に当たっては以下の各項を十分に考慮するものとする。

(i) 敷地及びその周辺地域に影響を与えた過去の地震について、そのマグニチュード、震央、震源、余震域及びその時の地震動の最大強さ(またはその推定値)と震害状況(構造物の被害率、墓石の転倒等を含む。)

(ii) 過去の破壊的地震動の強さの統計的期待値

(iii) 地震のマグニチュード及びエネルギー放出の中心から敷地までの距離

(iv) 過去の観測例、敷地における観測結果及び基盤の岩質調査結果

④上記により、基準地震動は、次のそれぞれが適切であると評価できるものでなければならない。

(i) 地震動の最大振幅

(ii) 地震動の周波数特性

(iii) 地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化

 

 

 

 

 

 

 

5.耐震設計評価法 

(1)方針

発電用原子炉施設は各クラス別に次に示す耐震設計に関する基本的な方針を満足していなければならない。

 

①  Aクラスの各施設は、以下に示す設計用最強地震による地震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に耐えること。

さらに、ASクラスの各施設は、以下に示す設計用限界地震による地震力に対してその安全機能が保持できること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②  Bクラスの各施設は、以下に示す静的地震力に耐えること。また共振のおそれのある施設については、その影響の検討をも行うこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③  Cクラスの各施設は、以下に示す静的地震力に耐えること。

④  上記各号において、上位の分類に属するものは、下位の分類に属するものの破損によって波及的破損が生じないこと。

(2) 地震力の算定法

5.(1)で述べた設計用最強地震及び設計用限界地震による地震力並びに静的地震力の算定は以下に示す方法によらなければならない。

①設計用最強地震及び設計用限界地震による地震力

設計用最強地震及び設計用限界地震による水平地震力は5(3)の「基準地震動の評価法」に定める基準地震動より算定するものとする。

なお、水平地震力は、基準地震動の最大加速度振幅の1/2の値を鉛直震度として求めた鉛直地震力と同時に不利な方向の組合せで作用するものとする。ただし、鉛直震度は高さ方向に一定とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②静的地震力

(1) 建物・構築物

水平地震力は、原子炉施設の重要度分類に応じて以下にのべる層せん断力係数に当該層以上の重量を乗じて算定するものとする。

Aクラス:層せん断力係数 3.0Ci

Bクラス:層せん断力係数 1.5Ci

Cクラス:層せん断力係数 1.0Ci

ここに、層せん断力係数のCiは、標準せん断力係数を0.2とし、建物・構築物の振動特性、地盤の種類等を考慮して求められる値とする。

Aクラスの施設については、鉛直地震力をも考慮することとし、水平地震力と鉛直地震力は、同時に不利な方向の組合せで作用するものとする。鉛直地震力は、震度0.3を基準とし、建物・構築物の振動特性、地盤の種類等を考慮して求めた鉛直震度より算定するものとする。ただし、鉛直震度は高さ方向に一定とする。

 

 

(2)機器・配管系

各クラスの地震力は、上記(1)の層せん断力係数の値を水平震度とし、当該水平震度及び上記(1)の鉛直震度をそれぞれ20%増しとした震度より求めるものとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(3)基準地震動の評価法

原子炉施設の耐震設計に用いる地震動は、敷地の解放基盤表面における地震動に基づいて評価しなければならない。敷地の解放基盤表面において考慮する地震動(以下「基準地震動」という。)は、次の各号に定める考え方により策定されていなければならない。

②    基準地震動は、その強さの程度に応じ2種類の地震動S1及びS2を選定するものとする。

(1)上記基準地震動S1をもたらす地震(「設計用最強地震」という。)としては、歴史的資料から過去において敷地又はその近傍に影響を与えたと考えられる地震が再び起こり、敷地及びその周辺に同様の影響を与えるおそれのある地震及び近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震のうちから最も影響の大きいものを想定する。

(2)上記基準地震動S2をもたらず地震(「設計用限界地震」という。)としては、地震学的見地に立脚し設計用最強地震を上回る地震について、過去の地震の発生状況、敷地周辺の活断層の性質及び地震地体構造に基づき工学的見地からの検討を加え、最も影響の大きいものを想定する。

