国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第14話

2024-09-14 13:20:39 | 国鉄関連_国会審議
長らく空けてしまいましたが、再開したいと思います。
今回も小林委員の当局攻撃は収まりません、今回は国労組合員とそうでない組合員に対する露骨な依怙贔屓があるとして、質問をしています。
趣旨としては、助役が意図的に、転轍機を反位(本来の方向と異なった方向にすること)にしたり、一部の車輌の連結器を意図的に外していたというもので、勤務評価を下げるために行っていたという指摘です。
以下に、該当部分を引用してみたいと思います。

 それからこれは労働者側の情報なんですよ。いいですか、読み上げますよ。これは二十五日です。これは八月二十五日でしょうな。「朝七時三十分頃、酒田駅構内裏一番コマポイントが列車進入寸前にもかかわらず反対の方向にかえっているのを操車掛が事故発生前に発見ことなきを得た。これは陸羽西線の六三列車着ガマが機関区に入るとき、上り八番線をまわって機関区に入ることになっており、裏一番は八番線から別れている線で通常なら上り八番線は定位にならなければならないのにポイントの反位を発見した操車掛は早速構内詰所の組合員に知らせた。ポイント扱い担当の北部転てつはもちろん誰も扱ったものもいないし入換もきていないのに全く不思議なことではないかと早朝の酒田構内は騒然としたが、たまたま脱線十五、六分までなんともなかったのに構内巡視をした一人の外勤助役がいたことが明らかになった。その時刻が事故発生五十分位前の出来事だったし、組合員の眼はこのあやしいいたずらはかって二十九年から三十年頃にかけてやはり外勤助役が中心に構内作業の勤務評定として従事員の作業監査の名目で裏面監査をやり、ポイントを返したりブレーキをおろしたり、また客車連結器のテコをはずしており従業員の神経をあおる方法をとったが、はげしい反対のため取やめられたが、こうしたやり方がまた誰も知らぬ間に復活したのではないかと責任追及がおこなわれようとしており、構内はじめ酒田支部は問題の探求をはじめている。」というのであります。これに対して今申しましたように、これはまさに第二の松川事件の寸前だぞ、下山事件の寸前だ、それがこんなところでどうも起るような懸念が現場にあるのではないかと、組合員がこういうことをおそれておる。あまり権力で弾圧していこうとすると、みんな功を争うようになってくる。かりに局長が一言言えば、それに迎合しようとして現場職員は二、三積極的な行動に出る。功績を得んとする行動がこんな形になって現われてこないと一体否定できますか。
こうした事実が本当にあったのか、否か。
少なくとも私自身は判断できませんが、仮にこうしたことが事実として行われたとなれば、かなり問題であるわけですが。
何れにしても、当時の組合と当局の労使関係は決して良好ではないものの、生産性運動以降に見られた過剰な組合譲歩などもなくて、そうした意味では緊張感を持って業務に当たっていたと言えるかもしれません。
続く
応援よろしくお願いします。

************************以下は、国会審議議事録です*************************
○小林(進)委員 あなた方がそういうような答弁をしているうちに、だんだん日本の民主主義も憲法も事実上浮き上って、昔ながらの反動の形が現われてくるのですよ。そうしてそういうような答弁をあなた方がたくみにやっているうちに、恐るべき時代がだんだん起きてきますよ。一体そんなことで労働者は承服しますか。私は一つ具体的な例をここで読み上げてみたいと思うのでありまするが、これは率直に申し上げまするけれども、労働者側の情報です。今までのものはいわゆる経営者側の情報だ。ただ労働者側の情報を申し上げる前に一言念を押しておきまするけれども、私どもは、新潟の国鉄の出している労働情報というものは、何といってもこれは不当労働行為だ、経営者が国鉄労働組合を圧迫しようという、不利益を与えようとする、弾圧をしようとする意図のもとに行われておる労働情報のように断定するよりほかにないと思う。もしそうでないというならば私は調べてきますよ。だからどうかあなた方も責任をもってこんなものは廃刊をしてもらうように、厳然たる態度をとってもらいたい。何のために理事がおり総裁がおるか、そんなことでわが国の汽車が動くと思っておったら間違いですよ。こんなことはやめさせるように私はここで一本念を押しておきます。こんなことはやらせませんよ。
 それからこれは労働者側の情報なんですよ。いいですか、読み上げますよ。これは二十五日です。これは八月二十五日でしょうな。「朝七時三十分頃、酒田駅構内裏一番コマポイントが列車進入寸前にもかかわらず反対の方向にかえっているのを操車掛が事故発生前に発見ことなきを得た。これは陸羽西線の六三列車着ガマが機関区に入るとき、上り八番線をまわって機関区に入ることになっており、裏一番は八番線から別れている線で通常なら上り八番線は定位にならなければならないのにポイントの反位を発見した操車掛は早速構内詰所の組合員に知らせた。ポイント扱い担当の北部転てつはもちろん誰も扱ったものもいないし入換もきていないのに全く不思議なことではないかと早朝の酒田構内は騒然としたが、たまたま脱線十五、六分までなんともなかったのに構内巡視をした一人の外勤助役がいたことが明らかになった。その時刻が事故発生五十分位前の出来事だったし、組合員の眼はこのあやしいいたずらはかって二十九年から三十年頃にかけてやはり外勤助役が中心に構内作業の勤務評定として従事員の作業監査の名目で裏面監査をやり、ポイントを返したりブレーキをおろしたり、また客車連結器のテコをはずしており従業員の神経をあおる方法をとったが、はげしい反対のため取やめられたが、こうしたやり方がまた誰も知らぬ間に復活したのではないかと責任追及がおこなわれようとしており、構内はじめ酒田支部は問題の探求をはじめている。」というのであります。これに対して今申しましたように、これはまさに第二の松川事件の寸前だぞ、下山事件の寸前だ、それがこんなところでどうも起るような懸念が現場にあるのではないかと、組合員がこういうことをおそれておる。あまり権力で弾圧していこうとすると、みんな功を争うようになってくる。かりに局長が一言言えば、それに迎合しようとして現場職員は二、三積極的な行動に出る。功績を得んとする行動がこんな形になって現われてこないと一体否定できますか。
 また一つ読み上げますと、「悪質裏面監査のその後、駅長は勤務るすに床屋」というので、これは駅長のことが書いてあるのだが、これもついでですから読み上げましょう。「八月二十七日(木)朝八時二十分から九時四十五分まで、青柳酒田駅長は勤務時間中に職場を離れて不在であった。彼はこの間床屋へ行っていた。たまたま時間まではっきり記録されたまでのこと、毎回のことである。職場の人たちの間には「われわれには、列車の間合いに一寸マンガ本を見ていてもやれ勤務態度がよくない、勤務成績がわるい、といいながら駅長は一時間も出勤早々職場をるすにしている」こんな駅長が、職員をコキ下したり、始末書をとる資格があるだろうかという話がひろがっている。今、酒田駅では先日(九月二十五日)駅構内裏一番線のコマポイントを列車進入寸前に」これは前の記事でございますが、こういうことが行われている云々とあり、こういうような危険が起っているのを「青柳駅長は労務対策で当局から覚えがよいことをカサにきているが、次のような暴力、独善、鼻下長駅長でもある。藤島駅長当時、助役の胸グラをつかみナイフで「殺すぞ」とアバれた。酒田駅へきてからも気にくわぬ助役に赤インキを顔からかぶせたこともある。日頃「バカやろ、クソやろ」と主任級などにも当っており、地区労代表などにも「帰らぬと警察を呼ぶぞ」とどなりちらし、去る春斗では組合とは団交を拒否しながら芸者を入れていた事実もある。酒田市会等でもこれら駅長の柄の悪さが目にあまって「酒田の玄関には不適当だ」の声があがっている。」こういうような記事が羅列をされているのでございますが、このように労使の間というものはもはや実に離れてしまった、水と油以上に離れている。一体こんなことで国鉄行政はでき上るのですか、やっていけるのですか。われわれもおっかなくて汽車に乗れませんよ。かってあの飛行機事故が起きたときに、総裁が遺族の霊前にぬかずいて泣いている姿を私はテレビで拝見いたしました。私はあの姿をながめて、総裁もまことに誠心を傾けて遺族の前に泣いていると思いました。あの涙にはうそはありません。総裁は誠実な方なんだ。私は、テレビを見ながら一応総裁の態度に感激をしたこともございましたが、総裁、事故は今あなたの足元に起ろうとしているのですよ、これを一体どう判断せられるか、こういうような危険に対するあなたの所見を私はお聞きしたいと思うのです。これもうそですか。
○十河説明員 私は、国鉄が輸送の使命を全うするためには、初めに申し上げましたように、人間が一番大切である、人の和がすべての基本である、こう考えます。就任以来労使関係も正常化したいと考えまして、経営者に対しても労働組合に対しても、その目的で絶えず協力を求めておりまして、私自身の行動につきましても絶えず反省をいたしておるのであります。そういういろいろな問題が起りますことは、ひっきょう私の統率力が足りないといいますか、不徳といいますか、そういうところがあるかもしれないと私は大いに反省をして、今後そういうふうな、たとい誤解であってもそういうことの問題が起らないようにいたしたいと念じている次第であります。
○小林(進)委員 私はまだ多分に材料を持っております。もっともっと多く私は質問をしたいと思うけれども、しかし彼我大小相似たようなものを繰り返し申し上げていたところで、もはや効果もないと思いますので結論に入りますが、なおそのほか私自身に与えられている私個人ではございません、国会議員の小林進です。私どもは国民から法律以上の大きな力で調査の権能を与えられている。権利と義務を与えられている。そういう国会議員固有の調査権能をも剥奪するような不当なる行為も私は河村局長から受けておりますが、これは前の労働大臣にも質問いたしましたので省略いたしますが、今まであなたに申し上げたことだけでも、多くの同僚先輩諸君並びに学識経験者はともに驚いている。残念ながら驚かないのは総裁と常務理事だけである。あなた方が主宰している、あなた方が経営している、その責任者のあなた方だけが驚かれない。そしてあなたは繰り返し遺憾の意を表せられているけれども、責任をとるということは一言もおっしゃられない。私がこれだけ克明に調査していることに対しても、あるいは誤解があってもというような誤解という前提のもとに遺憾の意を表している。実に私は無責任きわまると思う。いやしくもそういうような総裁の考え方であるならば、私が国民の意思を代表いたしまして、いかにその国鉄の安全を願い、労使のよき慣行を願い、平和の国鉄のその成績の増進を祈ったところで百年河清を待つほかはないといわなければならぬと思うのでありまして、総裁はそういう遺憾の意を表する前に、私が今まで申し上げたことをいま一回一つ反復反省されまして、どういう処置をとるか、一体どういう手段をとるかという具体的なこれに対する対策を一つお聞かせ願たいと思うのであります。ただ遺憾の意を表せられただけでは、死者の墓前にぬかずいて泣くだけではこの問題は解決するものではありません。飛行機の事故はできたことでありますけれども、これらは将来起る危険性のある問題でございます。事前に明確な手を打っておかなくてはいけない。どういう具体的な処置を講じて、これらの不当労働行為、あるいは多くの危険、それからよって生ずるこの危険を防止せられるお考えであるか、一つ承わりたいと思います。
○十河説明員 私は今まで報告を受けて承知しておる限りにおいて今日も答弁いたしました。いろいろ具体的の事実をあげて今日もお話がありました。さらにいま一応調査いたしまして、その上でお答え申し上げたいと存じます。
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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第13話

2024-07-25 11:00:00 | 国鉄関連_国会審議
今回も引き続き、小林委員による新潟鉄道管理局長の不当労働行為についての質問が続きます。
小林委員の追及は中々厳しく、何としても政府側に陳謝させたいという糸が見えています。
見方によっては執念のようなものを感じてしまいます。
ここで注目すべき点は、どこまでが不当労働行為に当たるかという点になるわけですが、これに関してはケースバイケースであり、一概に言い切れないことが本人も良く判っていると思うので、
最初に小林委員が指摘した、「非組合員(現場長である区長や助役など)が、組合をぶっつぶせばよろしいというような暴言を吐いている」事をして、組合員に対する支配介入(労働組合法第7条第3号)に当たると指摘しているのは、いささか無理があるように感じてしまいます。
まぁ、その辺は本人も多少は了解しているようで、水掛け論になるとして深入りは避けているのですが・・・、その後、局長自らが「新潟地本は潰れた方が良い」と発言したことを不当労働行為だと指摘しています。
すなわち、支配介入の以下の要素
  • 組合の活動を非難する発言をした。 労働組合法第7条第3号
ただし同じ日付の労働情報の中に、局長の訓示が終っていろいろの角度から質問や意見が述べられたが、その際ある質問に対し、局長から、今の地本は危機によろめいている、現状のような姿の新潟地本であるならむしろつぶれた方がましだと思う、こういう発言をされている。これは、ごらん下さい、当局側の情報です。つぶれた方がましだと思うと局長が発言をしておる。これは不当労働行為じゃございませんか。

と言う発言しているわけですが、これはいわゆる昨今に見られる切り抜き動画のようなイメージを持ってしまうのですが、少なくとも国労新潟地本内での革同派と本部の確執、並びに実際に革同派に賛成しないグループによる脱退があるわけですから、実際に地本内ではゴタゴタはあった訳です。
ただ、質疑の中で局長が発言した談話を「労働組合法第7条第3号」の誹謗中傷と捉えるのも些か無理があるように感じます。

続く
応援よろしくお願いします。

************************以下は、国会審議議事録です*************************

○小林(進)委員 あなたは自分で勝手に仮定を作り上げて、あなたの仮説のもとにそういう詭弁を正当化しようとしておられる。それは卑怯ですよ。一つこの際労政局長の見解を承わりたい。
○亀井政府委員 不当労働行為の問題につきましては、同じ表現上の事実でありましても、それが不当労働行為にならない場合、あるいはなる場合、いろいろあるわけでございます。それはそのとき、あるいはその場所によりまするいろいろな条件が事実認定の上で積み重ねられまして、そして判断されていくわけでございます。たとえば使用者のいろいろな行動の中に、不当労働行為で救済すべきほどのものでなくても、それが積み重ねられていった場合におきまして不当労働行為になる場合もございましょうし、あるいは同じ事案でございましても、片一方は不当労働行為になり、片一方は不当労働行為にはならないというふうな場合もございまして、不当労働行為の認定は法律の解釈と違いまして、事実認定がその中に入りますために非常に判断がむずかしいのでございます。そこで労働法におきましては、御承知の通り学識経験のあります方々によって構成されておる労働委員会あるいは公労委というふうなところで慎重にその問題の判定をいたすことになっているわけでございます。そしてまたかりに、われわれがそれが不当労働行為であるかどうかということを判定することよりも、この制度自体は、それからいかなる救済をするか、団結権なりあるいはその他の労働者の権利をいかに救済していくかということが目的でございまして、これはやはり労働委員会なり公労委でその事実認定に基きました判断がなされるということでございます。今の問題につきましても、私ら諸般の状況が明確でございませんので、私といたしましては判断を申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。
○小林(進)委員 局長はこの前の労働大臣に対するときも今と同じような答弁をされ、二度も拝聴したわけでございますので、これ以上は水かけ論になりますので私もやめますが、私は非組合員同士の中に、組合をぶっつぶせばよろしいというような暴言を吐いていることは、自分の部下現場長、分区長を通じてそういうような組合をつぶすというような圧力影響を与えるような発言は、これは純然たる不当労働行為であると解釈をいたします。しかしあなたが承服をせられないならば、また別の角度で相まみえることにいたしまして、私もこれでほこをおさめることにいたします。ただし同じ日付の労働情報の中に、局長の訓示が終っていろいろの角度から質問や意見が述べられたが、その際ある質問に対し、局長から、今の地本は危機によろめいている、現状のような姿の新潟地本であるならむしろつぶれた方がましだと思う、こういう発言をされている。これは、ごらん下さい、当局側の情報です。つぶれた方がましだと思うと局長が発言をしておる。これは不当労働行為じゃございませんか。
○吾孫子説明員 その前後の話というものがよくわかりませんですが、違法な行為が繰り返されるような、そういう状態の組合は望ましくないからつぶれた方がましだというようなことを言ったのかと思うのであります。それは先ほども申し上げましたように、非公開の席上で申したことでもあり、別段不当労働行為とかなんとかいうような、特に積極的な組合に対する弾圧をしようとかいうような気持とは違って、感想を述べたものであって、特に不当労働行為というようなことになる性質のものではないように私は考えております。

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第12話

2024-05-22 20:04:19 | 国鉄関連_国会審議
本日も、国会議事録の中から新潟闘争後の不当労働行為について質問をしている小林委員の質問をアップさせていただきます。
小林委員は、国労の擁護という視点から質問を続けているのですが、些か口が滑ったと言いますか、管理局長が国労の新潟地本を潰す事が目的だと言った口調で喋ったとして、厳しく批判をしているわけですが、戦後10年以上が経たんとし、労働組合に関連する労働三法が制定されている中で、管理職が職員に対する態度が旧態然としているとして、厳しく批判しています。
これに対して、十河総裁も我孫子常務理事も、そのような事実は無いとして否定しているわけですが、当時の組合と当局の緊張関係と言うのは、生産性運動以後とはまた違った緊張関係があるように見受けられますし、実際には国労内での分裂(民同左派と新生民同派(いわゆる右派)、更には革同系等々)があり必ずしも国労内も一枚岩では無く、そうした意味では当局側もかなり強い態度である程度力関係を持っていたことは自明の理だと考えますので、多少なりとも小林委員の質問のような事実もあったかもしれませんし、それは許容される範囲の労務管理と考えていたかもしれませんし、実際に認められる範囲であったと考える方が素直な気がします。
以下のように、総裁達の発言は詭弁であるとして批判している訳ですが、

○小林(進)委員 吾孫子常務理事の答弁はやや詭弁に近いと私は思っている。私どもはそういう上手な答弁を聞いているのじゃない。私どもがこの国会の席上であなたに質問するからには、正当な常識ある者あるいは学識ある者、それぞれの人々に、こういう事実があるがどうかと、みな聞いておる。実に驚くべきことでないか、こういう憲法がしかれ、こういう労働基準法が行われてまさに十数年、ようやくわが国の労働組合も軌道に乗りつつあるという今日、そういう前近代的な驚くべき局長や管理者や、その指令のもとに動くような現場長がおるのか、大へんなことだとみんな驚いております。驚かないのは総裁とあんただけだ。そんなことじゃいけませんよ。いま少し驚きなさい。そしていま少し良心的に、胸に手を当てて、困ったことだという考えを持たなければ話にならない。
 まあ次に、こんな例を具体的に述べておれば際限がありませんから、私もそろそろ結論の方向へ歩みを進めていきたいと思うのでございますが、私がそういうようなことを九月二十六日、この委員会において質問をいたしましたことについて、河村局長は、先ほどの最初に戻りまして、そういう分区長やあるいは現場の助役、駅長等に何の指令をし何の訓示をしようとも、それは当局の内部の関係じゃありませんか、当局内の、非組合員のみの打合会の話ではないか、だからそんなことを何も不当労働行為と言われる必要がない、こういうようなことの新聞談話を発表いたしております。新潟国鉄労働組合をつぶすのが目的であるというようなことを公然と自分の部下の前でしゃべっても、それは非組合員であり当局内の話であるから、それは何をしゃべろうとも何も非難されることはない、こういうことを言明いたしておりますが、一体この河村監理局長の言い分は間違っていないかどうか、一つ総裁にお伺いいたします。

そして、総裁(十河氏)や我孫子常務理事に対して、かなりきつい言葉で批判しているわけですが、我孫子常務理事が回答しているように、国労地本を当局側が石を持って潰すと言うことは出来ないわけですし、実際にそのような動きはその後の流れを見る限りどこにも出ていないわけですから、これは一寸小林議員の方が勝手に暴走している・・・・そんな風に感じてしまいます。


○吾孫子説明員 ただいま新聞記者に談話として何か局長が発表したというようなお言葉でございましたが、この点新潟の局の方の事情も調べたわけでございますが、別に談話として何か発表したというようなことはございません。ただ何か新聞記者が単独で尋ねてきた人に、先生の御質問等に関連して話をしたということはあったようでございますが、局長についてよく取り調べましたところ、先生の御質問その他に対して、何かこれを御批判申し上げるというような気持はさらさらなかったけれども、言葉足らずでああいうような記事になって新聞に出たということに対しては、恐縮の意を表しておる次第であるというふうに申しておりました。
 それからなお組合をつぶす、つぶさないというお話でございますが、これにつきましては、つぶしたいというようなことは申しておりませんです。ただ先年の夏以来のような違法な行為が繰り返されるような組合のあり方は好ましくないという気持は、監理局長として当然そのことは強く考えておるわけでございまして、そういう気持がどういう言葉になりましたか存じませんが、しかし組合をつぶすのだとか、つぶしたいとか言ったような事実は全くないということだけは明らかでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○小林(進)委員 私が最初にお伺いいたしましたことは、その分区長を呼んで、国鉄地本をつぶすと言っても言わなくてもよろしいが、ともかく呼んで訓示をしたことが、当局部内の非組合員のみの打ち合せであるから、それを不当労働行為云々せられることはとんでもない見当違いだということを発言しているのです。このことを聞いておるのです。そういう非組合員が都内において、組合をつぶすとか断圧するとか、何を言っても不当労働行為にならないのか、あなたの見解を聞いておるのです。
○吾孫子説明員 今回の分区長を集めての会議に際しての局長の言動につきましては、不当労働行為にわたるような事実はないと思っております。

続く
応援よろしくお願いします。

************************以下は、国会審議議事録です*************************
○小林(進)委員 吾孫子常務理事の答弁はやや詭弁に近いと私は思っている。私どもはそういう上手な答弁を聞いているのじゃない。私どもがこの国会の席上であなたに質問するからには、正当な常識ある者あるいは学識ある者、それぞれの人々に、こういう事実があるがどうかと、みな聞いておる。実に驚くべきことでないか、こういう憲法がしかれ、こういう労働基準法が行われてまさに十数年、ようやくわが国の労働組合も軌道に乗りつつあるという今日、そういう前近代的な驚くべき局長や管理者や、その指令のもとに動くような現場長がおるのか、大へんなことだとみんな驚いております。驚かないのは総裁とあんただけだ。そんなことじゃいけませんよ。いま少し驚きなさい。そしていま少し良心的に、胸に手を当てて、困ったことだという考えを持たなければ話にならない。
 まあ次に、こんな例を具体的に述べておれば際限がありませんから、私もそろそろ結論の方向へ歩みを進めていきたいと思うのでございますが、私がそういうようなことを九月二十六日、この委員会において質問をいたしましたことについて、河村局長は、先ほどの最初に戻りまして、そういう分区長やあるいは現場の助役、駅長等に何の指令をし何の訓示をしようとも、それは当局の内部の関係じゃありませんか、当局内の、非組合員のみの打合会の話ではないか、だからそんなことを何も不当労働行為と言われる必要がない、こういうようなことの新聞談話を発表いたしております。新潟国鉄労働組合をつぶすのが目的であるというようなことを公然と自分の部下の前でしゃべっても、それは非組合員であり当局内の話であるから、それは何をしゃべろうとも何も非難されることはない、こういうことを言明いたしておりますが、一体この河村監理局長の言い分は間違っていないかどうか、一つ総裁にお伺いいたします。
○十河説明員 私は河村局長がどういう言葉を使ったか知りませんが、そういう、組合をつぶすの何のというようなことを言ったとは私は考えられないのであります。しかしながらどういう言葉を使ったにしても、皆さんにそういうふうな誤解を与えるようなことがあったということは、これはまことに遺憾だと存じます。今後もそういうことのないように十分に注意したいと思います。
○小林(進)委員 吾孫子理事のこれに対する見解を承わりたいと思います。
○吾孫子説明員 ただいま新聞記者に談話として何か局長が発表したというようなお言葉でございましたが、この点新潟の局の方の事情も調べたわけでございますが、別に談話として何か発表したというようなことはございません。ただ何か新聞記者が単独で尋ねてきた人に、先生の御質問等に関連して話をしたということはあったようでございますが、局長についてよく取り調べましたところ、先生の御質問その他に対して、何かこれを御批判申し上げるというような気持はさらさらなかったけれども、言葉足らずでああいうような記事になって新聞に出たということに対しては、恐縮の意を表しておる次第であるというふうに申しておりました。
 それからなお組合をつぶす、つぶさないというお話でございますが、これにつきましては、つぶしたいというようなことは申しておりませんです。ただ先年の夏以来のような違法な行為が繰り返されるような組合のあり方は好ましくないという気持は、監理局長として当然そのことは強く考えておるわけでございまして、そういう気持がどういう言葉になりましたか存じませんが、しかし組合をつぶすのだとか、つぶしたいとか言ったような事実は全くないということだけは明らかでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○小林(進)委員 私が最初にお伺いいたしましたことは、その分区長を呼んで、国鉄地本をつぶすと言っても言わなくてもよろしいが、ともかく呼んで訓示をしたことが、当局部内の非組合員のみの打ち合せであるから、それを不当労働行為云々せられることはとんでもない見当違いだということを発言しているのです。このことを聞いておるのです。そういう非組合員が都内において、組合をつぶすとか断圧するとか、何を言っても不当労働行為にならないのか、あなたの見解を聞いておるのです。
○吾孫子説明員 今回の分区長を集めての会議に際しての局長の言動につきましては、不当労働行為にわたるような事実はないと思っております。
○小林(進)委員 実に驚くべき一方的な調査しかあなたはしておいでにならない。九月三日の新聞にもわれわれの同僚各位が新聞を持っているが、その中にも私が今申し上げたようなことを公然と新聞の談話に発表いたしておる。新聞だけじゃない、むしろ先ほどから私が問題にしているのは、これは当局側の労働情報だ。監理局が発行する労働情報これは監理局の労働課長が発行責任者になって出しているのですが、その第四十六号、昭和三十三年九月三十日の情報の中に書いてあるじゃありませんか。管理者講習会は、組合員が出席しているわけでもなく、あくまでも当局部内の非組合員のみの打ち合せであって、この中には種々いろいろと変った意見や発言の出るのは当然のことである云々と言っている。そしてやはり新聞記事と同じように、それを不当労働行為と言われる理由はないという意味のことが、当局側の情報の中に書いてあるじゃありませんか。一体これがほんとうに不当労働行為でないのかどうか、お伺いしたいのであります。
○吾孫子説明員 別段公開もせず、部内限りで打ち合せの際にいろいろな話が出ましても、そのことが外部に向って国鉄としての意思表示というふうになるわけでもございませんので、不当労働行為ということにはならないのではないかと考えております。
○小林(進)委員 あなたは国鉄の常務理事としては、実に重大なる誤謬を犯しておいでになる。不当労働行為に対する最高裁の判例を一つ申し上げます。これは、発言当時の状況のもとで、客観的に組合活動に対する非難と、組合活動を理由とする不利益取扱いの暗示をも含むものと認められる発言により、組合の運営に対して影響を与えた事実がある以上、たとい発言者にこの点についての主観的認識ないし目的がなかったとしても、なお労働組合法第七条第三号にいう組合運営に対する介入があったものと解すべきである、こういう判例なのです。単なる組合活動に対する非難と組合活動を理由とする不利益取扱いの暗示暗示程度のことをやっても、それが完全なる第七条第三号の不当労働行為だ、不当介入だということを判例は示している。あなたは重大なる間違いですよ。そういうような間違いをいたして、一一組合行政をやられたのではたまったものではございません。間違いなら間違いであると、はっきり一つここで釈明をしていただきたい。
○吾孫子説明員 正当な組合活動に対して不利益な取扱いを暗示するというようなことがございますれば、まさにおっしゃる通りであると思いますが、違法な行為等に対して、そういう状態は処罰の対象にもなり、公労法下の組合として好ましくないのだということを申しましても、それは別に不利益取扱いの暗示とかなんとかいうことには該当しないのではないかというふうに私考えております。
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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第11話

