新幹線開業後の１５１系の処遇について検討されていたこと（昭和３８年頃のお話）

昭和３９年東海道新幹線は開業しますが、その前年には既に開業後の１５１系電車の処遇について検討されていました。

最初は８両編成×３での２４両で始まった１５１系電車による特急列車はその後も増備が続き、昭和３８年６月までに２等車（サハ１５１サハ150）１２両が順次落成、従前の特急電車に組み込まれました。

これにより、１５１系は最多の１５１両（１２両編成１２編成、予備７両）を数えることとなりました。

これに、特急とき（朱鷺）用の１６１系１５両加えた１６６両が当時の１５１系・１６１系の総数でした。

そこで、当時の検討された内容を当時の鉄道ピクトリアルを参照しながら書かせていただこうと思います。

一部は、特急ときの増発、並びに信越線特急として使うことが決定しており、１５７系「ひびき」は「日光」の運用に戻すことが前提とされていました。

そして、特筆すべきことは、１５１系電車の一部を交直流電車への改造することが検討されていたということです。

当初の基本計画では

　上越線（上野～新潟間）　３往復

　信越線（上野～長野間）　２往復

いずれも、６Ｍ４Ｔの共通編成で運転（実際には、粘着運転の試験結果から信越線は８両に制限されるため運転開始は中央東線の電化を待って昭和４０年以降に持ち越し）

さらに山陽筋として

　山陽線（大阪～宇野間）　２往復

　山陽線（大阪～広島間）　２往復

　山陽線（大阪～下関間）　１往復

鉄道ピクトリアルから引用

が検討されたようです、このままではクロ１５１が大量に余剰となるため（Tsc→Tc化）などの改造が必要でありあまり現実的ではないとして再び計画されたのが、一部１５１系直流電車を交直流電車に改造することでした。

直流機器に加えて交流機器（変圧器、整流器、空気遮断器（ABB:Air Blast Breakerの略）等の装置をつける必要がある他、こうした機器を床下に設置するために床高さも上がるためステップを車両側でもける必要があり、そうした改造工事も伴います。

実際に計画段階で検討された結果では、１編成の改造に約６０００万円（現在の価値であれば６億円程度）要し、「つばめ・はと」の２列車には使用４本。予備２本が必要であり、この改造だけで３億６千万円（現在の価値で約３６億円程度）必要になる計算になります。

さらに、工事完了までに約６か月かかるとのことであり、交流機器の設置だけでなく、ステップの取り付けもしくは特急停車駅の床の嵩上げ工事を伴うものであり、さらに費用はかさむことが予想されました。

さらにダイヤを検討した結果、電車を改造して博多まで走らせた場合と、所要時間は伸びるがと機関車牽引によることとした場合、機関車牽引したほうがトータルで有利との結論に達したそうで、約１年間はサヤ４２０牽引による運転がなされたことは鉄道雑誌などでよく見かけることと思います。

ちょっと見にくいですが、特急つばめ・はとが展望車付きで運転されていますが、１８１系で運転されていたことを示すものです。（昭和４０年７月時刻表から引用）

さらに直流電車をそのまま九州まで乗り入れさせるメリットは、電車の共用化が出来るので機関車牽引による速度ダウンなどを考慮しても高額の改造費も不要ということの方が有利と判断したのでしょうね。

今から考えるとちょっとびっくりするようなお話でしたのでアップさせていただきました。

サヤ４２０に関しては、こちらもご覧ください。

昼間はのんびり日向ぼっこ、サヤ４２０

誤りのご指摘をいただき、サハ１５１⇒サハ１５０に修正しています。
なお、記録として傍線抹消の上横に訂正内容を併記させていただいております。細井 様 ご教示ありがとうございました。
今後とも出来るだけ正しい情報をアップするように努力はしますので、今後も誤り等があればご指摘いただけますようよろしくお願いいたします。