②基準地震動S1、S2を生起する地震については、近距離及び遠距離地震を考慮するものとする。なお、基準地震動S2には、直下地震によるものもこれに含む。

③基準地震動の策定に当たっては以下の各項を十分に考慮するものとする。

(1) 敷地及びその周辺地域に影響を与えた過去の地震について、そのマグニチュード、震央、震源、余震域及びその時の地震動の最大強さ(またはその推定値)と震害状況(構造物の被害率、墓石の転倒等を含む。)

(2) 過去の破壊的地震動の強さの統計的期待値

(3) 地震のマグニチュード及びエネルギー放出の中心から敷地までの距離

(4) 過去の観測例、敷地における観測結果及び基盤の岩質調査結果

④上記により、基準地震動は、次のそれぞれが適切であると評価できるものでなければならない。

(1) 地震動の最大振幅

(2) 地震動の周波数特性

(3) 地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6.耐震設計方針

(1)基本的な方針

施設は、 耐震設計上のクラス別に、 次に示す耐震設計に関する基本的な方針を満足していなければならない。

 

①     Sクラスの各施設は、 基準地震動Ssによる地震力に対してその安全機能が保持できること。 また、 以下に示す弾性設計用地震動Sdによる地震力又は以下に示す静的地震力のいずれか大きい方の地震力に耐えること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②    Bクラスの各施設は、
以下に示す静的地震力に耐えること。 また、 共振のおそれの影響については、その影響についての検討を行うこと。

 

 

 

 

 

 

 

③    Cクラスの施設は、以下に示す静的地震力に耐えること。

④    上記各号において、 上位の分類に属するものは、 下位の分類に属するものの破損によって波及的破損が生じないこと。

 

 

 

(2)地震力の算定法

施設の耐震設計に用いる地震力の算定は以下に示す方法によらなければならない。

 

 

①    基準地震動Ssによる地震力

基準地震動Ssによる地震力は、 基準地震動Ssを用いて、 水平方向及び鉛直方向について適切に組み合わせたものとして算定されなければならない。

 

②    弾性設計用地震動Sdによる地震力

弾性設計用地震動Sdは、基準地震動Ssに基づき、 工学的判断により設定する。 また、 弾性設計用地震動Sdによる地震力は、 水平方向及び鉛直方向について適切に組み合わせたものとして算定されなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③    静的地震力

静的地震力の算定は以下に示す方法によらなければならない。

i)建物・構築物

水平地震力は、 地震層せん断力係数Ciに、 次に示す施設の重要度分類に応じた係数を乗じ、-さらに当該層以上の重量を乗じて算定するものとする。

   Sクラス  3.0

  Bクラス  1.5

   Cクラス 1.0

ここで、 地震層せん断力係数Ciは、 標準せん断力係数C。を0.2とし、 建物・構築物の振動特性、 地盤の種類等を考慮して求められる値とする。

Sクラスの施設にっいては、 水平地震力と鉛直地震力が同時に不利な方向の組合せで作用するものとする。鉛直地震力は、震度0.3を基準とし、建物・構築物の振動特性、 地盤の種類等を考慮して求めた鉛直震度より算定するものとする。 ただし、鉛直震度は高さ方、向に一定とする。

 

 

 

 

 

 

ii)機器・配管系

各耐震クラスの地震力は、 上記i) に示す地震層せん断力係数Ciに施設の重要.度分類に応じた係数を乗じたものを水平震度とし、.当該水平震度及び上記i) の鉛直震度をそれぞれ20%増しとした震度より求めるものとする。なぉ、 水平地震力と鉛直地震力は同時に不利な方向の組合せで作用ずるものとする。ただし、鉛直震度は高さ方向に一定とする。

 

 

(解説始まり)

Ⅲ.耐震設計方針について

(1)弾性設計用地震動Sdの設定の必要性にっいて

旧指針においては、基準地震動にっいて、施設の建物・構築物及び機器・配管系の重要度に相応し、地震動S,及び地震動S2の2種類に区分して策定することとしていたが、今次改訂においては基準地震動Ssのみを策定することとした施設の耐震安全性を確保するための耐震設計の考え方においては、この基準地震動Ssによる地震力に対して、 耐震安全上重要な施設の安全機能が保持されることが基本である。

(2)  弾性設計用地震動Sdの設定にっいて

本指針の6. の耐震設計方針で規定した 「地震力に対して耐える」 ということは、 ある地震力に対して施設全体として概ね弾性範囲の設計がなされるということを意味する。 この場合、 弾性範囲の設計とは、 施設を弾性体とみなして応力解析を行い、 施設各部の応力を許容限界以下に留めることをいう。 なお、 ここでいう許容限界とは、 必ずしも厳密な弾性限界ではなく、 局部的に弾性限界を超える, 場合を容認しつつも施設全体として概ね弾性範囲に留まり得ることで十分である。