2024-05-07 21:42:03 | 国鉄関連_国会審議
しばし間が開いてしまいましたが、今回も衆議院 社会労働委員会第3号からの抜粋と言うことで国会議事録をご覧いただこうと思います。
今回も小林議員の質問は続くのですが、今回の質問の趣旨としては、新潟鉄道管理局で発行している労働情報が国労に対しては辛辣な文言で書かれているのに対して、第二組合である、新潟地方労組を賞賛するといった内容になっており、この議事録はもう少し続くものの、公労委 昭和35年(不)第10号 で 不服申立が行われますが、こちらについても昭和37年7月3日で助役が行った行為に関しては不当労働行為が有ったと認めており、この辺は更に今後調べていく必要がありそうです。

新潟鉄道管理局の労働情報は第二組合を育てるため?
小林議員は、新潟鉄道管理局による、記事は国労を非難するものであり、その反面、第二組合である、新潟地方労組を賞賛する記事ばかりだとして、これが不当労働行為に当たるのではないかと発言しています。
○小林(進)委員 全部読まないで不当労働行為でないなどという、そんな無責任な答弁がありますか。私は川村局長に要求いたしまして、約一年分に近いものを送ってもらいました。今でも私の会館にあります。ここにも若干持って来ております。その情報の中に盛られた記事は何ですか。ほとんどと言っていいほど国鉄労働組合を非難をする文章で盛られておるではありませんか。労働組合の非難の文章ではありませんか。そうして第二組合に非常な好意的な気分を寄せて、それを賞揚し、賛嘆し、それが大きく成長することを祈るような記事をもって毎号埋めておるといっても過言でない。
このような質問に対して、吾孫子説明員(常務理事)は、不当労働行為を行わない、又行わせないように指導していると発言しており、以下のように発言しています。
違法な行為というものを見のがすようなことがあってはならない。また組合員に違法な行為をさせるようなことをさせてはならない。また違法な行為があった場合にはそれに相応した処置をとらなければならぬという趣旨のことは常に話もしております

実際には、冒頭に申し上げたとおり、救済命令が出ていることから、その行為の一部は不当労働行為があったと認めています。もっとも、この申立が行われたのは、昭和35年であり(公労委 昭和35年(不)第10号) で受理されており、国会審議議事録で問題視されている昭和33年から2年後になるわけです。
データーベースの内容から判断するには、駅長・助役等(中間管理職)、職制上の地位にある者の言動や、個別的示唆・説得・非難等は、支配介入(組合の自主性を失わせる行為)に該当するとしています。
駅長および助役が申立組合員に対して、新組合に入れば、昇給のとき心配がなく、組合費も安いので、新組合に入るようになどといって申立組合からの脱退、新組合への加入を勧誘したことは、支配介入に該当する。
その反面、鉄道管理局発行の労働情報に閲覧表をちょう付して操車掛室の閲覧台に置くことや、駅長が新組合の組合員の抜てき昇給の上申を行なったことは、支配介入に該当しない
としており、あくまでも口頭で組合を変われという行為は支配介入で有るが、閲覧表(捺印させることを目的とする)の設置は問題ないとしています。
捺印=意思表示とはならない(心裡留保)という判断かと思慮されます。
それ故に、以下の小林委員の質問で出てくる部分は、実際に助役等が発言していたとすれば問題となりますが、実際にはかなりグレーな発言と言えるのではないかと思慮されます。
○小林(進)委員 強制的に職員に読むことを強要するのは、一体不当労働行為であるかないか、お伺いいたします。
○吾孫子説明員 業務上必要な資料につきましては、職員に読ませるということは、しばしばあるのでございますが、情報というようなものについて強制的に読ませるというようなことはないのではなかろうかというふうに思っております。
少なくとも、労働情報を職員に読ませること事態は不当労働行為とは言えません。
更に小林議員は、以下のような発言をしています、
その駅の駅長が、労働課長が来て労働情報を職員がみんな通覧することを強要して、読んだか読まないかという証拠のために判こを押せというので判こを押させている。押さないと昇給停止とか左遷の原因にされるというので、みんな押している。
下線の部分(筆者注記)は、少なくとも客観的な事実と言うよりも小林委員の意見というようにも見えます。
仮に、昇給停止とか左遷の原因にすると駅長なり助役が話していれば支配介入になりますが、そこまでは明記されていないわけでかなり悪意を持っての発言のようにも見受けられます。
国鉄当局の労務政策は組合との対立の中でどのように推移していったのか?
あくまでも、個人的な見解であることを最初にお断りさせていただくわけであるが、新潟闘争以降の当局の動きは、国労新潟地本(革同系)に対する処分に対するこじれ(双方に譲れなかった)事が最初の原因であり、その後の処理に関しては国労本部に一任すべき所だったのかもしれませんし、自然発生的に生まれた新潟地方労組や、職能別組合などの誕生も当局側は特に介入することなく推移していたならば、また違った展開になっていたかもしれませんが、生まれたばかりの第二組合を育てようという意図から、当局側の支配介入と言える言動が生まれてしまったように見えるのは些か残念に思えます。
なお、この辺の見解はあくまでも私的な見解であり、今後更に他の資料なども参考にしながら傍証を重ねて行く必要があるのは言うまでも有りません。

応援よろしくお願いします。

****************************以下は、本文となります*************************
○小林(進)委員 全部読まないで不当労働行為でないなどという、そんな無責任な答弁がありますか。私は川村局長に要求いたしまして、約一年分に近いものを送ってもらいました。今でも私の会館にあります。ここにも若干持って来ております。その情報の中に盛られた記事は何ですか。ほとんどと言っていいほど国鉄労働組合を非難をする文章で盛られておるではありませんか。労働組合の非難の文章ではありませんか。そうして第二組合に非常な好意的な気分を寄せて、それを賞揚し、賛嘆し、それが大きく成長することを祈るような記事をもって毎号埋めておるといっても過言でない。この記事をあなたが読まれたならば、一体経営者がこのような労働組合を一方で非難し、一方で育成するような記事を当局側の公文書の形で出すということが不当労働行為でないかどうか、一つお伺いいたします。
○吾孫子説明員 実は私一々全部の局の労働情報を読んでおるわけではございませんので、先生のお手元にございます労働情報の中で、どういうことが特に不当労働行為だというふうに仰せられておるのかわからない点もございますが、ただこれはいつも国鉄の当局側といたしまして、下部機関に付して申しておることでございますが、違法な行為というものを見のがすようなことがあってはならない。また組合員に違法な行為をさせるようなことをさせてはならない。また違法な行為があった場合にはそれに相応した処置をとらなければならぬという趣旨のことは常に話もしておりますし、またその趣旨のことは組合側に対してもしばしば警告を発するというようなことは行なっておりますので、そういう意味であるいは組合の行動を批判する、非難するというようなことが載っておる場合もあったかと思いまするが、それ以外にいわゆる不当労働行為と言われるようなことはないように指導をいたしておるつもりでございます。
○小林(進)委員 これがりっぱな不当労働行為であるということは、私はここに最高裁の判例を摘出して持って参りました。その判例の命ずるところは明らかなのです。それはこうです。けれどもこれはあとで読み上げましょう。幾つもありますからあとで読み上げますが、いやしくも労働者を子供のようにかわいいとかなんとか言っている人が、そのような不当にして、毎日の情報で公文書の形で組合を非難攻撃しておるようなものを、その甘っちょろいことで考えておられるからあなた方はだめだと言うのです。とんでもないことだ。
 なお私は申し上げるのでありますが、この情報は労働課長の名前で公文書の形で出されるのでありますから、当然これは監理局内部の管理者だけに見せるものでございましょう。管理者だけにこれは通達をするものと解釈すべきものと存じますが、いかがでございましょうか。
○吾孫子説明員 労働情報というようなものは、これは管理者側の各級の責任者に情報を知らせるということが、もちろんその目的の中に入っておりますが、同時にこれは組合とかなんとかいう関係ではなしに、職員全体に対しても、別にこれを秘匿する必要があるというようなことでもございませんので、職員にも労働関係のいろいろな情報をよく知らせるという意味で、職員が読むことも予想いたしておる次第でございます。
○小林(進)委員 強制的に職員に読むことを強要するのは、一体不当労働行為であるかないか、お伺いいたします。
○吾孫子説明員 業務上必要な資料につきましては、職員に読ませるということは、しばしばあるのでございますが、情報というようなものについて強制的に読ませるというようなことはないのではなかろうかというふうに思っております。
○小林(進)委員 これは信越線のある某駅としておきましょう。しかし御希望があれば具体的な名前を申し上げてもよろしい。その駅の駅長が、労働課長が来て労働情報を職員がみんな通覧することを強要して、読んだか読まないかという証拠のために判こを押せというので判こを押させている。押さないと昇給停止とか左遷の原因にされるというので、みんな押している。この中に盛られている記事は、今も申し上げますように、ほとんど労働組合を非難攻撃する材料で埋まっている。一体どこにこんな管理者がありますか。こういう経営者が一体どこにありますか。これは不当労働行為ではありませんか。
○吾孫子説明員 先ほども申し上げましたように、職員が違法な行為を知らずして犯すというようなことがありますと、総裁も申されましたように、やむを得ずそれに対して処分も、行いたくないものをしなければならぬというような場合も出て参りますので、違法な行為等をやることのないようにという意味で、労働関係のいろいろな情報につきましても、職員に読ませる必要があるというふうに現場の長が考えました場合には、この情報についてはみんなで読むようにということを申す場合もあるかと思います。
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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第10話

2024-04-23 23:26:02 | 国鉄関連_国会審議
久々に更新させていただきます。

第2組合員のミスは、全力で管理者が守る?
小林委員は、組合差別と言うべき不当労働行為があったのでは無いかと言うことで、以下のような具体的な事故が有ったこと。
そして、その事故を隠蔽するために運愉主任が事故を隠蔽(国鉄の隠語でマルにする)為に奔走したとしており、事故を起こしたのが第2組合員であったが国労組合員であったならばこうしたことを行わなかったのでは無いかと質問をしています。
○小林(進)委員 次に私は第二組合員を不当に庇護いたしております一つの事例としてこれを申し上げたい。これは新潟駅で起った問題でございますが、十月一日の十六時ごろ、第六一四列車の編成すえ置きの際、信号機のモデル板不確認から一〇五号転轍機が反位になっておるのを客車操車掛が発見いたしまして、事故を未然に防止いたしました。この関係者は全部第二組合員であったのでありますが、近藤運輸主任は第二組合員が起した事故を隠蔽するために、信号分区、保線分区、機関区などにそれぞれ酒五升、かきの種若干を贈り秘密を守ってくれるように奔走をいたしました。おそらくこれが国労の問題であったならばどういうふうに当局側は出たか、私ども考えるときにりつ然たるものがございます。第二組合員でありますので、おそるべき事実は未然に防いだのでありますけれども、これを隠蔽するために、河村局長の意を引いた末端の管理者は、かくのごとく東奔西走してこれを隠蔽しているというのでありますがこれに対する総裁の御所見を一つ承わりたいと思います。
小林委員自身が、社会党所属の議員ですが、その出自をwikipediaで参照しますと、中央大学卒業後、東京倉庫運輸株式会社入社。その後、幹部候補生の教育を受けて、陸軍主計大尉として終戦を迎えた とされており、戦前からの労働運動家ではありませんでした。
ただ、発言はかなり労働者よりと言いますか、国労に肩入れする発言をしているのが特徴と言えます。
もっともこの質問に関しては当然のことながら総裁は知らないという返答するわけですが、些か意地悪な発言という風に見て取ることが出来そうです。

言いがかりにも取れる質問で、何かを引き出したかったのか?
いかにこの新潟監理局の管理が間違っておるかということです。いたずらに組合員を弾圧し、いたずらに組合にけんかをしかけて、そして組合員をいじめることをもって本分としている。私どもが監理局の各駅に入っても少しも明るさがないじゃないか。駅長室に入ってみたところで、あるいは駅の出札に入ってみたところで、まことに不愉快きわまる。このような空気が一体なぜでき上っているか。あなたは知らぬ、存ぜぬというが、知らぬ、存ぜぬで総裁が勤まると思っているか知りませんが、知らぬ、存ぜぬというのは総裁の勤めじゃないのですよ。一体なぜこういう問題が起きるのか。総裁として遺憾千万なら遺憾千万、申しわけないなら申しわけない、責任とるなら責任とる、いま少ししゃんとした御回答をいただきたい。
この質問に対して、当然のことながら十河氏は知らないと発言し、我孫子常務理事当然のことながら存じ上げないと発言しているのですが、些か重箱の隅をつつくと言うか、わざとしているだろうと思わせる内容ではありますね。更に小林委員の質問は続き、新潟鉄道管理局発行の労働情報という冊子についても質問をしていますが、こちらは承知していると我孫子常務理事は発言をしていますが。我孫子常務理事の発言では未然に事故を発見したこと、更にはそれをマルにしてくれと言うことで、運愉主任が事故にしないで欲しいとして奔走したことは不当労働行為ではないと判断していると発言しています。
それに対しても、さらに小林委員は質問を繰り返すのですが、その辺はまた改めてアップさせていただきます。
応援よろしくお願いします。

****************************以下は、本文となります*************************
○小林(進)委員 次に私は第二組合員を不当に庇護いたしております一つの事例としてこれを申し上げたい。これは新潟駅で起った問題でございますが、十月一日の十六時ごろ、第六一四列車の編成すえ置きの際、信号機のモデル板不確認から一〇五号転轍機が反位になっておるのを客車操車掛が発見いたしまして、事故を未然に防止いたしました。この関係者は全部第二組合員であったのでありますが、近藤運輸主任は第二組合員が起した事故を隠蔽するために、信号分区、保線分区、機関区などにそれぞれ酒五升、かきの種若干を贈り秘密を守ってくれるように奔走をいたしました。おそらくこれが国労の問題であったならばどういうふうに当局側は出たか、私ども考えるときにりつ然たるものがございます。第二組合員でありますので、おそるべき事実は未然に防いだのでありますけれども、これを隠蔽するために、河村局長の意を引いた末端の管理者は、かくのごとく東奔西走してこれを隠蔽しているというのでありますがこれに対する総裁の御所見を一つ承わりたいと思います。
○十河説明員 そういう事実を私存じませんので、今どうするということを申し上げかねます。
○小林(進)委員 私は一々こういう具体的な例を述べているのでありますが、総裁は知らぬ、存ぜぬということで通されるのでありますけれども、しかし一々こういうことが起きているということは、いかにこの新潟監理局の管理が間違っておるかということです。いたずらに組合員を弾圧し、いたずらに組合にけんかをしかけて、そして組合員をいじめることをもって本分としている。私どもが監理局の各駅に入っても少しも明るさがないじゃないか。駅長室に入ってみたところで、あるいは駅の出札に入ってみたところで、まことに不愉快きわまる。このような空気が一体なぜでき上っているか。あなたは知らぬ、存ぜぬというが、知らぬ、存ぜぬで総裁が勤まると思っているか知りませんが、知らぬ、存ぜぬというのは総裁の勤めじゃないのですよ。一体なぜこういう問題が起きるのか。総裁として遺憾千万なら遺憾千万、申しわけないなら申しわけない、責任とるなら責任とる、いま少ししゃんとした御回答をいただきたい。
○十河説明員 私は新潟の問題について、たといどういう事情があったにしろ、皆さんに御心配をおかけすることははなはだ遺憾だと、最初にそのことは恐縮して申し上げておるのであります。ただいまあげられたような事実は私存じませんが、いずれ速記録を詳細に拝見いたしまして、取調べをいたしてからお答えすることにいたしたいと思います。
^○小林(進)委員 吾孫子理事の回答を聞いてみたいと思います。

○吾孫子説明員 ただいまの十月一日の事故隠蔽のお話というのは、私も承知しておりませんのでございます。総裁からお答えのございましたように、よく取り調べた上でお答えをいたしたいと思います。
○小林(進)委員 どうもあなた方は、いいとか悪いとか責任者じゃありませんか。知らぬ、存ぜぬで回答して一体それでいいのですか。不謹慎きわまると思っているのだ。私はまた別な角度から一つお尋ねしますが、これは新潟の監理局です。これは御存じになっているだろうと思う。これは知らぬとは言わせないのですが、静岡の国労の臨時大会前後をもって新潟監理局で創刊されているのでありますが、その労働情報、あるいは新潟国鉄労働情報とか、いわゆる労働情報、こういう名前のものが新潟監理局の労働課長の公文書の形で発行をせられておる。これは総裁御存じでございますか、お尋ねします。
○吾孫子説明員 新潟の監理局におきまして、局の労働課長の名前で労働情報というものを出しておることは承知いたしております。
○小林(進)委員 その情報が不当労働行為に該当するかいなかということをお考えになったかどうか。私は不当労働行為になっておる、かように解釈しておりますが、御存じになっておりまするならば、その見解もあると思います。一つ総裁あるいは吾孫子理事の御所見を承わりたい。
○吾孫子説明員 局の情報に限らず、不当労働行為にわたるようなことをやってはならないということは常々厳重に注意をいたしております。そのような情報が不当労働行為になるというようなことはないはずであるというふうに思っております。
○小林(進)委員 これは全部あなたお読みになりましたか。
○吾孫子説明員 私自身は全部は読んでおりません。
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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第9話

2024-03-12 11:45:36 | 国鉄関連_国会審議

本日も、新潟闘争後の組合に対する当局の不当労働行為についての質問が十河総裁に対して行われており、その9話目となります。

国労組合員は昇級できない?

本件では、昇級の問題が組合で差別されているのでは無いかと言う視点で質問が続けられています。
この質問では、第二組合〔新潟地方鉄道労組)に加入したものは全員昇給しているのにも関わらず、国労組合員は昇給の資格を持っているにも関わらず見送られたとして、6名が国労であったので昇給を止められたと発言しています。

次になおお伺いいたしたいと思うのでございますが、特に労働者が一番自分の身にこたえてつらいのは、昇給の問題です。給料のストップや停止の問題です。これはこの人たちの終生を支配する重大問題でございますが、こういうようなことが新潟地本において公然と行われておるのでございまして、私の調べました問題だけでも、国労です、その国鉄新潟労働組合に所属したことだけで不当な差別を受けている。その事例を申し上げますと、まず第一は昇給問題でございまするが、有資格者の昇給です。有資格者で昇給に落された者、これが新津の車掌区において六名、全部国労です。しかるに同じく新津の車掌区におきまして、抜擢昇給または無資格者で昇給をいたしました者が二名おります。その二名はだれかというと、全部第二組合の組合員です。そして昇給をストップされた者は全部国鉄労働組合の職員です。

 次は新潟の電務区でございます。新潟の電務区には有資格者で昇給をストップされた者が七名ございます。その七名全部が国労の組合員であります。しかるに同じくこの電務区の職場において、抜擢昇給または無資格者で昇給した者が五名もございます。そのうちの一名は助役であります。河村局長の意を体して一生懸命に第一組合を弾圧いたしました助役が、この抜擢の栄誉に浴しております。なお次の四名は全部第二組合の組合員でありますし、そのうちの一名は実に二十二日病気欠勤をいたしました。これはたしか無資格者である。それが第二組合員なるがゆえに昇給をいたしております。

このような事例が実際にあったのか否かは、引き続き他の資料等も参照しないとなんとも言えないわけですが、当時の当局はかなり強気な組合対応を行っておりました。
その例として、昭和38年には勤務時間内入浴が横行していた田町電車区にあって、何度か警告の通達を掲示した後、勤務時間内入浴中の電車区職員を風呂場から連行して懲戒免職にするなど、組合に対しての姿勢が強行に感じられる事例が発生していましたので、当時、新潟でこのような組合による昇級の違いがあったのか否かは一概に言い切れないものの、不当な昇給停止は生活の問題もありますので、必ずしも組合員側の意見だけを鵜呑みにしてはいけないので、極めて可能性は少なく、それなりの合理的な理由があったように考えます。

そして、そう考えた理由は次章で書かせていただきます。

当局は組合による差別は行っていない

当然ながら総裁が現場の個々の組合員の昇級事情について知ってるわけがなく、同席していた、常務理事の発言が行われていますが、ここでの有資格者でありながら、昇級が見送りなった、その反面病休者であったが、昇格したものがあったがその物は国労組合員では無かった。
結果的に、国労組合員二名が排除される形になった事に質問をしています。

これに対して答弁した理事の発言では、長期病休などで昇級が延期になったものへの救済措置であることとしており、その背景にはその前にも病休などでの昇級が遅れていたのかもしれませんので、それこそ、人事記録を確認しないとなんとも言えないわけで、その結果予算の関係もあり昇級枠から外れたという理由になるかもしれません。

ただ、当時の国鉄当局はかなり強気な労使対決姿勢を示しているところがあり、又新潟鉄道管理局長〔当時〕は新潟闘争でも一歩も引かなかったこともあるようにかなり強気で、角藤の拠点でも有った新潟局の国労組合員に対して強気の対応をしていた可能性も捨てきれないように考えられます。

現時点ではこれ以上の資料がないので、私も調べようがないのですが新たな事実が判れば新たに、書き起こしていきたいと考えています。

続く


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************************以下は、国会審議議事録です*************************

○小林(進)委員 そういう気まま勝手な、絶対ございません、あれば事情を勘案して適当な処置をしますなどという御答弁には、私は満足するわけにはいきませんが、それは最後の結論に待つことにいたしまして、次になおお伺いいたしたいと思うのでございますが、特に労働者が一番自分の身にこたえてつらいのは、昇給の問題です。給料のストップや停止の問題です。これはこの人たちの終生を支配する重大問題でございますが、こういうようなことが新潟地本において公然と行われておるのでございまして、私の調べました問題だけでも、国労です、その国鉄新潟労働組合に所属したことだけで不当な差別を受けている。その事例を申し上げますと、まず第一は昇給問題でございまするが、有資格者の昇給です。有資格者で昇給に落された者、これが新津の車掌区において六名、全部国労です。しかるに同じく新津の車掌区におきまして、抜擢昇給または無資格者で昇給をいたしました者が二名おります。その二名はだれかというと、全部第二組合の組合員です。そして昇給をストップされた者は全部国鉄労働組合の職員です。

 次は新潟の電務区でございます。新潟の電務区には有資格者で昇給をストップされた者が七名ございます。その七名全部が国労の組合員であります。しかるに同じくこの電務区の職場において、抜擢昇給または無資格者で昇給した者が五名もございます。そのうちの一名は助役であります。河村局長の意を体して一生懸命に第一組合を弾圧いたしました助役が、この抜擢の栄誉に浴しております。なお次の四名は全部第二組合の組合員でありますし、そのうちの一名は実に二十二日病気欠勤をいたしました。これはたしか無資格者である。それが第二組合員なるがゆえに昇給をいたしております。

