日本の衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前澤友作さん(46)が8日、ロシアの宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS)へと出発し、宇宙空間に到達した大富豪の仲間入りをした。同日夜(日本時間9日未明)にISS内に入り、滞在を開始したと報じられている。
ISSを旅行者が訪れることは、ここ10年以上なかった。前澤さんは12日間過ごす見込み。
宇宙では、ゴルフをする、風船をふくらませる、紙飛行機を飛ばすなど、一般から募集した100種のアイデアを試すという。
かつてパンクロックバンドのドラマーだった前澤さんは、ZOZOTOWN(ゾゾタウン)などのオンライン通販などで財産を築いた。昨年、一緒に宇宙に行く新たなガールフレンドを募集したが、その後に取りやめた。
前澤さんは2023年に、米電気自動車メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者が設立したスペースXの宇宙船で月を旅行する、最初の一般人となる予定だ。今回のISS訪問は、月旅行の前段階となっている。
宇宙での動画を投稿
前澤さんが乗った宇宙船ソユーズは、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。
前澤さんのほか、ロシアのアレクサンドル・ミスルキン宇宙飛行士と、映像プロデューサーの平野陽三さんが同乗した。平野さんは、前澤さんの宇宙旅行を撮影し、前澤さんのユーチューブチャンネルに投稿する。
前澤さんは出発前、厳しい訓練を受けた。傾いたベッドで寝る、いすに座った状態で回転する、バドミントンを長時間プレーするといった訓練の様子を、ソーシャルメディアで公開していた。
そのうちの1つでは、「回転いす――ほとんど拷問のよう。必要だと言う宇宙飛行士もいるが、そうではないという人もいる。どちらにしろ、これまでの訓練で最もきつい」と英語でツイートした。
https://twitter.com/yousuckMZ/status/1464539341389189121
前澤さんは出発前の記者会見で、ついに宇宙旅行の夢がかなうと述べていた。
「一般の僕みたいな人間でも(未知の世界に)出て行けるという夢や希望を、皆さんに見てもらえるんじゃないかと思います」
今回の宇宙旅行で、前澤さんは8800万ドル(約100億円)を支払ったとされる。今年は、米アマゾン創業者ジェフ・ベゾスさんや、英実業家リチャード・ブランソンさんも、それぞれの会社が製造したロケットで宇宙に到達している。
ロシアは旅行目的の宇宙開発を再開
自前でISSに旅行した人は、ここ10年ほどで前澤さんが初めてだ。
ISSに行くには宇宙船ソユーズに乗るしかない状況が長年続いてきた。ロシアは2000年代、宇宙飛行士以外で初めてISSを訪れた米資産家デニス・ティトさんら、宇宙旅行者たちをISSに送り込んできた。
2010年になると、ロシアは民間の宇宙プログラムを停止した。
ところが、宇宙旅行への関心の高まりや、スペースXのような企業の登場を受け、ロシアは再び、前沢さんのような客を料金を取って宇宙に運ぶことを開始した。
ロシアは10月、映画監督クリム・シペンコさんと俳優ユリア・ペレシルドさんをISSに送り込んでいる。目的は映画の撮影だった。
ZOZO創業の前澤さん、宇宙ステーションに到着 (msn.com)