蟷螂の独白

世に背を向けた蟷螂です。喜怒哀楽を綴って18年、モットーは是々非々の団塊世代です。

平成版『日本のいちばん長い日』について

2015-08-28 01:37:02 | 徒然
入場者特典のパンフはグッド

半世紀ぶりに一人で映画館にはいる。シニア割引があるとは知らず、でもしっかり免許証を提示。400円の割引はおおきい。客層は、ん、老人ばかり。不吉な予感が走る。15分程度の予告編がうるさくて耳をおおった。電子耳栓を持ってこなかったことを後悔する。まずは一発、8月15日より遥かに前から始まるストーリーには最後まで馴染めなかった。全員くりくり坊主にしている設定にはほんの少し好感が持てた。だが、最後まで絶対に納得できなかったのは、出演者全員分厚い長袖の上着をきているのに、汗一滴かいてなかったことだ。8月15日は立秋は過ぎているとはいえ、まだ暑い盛りだ。汗ジミの一つくらいはあってもよかったはずだ。次に、重要な役割を果たす横浜警備隊の決起までの顛末が全く描かれず、いきなり学生を統率する警備隊長が出てきた際には吹き出してしまった。警備隊長の所持していたモーゼル712も、全く似合わない。滑稽ですらあった。全編を通して不満なのは、阿南陸軍大臣のよき父親ぶりが、ストーリーに水を差していることだ。役所の人選は全くのミスキャスト。三船の阿南を見ているものにとっては、全陸軍のトップに役所はふさわしくない。切腹のシーンもおざなりだ。渡辺謙の方がよかったのかも。次に、松坂桃李。平成らしい佐官だ。決起する勢いが全く全身から伝わらない。周囲の佐官も燃え上がるような、殉国の思想が皆無だ。こういう映画で終戦の日を語ってもらいたくなかった。黒沢明が生きていたら、笑いもしなかったろう。次は平成版の2,26事件だ。松坂桃李には、そちらで国を憂う青年将校を演じてもらいたいものだ。青年のうちにできる役を青年のうちに演ずる。松坂桃李はそれができる唯一の役者だろう。松坂桃李以外の役者は全員大根だった。『陛下』の二文字が出る度に姿勢を正すのは一回くらいでいいと思った。原作者は半藤一利、彼は終戦を美しく描きすぎた。迫力不足で星一個。その星一個は東條英機があまりに似すぎていたため。むしろ東條英機のストーリーにした方がよかったかも。
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