 長岡電務区の例を申し上げます。ここでは五名が昇給のストップをされております。全部国労の労働組合員であります。二名が抜擢昇給または無資格者で昇給をいたしております。その二名のうちの一名は第二組合員、組合の役員であります。他の一名は、第二組合員にして、これは三十八日間病欠をした人です。いわゆる無資格者であります。しかし第二組合員なるがゆえにということで抜擢昇給いたしております。

 関屋駅のことを申し上げましょう。二名が有資格者にして落されております。これは全部国労であります。二名が抜擢昇給または無資格者で昇給されている。一名は駅長です。関屋駅長というのは、実に弾圧の名手です。これがちゃんと抜擢昇給されておる。そして一名は第二組合員にして三十五日間の病欠です。病気欠勤をいたしました。しかしこれは昇給をしている。こういうような事例があります。いかに当局側が弁明しましょうとも、私が先ほど言うように、大衆の目はごまかせない。労働者はお互いの昇給やストップにはみんな敏感であります。自他ともに許す自分の昇給のストップなら、これは了承いたしましょうけれども、だれもが了承しない、ただ第二組合員なるがゆえに二十八日、三十五日休んでも昇給している。りっぱな有資格者も第一組合員なるがゆえに昇給しないという事例が、小さなこの地域の中にもかくのごとく現われている。これは私が調査した一部分だけの問題であります。おそらく新潟監理局を全部調べたら、こういう問題がもっと出てくるのではないかと思います。

 次に第二の問題といたしまして、組合活動をいたしたがゆえに、組合活動を理由にして昇給を停止された国鉄労働組合の員数を参考までに申し上げます。これは現在判明したものだけであります。これも私の調査でございますが、第一組合、国労の組合活動をしたということによって昇給のストップをされた者が酒田支部において二十六名、坂町支部において三省、新津支部において九名、新潟支部において十六名、四吉田支部において八名、柏崎支部において一名、長岡支部において七名、直江津支部において十三名、計八十三名、こういう数字が現われております。

 総裁、第三番目の問題を申し上げましょうか。第一国労に所属しているがゆえに特別に圧迫をせられた典型的な事例として一応関屋駅の事例を私はここで申し上げます。関屋の駅というのは定員二十七名の中で国労組合員が二名、第二組合員が二十二名、管理者が三名でございますが、そのうち昇給の有資格者が十九名あります。そのうち国労の組合員が二名、第二組合員が十六名、管理者が一名おるのでございますが、この国労組合員二名はそのまま昇給ストップをせられておりまして、第二組合員の十六名は全員昇給、管理者、駅長も抜擢昇給、しかも無資格者にして第二組合員が一名、管理者が一名、関屋駅においても昇給いたしておりますが、国労組合員二名だけはそのまま置き去られている例が明らかになっておるのでございます。

 以上申し上げましたように国労の組合員であるがゆえに全部が昇給していない、第二組合員全員が昇給している。さらに本部本社間の協定で無資格者として欠格条件に該当している者までがちゃんと第二組合員なるがゆえに昇給している。管理者につきましても有資格者が全員昇給し、さらに公然と第二組合の育成を関屋駅長は行なったがゆえに、昇給の時期でもないのに抜擢昇給している事実があるのであります。こういうような具体的事実について、総裁はまさかこれを否定されないと思うが、御所見を承わりたいと思います。

○十河説明員 私は多数の職員が一々どういうことをしたか、どういう事情によって昇給がどうなっているかということは存じませんが、単に甲の組合に属するから昇給する、乙の組合に属するから昇給させないというようなことは絶対にありません。それから単純に組合活動をやったからということで圧迫せられるというふうなことはないと存じます。

○小林(進)委員 私は具体的にこのように数字をあげて、職場も申し上げておるのでありますから、その職場の事情はこうだ、ああだと、いま少し具体的にうがった説明をしていただかなければならぬ。そういう不親切な答弁は私はいただきかねる。

○十河説明員 私自分で答弁したいのですが、そういう一人々々の各駅のこまかい事情は私存じません。もし必要があるならば、吾孫子常務が知っておれば、吾孫子常務の知っておることだけはお答えいたさせます。

○吾孫子説明員 ただいま御指摘になりました一つ一つのことについて必ずしも全部わかっておるわけでもございませんが、ただいま総裁が申されましたように、組合の所属によって昇給に差別をつけるというような扱いは絶対いたしておりません。その一つの例として申し上げますが、たとえば長期欠勤者は普通欠格条項ということで昇給からオミットされるのが原則でございますが、しかし同じ理由で二回以上昇給からは落さない、それから昇給定年というのがございますが、その定年を著しく超過した者に対しては不利益な取扱いをしない、従来そういう方針で行なっておるわけでございます。そういう考え方でおりますので、欠格条項に触れる者でも特に長期にわたって昇給できないような者につきましては、事情気の毒でもありますので例外の扱いをいたすこともあるわけでございます。それで今度の七月の昇給では新潟局の管内で十名ほど欠格条項に触れる長期欠勤者を特に昇給させております。その内訳を申しますと、国鉄労組の組合員が七名、機労の組合員が一名、それからいわゆる第二組合、新地労の組合員が二名でございます。なお、今申しました国労の組合員の七名の中には、百七十八日あるいは百四十七日というような相当長期にわたる病気欠勤者も昇給させておるのでございまして、新潟地労の組合員二名の方はそれぞれ三十八日、二十七日という程度の欠勤でございますが、そのように組合の所属によって不公平な取扱いをするということは一切いたしておりません。一つの例として御報告申し上げます。

○小林(進)委員 私は、ただいま私が申し上げました数字は、これは速記ができていると思いますし、できなければまたあとでお上げしておきますけれども、この職場と数字に対して一つ早急にお調べを願いまして、具体的な回答を書面でいただきたいと思います。

○吾孫子説明員 調査の上お答えいたしたいと思います。

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第8話

2024-02-08 09:51:28 | 国鉄関連_国会審議

久々に更新させていただきます。
今回も、社会党の小林進議員の質問となります。
小林議員は新潟選出の社会党議員と言うこともあり、新潟闘争と当時の管理局長による職制に対する不当労働行為について厳しく糾弾しています。
当時の河村勝局長は、本社の労務畑出身であり、新潟は伝統的に革新系の土地柄ということもあり、特に国労新潟地本は、革同の拠点の一つでもあったことも有るかと思いますが、新潟地本所属の役員を懲戒免職にしたことからこの闘争が始まったことは既に何度か記述してきたところですが、新潟闘争後に管理局長が初級管理者と言える班長に対して、不当労働行為と言えるような、組合への勧誘というのが行われたのかという点が質問されているのですが、可能性は全くなかったのではないかというのが個人としての見解です。
組織としては異なりますが、私も郵政局に勤務していた頃、係長(郵便局では課長であるが郵政局では係長として一般職員扱いであり、組合への加入ができる)から、オルグを受けたことがありました。

当時の私は、全逓組合員でした。
より正確に言えば、実は郵政局に転籍後一度は全郵政に移籍したのですが、元の郵便局の人から、いきなり移籍するのは怪しからんとして、引き戻された経緯があったのです。
その後変更する機会もあったのですが、むしろ全逓であっても仕事は人一倍するのだという意識で働いていたこともあり、全郵政に移籍するチャンスを失ってしまったという経緯があったわけです。
まぁ。私の場合全郵政への移籍を係長から打診されてそれを拒否したところ、降格願いを出せという理不尽なことを言われましたので。
こうした、今で言えばパワハラ行為と言えそうなものが全くなかったとは言いがたい部分もあります。

実際、生産性運動の時にも一部の助役クラスが、鉄労への加盟を促すのが助役の仕事であるとして、そうした発言を録音されたという事例もありますので、一概にあり得ないというのは難しいかもしれません。

前置きが長くなってしまったのですが、当時の小林議員と十河総裁の答弁を改めて見ていきたいと思います。

小林議員自身が直接各分会に足を運んだと記しており、この辺は恐らく事実で有ろうと思われます。以下は、とある分区長の証言として発言したものであり、本文から抜粋してみます。

私自身もまた身を挺して調べないと無責任なことをしゃべったのではどうも申しわけない、こういう考えで、まる一日わが新潟鉄道管内の一地域職場の中に入りました。労働者諸君とひざを交え、あるいはみずから足にまめを出しながら、大体四十か五十の各分会、職場を回りながら調査をいたしました。その私の調査によりますと、大体こういうことがある。それは一つの分区長もし総裁がうそだとおっしゃるならば、だんだんほんとうのその人の具体的な名前を申し上げてもよいが、今のところは固有名詞を申し上げるのは控えておきたいと思いますけれども、これは一地域の信号通信区の助役です、この人が信越線の田口信号通信区に出張いたしました。そして車両ダイヤを説明するからということで組合員を集めた。集めておいて、新潟地本は共産党だという訓話に終始し、みずから脱退名節を印刷いたしまして、これに職場の組合員に強制的に捺印をせしめた。これに押せ、お前は第一組合をやめて、そして第二組合に入りなさいと言って捺印をさせました。さらにその助役が言うには、このことは局長から私に対するじきじきの命令でやっておるのであるから、文句があったら私に言わず河村局長に言ってくれ、盛んにこういうような言葉を使って、車両に対するダイヤの説明は一つもなかった。こういうことがあるのでございます。これが一例でございます。

この証言だけで、組合の変更を強要したとは、確証としては弱いように感じますが、少なくとも古野助役と呼ばれている人自身は、上長から通達文書が来たからそれに従ったということだと思うわけで、こうした場合人事課なりが発出した通達文書であれば当然のことながら局長名となるでしょうから。この証言を持って、管理局長が直接指示をしたとはならないわけで、この辺の攻め方はある意味上手い交渉術だと言えそうです。

更に、次のように発言が有ったと証言しています。
冗長になりますので、箇条書きで書かせていただきますが。

  • 組合活動による休暇は認めず、仮に休暇であっても組合活動であることが判明したら事故欠勤扱いとすると発言
  • 組合員を近くの飲食店に連れて行き、酒を飲ませ、飯を食わせながら、一生懸命第二組合に入ることの勧誘する
  • 暗に人事異動を仄めかして、第2組合に入れば免れるだろうと助役が呟く

主任なり分区長から聞いたと証言しているのですが、誰からそのような説明を受けたのかというのが実は不明瞭で、最初の休暇は認めず・・・というのは、分区長自身がそのように行ったのか否かも不明です。

当然と言えば当然ですが、十河総裁の答弁自身もその証言を持って、そうした管理局長が直接指示を出したとは言えないと発言をしておりますが、当然のことと言えましょう。

続く

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************************以下は、国会審議議事録です*************************

○小林(進)委員 この問題はとうてい水と油の議論でありますから、この程度にしておき答弁を願いたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、管理局長分区長や現場長、助役等にそのような教育訓示を行いましたその結果、それが具体的に職場にどう現われておるか。いやしくもやはり、国会のこういう公けの舞台において質問するからには、私自身もまた身を挺して調べないと無責任なことをしゃべったのではどうも申しわけない、こういう考えで、まる一日わが新潟鉄道管内の一地域職場の中に入りました。労働者諸君とひざを交え、あるいはみずから足にまめを出しながら、大体四十か五十の各分会、職場を回りながら調査をいたしました。その私の調査によりますと、大体こういうことがある。それは一つの分区長もし総裁がうそだとおっしゃるならば、だんだんほんとうのその人の具体的な名前を申し上げてもよいが、今のところは固有名詞を申し上げるのは控えておきたいと思いますけれども、これは一地域の信号通信区の助役です、この人が信越線の田口信号通信区に出張いたしました。そして車両ダイヤを説明するからということで組合員を集めた。集めておいて、新潟地本は共産党だという訓話に終始し、みずから脱退名節を印刷いたしまして、これに職場の組合員に強制的に捺印をせしめた。これに押せ、お前は第一組合をやめて、そして第二組合に入りなさいと言って捺印をさせました。さらにその助役が言うには、このことは局長から私に対するじきじきの命令でやっておるのであるから、文句があったら私に言わず河村局長に言ってくれ、盛んにこういうような言葉を使って、車両に対するダイヤの説明は一つもなかった。こういうことがあるのでございます。これが一例でございます。

 その次の例といたしましては、これは一地域の分区長でございますが、去る九月二十四日に新潟地本をつぶせという局長の説明を聞いてから、職場に帰ってこられて、新潟地方本部は非合法組合なんだから、今後一切年休と組合休は認めない、地本の組合活動のために、お前が法的に定められている年休とか、組合休をとることは認めない、こういうようなことを言いまして、もし年休をとって出ていっても、組合活動をしている場合には、それは直ちに事故欠に変えてしまう、こういうようなことを組合員に公然と言明している。こういうような局長もいられるのであります。またある主任は、自分が直接掌握をしておりまする組合員を近くの簡単な料亭簡単な料亭です、高尚なものではない。その料亭に行って、酒を飲ませ、飯を食わせながら、一生懸命第二組合に入ることの勧誘をしている。そしてまたある主任はこういうことも言っているのです。どうもこの職場から二名ばかり相当強い労働の場所に転出をしなければいけない、第二組合にでも入れば出すわけにはいかないだろう、こういうようなひとり言を言いながら組合員に転出の話をする。その中には、二年ばかり結核をやられて療養生活をして、そしてその職場へ帰ってきた人がおりましたが、その話を聞いて身ぶるいした。そんなことで次の重労働を要する職場へ転出させられたら、私のからだは参ってしまうということで、とうとう泣く泣く第二組合に入ることに承諾をした。こういうような事実の話も伝わっておるのでございまするが、総裁いかがでございましょうか、こういう事実を御存じになっているかどうか、お伺いいたしたいと思います。

○十河説明員 私はそういう事実があるということを存じません。またそういうことがあると思われないのであります。どなたからお聞きになったか知りませんが、それは言葉の行き違いか何かで誤解があるんではないかと思います。私はそういう事実があったということを存じません。知りません。なかったと思います。

○小林(進)委員 私はその人の名誉を尊重いたしまして、ただいままで固有名詞はここにありまするけれども申し上げないのであります。総裁は型のごとく存じません、なかったと信ずるとおっしゃいますが、しからば事実あったときには、もう具体的に名前があるのですから、これが事実あったという証明が立った場合には、一体どう処置されますか、お伺いいたしたいと思います。

○十河説明員 あったといたしますると、そのときの事情によって、実情をよく勘案いたしまして適当な処置をとりたいと存じます。

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第7話

2024-01-19 19:00:56 | 国鉄関連_国会審議

本日も、衆議院社会労働委員会の記事から抜粋させていただきます。

飛び飛びになってしまって読みにくいことこの上ないのですが、ある時期にまとめて電子書籍化などできればとと考えております。

さて、今回も十河総裁に対しての質問は続くのですが、小林委員は、十河総裁の国鉄一家主義的発想である、「部下を子供のように愛する」という発言に対して、多少意地悪とも取れる質問をしています。

すなわち、「その子供というのは、局長でございますか、働いている末端の組合労働者全般のことでありますか」

と言う質問なのですが、こうした質問をされて、局長はかわいいが、現場の従業員は使い捨てだとは言える訳ではないわけですから、中々意地悪な質問のように見えますし、実際にそうであったのであろうと思うわけです。

○小林(進)委員 わが部下を子供のように愛するとおっしゃいました。その子供というのは、局長でございますか、働いている末端の組合労働者全般のことでありますか、お伺いいたします。

○十河説明員 私にとりましては局長も子供であります。局長の部下もまた私にとっては子供であります。私は一視同仁に、いずれも子供のようにかわいがっておるつもりであります。

当然と言えば当然なわけですが新潟闘争に関する質問が出てくるのですが、ココで新潟鉄道管理局が不当な解雇を行ったとしているのですが、従来までは処分の段落としにより懲戒免職などはなかったわけですが、今回革同派の拠点であった新潟で、組合役員を解雇した事に対しての質問が上がっているわけです。

更に、国労内でも革同派と民同左派の温度差は有るわけで、国労本部の指示以上の過激な行動をする新潟及び、宇部分会は国労としてもかなり目の上のたんこぶで有ったと言えそうです。
そこで、当時の管理局長が、国労の分会役員を懲戒解雇にしたことで、問題が大きくなり。

国労としては、処分撤回闘争を行うこととしたわけですが、この処分撤回に応じないことから膠着状態となり。
やがて、その反動は新潟闘争という形で全面対決になるわけで、どちらも一歩も引けない状態となったのでした。

さて、ここでの小林委員の質問は続くのですが、当局は「悪」であり、組合員は「善」であると言っても過言でないような発言をしているのはちょっと、引いてしまいますが。苦笑

○小林(進)委員・・・・中略 自民党や保守党の諸君は組合の幹部などというと、なかなかどうもちりあくたか、非常な強盗か気違いのように、思想悪化のおそろしき人物のように考えておる人たちがまだおります。しかし私どもは労働組合の幹部を、その私的生活は、家庭に入っては平和を愛し、妻を愛し、子を愛し、隣近所のつき合いも裏も表もない、実に崇高なる清潔な生活をしているものだと信じております。

ちょっとココまで来ると、どう言って良いのかと思ってしまいますが、考え方の多様化という点で理解したいと思います。

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************************以下は、国会審議議事録です*************************

○小林(進)委員 わが部下を子供のように愛するとおっしゃいました。その子供というのは、局長でございますか、働いている末端の組合労働者全般のことでありますか、お伺いいたします。

○十河説明員 私にとりましては局長も子供であります。局長の部下もまた私にとっては子供であります。私は一視同仁に、いずれも子供のようにかわいがっておるつもりであります。

○小林(進)委員 それでは、話がまだ具体的な問題に入らない前に、時間の制約もあるんでなんでありますが、私はそのお話を聞くと質問をしなければならない。昨年の七月に新潟闘争が行われました、その新潟闘争はわれわれの調査によれば、当局側の不当なる馘首によってあのような不当なる問題が惹起したのである、われわれはこう解釈しております。しかしその内容については、経営者たるあなたと第三者たるわれわれの間には見解の相違があるかもしれません。私はその問題の真相をあなたとここで争うというのではないのでありますけれども、両方ともみんなわが子のようにかわいい愛情を持っているとあなたがおっしゃるならば、あのような不祥事が起きたならば、警察官と一般組合、検事や判事と組合ならともかく、いわゆる管理者と労働組合、職員という関係にあって、あなたから見れば一視同仁の愛情をもって見るという、そういうものの間に一つの争いが起きた。一般大衆に大きな迷惑をかけるような争議が起きた。それに対してあなたはさらに追い打ちをかけて、一方的に組合の幹部だけを大量に馘首をせられて、そして一方の大衆にえらい迷惑をかけた新潟鉄道監理局内の管理局長初め経営者陣に対しては何ら制裁処分をしておいでにならない。これはどうも不公平なやり方じゃありませんか。俗言にもけんか両成敗という言葉があります。けんかがあれば両成敗。しかるにあなたは一方の方に対しては何らの措置をせられないということは、これを同等に扱うという御主張からながめればはなはだ理解に苦しむ。不公平なやり方ではないかと思う。いかがでございましょう、御答弁願いたいと思います。

○十河説明員 私は部下を子供のごとく愛しておりますし、馘首をするということは私の忍び得ないところであります。しかしながら私には国民の国鉄を預かっておるという責任があります。国法によって、残念ながら違法なことをしたような場合にはやむを得ずそういう処置に出ざるを得ない場合もあります。そのことは御了承を願いたいと存じます。

○小林(進)委員 私は先ほどから申し上げておりますように、法律に違反するように、法律に違反するということは、一視同仁の愛情を持つという国鉄総裁の立場ではないと私は言っておる。そのために検事局もあれば裁判所もあるし警察もあるじゃないか。私は国鉄総裁のあなたが一視同仁に考えている、俗に言う国鉄一家内部の争いであるならばそれはやはり火のないところに煙は出ないです。それでやられて、不当なる馘首で首を切られたり不当なる弾圧を受けた。だからそういうような問題が出てくる。私は今も言われたように、たまたま一視同仁に見られたというから私は申し上げる。自民党や保守党の諸君は組合の幹部などというと、なかなかどうもちりあくたか、非常な強盗か気違いのように、思想悪化のおそろしき人物のように考えておる人たちがまだおります。しかし私どもは労働組合の幹部を、その私的生活は、家庭に入っては平和を愛し、妻を愛し、子を愛し、隣近所のつき合いも裏も表もない、実に崇高なる清潔な生活をしているものだと信じております。総裁もそういう信頼の気持でいま一回各組合の人たちをながめていただきたい。組合員はばかではないのです。国鉄三十六万の各職場におる組合員はばかではない。自分たちが選び出した組合の幹部が私的生活でどのようなことをやっておるか、大ぜいの目で見ておるのです。局長や何かはあなたの目をごまかせば何でもできるけれども、大ぜいの大衆の中にある組合の幹部などというものは倉石労働大臣なんかまだ笑っておられますけれども、そんな甘いものではございません。しかし私的生活などというものは、実にわれわれが知る範囲においては崇高なものだ。間違えば直ちに次の改選期には大衆の討議によって捨てられるのだから、みんな没落していくのだから、そういうりっぱな人たちがやはり大衆の意向や組合員の要望に基いて争うべき当然の理由があって、労使対立して争っておる。あなたのいわゆるかわいい子供たちが二つに分れて争っておるのです。それをあなたは一方的に国法に反しておるからとか、あるいは法律に反しておるからとかいうような理由で、検事や判事と同じような理由で、忍びないという首を切られることは、あなたの言われる言葉は腹の中に一つの矛盾があるのではないかと思いますが、いかがでありますか。

○十河説明員 私は先ほど申し上げましたように、首を切るというようなことはしたくないのです。私の私情においてははなはだ遺憾でありますが、国民の国鉄を預かっておるものとして、やむを得ずそういう処置に出ざるを得なかったことを非常に遺憾に存じております。

 

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第6話

2024-01-07 23:52:00 | 国鉄関連_国会審議

昨年の8月17日以来の更新になりますのでいささか間が開きすぎてしまったのですが、改めてご覧いただきたいと思います。

小林議員からの質問に対して、十河総裁が以下のように質問の内容に相違があるとして返答しているわけですが。どのような内容であったのか改めてここにアップさせていただきます。

内容としては、当時の新潟管理局長が新しく管理職に任命をされた分区長に対して、国労新潟地本を潰したいので第2組合を作れと発言した。第2組合を結成できない管理者は降格して貰うと発言しており、新任管理者も困惑したと言った内容でした。

国鉄労働組合新潟地方本部の執行委員長相田一男氏が、新潟鉄道管理局長河村勝殿あてに公開質問状を発しておりますので、それを一つ具体的な説明の内容にかえて私は読み上げたいと思う。
 これによりますと
「一、局長としては第二組合を育成し、国労新潟地方本部をどうしてもつぶしたい。そのためには現場長や助役に頼ってももううまくいかない。今度は諸君らが第二組合を増やすよう頑張ってもらいたい。第二を増やすには諸君が日常組合員と作業の上で緊密に結びついているので一番よい。二、第二組合のないところでは何をしているのであろうか。柏崎保線区は一番成績がよい。諸君らのやることはすぐ結果としてあらわれるから、やっているかいないかすぐわかる。三、このことに異議のあるものはこの場所でいってもらいたい。四、このようなことのできないものは管理者としての資格がないから技術掛、営林掛、工手長に格下げをする。五、自分は新潟地方本部をつぶすまで新潟にいる心算だから頑張ってもらいたい。」
 これらのことは昼食の会食時にもおこなわれ、そのため参会者は異常な緊張感につつまれ、極度の疲労を感じたと報告されています。
 このようなことは明らかに不当労働行為であり、かつ反民主主義的行為であります。貴殿は常に労働情報を通じ新潟地方本部を暴力的とののしり、ばり雑言をあびせかける等の暴挙をおこなっておりますが、これらは第二組合の宣伝と軌を一にしており、今回の分区長会議における貴殿の訓示も第二組合と一体となった暴挙と断ぜざるを得ません。

この質問に対して、十河総裁は行き違いがあるようであるから誤解を招いたとしたらお詫びするとして締めくくっているわけですが、左欄これに対して小林議員は質問を続けて行きます。
この質問によりますと、

○十河説明員 ただいまの御質問の質問状が出ておるということは、報告を受けております。しかしながらその質問の内容については事実と相違しておるという報告を受けておるので、私といたしましては、たとい事実相違のことでも、そういう誤解を受けて、こうやって皆さんにいろいろ御心配いただくことは、はなはだ相済まぬことだと恐縮に存じております。以下、略

○小林(進)委員 私はこれから逐次具体的な問題について総裁にお伺いをいたしたいと思うのでございまするが、中略、総裁が今のような御答弁で、まあ事実と相違しているけれども云々というようなお話で終始せられますると、われわれは残念ながら理事会の申し合せによってさらにまた次にこの問題を追及する別案をとらなければならぬのであります。どうか一つ知る範囲において、こういうむだな時間の浪費がないように、努めて懇切丁寧、具体的に御答弁をお願いしたい、こう思うのでございます。
 具体的な事例をあげる前に、私はまたここで一つ、抽象論になるかもしれませんが、監理局長の任務というものを総裁から承わっておきたいと思うのでございます。これは情報じゃなくて、私が直接監理局長に会ったときの話でありまするけれども、彼は私と二人の対談の中でもちろん泉とかいう総務部長もそばにおりましたが、対談の中においても彼はしばしば、組合には勝たねばならぬとか、この一戦には負けられないとか、断じて勝たなければならないとか、何かこう話を聞いていると戦争か、けんかをしていられるような気がしてくる。はて、初めは私はこの新潟監理局長は戦争の話をしているのかと思いまして、だんだん聞いてみますると、相対立している組合に勝たねばならぬ、負けられない、断じて勝つと、こういう話をしておる。私は、経営者、管理者というものが労働組合というものをけんかの相手や戦争の相手にして、勝つとか負けるとか、死するとも帰らずなどというようなそういう考え方でいって、組合行政なり職場行政をおやりになっていることが、これは監理局長としての本来の職務なのか。国鉄の総裁は、組合に断じて負けるな、その戦いには勝て、そういうような指令を監理局長にお出しになっておるのか。それが監理局長のほんとうの仕事なのか、職務なのか、この点を一つ承わりたいと思います。

