各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。
地震学、地震工学に素人の当ブロガーが標記指針に抱いた疑問を提示し、自ら、その疑問について解を求めるよう努めたい。素人の疑問は、運が良ければ、的を射ることもあるであろう。
4-2.耐震設計のその3ー基準地震動について(当ブログの対比表(2/6)参照)
1.震源を特定せず策定する地震動 注1,2
策定の基礎となる震源、即ち、震源断層が不明な場合(下図において向かって左側の二つの場合、注1)があるからである。
つまり、原子炉耐震設計審査指針は、原発が地表に姿を現さない活断層上にあることを想定しているのである。 原発は活断層の上に建たないと思われているがそうではない。
当時の福田康夫首相が国会で、「地表地震断層が炉心を通らなければよい」(広瀬隆著「原子炉次元爆弾」166ページ)と答えているのは、この事実を認めているのである。
どうして、この事実に平然としていられるのだろうか。それは、以下の表に示すように、このタイプの地震動は原発へ甚大な地震動を発生させないという前提をおいているからであろう。しかし、過去のデータがそうであるから、将来もそうであるという保証は、常に動いている地球にあっては存在しない。
石橋克彦神戸大教授は、「指針の作成過程で、原発は大地震の震源の真上に造るべきでない趣旨を明記するよう主張したが、盛り込まれなかった。」と述懐される。注3
注1
基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド 原子力規制委員会
注3
「耐震指針改訂」に関する幻のコメント
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/shishin_news060417.html'データ採取日2016/06/12
(2)策定の方法 注2
震源断層を特定できないことから、検討対象地震として観測記録を収集し、応答スペクトルを策定する。
①「地表地震断層が出現しない可能性がある地震(Mw6.5未満の地震)」は全国に共通に考慮されるべき地震であり、適切に選定する。
②「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」は地震の規模が推定出来ない(Mw6.5以上)についても検討を加え、必要に応じて選定する
疑問1.Mw6.5未満の地震と以上の地震で取り扱いが違うことの説明が審査ガイド(注1)には無い。
疑問2.他の、海洋プレート内等における震源を特定できない地震に対して、どう対処するのか規定が無い。