Sクラスの各施設は弾性設計用地震動Sdによる 「地震力に耐える」 ことを求めているが、この弾性設計用地震動Sdは工学的判断に基づいて設定するものである。 弾性限界状態は、 地震動が施設に及ぼす影響及び施設の状態を明確に評価することが可能な状態であり、 施設が全体的に弾性設計用地震動Sdによる地震力に対して概ね弾性限界状態に留まることを把握することによって、 基準地震動Ssによる地震力に対する施設の安全機能保持の把握を確実なものとする。 すなわち、 弾性設計用地震動Sdは、 旧指針における基準地震動S1が耐震設計上果たしてきた役割の一部を担うことになる。

弾性設計用地震動Sdは、施設、 もしくはその構成単位ごとに安全機能限界と弾性限界に対する入力荷重の比率を考慮して、 工学的判断から求められる係数を基準地震動Ssに乗じて設定することとする。

ここで、 当該係数の設定に当たっては、基準地震動Ssの策定の際に参照した超過確率を参考とすることができる。

この弾性設計用地震動Sdの具体的な設定値及び設定根拠にっいて、 個別申請ごとに、 十分に明らかにすることが必要である。

なお、 弾性設計用地震動S dと基準地震動Ssの応答スべク トルの比率 (Sd/Ss) の値は、 弾性設計用地震動Sdに求められる性格上、 ある程度以上の大きさであるべきであり、めやすとして、0.5を下回らないような値で求められることが望ましい。

また、 弾性設計用地震動Sdは、 施設を構成する要素ごとに、 それらの耐震設計上考意すべき特性の差異を踏ま.えて個別に設定することができる。

なお、Bクラスの施設にっいて、「共振のおそれのある施設にっいては、その影響にっいての検討を行うこと」としたが、この検討に用いる地震動に関しては、弾性設計用地震動Sdに2分の1を乗じたものとすることができる。

(3)基準地震動Ss及び弾性設計用地震動Sdによる地震力の算定にっいて 

基準地震動Ss及び弾性設計用地震動Sdによる地震力を地震応答解析に基づいて算定する場合には、応答解析法の適用範囲、適用制限等を考慮のうえ、適切な解析法を選定するとともに、十分な調査に基づく適切な解析条件を設定することとする。

なお、 解放基盤表面が施設を設置する地盤に比べて相当に深い場合は、 解放基盤表面より上部の地盤における地震動の増幅特性を十分に照査し、 必要に応じて地震応答評価等に反映させることとする。

 

(規則の解釈)

3   第4条第1 項に規定する 「地震力に十分に耐えること」 を満たすために、 耐震重要度分類の各クラスに属する設計基準対象施設の耐震設計に当たっては、 以下の方針によること。

 

 

 

一  Sクラス(津波防護施設、浸水防止設備及び津波監視設備を除く。)

・ 弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐えること。

・建物・構築物については、常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組み合わせ、その結果発生する応力に対して、建築基準法等の安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度を許容限界とすること。

・機器・配管系については、通常運転時、 運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組み合わせた荷重条件に対して、 応答が全体的におおむね弾性状態に留まること。

なお、 「運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重」 については、地震によって引き起こされるおそれのある事象によって作用する荷重及び地によって引き起こされるおそれのない事象であっても、 いったん事故が発生した場合、 長時間継続する事象による荷重は、 その事故事象の発生確率、 継続時間及び地震動の超過確率の関係を踏まえ、 適切な地震力と組み合わせて考慮すること。

二   Bクラス

・静的地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐えること。 また、 共振のおそれのある施設については、 その影響についての検討を行うこと。 その場合、検討に用いる地震動は、 弾性設計用地震動に2分の1を乗じたものとすること。

・建物・構築物については、 常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と静的地震力を組み合わせ、 その結果発生する応力に対して、 建築基準法等の安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度を許容限界とすること。

・機器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時の荷重と静的地震力を組み合わせ、 その結果発生する応力に対して、応答が全体的におおむね弾性状態に留まること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4  第4条第2項に規定する 「地震力」 の 「算定」 に当たっては、 以下に示す方法によること。