○十河説明員 初めに申し上げましたように、事業経営で最も大切なものは人間であります。人であります。私は、私の部下をわが子のごとくに絶えず自分もかわいがっておる。それから私の部下に対しても、そういうふうにかわいがって大事にしなければならぬということを常に申しつけております。従って、そういう敵だなんていうことは、極力ときどき新聞で組合の情報なんかに出て参ります。私は、そういうことは絶対に考えてはならぬということを常々戒めております。河村局長も私の意を体して常々やってくれておると私は今日までも信じておるのであります。

新潟管理局長は組合に勝たねばならないとして何度も言っていたとして、組合を敵視しているではないかと質問しているわけですが、これはいささか主張として誇張した表現ではないかと思ってしまいます。
確かに、組合に対して強い態度で新潟闘争の時も強い態度を取っていますが、言葉尻を捕らえられるような事はしないのではないかと思うわけで、その点は十河氏としてもそのようなことはないのではないかと証言しています。

あくまでも、こうした議事録などでの発言だけで判断するので真相は?となりますが、十河氏の発言は、古き良き時代の鉄道省の頃に見られた大家族主義の思想が背景にあるようにも見受けられます。

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************************以下は、国会審議議事録です*************************

○十河説明員 ただいまの御質問の質問状が出ておるということは、報告を受けております。しかしながらその質問の内容については事実と相違しておるという報告を受けておるので、私といたしましては、たとい事実相違のことでも、そういう誤解を受けて、こうやって皆さんにいろいろ御心配いただくことは、はなはだ相済まぬことだと恐縮に存じております。今後はそういうことのないようにということを戒めておる次第であります。

○小林(進)委員 私はこれから逐次具体的な問題について総裁にお伺いをいたしたいと思うのでございまするが、そもそも、総裁にここへおいで願います前に、本理事会においては、現地の局長とそれに対立をいたしまする労働組合の責任者と両方来ていただいて、そうして一つわれわれ社労委員会において真相の追及をしようじゃないかということで、相当議論をかわしたのでありまするが、権威ある国会において即時に現場の局長まで呼ぶのもどうかと思われるから、まず総裁をお呼びして、総裁から誠実のあるお話を承わってそれでなおかつ納得のいかないときには、次の手段として現場長なりあるいは監理局長なりを呼ぶか、あるいは国会で視察をするかということにして、一応まず総裁においで願おう、こういう話ができ上っておりますので、総裁が今のような御答弁で、まあ事実と相違しているけれども云々というようなお話で終始せられますると、われわれは残念ながら理事会の申し合せによってさらにまた次にこの問題を追及する別案をとらなければならぬのであります。どうか一つ知る範囲において、こういうむだな時間の浪費がないように、努めて懇切丁寧、具体的に御答弁をお願いしたい、こう思うのでございます。

 具体的な事例をあげる前に、私はまたここで一つ、抽象論になるかもしれませんが、監理局長の任務というものを総裁から承わっておきたいと思うのでございます。これは情報じゃなくて、私が直接監理局長に会ったときの話でありまするけれども、彼は私と二人の対談の中でもちろん泉とかいう総務部長もそばにおりましたが、対談の中においても彼はしばしば、組合書には勝たねばならぬとか、この一戦には負けられないとか、断じて勝たなければならないとか、何かこう話を聞いていると戦争か、けんかをしていられるような気がしてくる。はて、初めは私はこの新潟監理局長は戦争の話をしているのかと思いまして、だんだん聞いてみますると、相対立している組合に勝たねばならぬ、負けられない、断じて勝つと、こういう話をしておる。私は、経営者、管理者というものが労働組合というものをけんかの相手や戦争の相手にして、勝つとか負けるとか、死するとも帰らずなどというようなそういう考え方でいって、組合行政なり職場行政をおやりになっていることが、これは監理局長としての本来の職務なのか。国鉄の総裁は、組合に断じて負けるな、その戦いには勝て、そういうような指令を監理局長にお出しになっておるのか。それが監理局長のほんとうの仕事なのか、職務なのか、この点を一つ承わりたいと思います。

○十河説明員 初めに申し上げましたように、事業経営で最も大切なものは人間であります。人であります。私は、私の部下をわが子のごとくに絶えず自分もかわいがっておる。それから私の部下に対しても、そういうふうにかわいがって大事にしなければならぬということを常に申しつけております。従って、そういう敵だなんていうことは、極力ときどき新聞で組合の情報なんかに出て参ります。私は、そういうことは絶対に考えてはならぬということを常々戒めております。河村局長も私の意を体して常々やってくれておると私は今日までも信じておるのであります。

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第5話

2023-08-17 19:59:16 | 国鉄関連_国会審議

長らく間が空いてしまったのですが、第30回国会衆議院社会労働委員会第3号昭和33年10月7日の議事録からアップさせていただこうと思います。
長らく、郵政の話が続いたのですが、今回は新潟闘争に関しての当局の姿勢を問うと言うことで質問がなされています。

この記事によりますと、当時の新潟鉄道管理局長が処分を多発して、第二組合を作らせたのではないかという質問がなされています。

そこで、ここからは私の私的な見解と言うことを事前にお断りした上で見解を述べさせていただくと、新潟闘争における、組合員のその後の大量脱退は当局側の扇動と言うよりも組合員自身の行動であったと考えております。
更に言えば、国労の中でも、幾つもの派閥が存在して国労という存在自体も一枚岩と言えない状況の中で、特に左傾化傾向が強い革同派(国労における共産党系の組合内派閥。革新同志会)の行動は民同左派(民主化同盟・左派 社会党を支持するグループ)から見ても、行きすぎのと言う感覚を持っていることから、警戒という程でないにしろ少し距離を置こうとしていたと言う点。更に、新潟闘争後に設立される新潟地方労組自体は、最初から構成員の過半数が取れれば国労に復帰することを前面に打ち出していたことからも、全く見当違いの発言だと個人的には考えています。
と最初に書いたのですが、この国会質問では、当時の管理局長が第二組合を育てなくてはいけないとして、かなりハッパをかけたという記述がなされています。このことが事実なのか否かは、現在私には証明すべき資料がないので見解を述べることが出来ませんので、私の見解は述べないこととしますので、当時の国会でのやり取りを改めてご覧いただければ幸いです。

社会党からの質問

○園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について質疑を継続いたします。小林進君。
○小林(進)委員 委員長にお尋ね申し上げますが、去る9月26日の当社会労働委員会におきまして、新潟の国鉄管理局の不当労働行為についてわれわれは質問を開始いたしました。その結果、労働大臣並びに労政局長の御答弁が、まだその事実について御調査ができていない、こういうような御答弁で、はなはだ不満足なものでございましたので、その後の理事会において、国鉄の最高責任者でありまする総裁並びに関係理事者においで願って、そうして這般の問題についてさらに細部にわたってお伺いいたしたい、かようなことを決定いたしました。本日われわれの理事会の決定に基いて、国鉄の総裁並びに関係者がお見えになっておるかどうか、お伺いいたしたいと思います。

ちなみに、ここ小林進委員が質問している内容は以下のように、管理局長が現場管理者に対して第二組合を作れと指示を出したと言う内容で、ちょっとこの辺は更に掘り下げて見ないと見えてこない部分が有りそうです。

小林進委員は、社会党の議員で、昭和24年の当選以降連続11回当選の議員であったそうです。

以下該当部分を抜粋いたします。

 最近非常に不当労働行為が激しくなって参りました。われわれはさように考えております。それは至るところに頻発をいたしておりますが、そのはなはだしい不当労働行為の中で、特に最近われわれが経験いたしております中に、新潟の国鉄の管理局管内における不当労働行為の実にはなはだしいものがあるのでございまして、新潟鉄道管理局長によって行われております数多くの事犯というものは、まさにわが日本の労働組合法を無視しておる。そして民主政治を破壊し、権力で組合そのものをまさに抹殺しようとするのではないか、それほど封建制度に近い権力そのもののような労働行政が行われておる。私はその具体的な事例を一つここで申し上げてみたいと思います。
 それは今回鉄道局内におきまして新しく非組合員というものが作り上げられた。その新しい非組合員となりましたいわゆる分区長と称するものでありますが、分区長と称する職分にあるものを、いわゆるその管理局内の分区長を新潟鉄道局長は教習所の中に集合をさせまして、管理者の講習会を行なったのであります。その行うときに、どうも常日ごろとやり方が違う、異様な感じの会合をやったということ。ちゃんと一人々々の前にわれわれのように名札を立てまして、局長からだれのだれべえということがわかるように名札を立てておいて、局長は自分の机の上に青写真を置いて、顔と名前が相一致するような物々しい講習会の席を作り上げたわけでございます。そしていわゆる指令といいますか、訓辞といいますか、あるいは命令のようなことを言われた。すなわち、私は国労新潟地方本部というものをぶっつぶすために、そして第二組合を育成するためにあらゆる手を打ってきた。そのために現場長や助役にもそれぞれその第二組合育成の仕事をやらしてきたが、この人たちの力も、もう限度がきていてたよりにならない。今度は一つ諸君にやってもらわなければならぬ。どうか第二組合員をふやすように大いに努力してもらいたい。諸君は日常組合員と作業の上で緊密に結びついておるのであるから、第二組合を増すにも一番よい。大いに一つがんばってもらいたい。こういうことを言われた。それからまた今日、なおこの新潟鉄道管内に一人も第二組合員がいない職場があるが、これらは現場長、助役等の無能を証明しておる以外の何ものでもない。分区長としても第二組合を作れぬような者は、管理者としての資格がないのであるから、これは技術係、営林係、工場長に格下げをするほかはないから、それを一つ覚悟をしておいてもらいたい。なな第三番目といたしましては、自分は国鉄新潟地方本部をつぶすまで新潟でがんばるから、諸君も断じて一つがんばってもらいたい。こういうような大体三点に分れる内容の訓辞か指令をされた。しかも一回のみならず、今度はお昼のときに食堂に行くと、食堂に来てまた同じようなことを繰り返して、新しく生れた管理者に言われて、管理者自身も飯がのどを通らないいんうつな気持でその講習会を受けたという心情が吐露された。これは三十幾人の講習生から直接聞いたものの実際を大臣に申し上げているのでありまして、これは実に驚くべき不当労働行為であると思うのでございますが、一体大臣はこういうことに対してどういう所見をお持ちになっておるか。こういう管理局長の訓辞がどのような形で現場へ流れておるか。これも、私は大臣に御質問をするわけでございますから、そういう荒唐無稽のことをやっちゃいけないというので、その新潟鉄道管内における一地域の職場だけを私はみずから身を挺して調査をして参りました。その調査によりますと、その局長の指令の結果、これはどのように行われておるか。これは一つの職場でございますが、その中における分区長、講習を受けた分区長は、みずからはっきり明言いたしました。第二組合を作るのは局長の命令である、だから私はどうしてもやるのである。こういう言明をしておる分区長を一人発見いたしました。それからまたその地域における別の助役は、第二組合の発行しておりまする脱退書、第一組合を脱退して第二組合へ来いという脱退書を、第一組合員の間に一生懸命配って歩いておる。これは早く脱退届に名前を書きなさいと言わぬばかりの、言葉では言わないけれども、言わぬばかりの行為で、一生懸命助役がこれを配付しておる。こういうような助役にも私は遭遇いたしました。なおまた庶務主任、この人は第一組合員を、近くの、何ですか、料亭というほどまで高尚なものではございませんけれども、そこへ連れていきまして、酒を飲ませながら第二組合に入ることを盛んに勧誘をいたしております。なお後日、別なところではこういうこともやっているのです。組合員を呼んで、この職場から二名くらい他に転勤せしめなければならない、もっと労働の過重なところへ転勤せしめなければならないのであるが、しかし第二組合の組合員になればまたこちらも相当考慮しなければならないであろう、こういうようなことをほのめかしている。そういたしますると、からだの弱い、あるいは結核療養所に二年も入って帰ってきた者等は、こういうことを言われてふるえ上ってしまいまして、そして直ちに第二組合加入に泣きながら署名をする、こういうようなことも行われている。しかもこの一地域、私が調査いたしましたその職場だけにおきまして、昇給のストップをされた者が五名おりました。その五名はみんな第二組合にいかなかった人でございました。第一組合にとどまった者でございます。それからこちらの分会では十六名の人たちが同じく昇給のストップをされました。その中の十五名は全部第一組合です。勧告を受けたか、受けなかったか、受けた者もあれば受けなかった者もありますが、第二組合へいかない人たちでございます。こういうような賃金の差が明確に現われているのです。みんなまじめな人です。だれが見てもこれは、第二組合へいかなかったからこそ、あの人は賃金のストップを命ぜられたと労働者全部が見ている。 こういう歴然たる事実が、私が調査をいたしましたたった一つの地域の中にこれくらい行われておるのでございまして、一体大臣はこういうことをどのようなふうにお考えになっているのか。これはまさにわれわれが積み重ねてきた十何年の労働慣行と民主政治というものを、根本から破壊するおそるべき行為ではなかろうか。
 その他たくさんの事例がここに書いてありまするけれども、そう限りなく申し上げたのでは大臣も御答弁に困ると思いますので、一応この程度にしておきまして、また私は質問を繰り返したいと思います。どうぞよろしく一つお願いいたします。

まぁ、これだけを見るとにわかに信じがたい証言が飛び出してくるのですが、この辺は本当にどうだったのか、改めて何らかの証言を得たいところではありますので、労働図書館なども含めて新たに調査をして行く必要がありそうです。

さて、こうした経緯を受けて再び小林進委員が質問を開始するわけですが。
総裁が出席していないことにご不満のようです。

○園田委員長 総裁は。副総裁が来ております。
○小林(進)委員 副総裁一人でありますか。
○園田委員長 吾孫子理事が……。
○小林(進)委員 吾孫子理事と小倉副総裁がお見えになっておる。たしかわれわれの理事会におきましては、総裁においで願うように決定をいたしておるはずであります。副総裁にはおいで願いたいということをわれわれは決定いたしておりません。どうして一体総裁がお見えにならないのか。諸般の事情を一つお伺いいたしたいと思います。

この質問に対しては十河説明員(総裁)は参議院の方に呼ばれているとして、代理出席した旨を発言していますが、納得しなかったようで、十河総裁が来るまでしばし待機したと議事録には残されています。

そして、十河総裁が到着後質問は再開されたようです。そこで、以下のような質問をなされています。

○小林(進)委員 総裁が見えられませんので、しばらく私も一つお待ちをいたしたいと思います。それでは国鉄の総裁もお見えになったようでございますから、まず総裁に一つ御質問をいたしたいと思うのであります。実は本日御足労を願いました理由は、国鉄の新潟管理局内におきまして、昨今おそるべき不当労働行為が行われております。われわれの判断をもってしまするならば、労働組合法も憲法も全くじゅうりんをして顧みないような不当労働行為が新潟鉄道管理局長によって行われておる。これに対して先般われわれは労働大臣に質問をいたしたのでありまするが、大臣はまだ何らの報告を受けていないということで、的確な回答をわれわれに与えなかった。従いまして本日国鉄内部における最高の責任者でありまするところの総裁においでを願って這般の事情を一つ明らかにしていただきたい、かようなわけでおいでを願ったわけでございます。しかるに、われわれが先般の理事会において与野党ともに全会一致で総裁においで願うということを決定したにもかかわらず、本日ここを見ますると、総裁はお見えにならない、われわれの理事会で決定しない副総裁がお見えになっておる。若干われわれの気分に沿わないものがありました。そこで今総裁のおいでを待ったわけであります。事情御了承を得たいと思うのであります。
 私はまず総裁に具体的な問題を御質問する前に、総裁は一体労働者の地位についてどのような見解をお持ちになっているか、国鉄36万の労働者を引き連れておられる総裁として、労働者に対してどういうような基本的なお考えを持っているのか、まずこれを一つお伺いをいたしたいと思うのであります。
 先ほどからも大坪委員の、何か全逓労組に対する御質問がありましたが、そういう質問の中にはわれわれの了承できない基本的な思想が横たわっておる。私は倉石労働大臣の労働行政に対する御説明を承わっておりまするが、大臣の労働の価値並びに労働者に対する見解というものは、われわれはまだ若干釈然としないものを持っておるのでございます。
 御参考までに一つ申し上げるのでございまするが、これは十月三日でございましたか、予算委員会においてわが社会党の北山委員が、岸総理大臣に対しまして、私が今総裁に行なっていると同じ質問をいたしました。総理大臣、一体あなたは労働者というものをいかに考えておられるか、労働者こそがこの世の中において一番価値ある仕事に従事しているのであるということを総理大臣は了承されるかどうか、労働者によってすべてのものが生産されている、すべての機関というものが労働者の汗によって動いているのである、一人の労働大臣や農林大臣などというものはいてもいなくても差しつかえないのだ、しかし労働者が動かなければ、労働が停止をした場合には、人類の生存というものが停止してしまうのであって、労働者こそが一番価値ある仕事に従事しているのである、総理大臣は一体この労働者を尊敬されるかどうか、こういうような今私が言ったと同じ質問を予算委員会でわが北山委員が質問したときに、総理大臣は、あの人は八方美人ですから真意はどうか知りませんけれども、表面においては、あなたの趣旨と全く同感であるという答弁をされている。私は保守党の各閣僚の労働の価値並びに労働者の値打ちに対するいろいろの考え方を承わりまするけれども、さすがに岸さんの答弁は一番新しい。時代感覚に沿っておる。さすがにやっぱり世人の言う通りに、そつのない人だという感じを受けたのであります。
 一体総裁は、この労働者に対するどういう見解を持つか、お伺いをいたします。

と言うことで、いきなり変化球と言いますか、当局としてと労働者をどのように見ているのかという質問を投げかけていますが。
これに対しては、十河総裁は以下のように答弁をしたようです。

○十河説明員 まずもって出席のおくれましたことに対しまして、おわびを申し上げたいと思います。
 ただいまの御質問の、労働者の国鉄経営上における地位というものは、経営者も労働者も、事業を経営する上においては、人間が一番大切である、これは経営者も労働者もともに一番大切である、そういうふうに考えております。

と言う発言をしたことから、小林委員の不興を買ったようで、十河総裁に対して、先ほど記述した質問を再び問いかけることとなっていました。

個人的には、昨日の動画で、新潟闘争以後に関しては、第二組合の設立更には、組合員の移動が行われたことについて述べさせていただいたのですが、こうした事実が本当にあったのか否か。

と言う点を今一度検証してみる必要は有ろうかと思われます。
更に、仮にこうした事例があったとすれば、その後の生産性運動における、助役による不当労働行為と言える行為があったことなどにも繋がっていくことになるかも知れず、この辺は今後更に調査していく必要性を痛感しています。

************************以下は、国会審議議事録です*************************

○倉石国務大臣 全逓労組に対しての郵政当局の態度はりっぱだと思っております。
 八十七号条約の批准につきましては、この前本会議でも申し上げました通りでありまして、私どもは現存しておる法律を国民が守る義務があるということは、法治国家として当然のことであります。そこで特に違法な行為をやっておられるということについてはまことに遺憾に存じておるのでありますが、ただいまお話のように公労法の適用を受けておる労働組合で、わざわざ藤林あっせんというふうなもので国労がああいう態度をとって、正常化に協力しておられるときに、全く違った態度をとられるものが、同じ公労協内にあるということについては、私どもはまことに遺憾に存ずるのでありまして、一日も早く法律を守って、国民に安心をさせてもらいたいと考えておりますが、そういうような現在の段階では、それに関係のありますILO条約の八十七号の批准ということを論議すべき段階ではない。このように政府は考えております。
○大坪委員 これで終りますが、今の労働大臣の御答弁を伺って、そうでなければならぬと思います。特に現在のわが国の国内の諸情勢を見てみますと、労働慣行がまだやっぱり成熟せずと言われておる。法律無視あるいは集団の威力による圧力のかけ方、いわゆる実力行使、そういうものでまた特に政治的目的を達する、そういうことを、その目的、行動を労働組合がもう忌憚なくとっておる。力をもて、法と秩序を乱すということを、日常茶飯事のごとく心得て実行しておる組合のある現状においては、法律秩序、公共の福祉を守る上から、軽々にILO条約を批准するというようなことによって彼らの非違を遂げさせるようなことがあってはならぬ、かように考えるわけであります。私は全逓について先刻要望的な意見を述べましたが、ほんとうに全逓の諸君が総評の幹部の顔ばかり見ないで、国民全部の顔を見て良識を発揮されんことを私は念願してやみません。私がいろいろ今申し上げましたのも、どうか日本の労働運動が、先刻もたびたび申しましたように、国民も納得し、世界の良識ある人々も了承するような正常な状態に早く返って、国内の秩序を保つとともに、国の生産を高める、そういうことによって国民全体の福祉の向上に寄与するようにあってもらいたい。せめて全労会議の線に一つ、これは総評の諸君にはお気の毒でありますけれども、その程度の良識を持った労働組合に一つ成長をしてもらいたいという念願を持ちますがために申し上げた次第でございます。
 いろいろ要望も申し上げましたが、私どもは倉石労働大臣に期待することがきわめて多いのでありますから、どうか一つ十分に御検討のほど願い上げます。
 私の質問を終ります。
○五島委員 大坪委員の貴重ないろいろの質問について、われわれは非常に勉強になるのですが、ここに出席された委員の顔ぶれを見ると、自民党5名、社会党6名というようなことで、議事規則の運営通りに正常化されていないというように思うわけです。これから慎重に真剣に重要法案を審議するに当って、こういうような出席ではどうもおかしいと思うのです。そこで今後はできるだけたくさん、やはり20名以上の出席をとれるようにしなければならないと思うのです。この間の理事会でもよく相談し理解し合った通りで、ほんとうに慎重に勉強しなければならぬ。そこでたくさんの者が出席して審議に参画する、こういうようなことですが、きょうは大坪さんがせっかくいい質問をされておる過程において、4名とか3名とか、御婦人が2人で、自民党の男性の方が1名、こういうことではさびしい。それで今後はたくさん出席されなければこういう委員会が進行されないと思うのです。この点について委員長は十分努力してもらいたいと思います。
○園田委員長 委員各位の御精励を望みます。
 午前中の質疑はこの程度にとどめます。午後は本会議散会直後、約二時半と予定いたします。二時半まで休憩をして、小林進君の質問から始めます。
    午後一時五分休憩
     
