トゼンの世相斬

政治経済で日々思いついたことを書き綴ります

台湾危機

2021-05-25 10:33:22 | 日記
米国が1958年の台湾危機の際に、中国に対して核攻撃を検討していたことが報道された。

当時中国は核ミサイルを保有しておらず、米国は1945年に広島長崎に原爆を落とした実績があり、軍としてはイケイケどんどんの状態であったと想像される。

日経の記事ではソ連が中国の代わりに核で応戦する可能性はあるが、それでも金門島を失うよりましだ、というのが軍の結論だったようだ。最終的に当時の米国大統領アイゼンハウワーが核攻撃を却下して通常兵器による攻撃となったとのこと。

もし米国が中国を核攻撃して、それに対応する形でソ連が米国を核攻撃したら、全面核戦争になって世界は終わっていたかもしれない。しかし、ソ連から見れば他国の紛争のために自国に核を撃ち込まれるリスクはとらないだろう。米国が中国を核攻撃してもソ連は応戦しなかったと思う。

さて現代ではどうだろうか。仮に中国が台湾に軍事侵攻した場合、最悪のケースで米国は中国を核攻撃するだろうか?

おそらくしない。なぜなら中国は今や米国本土に報復する核を十分に保有しているからだ。米国はたかが東洋の島国(台湾も日本もここに含まれる)一つを守るために自国が核攻撃されるリスクを負うとは思えない。そうすると通常兵器でのやり取りとなり、どちらが音を上げるかの我慢比べだ。その場合、台湾を核心的利益と明言している中国は徹底的にやって、結局は米国は引く形になるだろう。

こうしたシナリオを考えると、今の状況でこのような記事が報道される背景がわかる。とにかく米国としては中国の台湾侵攻を何としても止めたいということだ。いざ始まってしまうと米国・台湾は負けてしまうのだ。最悪の場合は以前も検討したけど核を使うぞ、という米国なりの脅しなのだ。

しかしそうした脅しは効くのだろうか。

香港問題の取り扱いを中国は間違えて、一国二制度は成立しないことを世界中に見せつけてしまった。台湾は甘い言葉に騙されることなく、平和的な統一は絶対に認めないだろう。そうすると中国は軍事侵攻するしか「核心的利益」を守るすべはない。

いずれ台湾に侵攻する可能性があるだけでなく、それが成功する確度は高い。その時日本はどうすべきなのか、慎重な議論と対応が必要だ。


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