一  弾性設計用地震動による地震力

・ 弾性設計用地震動は、 基準地震動 (第4条第3項の 「その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震」 による地震動をいう。以下同じ。) との応答スペクトルの比率の値が、 目安として0.  5を下回らないような値で、工学的判断に基づいて設定すること。

・弾性設計用地震動による地震力は、水平2方向及び鉛直方向について適切に組み合わせたものとして算定すること。なお、建物・構築物と地盤との相互作用、 埋込み効果及び周辺地盤の非線形性について、 必要に応じて考慮すること。

・地震力の算定に当たっては、 地震応答解析手法の適用性及び適用限界等を考慮のうえ、 適切な解析法を選定するとともに、 十分な調査に基づく適切な解析条件を設定すること。

・地震力の算定過程において建物・構築物の設置位置等で評価される入力地震動については、 解放基盤表面からの地震波の伝播特性を適切に考慮するとともに、必要に応じて地盤の非線形応答に関する動的変形特性を考慮すること。 また、敷地における観測記録に基づくとともに、最新の科学的・技術的知見を踏まえて、 その妥当性が示されていること。

 

 

二  静的地震力

①    建物・構築物

・水平地震力は、 地震層せん断力係数Ciに、 次に示す施設の耐震重要度分類に応じた係数を乗じ、 さらに当該層以上の重量を乗じて算定すること。

Sクラス   3.0

  Bクラス    1.5

  Cクラス   1.0

ここで、地震層せん断力係数Ciは、標準せん断力係数C0を0.  2以上とし、建物・構築物の振動特性及び地盤の種類等を考慮して求められる値とすること。

・また、建物・構築物の保有水平耐力が必要保有水平耐力を上回ることの確認が必要であり、必要保有水平耐力の算定においては、地震層せん断力係数Ciに乗じる施設の耐震重要度分類に応じた係数は、耐重要度分類の各クラスともに1.  0とし、その際に用いる標準せん断力係数C0は1.  0以上とすること。 この際、 施設の重要度に応じた妥当な安全余裕を有していること。

・Sクラスの施設については、水平地震力と鉛直地震力が同時に不利な方向の組合せで作用するものとすること。鉛直地震力は、震度0.3以上を基準と し、 建物 ・構築物の振動特性及び地盤の種類等を考慮して求めた鉛直震度より算定すること。 ただし、 鉛直震度は高さ方向に一定とすること。

②機器・配管系

・耐震重要度分類の各クラスの地震力は、 上記①に示す地震層せん断力係数Ciに施設の耐震重要度分類に応じた係数を乗じたものを水平震度とし、 当該水平震度及び上記①の鉛直震度をそれぞれ20%増しとした震度より求めること。

・なお、 水平地震力と鉛直地震力は同時に不利な方向の組合せで作用させること。 ただし、 鉛直震度は高さ方向に一定とすること。

 

なお、 上記①及び②において標準せん断力係数C0等を0.  2以上としたことについては、発電用原子炉設置者に対し、個別の建物・構築物、機器・配管系の設計において、それぞれの重要度を適切に評価し、それぞれに対し適切な値を用いることにより、耐震性の高い施設の建設等を促すことを目的としている。 耐震性向上の観点からどの施設に対してどの程度の割増し係数を用いれば良いかについては、設計又は建設に関わる者が一般産業施設及び公共施設等の耐震基準との関係を考慮して設定すること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7第4条第3項に規定する「基準地震動による地震力」の算定に当たっては、以下に示す方法によること。

・基準地震動による地震力は、基準地震動を用いて、水平2方向及び鉛直方向について適切に組み合わせたものとして算定すること。なお、建物・構築物と地盤との相互作用、 埋込み効果及び周辺地盤の非線形性について、 必要に応じて考慮すること。

・基準地震動による地震力の算定に当たっては、地震応答解析手法の適用性及び適用限界等を考慮の上、適切な解析法を選定するとともに、十分な調査に基づく適切な解析条件を設定すること。

・ 地震力の算定過程において建物 ・ 構築物の設置位置等で評価される入力地震動については、 解放基盤表面からの地震波の伝播特性を適切に考慮するとともに、必要に応じて地盤の非線形応答に関する動的変形特性を考慮すること。 また、敷地における観測記録に基づくとともに、最新の科学的・技術的知見を踏まえて、 その妥当性が示されていること。

 

 

                        原子炉等耐震設計審査指針