    午後四時五分開議
○園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について質疑を継続いたします。小林進君。
○小林(進)委員 委員長にお尋ね申し上げますが、去る9月26日の当社会労働委員会におきまして、新潟の国鉄管理局の不当労働行為についてわれわれは質問を開始いたしました。その結果、労働大臣並びに労政局長の御答弁が、まだその事実について御調査ができていない、こういうような御答弁で、はなはだ不満足なものでございましたので、その後の理事会において、国鉄の最高責任者でありまする総裁並びに関係理事者においで願って、そうして這般の問題についてさらに細部にわたってお伺いいたしたい、かようなことを決定いたしました。本日われわれの理事会の決定に基いて、国鉄の総裁並びに関係者がお見えになっておるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○園田委員長 総裁は。副総裁が来ております。
○小林(進)委員 副総裁一人でありますか。
○園田委員長 吾孫子理事が……。
○小林(進)委員 吾孫子理事と小倉副総裁がお見えになっておる。たしかわれわれの理事会におきましては、総裁においで願うように決定をいたしておるはずであります。副総裁にはおいで願いたいということをわれわれは決定いたしておりません。どうして一体総裁がお見えにならないのか。諸般の事情を一つお伺いいたしたいと思います。
○園田委員長 きょうは総裁はどうして来られないのですか。
○小倉説明員 参議院の方に出ております。
○園田委員長 参議院の方と一緒になっておりますので、代理に副総裁が来たそうです。
○小林(進)委員 参議院とおっしゃいますと、参議院のどこですか。まだ参議院の方で使われているのでございますか。そこら辺の事情を一つお伺いいたします。
○園田委員長 参議院の委員会ですか。
○小倉説明員 委員会じゃありません。政策審議会の方へ出ております。
○小林(進)委員 総裁が見えられませんので、しばらく私も一つお待ちをいたしたいと思います。それでは国鉄の総裁もお見えになったようでございますから、まず総裁に一つ御質問をいたしたいと思うのであります。実は本日御足労を願いました理由は、国鉄の新潟管理局内におきまして、昨今おそるべき不当労働行為が行われております。われわれの判断をもってしまするならば、労働組合法も憲法も全くじゅうりんをして顧みないような不当労働行為が新潟鉄道管理局長によって行われておる。これに対して先般われわれは労働大臣に質問をいたしたのでありまするが、大臣はまだ何らの報告を受けていないということで、的確な回答をわれわれに与えなかった。従いまして本日国鉄内部における最高の責任者でありまするところの総裁においでを願って這般の事情を一つ明らかにしていただきたい、かようなわけでおいでを願ったわけでございます。しかるに、われわれが先般の理事会において与野党ともに全会一致で総裁においで願うということを決定したにもかかわらず、本日ここを見ますると、総裁はお見えにならない、われわれの理事会で決定しない副総裁がお見えになっておる。若干われわれの気分に沿わないものがありました。そこで今総裁のおいでを待ったわけであります。事情御了承を得たいと思うのであります。
 私はまず総裁に具体的な問題を御質問する前に、総裁は一体労働者の地位についてどのような見解をお持ちになっているか、国鉄三十六万の労働者を引き連れておられる総裁として、労働者に対してどういうような基本的なお考えを持っているのか、まずこれを一つお伺いをいたしたいと思うのであります。
 先ほどからも大坪委員の、何か全逓労組に対する御質問がありましたが、そういう質問の中にはわれわれの了承できない基本的な思想が横たわっておる。私は倉石労働大臣の労働行政に対する御説明を承わっておりまするが、大臣の労働の価値並びに労働者に対する見解というものは、われわれはまだ若干釈然としないものを持っておるのでございます。
 御参考までに一つ申し上げるのでございまするが、これは十月三日でございましたか、予算委員会においてわが社会党の北山委員が、岸総理大臣に対しまして、私が今総裁に行なっていると同じ質問をいたしました。総理大臣、一体あなたは労働者というものをいかに考えておられるか、労働者こそがこの世の中において一番価値ある仕事に従事しているのであるということを総理大臣は了承されるかどうか、労働者によってすべてのものが生産されている、すべての機関というものが労働者の汗によって動いているのである、一人の労働大臣や農林大臣などというものはいてもいなくても差しつかえないのだ、しかし労働者が動かなければ、労働が停止をした場合には、人類の生存というものが停止してしまうのであって、労働者こそが一番価値ある仕事に従事しているのである、総理大臣は一体この労働者を尊敬されるかどうか、こういうような今私が言ったと同じ質問を予算委員会でわが北山委員が質問したときに、総理大臣は、あの人は八方美人ですから真意はどうか知りませんけれども、表面においては、あなたの趣旨と全く同感であるという答弁をされている。私は保守党の各閣僚の労働の価値並びに労働者の値打ちに対するいろいろの考え方を承わりまするけれども、さすがに岸さんの答弁は一番新しい。時代感覚に沿っておる。さすがにやっぱり世人の言う通りに、そつのない人だという感じを受けたのであります。
 一体総裁は、この労働者に対するどういう見解を持つか、お伺いをいたします。
○十河説明員 まずもって出席のおくれましたことに対しまして、おわびを申し上げたいと思います。
 ただいまの御質問の、労働者の国鉄経営上における地位というものは、経営者も労働者も、事業を経営する上においては、人間が一番大切である、これは経営者も労働者もともに一番大切である、そういうふうに考えております。
○小林(進)委員 労働者も経営者も一番大事だという古色蒼然たる前時代的な御答弁をいただきまして、まことにどうもこれは言葉がつげないのでございますが、せっかくの御答弁でございまするから……。
 私は、今の国鉄の問題について、例をとって申し上げまするならば、われわれがこうして乗りものに乗ってこの場所へ参ったり、郷里へ帰ったり、日本国民がそれぞれ国鉄その他の乗りものを利用いたしまして、みんな動いておるのは、これは総裁は、あるいは総裁の力によって全都国鉄等の乗りものを動かしておるというふうにお考えになっておるかもしれぬが、私どもは何も総裁の力で汽車に乗って、このような快適な生活をしておる、あるいは経済活動をしておるというようには考えておりません。やはり労働者が機関車を動かしてくれる、車掌が切符を切ってくれる、こういう労働者の汗と力によって、一切のわが日本の交通というものは滞りなく動いておるのである。こういう労働者の汗の上に総裁が乗っかって、高禄をはんで、総裁のいすで、晩年を非常に楽しく送っておる、こういう結論になる。私はかように考えているわけでございます。何も総裁がおいでにならなくても、汽車の運行その他には一応差しつかえはございません。けれども労働者がいなくちゃ汽車は動かない、汽車には乗れぬのであります。その意味において、私は労働者の価値というものは、十分考えていただかなければならぬと思う。こういうわけなのでございます。しかしわが日本の管理者、経営者には、こういう当りまえのことがわからない。やっぱり自分たちが親方だと思っておる。そうして労働者は一歩も二歩も自分たちの下だと思っておる。権力をもって押えつけ、監視、監督するものだ、労働者といえば、何か自分たちより一歩下だ、卑しいものだというような、そういう考え方がどっかにある。これがものを紛淆せしめている一番大きな基本的な間違いなんだと思う。だから少くともあなたには、そういう間違った考えは持たないようにしてもらいたい。私が申し上げたことは少し極端かもしれませんけれども、新しい民主憲法の上では、そういう労働の価値というものを基本的に考えてやってもらわなければならないということをお願い申し上げます。特にあなたは戦時官僚でいらっしゃいました。そして追放の身の上になられた。追放の旅を続けながら、やがて過去に対してあなたは非常に反省するところがあったと思う。だが、再び迎えられて国鉄の総裁になったからには、その過去の、自分の誤まれる権力の上に王座をふるった、そういうことを改めて、今度はほんとうに働く労働者を大切にするという気持になって、私は国鉄行政をやってもらいたいと思うのです。そういう気持で総裁の地位につかれたのである、私は遠くからそういうふうに考えておったのです。だから、私の推定もし誤まりなかりせば、この際私がこれから申し上げる問題についても、どうか一つ真実と誠実を傾けて御答弁を願いたい。そうして私が申し上げるような新しい感覚に基いた新しい国鉄というものを、あなたの過去の贖罪を兼ねて、晩年を全うする意味においてもやってもらいたい、こういう意味で私はお願いをいたしたわけでございます。
 具体的な問題に入りまするが、実はこれは労働大臣に質問をいたしましたと同じことを、私は再び繰り返すことになるのでございますが、新潟の国鉄の管理局長の河村勝氏という人が、九月の十五日でございますか、新しく管理職に任命をせられました分区長、自分の国鉄の管内における分区長というものの講習会を持ったわけであります。その講習会を持ちましたときに、分区長を集めて、みんな分区長の前に名札をつけて、天皇陛下のようにまん中に局長席を設けまして、そこへその名札と顔とをちゃんと照合できるような、そういうものをみんな自分の前に置いて、そして一つ一つ指名点呼するようなものものしい席の配列をやったわけであります。そういうことをやっておいて、そこで大指令を飛ばしたわけであります。これはもうあなたも内部で御存じだと思いますから、そういうことを具体的に申し上げることはやめにいたしまして、ここに這般の事情を明らかにする国鉄労働組合新潟地方本部の執行委員長相田一男氏が、新潟鉄道管理局長河村勝殿あてに公開質問状を発しておりますので、それを一つ具体的な説明の内容にかえて私は読み上げたいと思う。
 これによりますと「一、局長としては第二組合を育成し、国労新潟地方本部をどうしてもつぶしたい。そのためには現場長や助役に頼ってももううまくいかない。今度は諸君らが第二組合を増やすよう頑張ってもらいたい。第二を増やすには諸君が日常組合員と作業の上で緊密に結びついているので一番よい。二、第二組合のないところでは何をしているのであろうか。柏崎保線区は一番成績がよい。諸君らのやることはすぐ結果としてあらわれるから、やっているかいないかすぐわかる。三、このことに異議のあるものはこの場所でいってもらいたい。四、このようなことのできないものは管理者としての資格がないから技術掛、営林掛、工手長に格下げをする。五、自分は新潟地方本部をつぶすまで新潟にいる心算だから頑張ってもらいたい。
 これらのことは昼食の会食時にもおこなわれ、そのため参会者は異常な緊張感につつまれ、極度の疲労を感じたと報告されています。
 このようなことは明らかに不当労働行為であり、かつ反民主主義的行為であります。貴殿は常に労働情報を通じ新潟地方本部を暴力的とののしり、ばり雑言をあびせかける等の暴挙をおこなっておりますが、これらは第二組合の宣伝と軌を一にしており、今回の分区長会議における貴殿の訓示も第二組合と一体となった暴挙と断ぜざるを得ません。
 わが国鉄労組新潟地方本部は、これら一連の不当労働行為と反民主主義的行為に抗議するとともに、貴殿の分区長教育の際おこなった訓示の真相について、良心に誓った回答を寄せられるよう強く要求いたします。」こういう公開質問状が組合委員長の名において管理局長に提出をせられておるのでございます。
 なおこの公開質問状を出しまするには、現実に教育を受けました分区長三十数名から、それぞれ組合の諸君は直接ないし間接にこの事実を確かめている。こういうことの情報をもたらされておりますが、まずこれに対しまして総裁がこの事実を一体お知りになっていたかどうか。そしてこれに対して一体どういう所見をお持ちになっておるか、あるいはどういう処置を講ぜられたか、まず一つお伺いいたしたいと思うのでございます。

 

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第4話

2023-06-25 22:45:15 | 国鉄関連_国会審議

かなり間が空いてしまいましたが、再開したいと思います。
郵政でも、全逓(国労共々総評の労働運動を引っ張っていた存在であり、そうした意味では国労と切り離して考えることは出来ない組合であり、実際に昭和30年代から40年代にかけて過激な運動を繰り返していた組合でもありました。

この記事では、ILO87号条約、「結社の自由及び団結権の保護に関する条約」を批准させることで、公労法四条三項が削除されるのではないかと言うことで、政府も批准には慎重になっていたわけですが。
公労法四条三項とは、どのような法律なのでしょうか。

その前に、公労法第4条の条文をまず見ていただこうと思います。

(職員の団結権)
第四条
1 職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。
2 委員会は、職員が結成し、又は加入する労働組合(以下「組合」という。)について、職員のうち労働組合法第二条第一号に規定する者の範囲を認定して告示するものとする。
3 前項の規定による委員会の事務の処理には、委員会の公益を代表する委員のみが参与する。
4 前条第二項及び第三項の規定は、前項に規定する事務の処理について準用する。

まずこれだけ見ても、わかりにくいのですが。

公労法第4条第二項で、「労働組合法第二条第一号に規定する者の範囲を認定」としてあるのですが、労働組合法第2条は、以下のように記されています。(但し、以降は省略)

第二条 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体を
いう。

とされており、ここでの職員の範囲を郵政職員と限定しているわけですが、ILO87号条約では、「労使団体(連合体も含む)は、規約を作り、完全な自由のもとにその代表者を選び、管理・活動を決めることができる。行政機関はこれらの権利を制限したり、その合法的な行使を妨げたり、また、労使団体を解散したり、活動を停止させたりしない。」と書かれています。

仮に、87号条約が批准されてしまえば、全逓は(国労も同じですが)、解雇者を委員長として据えること事態が合法になると言うことで、これを避けようと言うことで、当局もかなり抵抗したと言うことになるわけです。

全逓は最近ILO条約87号、これの批准促進運動をあっちこっちでやっておるわけでありますが、これが促進されて、それに伴って公労法四条三項も削除されるというような法律改正がやがてなされるであろう。従って現在の違法状態をそのまま続けて無期限定時退庁の戦術を続けておって、結局法律改正を待って、今までの違法行為を合法的なものにする、そういう作戦もあるやに伝えられておる。こういったことは一応考えられそうなことであります。どうも世の中では悪いことをしてやがて、次の皇太子様の御結婚等によって大赦や特赦を願うというような不心得者もあるのでございますが、こういう犯行者と、これは一思理が通じておるもののように思われるのであります。従ってこういうことは私は許すべきではないと思います。

当局、政府共に全逓の暴走を一番気にしていることになる訳ですが、これに対して労働大臣は一定の理解示しつ当局の対応を支持しています。

倉石国務大臣 全逓労組に対しての郵政当局の態度はりっぱだと思っております。
 87号条約の批准につきましては、この前本会議でも申し上げました通りでありまして、私どもは現存しておる法律を国民が守る義務があるということは、法治国家として当然のことであります。そこで特に違法な行為をやっておられるということについてはまことに遺憾に存じておるのでありますが、ただいまお話のように公労法の適用を受けておる労働組合で、わざわざ藤林あっせんというふうなもので国労がああいう態度をとって、正常化に協力しておられるときに、全く違った態度をとられるものが、同じ公労協内にあるということについては、私どもはまことに遺憾に存ずるのでありまして、一日も早く法律を守って、国民に安心をさせてもらいたいと考えておりますが、そういうような現在の段階では、それに関係のありますILO条約の87号の批准ということを論議すべき段階ではない。このように政府は考えております。

ここで、藤林あっせん案という言葉が出てきたのですが、この時の藤林あっせん案というのが、労使関係 の正常化 のために、解雇処分を受けた者以外を指名することを示したもので、国労はその斡旋を受け入れる事になる訳ですが、この国労の対応(斡旋案を受け入れ、解雇者を委員長などの要職に就かせないこと)を評価しているわけです。

これで見る限りでは、当時の全逓は国労以上に強固に労働運動に浸っていたと言える反面、国労の方は民同左派が徐々に強く左傾化していく中で、辛うじてバランスを保っていたようにも見受けられます。

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以下は、議事録から抜粋したものです。

************************************************************************

 ただ世上言われているところでは、全逓は最近ILO条約87号、これの批准促進運動をあっちこっちでやっておるわけでありますが、これが促進されて、それに伴って公労法四条三項も削除されるというような法律改正がやがてなされるであろう。従って現在の違法状態をそのまま続けて無期限定時退庁の戦術を続けておって、結局法律改正を待って、今までの違法行為を合法的なものにする、そういう作戦もあるやに伝えられておる。こういったことは一応考えられそうなことであります。どうも世の中では悪いことをしてやがて、次の皇太子様の御結婚等によって大赦や特赦を願うというような不心得者もあるのでございますが、こういう犯行者と、これは一思理が通じておるもののように思われるのであります。従ってこういうことは私は許すべきではないと思います。これは労働大臣にお伺いいたしますが、先般の本会議の席上で一応この問題については滝井先生の御質問にお答えになったのでありますが、ここでもう一ぺん、私はそういうように思うのでありますが、そういう大赦、特赦を待つ犯行者と同じような心理を持つことに力をかすようなことにならぬようにしなければならぬと思うのであります。ILO条約、これは従来から倉石労働大臣もそうでございましたし、前の石田大田もそうでございましたが、ILO条約87号の批准については、労働問題懇談会の結論待ちだということが言われております。その小委員会が一応結論を出して、公労法四条三項はILO条約87号に抵触するようだという結論を出したようでありますが、それが新聞紙上に発表されましたがために、もうすぐにでもILO条約は批准され、四条三項は削除されなければならぬ、やがて削除されるであろう、こういう感じを持っておる者が国内に相当あったのではないか、そういう期待を今のような大赦、特赦待ちのような人たちが持っておるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、この点について重ねてでありますが、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
○倉石国務大臣 全逓労組に対しての郵政当局の態度はりっぱだと思っております。
 87号条約の批准につきましては、この前本会議でも申し上げました通りでありまして、私どもは現存しておる法律を国民が守る義務があるということは、法治国家として当然のことであります。そこで特に違法な行為をやっておられるということについてはまことに遺憾に存じておるのでありますが、ただいまお話のように公労法の適用を受けておる労働組合で、わざわざ藤林あっせんというふうなもので国労がああいう態度をとって、正常化に協力しておられるときに、全く違った態度をとられるものが、同じ公労協内にあるということについては、私どもはまことに遺憾に存ずるのでありまして、一日も早く法律を守って、国民に安心をさせてもらいたいと考えておりますが、そういうような現在の段階では、それに関係のありますILO条約の87号の批准ということを論議すべき段階ではない。このように政府は考えております。
○大坪委員 これで終りますが、今の労働大臣の御答弁を伺って、そうでなければならぬと思います。特に現在のわが国の国内の諸情勢を見てみますと、労働慣行がまだやっぱり成熟せずと言われておる。法律無視あるいは集団の威力による圧力のかけ方、いわゆる実力行使、そういうものでまた特に政治的目的を達する、そういうことを、その目的、行動を労働組合がもう忌憚なくとっておる。力をもて、法と秩序を乱すということを、日常茶飯事のごとく心得て実行しておる組合のある現状においては、法律秩序、公共の福祉を守る上から、軽々にILO条約を批准するというようなことによって彼らの非違を遂げさせるようなことがあってはならぬ、かように考えるわけであります。私は全逓について先刻要望的な意見を述べましたが、ほんとうに全逓の諸君が総評の幹部の顔ばかり見ないで、国民全部の顔を見て良識を発揮されんことを私は念願してやみません。私がいろいろ今申し上げましたのも、どうか日本の労働運動が、先刻もたびたび申しましたように、国民も納得し、世界の良識ある人々も了承するような正常な状態に早く返って、国内の秩序を保つとともに、国の生産を高める、そういうことによって国民全体の福祉の向上に寄与するようにあってもらいたい。せめて全労会議の線に一つ、これは総評の諸君にはお気の毒でありますけれども、その程度の良識を持った労働組合に一つ成長をしてもらいたいという念願を持ちますがために申し上げた次第でございます。
 いろいろ要望も申し上げましたが、私どもは倉石労働大臣に期待することがきわめて多いのでありますから、どうか一つ十分に御検討のほど願い上げます。
 私の質問を終ります。
○五島委員 大坪委員の貴重ないろいろの質問について、われわれは非常に勉強になるのですが、ここに出席された委員の顔ぶれを見ると、自民党五名、社会党六名というようなことで、議事規則の運営通りに正常化されていないというように思うわけです。これから慎重に真剣に重要法案を審議するに当って、こういうような出席ではどうもおかしいと思うのです。そこで今後はできるだけたくさん、やはり二十名以上の出席をとれるようにしなければならないと思うのです。この間の理事会でもよく相談し理解し合った通りで、ほんとうに慎重に勉強しなければならぬ。そこでたくさんの者が出席して審議に参画する、こういうようなことですが、きょうは大坪さんがせっかくいい質問をされておる過程において、四名とか三名とか、御婦人が二人で、自民党の男性の方が一名、こういうことではさびしい。それで今後はたくさん出席されなければこういう委員会が進行されないと思うのです。この点について委員長は十分努力してもらいたいと思います。
○園田委員長 委員各位の御精励を望みます。
 午前中の質疑はこの程度にとどめます。午後は本会議散会直後、約二時半と予定いたします。二時半まで休憩をして、小林進君の質問から始めます。
    午後一時五分休憩

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第3話

2023-06-03 23:30:49 | 国鉄関連_国会審議

今回も、引き続き昭和33年10月7日開催の、社会労働委員会のは無しから抜粋させていただきます。

ここで、注目すべきは全逓も動労や国労と同じように解雇者を専従役員としており、それに対して当局も団交拒否を貫いており、昭和30年初めの頃は、組合に対する当局の力も強く、良い意味での緊張関係は有ったかと思われます。
なお、当時は全電通(現在のNTT労組)も全逓と共に強力な闘争を行っていました。

その辺の事情も考慮しながら私見を含め述べさせていただこうと思います。

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今回も、国鉄関係の話が出てこないのですが、一連の流れの中で官公労と呼ばれた郵政の問題を取り上げていますので、広い意味での労働運動という視点でご覧いただきたいと思います。

郵便の遅配の原因は、順法闘争という名のサポタージュ、そして非常勤職員に仕事を教えないという二つの要素

郵便配達は、私も経験があるのでよくわかるのですが、仕事としては正直単純というと語弊がありますが、考えるよりも慣れろの業務です。
一つの町名をいくつかの配達区に分けてその区を徹底的に回らせる。
そうして、徐々に配達区を広げて行く。これを「通区」というのですが、代替一つの班で10個くらいに町名を区分しており、最低でも三区程度回れることが要求されるというものでした。
かくいう私は、完全に当時はやる気もない職員でしたので、積極的に通区を覚える気も無く、ただひたすら一つの区だけを回っていたものです。
以上は余談ですが。

配達というのは、時には同じ住所が並んでいる場合もあり、昭和30年代では現在のように「○丁目○番○号」と行った新住所区分ではないので、自ずと家毎に覚えるような形となりますので、熟練した配達員でないと中々スムーズに配達できないわけです。

そうした、熟練職員が管理者や、新たに雇用した非常勤職員に配達先の住所を教えなければどうなるか。
もう、付近まで行って誰かに聞きながら配達する・・・みたいなことになる訳ですが、実際にそのような事例が起こってしまうわけです。

これを見ますと、全逓は当局が団交に応じないから、自分たちも36条協定を拒否していると主張しており、それに対して当局は、解雇者が専従役員をして居るからだと発言しています。

この例は機労(後の動労)が専従役員を解雇者にしたことと同じ理由(解雇者を違法ストの首謀者として解雇しようにも解雇処分できない。職員としての実態がないわけですから)であり、同様に国労でもこの方法で解雇者を専従役員にしたわけです。国労の場合は規模も大きいこともあり、当局は組合費の徴収などの24条協定の破棄で対抗することとなりましたが、この辺の話しは又別の機会にでもお話をさせていただきます。

以下は、国会での答弁の様子です。

○大坪委員 前略・・・・、新聞によりますと、組合側は責任は当局にある、当局が団交に応じないからだ、というようなことを言っておる。この点は一体どうなのですか。もちろん拒否されておるだろうと思う。私は大体わかっておる。わかっておるが、これを天下に声明するくらいの気持で、この問題に対する郵政当局の見解なり立場なりをここで一つはっきり言っていただきたい。
○佐方説明員 先ほど申し上げましたように、解雇された三役を再選いたしてきておりますので、われわれとしては団体交渉を拒否しておる。これに対して組合は三六協定の拒否をしてきておる。三六協定を拒否いたしますならば、必要な場合には非常勤者を用いて処理していけば業務の運行はできるわけでございます。にもかかわりませず業務の運行を阻害するような、たとえば非常勤者に仕事を教えないとか、あるいは所定の勤務時間中に平常よりも能率を落した仕事をするということになりますと、決してそのことはわれわれの責任あるいは政府の責任という問題ではなく、やはりまじめに働いてもらうということを怠っておる側にあるだろうと思うわけでございます。

更に、この後もこうした違法状態を全逓幹部が行っていることに対して非常に危惧を持っています。
少なくとも、国鉄では昭和32年の新潟闘争等の様子を見ているわけですので、公労法四条三項を無視した行為を厳しく指摘しています。

公共企業体労働関係法(現・国営企業労働関係法 法令番号:和二十三年十二月二十日法律第二百五十七号)

第四条 職員は、組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。但し、管理又は監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者は、組合を結成し、又はこれに加入することができない。

2 前項但書に規定する者の範囲は、政令で定める。

3 公共企業体の職員でなければ、その公共企業体の職員の組合の組合員又はその役員となることができない。

と有るように、「職員でなければ、その公共企業体の職員の組合の組合員又はその役員となることができない。」という法令違反をしているわけで、これに対して全逓を厳しくして居ることになります。

国鉄労組に倣った、全逓の解雇者を専従役員にすることを強く批判

○大坪委員 私は今の郵政当局の団体交渉拒否の態度はそれでよいと思いますが、もともと全逓もそうですが、これは国鉄あたりずいぶん改まりましたけれども、総評の指導するものは、私はこう言った方がよいと思う、それは法律無視なのです。法律を無視しよう、法律や国の権威、行政権の権威あるいは政府の権威というものを国民の目の前に失墜して示そう、そうしてそれを既成事実にしようという意図がある。これは明らかである。公労法というものは今後いろいろ改正せられる時期もあるかもしれません。あるかもしれませんが、現在は厳として国会において審議されてできたりっぱな法律なんです。その法律に掲げてある四条三項の規定というものは、これは国民、特に公労法に掲げてある事業に従事している人たちは十分知っておるし、知っておらなければならぬし、また守らなければならぬ。そうでなければ法の秩序は成り立たない。また事業の秩序が成り立たないのであります。これは昨年の国労あるいは機労の前例もあることであるから、全逓の幹部の諸君にいささかの良識があれば、こういうことをやれないはずなんです。それをあえて四条三項に違反する決議をとって、解雇された組合員を再び責任ある役員に選任をしておる。これは明らかに法律無視であります。こういう法律無視を放任しておけば、一切私どもは措置はつかなくなると思うのでありますから、団交拒否の態度を現在郵政当局がとっておられることは非常にけっこうだと私どもは思うのであります。ともすれば世の中の論議というものは非常に俗調に陥ってしまって、安易につくことを奨励する場合がある。そういう世の中の俗論に聞いて安易な措置をとるということになると、これは法律を守るべき立場にある政府当局自体が法律無視という結果に陥ると私は思う。単に全逓の幹部が法律を無視した、そのために法律の秩序が乱れ、職場の秩序が乱れているのに、安易にものを解決づけるということのためにこれを認める??表にでも裏にでも、暗にでも認める措置をとれば、政府当局自体が法律無視の結果になるのであります。この点が私は十分に考慮しておいてもらわなければならぬ点だと思います。

と有りますように、ここで国鉄では、解雇者を専従役員として置いた措置に対して、昭和32年10月には、以下のような措置を取っており。
そうした経緯も全逓は知っていたであろうにもかかわらず、こうした愚挙に出た事を強く非難しています。

