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第五章 分割・民営体制の矛盾の表面化と国労運動
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第六節 国労の政策要求
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国労の「鉄道交通政策提言骨子」( 第一次案)
国鉄の「分割・民営化」から6年を経過した1993年夏、7月25日から開いた第58回定期全国大会(伊東) において「鉄道輸送を軸とした交通政策づくりを進めていく」ことを決め( 前述) 、その際、政策骨子案) の提起にあたってのポイントは、次のような考え方であった。
① 国鉄の「分割・民営化」政策で未解決になっている諸問題についてどのように解決を図っていくのか。
② わが国の環境・エネルギー問題から考えて大量輸送が可能である鉄道交通の重要性の再認識。
③ 国鉄の「分割. 民営化」政策の枠組みの中での議論( 徹底した批判は必要だが) から利用者・地域住民を主体にした国民の交通権の保障を重視する観点で社会資本を充実させ、鉄道交通の本格的な整備を図る必要があるのではないか。
④ 経営形態について、諸外国の政策に学びながら、1 全国一社であること、2 地方を重視する組織形態であること、3 上部構造の分離をはかること、4 特殊会社形態とし、株式の政府保有比率を51% 以上とすることを基本に検討。
⑤ 安全輸送の確立と交通運輸労働者の労働条件の改善を重視する。
⑥ われわれが提言する「鉄道交通政策」の大前提は、国鉄改革のいわば〝負の遺産〃であった採用差別事件をはじめとするすべての不当労働行為事件の全面解決であり、労使紛争の解決である。
⑦ 「国鉄改革の評価は10年……」といわれてきたことからすれば、あと3年余で1997年の「節目」を迎えることとなるが故に、いま政策提言を行う時期ではないか……。
ついで翌1994年4月27日に開いた第165回中央委員会において、国鉄「分割・民営化」10年目にむけた職場討議を開始することを決め、そのための「鉄道交通政策骨子」( 案) を提起した。
そして同年7月29日からの第59回定期全国大会( 東京・日本教育会館) において「国鉄分割・民営化10年を迎えるにあたっての鉄道交通政策提言骨子」( 第一次) を提案し、決定した。
決定にあたっての大会討議では、「運動と結合する整合性が見えない」「赤字地方路線廃止の動向もあり、バス政策も重要な課題であり、議論が必要だ」「『分割・民営化』の政策を問い直し、国労が具体的な政策を提言することは重要である」「モーダルシフトなど運動面の政策を見ていく必要がある」「安全問題に対する全国的な点検が必要だ」「解雇撤回と差別にこだわり闘いつづけているのに、それを横においた形での政策提言は違和感を感じる」などの補強意見や慎重意見が出された。
それらをうけて書記長は、中間答弁として「政策提言と運動を結合させるため、決定後は国会や地方議会、共闘のみなさんに理解をいただき、公共交通再生の運動をつくっていきたい」「バスの政策については、まず全部をJR本体でやるような体制に変えたうえで、第三種路線をどのように守るかについて付加していきたい」と答え、さらに最終的には「交通政策は国鉄闘争と別ものではない、国鉄闘争と同時に政策をぶつけて大きな運動をつくろうとするものだ」「運輸省は『分割・民営化』には矛盾があり、それを解決できないというような内容を自らが出した、これに対してわれわれがこのような考えで乗り越えられるのだと問題提起をすることは大事なことだ」「議論の不十分な点はある、そういうことも考えて『骨子( 第一次)』とした、みなさんの賛同をいただきたい」「地方で多岐にわたる要求や課題を広範につくっていただき、わが国の公共交通の中心を担う鉄道輸送を未来にわたってどのようにつくるかの議論を巻き起こしてほしい」「そういう中から、『分割・民営化』で国家的な不当労働行為を行った政府、国鉄の責任をさらに追及し問題を解決したい」と集約した。
この定期全国大会後の9月、『利用者・働く者と地域がつくる鉄道の未来』と題したカラフルなA4判のパンフレットが作られた。
それには国労の「鉄道交通政策提言骨子」がその英訳文とともに盛り込まれ、国労組織内だけでなく関連労組( 文運労協) をはじめ利用者や地域のなかでの論議の素材とされた。
なお、「鉄道交通政策提言骨子」( 第一次案) の柱と内容は、次のようになっていた。
続く