ちなみに、国鉄が行った、24条協定破棄の内容は下記の通りです。

当局、組合費の控除廃止 10/23

国鉄では、支給した10月分の給与から、労基法24条に基づく「24控除に関する協定」を破棄、組合費などのチェツクオフ(控除)を止めた
10月分の給与から天引を止めたのは、本社と全国27管理局のうち23局であるが、これにより、国鉄労組は毎月約1億円近く、機関車労組は約1千万円の組合費と労慟金庫の預金、返済金および利息、定期積立金などを組合側の責任で集めなけれぱならなくなり、各分会ごとに徴収責任者をおいて集金を行つている
また一方、今度の協定破棄によつて、当局側も宿舎費、光熱費、クラブ費などの天引はできなくなったので、当日給与と一緒に納付書を交付したが、集金には約一週間かかるであろうとされている

結局、この措置に対しては国労は数ヶ月行ったものの白旗を揚げる形で敗北するわけですが、全逓が面子にこだわったのではないかという意味合いの発言をしているのは興味深いところではあります。

さらに。ILO条約批准を危惧することに

らに、以下のようにILO条約八十七号に関する批准を行うべきとして行動していることについても問題視しています。
ちなみに、日本では、1965年6月に批准されており、2023年現在157カ国が批准しています。

参考:ILO条約八十七号

さて、ここで言われる、ILO条約87号でもとりわけ、以下の第3条が公労法四条三項で問題になったのではないかと思われます。その条文をご覧いただこうと思います。

結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第87号)

第 三 条

1 労働者団体及び使用者団体は、その規約及び規則を作成し、自由にその代表者を選び、その管理及び活動について定め、並びにその計画を策定する権利を有する。
2 公の機関は、この権利を制限し又はこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。


特に第2項で、職員ではない専従員が組合の役員をしていることは、公労法第四条三項の。「公共企業体の職員でなければ、その公共企業体の職員の組合の組合員又はその役員となることができない。」という条文は、一項の「自由にその代表者を選び、その管理及び活動について定め、並びにその計画を策定する権利を有する」に対して権利の合法的な行使を妨げる行為であると解釈されるわけで、非常に問題視してると言えます。

以下は、再び「大坪委員」の質問を示したものです。

 ただ世上言われているところでは、全逓は最近ILO条約八十七号、これの批准促進運動をあっちこっちでやっておるわけでありますが、これが促進されて、それに伴って公労法四条三項も削除されるというような法律改正がやがてなされるであろう。従って現在の違法状態をそのまま続けて無期限定時退庁の戦術を続けておって、結局法律改正を待って、今までの違法行為を合法的なものにする、そういう作戦もあるやに伝えられておる。こういったことは一応考えられそうなことであります。どうも世の中では悪いことをしてやがて、次の皇太子様の御結婚等によって大赦や特赦を願うというような不心得者もあるのでございますが、こういう犯行者と、これは一思理が通じておるもののように思われるのであります。従ってこういうことは私は許すべきではないと思います。これは労働大臣にお伺いいたしますが、先般の本会議の席上で一応この問題については滝井先生の御質問にお答えになったのでありますが、ここでもう一ぺん、私はそういうように思うのでありますが、そういう大赦、特赦を待つ犯行者と同じような心理を持つことに力をかすようなことにならぬようにしなければならぬと思うのであります。ILO条約、これは従来から倉石労働大臣もそうでございましたし、前の石田大田もそうでございましたが、ILO条約八十七号の批准については、労働問題懇談会の結論待ちだということが言われております。その小委員会が一応結論を出して、公労法四条三項はILO条約八十七号に抵触するようだという結論を出したようでありますが、それが新聞紙上に発表されましたがために、もうすぐにでもILO条約は批准され、四条三項は削除されなければならぬ、やがて削除されるであろう、こういう感じを持っておる者が国内に相当あったのではないか、そういう期待を今のような大赦、特赦待ちのような人たちが持っておるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、この点について重ねてでありますが、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。

国鉄と同じ官公労としての動きとして、見ていければ幸いです。

続く

 

以下は、議事録から抜粋したものです。

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○大坪委員 私は先刻も申し上げましたように仕事が仕事でありますから、そうしてこれが不正常化になれば、直ちに国民大衆が迷惑をするのでありますから、これをすみやかに正常化するような方向に一つ郵政当局としても万全の措置を講じてもらわなければならぬ、こう思うのであります。ところが、先刻もちょっと触れましたが、新聞によりますと、組合側は責任は当局にある、当局が団交に応じないからだ、というようなことを言っておる。この点は一体どうなのですか。もちろん拒否されておるだろうと思う。私は大体わかっておる。わかっておるが、これを天下に声明するくらいの気持で、この問題に対する郵政当局の見解なり立場なりをここで一つはっきり言っていただきたい。
○佐方説明員 先ほど申し上げましたように、解雇された三役を再選いたしてきておりますので、われわれとしては団体交渉を拒否しておる。これに対して組合は三六協定の拒否をしてきておる。三六協定を拒否いたしますならば、必要な場合には非常勤者を用いて処理していけば業務の運行はできるわけでございます。にもかかわりませず業務の運行を阻害するような、たとえば非常勤者に仕事を教えないとか、あるいは所定の勤務時間中に平常よりも能率を落した仕事をするということになりますと、決してそのことはわれわれの責任あるいは政府の責任という問題ではなく、やはりまじめに働いてもらうということを怠っておる側にあるだろうと思うわけでございます。
○大坪委員 私は今の郵政当局の団体交渉拒否の態度はそれでよいと思いますが、もともと全逓もそうですが、これは国鉄あたりずいぶん改まりましたけれども、総評の指導するものは、私はこう言った方がよいと思う、それは法律無視なのです。法律を無視しよう、法律や国の権威、行政権の権威あるいは政府の権威というものを国民の目の前に失墜して示そう、そうしてそれを既成事実にしようという意図がある。これは明らかである。公労法というものは今後いろいろ改正せられる時期もあるかもしれません。あるかもしれませんが、現在は厳として国会において審議されてできたりっぱな法律なんです。その法律に掲げてある四条三項の規定というものは、これは国民、特に公労法に掲げてある事業に従事している人たちは十分知っておるし、知っておらなければならぬし、また守らなければならぬ。そうでなければ法の秩序は成り立たない。また事業の秩序が成り立たないのであります。これは昨年の国労あるいは機労の前例もあることであるから、全逓の幹部の諸君にいささかの良識があれば、こういうことをやれないはずなんです。それをあえて四条三項に違反する決議をとって、解雇された組合員を再び責任ある役員に選任をしておる。これは明らかに法律無視であります。こういう法律無視を放任しておけば、一切私どもは措置はつかなくなると思うのでありますから、団交拒否の態度を現在郵政当局がとっておられることは非常にけっこうだと私どもは思うのであります。ともすれば世の中の論議というものは非常に俗調に陥ってしまって、安易につくことを奨励する場合がある。そういう世の中の俗論に聞いて安易な措置をとるということになると、これは法律を守るべき立場にある政府当局自体が法律無視という結果に陥ると私は思う。単に全逓の幹部が法律を無視した、そのために法律の秩序が乱れ、職場の秩序が乱れているのに、安易にものを解決づけるということのためにこれを認める??表にでも裏にでも、暗にでも認める措置をとれば、政府当局自体が法律無視の結果になるのであります。この点が私は十分に考慮しておいてもらわなければならぬ点だと思います。しかし私は先刻も申し上げましたように、こういう大事な公共事業、国の事業でありますから、どうか一日も早く正常化してもらいたい。これには何としても全逓の役員あるいは全逓大衆が、行きがかりや面子というようなものにとらわれないで、国鉄や機労が良識を発揮したごとく、ここでやはり良識を発揮してもらって、特にこれときわめて深い関係のあるであろうと思われる国会議員の社会党の諸君もこういう点に一つ御協力を下すって、そして正常化に努力をされたい。昨年の秋のいわゆる国労に対する藤林あっせん案の線まで、すなわち団交態勢を作る、そういうところまで全逓の諸君が進歩してもらうということを念願してやまないのであります。どうも今日の実情は全逓の幹部三人ばかりのために法律秩序が乱され、国民が非常な迷惑をこうむっておる。従ってこれを正常化するためには、今三十ばかりの職場において三六協定が結ばれて、そこでは業務が正常に運営されておるそうでありますから、全逓の幹部の諸君が良識を発揮して反省をしてくれなければ、職場における三六協定を強力に一つ押し進められて、下部、末端から郵政業務の正常化をはかるということに努力を願うよりほか道はないのじゃないか、こういうように思います。この点についての御答弁は求めませんが、どうか一つそういう点についての御努力を願いたいと思います。

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第2話

2023-05-21 09:41:36 | 国鉄関連_国会審議

今回も、引き続き昭和33年10月7日開催の、社会労働委員会のは無しから抜粋させていただきます。

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今回も、国鉄関係の話が出てこないのですが、一連の流れの中で官公労と呼ばれた郵政の問題を取り上げていますので、広い意味での労働運動という視点でご覧いただきたいと思います。

全逓による「物溜め闘争」と国民生活(はじめに)

私も郵便局・郵政局に身を置いたものとして、現場並びに地方分部局から見た郵便局と言うことで両方の経験をさせていたノで、最初の少しだけ見解を述べさせていただきます。
郵便局では、郵便物のことを「ブツ」という言い方をして、それを滞留させることを「溜め」という言葉を使っていました、正式には郵便物が溜まることは「滞留」というのですが、現場では一般的に「物溜め」という言葉が使われていました。
余談ですが、バイクの後ろに積む籠を関西地区だけかも知れませんが、「ぼて」といい、他の地域では「ファイバー」と呼ばれていたようです。

さて、そこで改めて「物溜め闘争」を闘争の中心と全逓が行ったかという点からお話しを始めたいのですが、郵政の根幹は、なんと言っても郵便でありこれは現在の日本郵便にあっても変わりはありません。
昭和30年代前半、国鉄が陸上輸送の7割以上を独占する企業であったように、通信手段として電話・電報しかなかった時代。一般的な通信手段は郵便しかなくて。郵便は国営独占企業として全国津々浦々にサービスを届けていました。
特に末端部分、配達部門が機能していないと郵便物は溜まっていくばかりであり、滞留ということになります。
特に配達は現在もそうですが、人力による手作業なので、その配達員が一斉にサボタージュしてしまうと業務はたちまち止まります。
もちろん、集配職員だけに限らず、郵便内務職員も区分の速度を敢えて下げて結束を遅らせる。結束を遅らせる手法もありましたが、(部内用語で、郵便物を区分して、他の地域の郵便局毎に区分するの作業があり、これをトラック便や鉄道便に乗せることを結束といい、鉄道ダイヤのように所定の工程表があるわけで、この工程表にそって郵便物を送れないと結束漏れということになり、言わば事故扱いとなるわけで、郵便内務職員にすれば結束漏れは一番恥ずかしいことでした。)その多くは、配達先による郵便物を敢えてゆっくり配達して残していくという、方法が一般的でした。
特に配達で滞留が発生しやすいのは、内務であれば人海戦術で管理者でも対応可能ですが、配達の場合、ここの家々の場所を覚えねばならず、すぐに言ってと言うわけにも行かないという事情もありました。
当時の全逓は、国労と並ぶ総評の双璧で、発言力も大きく、強力なこうした闘争から、「権利の全逓」などとよく言われたもので、結束を誇示するために郵便局支給の防寒着ではなく、全逓ジャンパーを着て勤務する職員などもいました。もちろんこれは服務規程違反なのですが、そうしたことを注意できない管理者も多く、酷い郵便局では管理者が現場で仕事を手伝うなんてことが日常茶飯事的になっていました。
私が初めて岸和田郵便局の郵便課に配属された頃は、それまでの激しい闘争は影を潜めていましたが、昔の闘争をしる職員などからは、色々と聞かされたものでした。
さて、前置きが長くなってしまったのですが、当時【1958年】の全逓の様子をご覧いただこうと思います。

郵便物の遅配が酷いという件について

ここで、全国的に郵便局の遅配が全国的ではないものの一部の地域で続いていると言うことで国会で議論されているわけですが、ここでも書かれていますが、集配職員による、超勤拒否と、作業遅延による物理的時間切れを狙っているということです。
特に問題としているのは、当時は通信手段というのが郵便だけですので、その郵便が届かないことによる機会的損失等が発生することについて強い懸念を示しています。

○大坪委員 それでは私は、もう時間も非常に迫りましたりしますから、この点について実情を少しお尋ねし、また労働大臣にその点についての御見解もお尋ねしたいと思います。
 最近の実情は、この際私が多くを申し上げる必要もないと思いますが、新聞紙等で十分伝えられておりますから皆さん御承知の通りでありますが、郵便物の遅配が、全般的ではありませんけれども、所によって、はなはだしいものがある。それが国民に非常に大きな迷惑を及ぼしておる。特に今日はいわゆる就職時期でございまして、今度来年に学校を出ようという人たちの就職口に対する関心というものはきわめて深く、きわめて真剣なものがあるのであります。これは一生の運命を決することでありますから、まさにしかるべきものである。それが郵便物の遅配のために非常に大きな損害を受けている向きもあるというふうなことも聞くのでありまして、しかもその遅配の状況が今日なお続いておるようであります。申すまでもなく郵便のことは国営企業でありまするし、国民の生活にきわめて密接しておる公益公共の事業でありますから、こういう事態はすみやかに解消されて、事態が正常化することを望むわけでありますが、そういう見地から私はお尋ねしたいと思うのであります。
 私は時間をなるべく急ぎたいと思いますので、お答えも簡潔に願いたいと思いますが、新聞紙で伝えるところによりますと、郵便物の最近の遅配の原因は全逓の超過勤務拒否による能率低下のためだと言われております。そこで、どこの郵便局でも一体そうであるのかどうか、これは特殊の局に限られておるのであるかどうか、遅配がもう現に現われている局は一体どれくらい全国的に見てあるのか。それからもう一つ、ついでにここで伺っておきたいと思いますが、労働基準法三十六条に基いて、現場でいわゆる三六協定を結んで超勤の措置を講じておられるものがあるのではないかと思いますが、それがあればどのくらいの数が現在なされているか。この点をまず郵政当局にお尋ねします。

この質問に対して、下記のようにいくつかの拠点で、遅延が発生しているとしており。
ここで布施局のなまえがでてくるのですが、私が郵政局で勤務していた頃は、布施は業務困難局には名前が挙がっていなかったように思いますので、改善がなされたのかも知れません。それ以外にも業務困難局と呼ばれた局はありましたが、直接の話しではないので割愛します。

○佐方説明員 お答え申し上げます。現在遅配を生じております局は主として東京都内でございますが、東京都内で四、五局ございます。それから新潟県で三局ございます。それから名古屋管内で五、六局ございます。それから大阪で一局、布施というところが非常に大きくたまっております。それから熊本で四、五局という状況でございます。それから三六協定を現場で結んでいるところは、現在普通局で三十局ほどございます。それは主として東京と大阪の管内でございます。
○大坪委員 ただいまお示しのような数字であれば、日本全体の郵便局の数に対してきわめて少数であるように思われます。これが原因については、ことしの春の春闘に全逓の行き過ぎがあって、従って公労法その他に基いて解雇がなされた、その解雇をなされた人たちが、解雇をされれば現在の公労法四条三項によれば組合員となることも組合の役員となることもできないのであるのにもかかわりませず、その後、ことしの七月でしたかの全逓大会においてこれを再び役員に選任した、そうしてその解雇された人が全部代表権を持つ役員に選任されたということで、従って郵政当局との交渉ができなくなっておる、そのためだ、こういうことが言われておりまして、それに基いて超過勤務等に関する労働協約が結べないからである。労働組合側の主張は、当局が団交に応じないからだというようなことを言っておるのでありますが、またその場合、労働組合側の主張というものは、私どもが新聞紙上等で伺ったところによれば、本来人員が足りないのだ、仕事の量に対して人間の手当が十分でないのである、従って、八時間労働ですか、正規の労働時間を働いていくのであれば、当然この程度の遅配は起るのだ、従って、それを補うために超過勤務の措置を労働協約を結んでやっておるのを、労働協約締結のための団交に応じないから、その責任は郵政当局にあるのだという言い方をいたしておる。この問題に対しては、そういうことがあるとすると、ほんとうに超勤でなければやれないということであれば、これはこんな程度の局でなしに、もっと全国的に郵便物の遅配というものが起ってこなければならぬと思うのであります。それらの点を考えてみますと、これはやはり単なるいわゆる順法闘争、規定の時間内だけ動いたということでこの遅配が起ったというのでなしに、何かそこにやはり怠業状態があるのではないかということが察せられるのであります。その点については実際はどうであるか。この団交拒否といいますかの措置がとられておる以前と以後に比べて、どうしても超過時間の労働でなければ処理できないような実情にあるのか、たとえばその以前の郵便配達手の受け持ち郵便物数はどのくらいであって、この遅配を起したところの郵便局の配達状況はどういうふうであるか、そういうことがもしわかっておれば、と申しますのは、私はそこに、どうしても、単にいわゆる順法闘争ということによってのみ遅配が生じたのではなしに、特別の怠業がなされたがために遅配がひどく現われておるということではないか、こういう感じを持つのでありますが、その点を伺いたいと思います。

ここで、全逓も解雇された職員を組合役員に選出したと言う問題が指摘されています。
この方式は、国鉄の動労【当時は機関車労組】が最初に行った手法で、その後国労も同じ手法で、解雇者を組合役員に採用したことで問題になった方法でした。
国鉄は、団交拒否をおこないますが、結局こうした前例で解雇者による専従役員という流れはその後も鉄労以外では続いていきます。
全逓も、この時に解雇者を組合役員に選出しているので、解雇したくても解雇できないわけです。既に、職員としての席がないわけです。

○佐方説明員 お答え申し上げます。団交を拒否いたしましたために、組合といたしましては無期限の超勤拒否をやったということを言っておるわけであります。そのために業務が動かないのだという主張をいたしておりますけれども、御承知のように郵便物は毎日非常に違うわけでございます。月曜日は非常に少いとかほかの日は多いとかいうので、かねてある程度の超勤は予想しておりますけれども、超勤を拒否いたしました分につきましては、これは実は六月十日以降超勤の協約がございませんので、そこの局につきましては、必要なときには非常勤者を使って処理をしてきております。そういうことで、全国的に今まで運用して参りましたけれども、特殊の、今申し上げましたような局におきましては、非常勤者を投入いたしますと、その人に仕事の手順を教えないというようなこと、それから常勤者が勤務時間中に働いておりますときに、普通よりもぐっと能率を落して、たとえば今まででありますと七百通ぐらい配達いたしておりましたのに、二百通しか配達しないというようなことを順法闘争と称してやっておるというような事実がありまして、そういうところだけがこういうふうな遅配の状況を起しておるという現状であります。

これに対して、大坪委員は公労法第一七条に明らかに違反しているのではないかと言うことで質問を入れています。
最も、郵政省の場合は、公共企業体ではないのであるが、郵政もその職務の関しては現業機関であるので、この法律を準用すると明言する方が良いことになるのですが、郵政省としては処分は発令するものの、公労法を盾にとっての処分ではなく、懲戒処分による停職を発令したとされています。この辺の難しさあるのでしょうね。

参考:公共企業体労働関係法 法律第二百五十七号(昭二三・一二・二〇)
現:行政執行法人の労働関係に関する法律 から引用

第十七条 職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

2 公共企業体は、作業所閉鎖をしてはならない。

○大坪委員 ただいまの人事部長の御答弁を伺いますと、これはやはりどうしても明らかに怠業と見なければならぬと思います。怠業の状態があれば、これは御承知のように公労法十七条に明らかに違反する、業務の正常なる運営を阻害しているということになると思う。従ってこれは、行為当事者も、またこれをいわゆるあおり、そそのかした者も、当然その次の十八条によって、私は処分されなければならぬと思う。あるいはまた郵便法の規定にもございましょう。これらの者に対して一体どういう措置をなさっておいでになるか。これは言うまでもなく、何人でも、自分に関係した郵便物の遅配が自分の身に起って、そのためにたとえば自分の子供なり兄弟なりが就職試験にも間に合わなかったという事態が起れば、おそらく痛切に感ぜられるだろう、こう思うのであります。これは郵便業務の公共性、公益性その国民生活に関係する程度の大きさ、深さ、そういう点からして、私どもは事柄を憂うるがために、あえてきょう御質問申し上げておるわけでありますが、明らかに今のようなことであれば怠業である。怠業であれば公労法十七条に明らかに違反する。それらに対する措置をやはりとらなければ私はいかぬと思う。どうも社会秩序の乱れるというようなことは、信賞必罰と申しますか、こういう措置がとられないからである。そういう点を私どもは痛感するのでありますが、何かその処分についてはこれまでになされておるかどうか、あるいは今後の方針はどうであるか。
○佐方説明員 実はそういう怠業的な行為がございまして、それに対しまして郵便局長からたびたびそういうことをしないで普通の通り配達をするようにというようなことで今まで説得して参ったのでありますが、東京都内におきまして葛飾と城東の局だけは、特にその様子がひどうございましたので、九月に処分をいたしました。ただしそれは直ちに公労法によって首ということはいたしませんで、停職処分をいたしまして、職場をあまり乱しておりますので、その職場から出てもらうということをいたしました。あとのことにつきましては、その後組合内部におきましても、その二局は少し行き過ぎておるというような批判もありましたようで、九月の末から逐次平常の姿に持っていこうというような動きになっております。たまたま水害の問題もありましたので、基準法三十三条の発動によりまして超過勤務をやるということで、この二、三日の模模では、逐次おさまっていくのではないかという見通しでございます。

*********************以下は、議事録の全文を掲載しております*********************

○園田委員長 人事部長が来ております。
○大坪委員 それでは私は、もう時間も非常に迫りましたりしますから、この点について実情を少しお尋ねし、また労働大臣にその点についての御見解もお尋ねしたいと思います。
 最近の実情は、この際私が多くを申し上げる必要もないと思いますが、新聞紙等で十分伝えられておりますから皆さん御承知の通りでありますが、郵便物の遅配が、全般的ではありませんけれども、所によって、はなはだしいものがある。それが国民に非常に大きな迷惑を及ぼしておる。特に今日はいわゆる就職時期でございまして、今度来年に学校を出ようという人たちの就職口に対する関心というものはきわめて深く、きわめて真剣なものがあるのであります。これは一生の運命を決することでありますから、まさにしかるべきものである。それが郵便物の遅配のために非常に大きな損害を受けている向きもあるというふうなことも聞くのでありまして、しかもその遅配の状況が今日なお続いておるようであります。申すまでもなく郵便のことは国営企業でありまするし、国民の生活にきわめて密接しておる公益公共の事業でありますから、こういう事態はすみやかに解消されて、事態が正常化することを望むわけでありますが、そういう見地から私はお尋ねしたいと思うのであります。
 私は時間をなるべく急ぎたいと思いますので、お答えも簡潔に願いたいと思いますが、新聞紙で伝えるところによりますと、郵便物の最近の遅配の原因は全逓の超過勤務拒否による能率低下のためだと言われております。そこで、どこの郵便局でも一体そうであるのかどうか、これは特殊の局に限られておるのであるかどうか、遅配がもう現に現われている局は一体どれくらい全国的に見てあるのか。それからもう一つ、ついでにここで伺っておきたいと思いますが、労働基準法三十六条に基いて、現場でいわゆる三六協定を結んで超勤の措置を講じておられるものがあるのではないかと思いますが、それがあればどのくらいの数が現在なされているか。この点をまず郵政当局にお尋ねします。
○佐方説明員 お答え申し上げます。現在遅配を生じております局は主として東京都内でございますが、東京都内で四、五局ございます。それから新潟県で三局ございます。それから名古屋管内で五、六局ございます。それから大阪で一局、布施というところが非常に大きくたまっております。それから熊本で四、五局という状況でございます。それから三六協定を現場で結んでいるところは、現在普通局で三十局ほどございます。それは主として東京と大阪の管内でございます。
○大坪委員 ただいまお示しのような数字であれば、日本全体の郵便局の数に対してきわめて少数であるように思われます。これが原因については、ことしの春の春闘に全逓の行き過ぎがあって、従って公労法その他に基いて解雇がなされた、その解雇をなされた人たちが、解雇をされれば現在の公労法四条三項によれば組合員となることも組合の役員となることもできないのであるのにもかかわりませず、その後、ことしの七月でしたかの全逓大会においてこれを再び役員に選任した、そうしてその解雇された人が全部代表権を持つ役員に選任されたということで、従って郵政当局との交渉ができなくなっておる、そのためだ、こういうことが言われておりまして、それに基いて超過勤務等に関する労働協約が結べないからである。労働組合側の主張は、当局が団交に応じないからだというようなことを言っておるのでありますが、またその場合、労働組合側の主張というものは、私どもが新聞紙上等で伺ったところによれば、本来人員が足りないのだ、仕事の量に対して人間の手当が十分でないのである、従って、八時間労働ですか、正規の労働時間を働いていくのであれば、当然この程度の遅配は起るのだ、従って、それを補うために超過勤務の措置を労働協約を結んでやっておるのを、労働協約締結のための団交に応じないから、その責任は郵政当局にあるのだという言い方をいたしておる。この問題に対しては、そういうことがあるとすると、ほんとうに超勤でなければやれないということであれば、これはこんな程度の局でなしに、もっと全国的に郵便物の遅配というものが起ってこなければならぬと思うのであります。それらの点を考えてみますと、これはやはり単なるいわゆる順法闘争、規定の時間内だけ動いたということでこの遅配が起ったというのでなしに、何かそこにやはり怠業状態があるのではないかということが察せられるのであります。その点については実際はどうであるか。この団交拒否といいますかの措置がとられておる以前と以後に比べて、どうしても超過時間の労働でなければ処理できないような実情にあるのか、たとえばその以前の郵便配達手の受け持ち郵便物数はどのくらいであって、この遅配を起したところの郵便局の配達状況はどういうふうであるか、そういうことがもしわかっておれば、と申しますのは、私はそこに、どうしても、単にいわゆる順法闘争ということによってのみ遅配が生じたのではなしに、特別の怠業がなされたがために遅配がひどく現われておるということではないか、こういう感じを持つのでありますが、その点を伺いたいと思います。
○佐方説明員 お答え申し上げます。団交を拒否いたしましたために、組合といたしましては無期限の超勤拒否をやったということを言っておるわけであります。そのために業務が動かないのだという主張をいたしておりますけれども、御承知のように郵便物は毎日非常に違うわけでございます。月曜日は非常に少いとかほかの日は多いとかいうので、かねてある程度の超勤は予想しておりますけれども、超勤を拒否いたしました分につきましては、これは実は六月十日以降超勤の協約がございませんので、そこの局につきましては、必要なときには非常勤者を使って処理をしてきております。そういうことで、全国的に今まで運用して参りましたけれども、特殊の、今申し上げましたような局におきましては、非常勤者を投入いたしますと、その人に仕事の手順を教えないというようなこと、それから常勤者が勤務時間中に働いておりますときに、普通よりもぐっと能率を落して、たとえば今まででありますと七百通ぐらい配達いたしておりましたのに、二百通しか配達しないというようなことを順法闘争と称してやっておるというような事実がありまして、そういうところだけがこういうふうな遅配の状況を起しておるという現状であります。
○大坪委員 ただいまの人事部長の御答弁を伺いますと、これはやはりどうしても明らかに怠業と見なければならぬと思います。怠業の状態があれば、これは御承知のように公労法十七条に明らかに違反する、業務の正常なる運営を阻害しているということになると思う。従ってこれは、行為当事者も、またこれをいわゆるあおり、そそのかした者も、当然その次の十八条によって、私は処分されなければならぬと思う。あるいはまた郵便法の規定にもございましょう。これらの者に対して一体どういう措置をなさっておいでになるか。これは言うまでもなく、何人でも、自分に関係した郵便物の遅配が自分の身に起って、そのためにたとえば自分の子供なり兄弟なりが就職試験にも間に合わなかったという事態が起れば、おそらく痛切に感ぜられるだろう、こう思うのであります。これは郵便業務の公共性、公益性その国民生活に関係する程度の大きさ、深さ、そういう点からして、私どもは事柄を憂うるがために、あえてきょう御質問申し上げておるわけでありますが、明らかに今のようなことであれば怠業である。怠業であれば公労法十七条に明らかに違反する。それらに対する措置をやはりとらなければ私はいかぬと思う。どうも社会秩序の乱れるというようなことは、信賞必罰と申しますか、こういう措置がとられないからである。そういう点を私どもは痛感するのでありますが、何かその処分についてはこれまでになされておるかどうか、あるいは今後の方針はどうであるか。
○佐方説明員 実はそういう怠業的な行為がございまして、それに対しまして郵便局長からたびたびそういうことをしないで普通の通り配達をするようにというようなことで今まで説得して参ったのでありますが、東京都内におきまして葛飾と城東の局だけは、特にその様子がひどうございましたので、九月に処分をいたしました。ただしそれは直ちに公労法によって首ということはいたしませんで、停職処分をいたしまして、職場をあまり乱しておりますので、その職場から出てもらうということをいたしました。あとのことにつきましては、その後組合内部におきましても、その二局は少し行き過ぎておるというような批判もありましたようで、九月の末から逐次平常の姿に持っていこうというような動きになっております。たまたま水害の問題もありましたので、基準法三十三条の発動によりまして超過勤務をやるということで、この二、三日の模模では、逐次おさまっていくのではないかという見通しでございます。

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第1話

2023-05-06 09:35:16 | 国鉄関連_国会審議

現在、以下のサイトで、新潟闘争に関する記事を連載しているのですが、それと連動して当時の衆議院 社会労働委員会の議事録を抜粋して解説を加えていきたいと思います。

国労内で民同右派による分裂運動(新潟闘争前) - 日本国有鉄道労働運動史【鉄労視点】

なお、議事録自体は非常に長いので、複数回に分けてアップさせていただきます。

特に社会労働委員会ですので、国鉄以外(郵政省)などとの比較も含めてのお話になることを最初にお断りしておきます。

 

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議事録【抜粋】衆議院 社会労働委員会

昭和三十三年十月七日(火曜日)
    午前十一時六分開議
 出席委員
   委員長 園田  直君
   理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君
   理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君
   理事 小林  進君 理事 五島 虎雄君
   理事 滝井 義高君
      加藤鐐五郎君    川崎 秀二君
      河野 孝子君    齋藤 邦吉君
      志賀健次郎君    田邉 國男君
      中村三之丞君    中山 マサ君
      二階堂 進君    古川 丈吉君
      柳谷清三郎君    山田 彌一君
      亘  四郎君    赤松  勇君
      伊藤よし子君    大原  亨君
      岡本 隆一君    河野  正君
      多賀谷真稔君    堤 ツルヨ君
      中村 英男君    八木 一男君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣        倉石 忠雄君
 出席政府委員
        厚生政務次官         池田 清志君
        労働政務次官         生田 宏一君
        労働事務官
        (大臣官房長)        澁谷 直藏君
        労働事務官
        (労政局長)         亀井  光君
        労働基準監督官
        (労働基準局長)       堀  秀夫君
        労働事務官
        (職業安定局長)       百田 正弘君
 委員外の出席者
        郵政事務官
        (大臣官房人事部長)     佐方 信博君
        日本国有鉄道総裁       十河 信二君
        日本国有鉄道副総裁      小倉 俊夫君
        日本国有鉄道常務理事     吾孫子 豊君
        専  門  員        川井 章知君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 労働関係の基本施策に関する件
 台風第二十二号による罹災者の実情について、
 派遣委員より報告聴取

○園田委員長 これより会議を開きます。
 先般台風第二十二号による罹災者の実情調査のため、現地に委員を派遣いたしたのでありますが、この際各班の派遣委員より順次報告を承わることにいたします。第一班、河野孝子君。

注:昭和32年9月26日から27日未明に掛けて静岡県伊豆半島付近に上陸した台風22号で、「狩野川台風」と言う名称がつけられている。この台風ににより静岡県の狩野川は10余箇所で決壊、氾濫したといことで、その現地調査の報告が続きます。

国鉄にあっても、甚大な被害があり、弊サイト「国鉄があった時代」では以下のように記述されています。

台風22号で国鉄線マヒ 9/26

夜半関東南部に上陸、27日早朝にかけ鹿島灘から太平洋に抜けたが、国鉄では、釧路から福知山まで16管理局1,522吽にのぼる被害をうけた
鶴見川の氾濫により27日夕刻まで不通だった東海道をはじめ、東京を起点とする全幹線がストップ、東京近郊の国電も私鉄もそのほとんどが機能を失い一大混乱をきたした

伊豆箱根鉄道 狩野川台風直撃により被害を受けたが10日で復旧 9/26

以下 中略

 台風被害についての記述が続きますので、労働運動の所まで省略させていただきます。

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以下では、労度運動に関する議題を振られているのですが、昭和30年代は非常に多くの労働運動が行われていた時代であり、その中心をなしていたので総評であり、特に官公労と公務員の労働組合にその傾向が顕著と言えます。

以下では、日教組が勤務評定反対闘争に反対することへの総評及び日教組に対する苦言がなされているのですが、こうした事例を考えるとき、単純に対組合と言う視点で考えるのではなく、その当時の状況というものも十分理解していないといけないわけですが。

昭和27年の講和条約にあって、全面講和か部分講和かで世論が分断した時期であり、これにより所属する組合にあっても、考え方を相違する人はそれぞれ己が信じる組合に参集することとなりました。更に、勤務評定反対闘争は次第に、本来の目的から離れて、「勤評は戦争への一里塚」と言う言葉に代表されるように、政治的要素の具として扱われることもでていることも知る必要があろうかと思われます。

ここで質問している大坪委員は、内務省出身。警保局を経て第37代島根県知事、大阪府警察局長、第28代長野県知事を経て公職追放、昭和30年に初当選したとされていますが、ここで指摘しているように、組合に対しては非常に厳しい論調で、モッブ(モブ)として、日教組を非難しています。

特に以下のように傍線を引いたところは、今後も重要な要素ではないかと思ってしまうわけです。

最近労働組合等の行われます実力行使の方法というものは、労使の間において世上認めらるべき正常と称してよろしい程度の実力行使のらちをはるかに逸脱して、他人に迷惑をかけるというような事柄が常だと言っていいくらいなされている。だれであっても、正当防衛とか緊急避難の場合はともかくでありましょうが、自分の権利を行使する上に当って第三者の法益を侵害していいということはない、それは許されないということは一般原則といわなければならぬ

ただ、こうした違法と言える闘争が日教組に限らず、国鉄・郵政・電電にあっても同様に行われる下地が出来上がっていくことになります。

特に国鉄の場合は列車を止めると言う行為は当時、殆どの代替機関を持たない時代に有っては死活問題であり、特に貨物輸送が止まると言うことは経済が止まるわけです。

こうした事実に対して、労働大臣に質問をしているわけですが、当時の政治家の考え方を総括すれば、以下のような大臣の発言は非常に含蓄があるものと言えますし、総評と対する形で同盟が誕生するのは、ある意味では当然であったのかも知れません。

少し長いですが、全文引用します。

後日本の労働組合運動はだんだん落ちついて参っておる傾向にあると存じますが、なお一部には御指摘のようないろいろな好ましからざる風潮がございます。ことに先ほどお話のように、学校の先生の講習会に労働組合に籍を置いておる人々が出かけていって、そして不法な行為をなされておるということは、これはやはり道義心、教養、品性の問題だと思うのです。ああいうばかなことをやっておることによって、日本の労働組合運動の発展のために害があっても少しも益はないし、ことに外国人からばかにされる動機を作るだけでありまして、私ども健全なる日本の労働運動の発展を期待しておる者から見てまことに遺憾千万であります。従ってやむを得ない不法な行為をする者は、それぞれの法に従って処断をすると同時に、私どもとしてはやはりまだ未熟なお互いの民主主義でありますから、みんなが反省すると同時に、やはり労働運動などをやられる人及びこれを指導する立場におられる人に向っては、できるだけの機会を見つけて、たとえば労働協会などというものはそういう理想から出発いたしたのでありますが、日本人全体が民主主義に習熟する、このことはやはり英国でも長い間国内における闘争をやった結果、ああいうような落ちついた、自分から身につけた民主主義を体得しておるのでありますから、やはり労働行政を担当いたしておる者の立場から申しますと、締めくくるべきところはきつく締めくくる用意と腹を持ちながら、やはりあたたかい目でできるだけ反省を求めて指導していく、こういうゆっくりした気持をもってかかっていかなければいけないのじゃないかと私どもは考えております。ことに大ぜいの組織労働者及び未組織労働者の大部分は、決して破壊的なものの考え方を持っておる人ではないのでありまして、あるいは職業的に、あるいは何かためにせんとする考えで、朴訥な、まじめな労働省を扇動しようとするような職業革命家みたいな者もあるかもしれません。しかしそういう者については、これは警戒をしなければなりませんし、そういう人々は労働者の敵であるということを労働者自身に自覚をしてもらう。従ってこれは長い目でゆっくり腰を落ちつけてやっていくべきだと思うのであります。日本の労働運動も、そういう面から見ますと、だんだん安定を取り戻してきておると思いますが、要は日本人全体が民主主義に対して、より多く反省と自覚を持っていくように仕向けていく、これがやはり大事なことであると思います。

ここに書かれているように、労働運動に対する考え方をしっかりと持つことが重要だと思うのですが、少なくとも政府も労働運動を育てていくべきという考え方を持っている事が理解できるかと思います。

又、それを受けて大坪委員は以下のように、大臣の答弁に対して意見を述べていますので、再び引用したいと思います。

ただいま倉石労働大臣は、今総評等の行なっておるような非合法的な多くのやり方は、日本の労働組合の発展のために害があって益がないと思う、国際的にもいかがなものであろうというようなお話でありますが、私も全く同感であります。私があえてここでこの点について大臣の御所見を伺ったのは、私も、日本の労働組合運動が世界の各国から笑われないような、いわゆるいつまでたっても幼稚だ、子供だという批判を受けないような健全な発展を期待すればこそのことであります。ごく最近の新聞紙で私は見たのでありますが、全労会議が運動方針案というものをまとめたということが出ております。これを一応通覧いたしますと、私どもは……(「お気に召したか」と呼ぶ者あり)お気に召します。(笑声)これならばどこの国に行っても??ソ連や中共に行ったらこれでもちょっと弾圧を受けますが、その他の民主的自由主義の国々に行ったらこういうものならまず正常なる労働組合運動として納得されるであろうと思うのであります。どうも社会党の諸君から不正常ないろいろのやじが飛んでおりますが、これをノーと言われるのであるか、しからば総評のやっている奇矯過激な労働運動をよしとされるのであるか、その点を私は非常に疑わざるを得ないのでありますけれども、私どもは、せめて全労会議が取り上げようとしておるこのような運動方針であれば世人も納得するし、われわれも了承することができる、こう思うのであります。

と言った具合で、総評の運動は日本の労働組合の発展のためには害があって益がないとバッサリ切り捨てているのは印象的です。

ここまで見て、当時の労働運動に関する政府の考え方、そして、当時の世相と言うものについて少しだけ触れさせていただくことが出来ました。
なお、今回は、国鉄の話題ではありませんが、関連する一連の話しの一環としてご覧いただければ幸いです。

以下は、議事録から抜粋したものです。

************************************************************************

○園田委員長 次に労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 前回労働大臣より説明を聴取いたしましたので、直ちに質疑を行いたいと存じます。大坪保雄君。

中略

○大坪委員 どうか一つよろしくお願いいたします。
 そこで、なるべく時間を少くしたいと思いますから次に入りたいと思いますが、それは労使関係の問題についてであります。最近国内の各地で行われておりますいわゆる各種の反対闘争、今日ではもう日本じゅう反対と言わなければものが通らぬというほどに反対闘争というものがいろいろのところで、いろいろの事柄について行われておる。特に今日世人の注目を引いておりますのは、御承知の日教組の勤務評定反対闘争である。さらにこれに関連して文部省が実施いたしております道徳教育のための講習会の反対闘争、あるいははなはだしきに至っては、この間は全国で学力テストを実施する、これは従来からやっているもので、今回が最後の仕上げだそうでありますが、そういうものも、私どもからすれば理由のないことでありますが、反対をやる、そしてこれを阻止することのために実力行使をやるという状況でございまして、まことに私どもは五十余年、これほど秩序の乱れた社会不安の激しい時期はなかったと思うくらいに、反対闘争が行われておるのであります。今日ではむしろこれらの事柄は治安の問題になっておるのでありますが、ここで私があえて労働大臣にこの問題について御所見を伺いたいと思いますことは、これらのいわゆる反対闘争というものが、労働組合ないしその集合体と申しますか、それによって指導され、あるいは指令され、あるいは現場で指揮されておるという点であります。労働組合の行ういろいろの労働争議行為というものは、これは憲法の保障もありますし、組合法その他において相当許されております。特に広く終戦後においては許されておりますから、何か労働組合がやることであれば、かりにそれが法律に反することである、世上一般には許されないことであるというようなものでも許されることのごとく、何か合法的なもののごとく感ぜられておるのではないか、そういうことで一般から見過されておるのではないかというような感じがいたすのであります。労働組合によりましては、非合法をあえてしてこれを合法化しようとする特別の意図を持ってやっておるものもあるような実情でありますし、そういう非合法を積み重ねてこれを合法化する、少くもそういう非合法に対して国民を不感症にする、そういうことによって既成事実を積み重ねていくという意図もある。これはもう私は確実だと思うのでありますが、そこにやはり私は問題があると思うのであります。そして今私が例にあげましたような勤評反対闘争とか、あるいは道徳教育講習反対闘争とかいうようなものは、明らかに何ら法律の根拠に基くもののない不法な、非合法なものであって、そして現実に社会の秩序を乱しておるものといわなければならぬ、そういう行動だと思うのであります。と申しますのは、たとえば日教組がやっております今日の勤評反対闘争のごときものも、これは労働条件の維持改善に関する主張なり、そのための行動なりとは言えない。どういう点から見てもそういうものとは言えない。従ってかりに日教組みずから呼号しておりますように、学校の先生方は労働者なりと見て、それらの組織している団体であるからこれを労働組合の範疇に入れるとして、そして彼らがやっておるこの勤評反対闘争というものは、しからば労働争議の範疇に入るかと申すと、これは私は入らぬと感ずる。そしてその目標としておるところは、これは明らかに政治的なる目的を持ってのことでありますから、労働争議の範疇にはもちろん入らぬし、いわゆる政治闘争として律すべきもの、こういうように思うのであります。そういうことになりますと、もちろんこれは御本人たちも、何も今の労働法による保護を受けようなどということは、おそらく考えてないかもしれませんが、しかしながら権利の主張はきわめて盛んでありますから、都合のいいところには必ず法律の保護を要求する行き方をとっておるわけであります。私どもはこの道徳教育講習会反対闘争のごときは、これはもう何ものでもない、単なるモッブ(群衆。特に、暴徒と化した群衆。)に近い。特に全学連のごとき共産党の最先端を行っている連中のモッブともいうべきもので、これは単なる騒ぎにすぎない、こう思うのでありますが、今申し上げました勤評反対闘争のごときものも、これは労働争議とか労働紛議の範疇には入らぬ明らかな政治闘争だ、労働法上の保護を何ら受くべきものでない、かように考えるのでありますが、これは先刻申しましたように、労働組合がこれを唱え、あるいは指導しないし指令してやっているのでありますから、この点についての大臣の御所見をこの機会に承れば仕合せであります。
○倉石国務大臣 ただいまお話になりました勤務評定反対運動とか道徳教育講習会反対運動といったような、今伝えられておりますような事柄は、いろいろ複雑した内容を持っておると思います。お示しのように、いわゆる日教組というものは職員団体で、労働組合員がその行われるたとえば道徳教育講習会、そういうものに出かけていっておやりになる行動が違法な行動であるならば、これは労働組合法上の保護を受けないことは当然のことであります。従って労働組合法及び憲法が保障をいたしておる労働運動というものは、それぞれ限界のあることなのでありますから、その保護を受けない違法なる行為については、他の法律によって処断されるということは当然のことであるとわれわれは解釈いたしております。
○大坪委員 私はそうでなければならぬと思うのでありますが、これは今の日教組の勤評反対闘争とか講習会反対闘争とかいうことでなしに、現実にある事業場における労働争議の場合等にも常に使われている、いわゆる実力行使の方法というものがあるのでありますが、これが世界のどこにも通用するような正常な形における労働組合の実力行使ということであれば私どもは問題ないのでありますが、これは前に、かつて労働大臣であった場合に倉石労働大臣も言われたかと思いますし、前石田労働大臣も常に言われたのでありますけれども、労使関係を正常化するということのために説得を続ける方法を講ずる、そういう方針をとっておられるようである。ところが最近労働組合等の行われます実力行使の方法というものは、労使の間において世上認めらるべき正常と称してよろしい程度の実力行使のらちをはるかに逸脱して、他人に迷惑をかけるというような事柄が常だと言っていいくらいなされている。だれであっても、正当防衛とか緊急避難の場合はともかくでありましょうが、自分の権利を行使する上に当って第三者の法益を侵害していいということはない、それは許されないということは一般原則といわなければならぬのであります。ところがそれがあえてなされておる。たとえばこれは余談になりますが、勤評反対闘争にしても、あるいは道徳講習反対闘争にしても、ある政府がやる、ある団体がやるということについて反対であるがゆえに実力をもって反対する、その実力は暴力になっている、そういうようなことをもってこれを阻止するということはとうてい許されない。従って第三者に害を及ぼす、ないし公共に被害を及ぼすということで、自然警察官の出動ということもあるわけでありますが、そうすると、これは直ちに警察官に暴行も加えるし、非難も浴びせる。私は先刻申しましたように、今日の反対闘争時代に、かりに日教組がある会合を持って、そこにいわゆる右翼というものが、日教組と主義主張を異にするがために、これは国家国民のために許すべからず、ないし反対であるということで、何らかこれらの阻止行動でもとった場合のことを想像いたしますと、これはもうおそらく警察は何をしておるというようなことで、現在と反対の論議が非常に盛んになるだろうと思うのであります。しかし他のやることについては一向問題にしないで、自分たちのやることについては常に権利を主張するというのが実情であり、そういうことが先刻申しました政治局的を持った政治闘争の範疇と見るべきような方法でやられておる。それを私が特にこの際労働大臣にお尋ねいたしておりますのは、これらの指導に当っている者が総評である??全学連等もございますが総評であるということであります。総評は九月三十日の第三回拡大幹事会でございますか、今後の闘争方針をきめたものの中を見てみますと、きわめて政治的な目的を掲げているものが多いのであります。たとえば第三次統一行動といたしまして掲げておるのを見ましても、それには最低賃金制の獲得とか、ILO条約の批准とか、日中関係の打開とか、あるいは核武装阻止とか、台湾水域からの米軍即時撤退とか、明らかに何ら労働条件に関しない政治目的を掲げておるのであります。そして傘下団体を指揮し、ないし指導して、いわゆる違法行為を重ねてやっておる。これらの事柄が世の中にたびたび繰り返されると、先刻申しましたように国民全体が不感症になるおそれがある。私はそれが一番心配であると思うのであります。こういう総評のやっている目的、ないしその目的を遂行するための各種の実力行使の処置というものは、本来労働組合のやることじゃないのだ、明らかに政治目的を掲げている政治活動なんだ、政治闘争なんだということを、やはり国民にはっきり知らしめると申しますか、訴える必要があるのじゃないか、こういう点について、労働組合関係のことを主管しておいでになる労働大臣が、労働組合の行動の規範とでも申しますか、これは先般労働次官通牒等も出たのでありますが、そういう事柄についてのたとえば声明を出されるとか、あるいは労働組合ないしその集合体に対して通牒とでもいうべきものをお出しになるとかいうようなことによって警告を発する、国民に対してもその啓蒙いわゆるPRをやるというようなことをなされたらいかがなものであろうかと私は考えるのでありますが、この点について大臣はどういうようにお考えになりますか。
○倉石国務大臣 ただいまお話にありしまたように、戦後日本の労働組合運動はだんだん落ちついて参っておる傾向にあると存じますが、なお一部には御指摘のようないろいろな好ましからざる風潮がございます。ことに先ほどお話のように、学校の先生の講習会に労働組合に籍を置いておる人々が出かけていって、そして不法な行為をなされておるということは、これはやはり道義心、教養、品性の問題だと思うのです。ああいうばかなことをやっておることによって、日本の労働組合運動の発展のために害があっても少しも益はないし、ことに外国人からばかにされる動機を作るだけでありまして、私ども健全なる日本の労働運動の発展を期待しておる者から見てまことに遺憾千万であります。従ってやむを得ない不法な行為をする者は、それぞれの法に従って処断をすると同時に、私どもとしてはやはりまだ未熟なお互いの民主主義でありますから、みんなが反省すると同時に、やはり労働運動などをやられる人及びこれを指導する立場におられる人に向っては、できるだけの機会を見つけて、たとえば労働協会などというものはそういう理想から出発いたしたのでありますが、日本人全体が民主主義に習熟する、このことはやはり英国でも長い間国内における闘争をやった結果、ああいうような落ちついた、自分から身につけた民主主義を体得しておるのでありますから、やはり労働行政を担当いたしておる者の立場から申しますと、締めくくるべきところはきつく締めくくる用意と腹を持ちながら、やはりあたたかい目でできるだけ反省を求めて指導していく、こういうゆっくりした気持をもってかかっていかなければいけないのじゃないかと私どもは考えております。ことに大ぜいの組織労働者及び未組織労働者の大部分は、決して破壊的なものの考え方を持っておる人ではないのでありまして、あるいは職業的に、あるいは何かためにせんとする考えで、朴訥な、まじめな労働省を扇動しようとするような職業革命家みたいな者もあるかもしれません。しかしそういう者については、これは警戒をしなければなりませんし、そういう人々は労働者の敵であるということを労働者自身に自覚をしてもらう。従ってこれは長い目でゆっくり腰を落ちつけてやっていくべきだと思うのであります。日本の労働運動も、そういう面から見ますと、だんだん安定を取り戻してきておると思いますが、要は日本人全体が民主主義に対して、より多く反省と自覚を持っていくように仕向けていく、これがやはり大事なことであると思います。岸第二次内閣が労働政策に重点を置くと申しました一面においては、先ほどお話がありましたように、雇用、失業というような問題、日の当らない階層に属する労働者に先を楽しんで働いてもらうような、たとえば中小企業の共済制度であるとか、そういうものをやって政治に信頼感を持っていただく。同時にまた前大臣以来いわれておりました労働秩序というものを徐々に確立して、産業発展の片方のにない手である労働組合員諸君の生活を安定させると同時に、日本の産業を国際競争力を持って維持していくことのできるように推し進めていきたい、こういうような考え方が岸総理の言っておる労働政策に重点を置くということでございます。
○大坪委員 ただいま倉石労働大臣は、今総評等の行なっておるような非合法的な多くのやり方は、日本の労働組合の発展のために害があって益がないと思う、国際的にもいかがなものであろうというようなお話でありますが、私も全く同感であります。私があえてここでこの点について大臣の御所見を伺ったのは、私も、日本の労働組合運動が世界の各国から笑われないような、いわゆるいつまでたっても幼稚だ、子供だという批判を受けないような健全な発展を期待すればこそのことであります。ごく最近の新聞紙で私は見たのでありますが、全労会議が運動方針案というものをまとめたということが出ております。これを一応通覧いたしますと、私どもは……(「お気に召したか」と呼ぶ者あり)お気に召します。(笑声)これならばどこの国に行っても??ソ連や中共に行ったらこれでもちょっと弾圧を受けますが、その他の民主的自由主義の国々に行ったらこういうものならまず正常なる労働組合運動として納得されるであろうと思うのであります。どうも社会党の諸君から不正常ないろいろのやじが飛んでおりますが、これをノーと言われるのであるか、しからば総評のやっている奇矯過激な労働運動をよしとされるのであるか、その点を私は非常に疑わざるを得ないのでありますけれども、私どもは、せめて全労会議が取り上げようとしておるこのような運動方針であれば世人も納得するし、われわれも了承することができる、こう思うのであります。そういうことを心配するがために今お尋ねを申し上げたのでありますが、従来から、前大臣もそうでございましたけれども、前大臣のごときは説得大臣などと言われておったようでありますが、どうもこの説得だけでは効果が上らないように思うのでありますが、しかし、今お話のごとくこういう問題はあせってはいかぬのでありますから、時日をかして、ほんとうにわが国の労働運動もまだまだ幼稚であるなどと世界から笑われないで済むように、早く成長するように労働大臣としてもお力添えを願いたいと思います。
 そこで私は、委員長、この際最近の郵便物遅配の実情についてお尋ねしたいと思いますが、郵政省はおいでですか。

続きます。

注:モッブ(mob)

全文をご覧になる場合は、以下のURLを参照ください。

国会会議録検索システム

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第一回衆議院 運輸及び交通委員会 第4号から転載 1話目 

2017-12-25 14:09:09 | 国鉄関連_国会審議
今回から、昭和22年7月21日運輸及び交通委員会 第4号の議事録からの引用になります。
今回は、国鉄労働組合に関するお話になります。
国労が発足するのが昭和21(1946)年2月ですが、その時は国鉄労働組合総連合会と言う形で誕生します。当時の鉄道省職員の96%が加盟し発足しました。
この時は、神奈川分会が、加盟を拒否されたためと言われています。
その後、下記のような闘争を経て、昭和22年6月には単一組織の国鉄労働組合として改組の上発足しますが、当初から運動を引っ張って来た共産党系に対する、穏健派(社会党支持)が昭和22年11月の臨時大会で分裂、国鉄労組反共連盟を結成します。
その後、反共同盟は発展して、国鉄民主化同盟(民同)へと発展していくことになります。
国鉄民主化同盟(民同)はその後も分裂を繰り返し、昭和32年の新潟闘争を経て、国鉄新潟地方労働組合が国労から脱退して発足、その後同様の動きが全国で起こり、同年の11月27日には、職能毎に新労組を組織化し国鉄職能別労組連合会(国鉄職能労連)が発足しました。
さらに、昭和34(1959)年に社会党極右派が脱退して、民主社会党(民社党)を結成するに及び、以前から関係が深かった、国鉄労組民主化同盟(新生民同・民同右派が所属)も大挙して国労から分裂、昭和36(1961)年には、国鉄新潟して、新国労が誕生することになりました。


ただ、発足当時の国労は、概要として下記のように書かれていますが、戦後初期の労働運動を牽引したところがあり、大原社会問題研究所の日本労働年鑑 戦後特集(第22集)によりますと、下記のような記述がみられます。(記事は当時のママ)


◇五〇萬をこえる大組合であるが闘争の歴史も豊富で、廿一(昭和21)年一月の「省電安全運転」廿一(昭和21)年九月のいわゆる「国鉄ゼネスト」廿二(昭和22)年二月一日ゼネストまでの闘争では全闘(全国労働組合共同闘争委員会)のイニシアをとるなど我が国全体の労働運動に大きな力を常にもつていました。

と書かれているように、共産党が主導して国鉄の中で運動を牽引していたと言われています、そして共産党の運動方針に反発するグループが国労内で分裂して

参考 http://whitecat-kat.hatenablog.com/entry/2015/02/08/113458 国鉄労働組合史詳細解説6

*******************以下は国会審議の本文になります********************



こんにちは、引き続き衆議院、運輸及び交通委員会の議事録を御覧ください。
今回は、主に国鉄労働運動について語られています。

第001回国会 運輸及び交通委員会 第4号
  付託事件
 海運組合法を廢止する法律案(内閣送付)(豫
 第三号)
―――――――――――――――――――――
昭和二十二年七月二十一日(月曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 正木  清君
   理事 前田  郁君
      井谷 正吉君    佐々木更三君
      島上善五郎君    館  俊三君
      成重 光眞君    矢野 政男君
      山崎 岩男君   小笠原八十美君
      高橋 英吉君    田村 虎一君
      中野 武雄君    前田 正男君
 出席國務大臣
        運 輸 大 臣 苫米地義三君
 出席政府委員
        運輸政務次官  田中源三郎君
        運輸事務官   伊能繁次郎君
        運輸事務官   牛島 辰彌君
        運輸事務官   郷野 基秀君
    ―――――――――――――
七月十一日
 海運組合法を廢止する法律案(内閣送付)(豫
 第三号)
の審査を本委員に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 國鐵、日通、及び私鐵の各勞働組合に關する説
 明聽取
    ―――――――――――――
○正木委員長 會議を開きます。
 これより國鐵勞働問題に關して、當局より説明を聽取いたします。牛島政府委員。
○牛島政府委員 私、鐵道總局の職員局長の牛島でございます。國鐵の勞働組合運動につきまして、簡單に御説明申し上げたいと思います。お手もとに差上げてございます國鐵勞働組合概況を作成してまいりましたので、この概況書竝びに國鐵勞働協約の解説に從いまして、要點だけを申し上げたいと存じます。
 話の順序といたしまして、第一番目に國鐵勞働組合運動の、本日までの經過の概要を申し上げたいと思います。國鐵勞働組合の運動の經過を大別いたしますと、大體五期にわけ得ると思うのであります。第一期は、昭和二十一年の二月に國鐵總連合が結成されるまでの時期でございまして、第二期は、二十一年の九月の例の馘首絶對反對のストライキ問題が妥結したまでの時期、第三期は、昭和二十二年二月の例の生活權獲得ゼネスト問題が、妥結と申しますか、打切られたまでの時期、第四期は二・一ゼネスト以後、六月に國鐵總連合が單一に結成されたその大會までの時期、第五期は、その單一組合結成後本日に至るまで、こういうふうにわけ得ると思うのであります。ここにも書いておきましたが、終戰後國鐵といたしましては、勞働組合を結成いたす前に、上下の意思疏通の機關といたしまして、昭和二十年十一月一日に鐵道委員會というものをつくりまして、部内で發足いたしたのでありますが、しかし勞働組合法の成立竝びにその後におきます社會、經濟界の情勢の變化によりまして、急速に鐵道委員會は發展的に解消いたしまして、勞働組合が結成されるようになりました。その當時におきましての情勢もそこに書いてございますが、結局この勞働組合を全國的に單一するか、または連合體にするかという點におきまして、いろいろと折衝はあつたようでございますが、結局連合體といたしまして、昭和二十一年の二月に發足いたすように相なりました。この連合體としての總連合が結成されまして以來、一面非常に物價騰貴、生活の不安にかられました從事員一同は、非常に生活不安に襲われたのでございますが、例の七月一日の全官公職員に對するところの給與の改善案によりまして、一時小康を得たように思われました。その後七月末におきまして、國鐵經營の合理化の見地から、人員を整備し、さらに必要な部面に増員をしようというような管理者側からの申出を契機といたしまして、例の馘首絶對反對のストライキが起りました。これも九月十四日に政府側と組合側との妥結によりまして、一應收まつたわけでございます。この結果當局としては、從來の整理案というものはこれを取消すことにいたしました。ただ今後におけるところの、一面において過剰人員があり、一面において不足人員があるというような點につきましては、これを極力配置轉換を行う、また惡質者はこを整理していくことによつて、九月十五日のストライキは一應妥結したのであります。その後さらにインフレーシヨンの進行に伴いまして、生活の困難がようやく極度に達しつつありましたので、二十一年の十一月に國鐵總連合といたしましては、大會をもちまして生活權獲得の要求書を提出いたしました。そうして管理者側と交渉を開始するに至りましたが、この鬪爭は全官公吏の問題に發展いたしまして、例の二十二年二月一日を期してゼネストをする、いわゆる二・一ゼネストの態勢を整えるに至つたのでありますが、その筋からの命令によりまして、その寸前において中止される状態に立ち至りました。この二・一ゼネストの中止後、組合側も一應爭議を打切ることといたしまして、鬪爭態勢を解きまして、交渉によつて問題を解決するというような方向に進んでまいりました。その打切るときにあたりまして、政府側から提出いたしましたところの政府職員の待遇改善委員會の準備會において、兩者協議によつて今後給與、待遇改善の妥結點を見出していこうということに相なつたのであります。他面二月二十一日におきましては、經營參加の問題をも含めたところの廣汎な勞働協約が締結されました。その後五月下旬におきましては、第一囘の臨時の經營協議會が開催せられました。鐵道の財政、給與關係、勤務時間、その他勞働條件に關する問題、業務關係の問題等、國鐵經營の各般にわたりまして、經營協議會において協議が行われました。經營協議會の結果といたしましては、組合側と運賃の値上げ問題に關し若干意見の相違がございましたが、大局的には双方の意見が一致いたしまして、これを專門委員會においてさらに深く檢討することに相なりました。組合側との團體交渉もやうやく軌道に乘つてきたような感がございます。國鐵總連合は結成以來、連合體として出發いたしたのでございますが、本年の六月に相なりますと、さらに大會をもちまして、全國鐵の勞働組合を打つて一丸とするところの單一組合の結成を完了いたしまして、中央の本部が地方の各支部を包括するような組織に改められたのであります。なお大會におきましては、從來未解決であつたところのいろいろの問題、さらに新たな地方提出の要求項目を整理いたしまして、七月九日新たな要求を提出しております。最近におきまする組合側の動向といたしましては、經營協議會等によりまして、協議により解決點を見出そうとするような方向に相なりつつあるように思われます。なお八月中旬には、さらに定期の經營協議會を開催いたすように組合側と話合つておる次第であります。
 今までの組合運動の沿革等につきましては、概略ただいま申し上げた通りでございます。なお組合といたしましての日誌等につきましては、その次に組合運動概要の日誌として掲載いたしてございますから、この點につきましては省略いたしたいと思います。
 次に申し上げますことは、現在の組合の組織の概要でございます。國有鐵道の勞働組合は、從來鐵道局の管轄區域毎に各地方の連合會を結成いたしておりまして、その複合體をもつて總連合會を結成いたしておりましたが、本年の六月五日の大會以降、この複合體を解體いたしまして、全組合員を打つて一丸とするところの單一の組織體に改めたのであります。現在におきましては本部の下に支部が全國に七十五ございます。組合員數は約五十六、七萬に及んでおると思いますが、結成當時におきましては約五十六萬三千になつております。さらにこの支部の組織の上に各地方、すなはち東京、中部、大阪、新潟、仙臺、北海道、九州、四國、廣島というようなふうに、支部の連絡機關といたしまして、地方評議會を設けておる次第でございます。この組合におきましては、後に書いてございますが、支部竝びに地方評議會におきましても若干の團體交渉權というものを認めておるのでございます。さらに組合といたしての届出その他の手續を了しておるのでございまして、法律的に申しますと、あるいは純粹の意味の單一體ではないのかも知れないというふうに私どもは考えておるのであります。
 次に、最近の組合におけるところの問題につきまして申し上げたいと思います。組合より管理者側に向いましていろいろと要求事項が出ておりますが、この要求事項の傾向について申し上げたいと思います。當局に對する要求は、やはり何と申しましても生活を除去せんとするところの要求が一番多いと思います。從いまして生活費を中心とするところの基本給の増額の問題、その他これに附帶するところの勞働條件の改善の問題が主となつておりますが、業務改善の問題につきましても、最近におきましては大分殖えてまいつてきたように思います。
 まず第一の給與改善の問題でありますが、先ほどもちよつと申し上げた官公吏の給與改善というものは、現在におきましては、政府職員の待遇改善委員會準備會においてこれを決定いたしておるのでございまして、生活保障を中核といたしますところの基本賃金竝びに各種手當等につきましては、現状におきましては運輸省限りにおいて解決し得ない全官公吏の問題と相なつてまいつておりますので、漸次この準備委員會において審議せらるるような傾向にあるのであります。ただ組合側と管理者側との交渉によりまして意見の一致を見、さらに委員會においてこれを審議するというような方向に進んでおると思われるのであります。
 次に基本給竝びにそれと直接關係ある金錢給與以外の勞働條件に關する問題といたしましては、たとえば休日であるとか休暇、勞働時間等の直接的な勤務條件、また住居施設あるいは醫療施設、被服の問題、その他の物的の諸給與等の間接的な勤務條件とにわけ得られるのでありますが、この兩者につきましては、本年の二月二十一日に締結いたしました勞働協約によつて基本的な線はきめられております。今後の問題といたしましては、その具體的な實施方法が殘されておるわけでございまして、すでに經營協議會においても協議され、現に專門委員會においてもさらに深く協議が繼續いたしておる次第であります。ただここにおきましてこの物的給與の問題でございますが、この問題も國内資源の供給能力との關係もございまして、運輸省限りにおいては解決し得ないような方向に逐次向いつつあるのであります。經濟安定本部等におきましてこれが委員會もすでにできておりまして、組合側竝びに管理者側もこれを出して、その協議にあたることになつておるのでありますが、遺憾ながらあまり活動をしておらぬような状況にあります。ただこの委員會においても、輸送業務というものについて、産業別の優先順位の決定においても、また實際の勤勞用物資の配分決定の問題においても、なかなか重大な問題が起つております。業務改善に關するところの問題として、組合側においても業務組織の改善あるいは制度の運用等につきましていろいろと協議をいたしております。現に第一囘の經營協議會におきましても、この點の具體的方策についていろいろと審議されたのでありますが、今後の問題といたしまして經營の合理化等、組合側にも協力を求める點が相當多々あると考えておるのであります。さらにここに附け加えて皆様方に申し上げておきたいことは、きわめて最近におきまする政府の施策その他に基きまして、現在の組合側において最も關心をもつておりまする問題の一つは食糧に對する確保の問題を強く取上げておる點であります。あるいは食糧の現物を遲配欠配なく與える、あるいはまた食糧休暇をもらいたいというような面において、問題となつて現われてきておる次第であります。
 次に組合の内部の問題につきまして、簡單に申し上げたいと思います。組合内部の事情を管理者の立場から見ますると、内部はやはり急進的な考え方と、比較的堅實と申しますか、穏健な考え方との抗爭をめぐつて、微妙な動きを示しておるように思われるのであります。これが從來の爭議の過程におきまして、明確な形となつて現われておるように思われるのであります。すでに御承知の、昭和二十一年二月總連合が發足いたす以前におきまして、東鐵管内に發生いたしました例の省電爭議の問題でございますが、これなども急進派のいわゆる直接行動と見られるものとも思われるのであります。これに對しまして比較的穏健な考え方をもつておる組合員といたしましては、組合の團結を亂るものであるとして一旦除名處分に出たのであります。しかして當局側がこれらの省電事件の責任者を懲戒處分といたしました。ところが穏健派はひつくり返りまして、組合自身として除名をいたしましたものを、この除名を取消しまして、當局に對しましては懲戒處分の撤囘を要求するに至つたのであります。このように分裂しながらも當局に對する抗爭におきましては、團結を保持する形がその後の組合の動きを支配いたしておると思われます。また昭和二十一年の九月馘首反對の爭議におきましても、名古屋以西におきまするところの、いわゆる穏健と申しますか、堅實と申しますか、そういう組合が東日本の組合のゼネスト決行に反對をいたしまして、一時は組合の分裂を見るかとも思われたのでありますが、結局大同團結いたしまして、當局に要求を貫徹しようという態度に出ております。また本年の二・一ゼネストの爭議は、國有鐵道のみの問題ではなく、全官公職員の共同鬪爭という形をとりましたために、これまでとは違つた行き方をし、當初におきましては分裂の兆は見られませんでしたが、G・H・Qのその筋の中止勸告が明らかになつてまいりますにつれ、一般組合員は急進派の獨斷的行動を不滿とし、これを排撃しようとする試みなども現われたように思われるのであります。また三月中旬におきまして組合が大會をもちました際におきましても、一部急進分子を組合幹部より取除く動議が提起されたことがございます。組合といたしましては、その大會においては決議をしなかつたようでありますが、こういうふうに組合内部といたしまして、われわれ管理者側として見ておりますと、急進派と穏健派とは相當激しい抗爭を續けてきておるように思われるのであります。しかしながら當局に對しましては、あくまで組合の團結を失うことなく、一致してこれに當ろうとしておるように思われます。現に組合の幹部として苦心しておるところも、またこういうところにあるのではないかと思われるのであります。組合といたしましても、最近におきましては非常に自己批判をいたしておるように思われるのでございまして、先般六月の大會におきまして、新たに中央執行委員等が選出されたのでありますが、そういうのを見ましても、比較的堅實な、建設的な、また穏健な人が大部分を占めておるように思われます。なお組合は總同盟あるいはまた産別會議等に現在の段階においては加入いたしておりません。ただ組合の外部活動といたしましては、例の全國勞働組合連絡協議會、さらに七月上旬結成を見ました全日本交通運輸勞働組合協議會に參加いたして、これらと隨時連絡し、組合運動を展開しつつあるのでありまして、現在の段階におきましては、一應落ちつきのある動向を示しておるのであります。
 次には、勞働組合が結成されまして、組合活動が活溌になりましたことが、鐵道業務にどういう影響を及ぼしたかという點を簡單に申し上げたいと思います。組合員が組合活動の何たるかを明確に自覺して、單に權利だけを主張するような矯激な傾向を改めて、義務をも履行するようになりますれば、業務に對してはむしろ非常によい影響を與える。勞働組合なくして今後の業務の完全な遂行はできないことになると考えております。しかしながら現在までの組合活動は、必ずしも業務に對してよい影響のみを與えたとは考えられない。悪い影響を與えておる點も少くないのであります。第一に業務命令に從わないことが本筋であると誤解をする向きもあつたかと思われるのでありまして、それは長い間の一方的な命令に對する服從の反動として、理解し得る點もないではございませんが、一旦發せられた業務上の命令に對しては、あくまでも服從することが、いかに民主的になつても絶對に必要であると思うのであります。最近は組合員も逐次職場紀律の維持の重大性に目ざめつつあることは喜ばしい傾向にあると思われます。
 第二に組合結成の當初におきましては、組合員は無統制にデモその他に參加する傾向がございまして、爭議問題が發生するたびに、幾度となく何萬という組合員が職場を離れるというようなことになりまして、これらにつきましては、當然業務に悪い影響を及ぼしました。今後これらの觀點からいたしまして、組合事務に專從する者の範圍及び組合活動をなし得る場合等を限定し、協約の規定を組合員に遵守さしてまいらねばならないと考えております。
 次に今後の見透しはどういうふうになるかということにつきまして一言申し上げます。本年の二月に例の劃期的な勞働協約が締結されましてから後の組合運動は、從來とは大分形を異にしてきたように思われます。從來のように鬪爭のみにこだわるというようなことなしに、昨今は勞働協約の規定に從い、經營協議會を中心に當局と事務的に交渉するように相なつてきております。組合内部におきましても、すでに申し上げましたように非常な反省期に入つておるように思われるのでありまして、今後におきましては、非常に軌道に乗つて組合との交渉その他が進められるものと思うのであります。ただ今後の日本の經濟の秩序いかんというものが非常に大きな關係があるのでありまして、さらにインフレーシヨンが悪化し、生活問題が事務的な交渉、あるいは協議のらち内で解決ができなくなるというようなときには、かつて示したような組合活動の態勢に逆轉するところがないとは斷言できないのであります。
 以上申し上げましたところは從來の組合に關することでございますが、以下お手もとに差上げましたパンフレツトにございます點は、組合のきわめて最近の綱領竝びに運動方針でございます。これらをごらん願いますと、考え方といたしましても、非常に建設的なものに相なつておると思われます。國鐵の勞働組合の規則その他はそこにございますが、この規則の説明は一應省略さしていただきまして、別にお手もとに差上げてございます國鐵勞働協約の解説書によりまして、勞働協約のおもな點だけを御説明申し上げたいと思います。この勞働協約を作成するには、組合側竝びに管理者側も誠心誠意努力をいたしまして、さらに中央勞働委員會の御努力もございまして、でき上つたものでございます。全條五十六條よりなつております。この協約の根本というか、特徴をなしておるものを一、二申し上げたいと思いますが、この協約におきましては、鐵道經營の管理權竝びに人事權というものは當局側にあるという點に特徴があると思います。この點は組合といたしましても管理者側に經營權竝びに人事權というものがあることをはつきり認めたことになつております。次に經營協議會の設置を第二條において規定しております。經營協議會につきましては別に經營協議會規則を設けておりますが、すでに第一囘を開き、さらに中旬には第二囘を開いてまいりたいと思つております。このパンフレツトのおしまいの方に經營協議會の規則も掲げてございます。次に申し上げる點は、この協約におきまして組合員の範圍と申しますか、第四條の規定がいろいろと從來も問題になつたのでございます。國有鐵道の從業員はこの勞働組合の組合員とするというふうな書き方になつておりまするので、この點がいろいろと例の職制の問題と關連いたしまして、クローズド・シヨツプではないかというふうに言われたのでございますが、私どもといたしましては、この點につきましては國有鐵道獨自の職制である、こういうふうに考える。強いて申しますればあるいはユニオン・シヨツプに當るのかとも思いますが、本協約を通じまして組合員の脱退を認める、組合員にあらざるところの從業員のあることを認める、また組合より除名されましても、國有鐵道において當然これを解職するということにならない、解職する一つの理由になるというような點、この協約におきましては他の組合の成立をもなお豫想しつつできておる點を考えますと、この第四條においてきめておりますることは決してクローズド・シヨツプではない、國鐵獨自の職制であるというふうに考えておるのであります。なおこの第四條の規定の但書におきまして「職務の性質上甲の立場を代表すると認められるものを除く」というふうに書いてございまして、甲の立場を代表するという立場にあるものは組合員としないというふうに書いてあるのであります。この點につきましては先般の經營協議會におきまして範圍を一應組合側と協定をいたしまして、協定事項として經營協議會においてまとまつたのであります。それの一番の根本は驛長であるとか、あるいはまた現場長、機關區長であるとかいう現場の長を組合員とするかしないかという問題でございます。それも經營協議會におきましては現場の長は組合員としないということで協定が成立したのであります。しかしながら組合といたしましては、經營協議會後の大會におきましてこれをかけましたところが、組合員の同意を得られませんので、これが勞働協約と同じ效果を發生するということに相なりませんために、現在におきましては現場長は組合員であるか、組合員でないか、まだはつきりきまつておらない状態でございます。甲の立場を代表すると認められるもの、これの組合員の範圍ということにつきましてはさらに組合と折衝をし直さなければならない状態にあることを申し上げておきたいと思います。
 次に勞働におきまして特に申し上げることは、勤務時間、その他休日、休暇等のことでございます。勤務時間につきましては一日八時間、一時間以内の休憩時間を含めて勞働時間は一日八時間であるということに取極めてはございます。一時間以内の休憩時間を含んでおりますので、おおむね實働七時間制を採用するということに相なつております。但し勤務時間というものは鐵道の業務の特殊性からいたしまして、いろいろの勤務制度がございますので、それに從いまして別表によるというふうに第十五條の規定において定めておるのでございます。なお休日、休暇につきましては、週休制を採用し慰勞休暇と申しますか、休暇につきましては、勤續一年以上の者につきましては、年二十日を認める。一年未滿三箇月以上の人につきましては、年十日を認めておるのであります。なお勤務時間を超えて勤務いたしました者に對する増務給その他のものを認めておるのであります。女子竝びに年少者の勤務は、勞働基準法が實施になりますのを待つてきめるという勞働協約になつておるのでありまして、現在組合側と女子竝びに年少者の勤務をいかにするかということについては、專門委員會において折衝中でございます。それからこの協約の第五十二條におきまして、この協約は二月二十二日から有效になりまして、八月の二十一日まで有效ということに相なつておりますが、この第五十五条の規定によりまして、この期間中においては人員整理のための解雇をしないということを認めておるのであります。この規定につきましては、先ほど申し上げました九月十五日のゼネストの際交換いたしました覺書を再確認いたしておるのであります。この協約が更新されましても第五十五条は當然には繼續して效力をもつものではないのであります。協約の大體の特徴その他については以上私から申し上げた點に盡きると思つております。はなはだ簡單でございますが、一應國有鐵道勞働組合の概況について申し上げた次第でございます。
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