国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

餘部橋梁物語、その後 第9話 最終回

2016-10-13 22:01:34 | 妄想小説?
すみません、いよいよこのお話も最終回となりました。
二人は結婚して幸せに暮らしました・・・お終い。

なんて書いたら怒られそうですよね。(^^♪

ということで、余部橋梁物語その後、始めさせていただきたいと思います。

> 女将が俯きながら、「猫尾さんが嫌じゃなかったら。夫婦になりたい。」
> 猫尾にしても反対する理由もありませんが、まさかこんな展開になろうとは夢にも思いませんからアタフタするばかり。
> まぁ、そんな二人ですが、お互いの気持ちも分かったところで…これから先はどうなってくのでしょうか?
> 次回最終回の予定ですが、その結末はまだ考えていません。苦笑

ひょんなことから、お互い言い出せなかった言葉、孝の機転でその恋は急展開

ふと、猫尾が女将の店に掛けてある時計に目を見やると、7時半を指しています。
イケねぇ、今日は8時に現場だったから間に合うかな。

ちょっと焦り顔の猫尾、

女将は、顔を赤らめながら、「気をつけて、・・・あんた。」
小さな声で呟くのでした。

猫尾は聞こえましたがわざと聞こえないふりをして、

 「お、お、女将、い、い、行ってくるわ。」と叫ぶのでした。

孝が茶化して、

「似合いの二人」と叫びます。

女将も嬉しいのですが恥ずかしいものですから、孝の腕をつねります。

「痛いなぁ、浩ちゃん」

孝がちょっと睨みながら、それでも目が笑っているので本心で起こっているわけではないことは判っています。
更に孝が女将に話しかけます。

「浩ちゃん、良かったじゃあないか。素敵な旦那さんが見つかって。あの人なら真面目だしきっと浩ちゃんを幸せにしてくれるんじゃないかな。」

女将も知っていました、真面目でそのくせ生き方が下手で人の世話を焼くのは好きだけど自分のことになるととんと無頓着というか気にしなくて、いつも自分を後回しにするそんな人だということを。

猫尾は、先ほど叫んだかと思うともう自転車ですっ飛ばして姿が見えなくなっています。

孝が女将に話しかけます。

「浩ちゃん、どうせなら猫尾さんにお弁当届けてあげたら?」

孝の提案に頷く女将でした。

まさかまさかの展開、それもこれも良くも悪くも孝のおかけでした。

時間はあっという間に過ぎて気が付けば11時過ぎ、女将は猫尾のために弁当を精一杯作っていくのでした。

それを横から見て茶化す孝、

そんなに茶化すんじゃないよ、女将も嬉しそうです。

今の現場は女将も聞いていましたので、女将は弁当を風呂敷包に入れると猫尾の松現場に向かうのでした。

孝も、一緒に店を出ます。
「浩ちゃん、俺もそろそろ帰るわ、遅くなるとおっかあ心配するからなぁ。」

そういって、一緒に店を出る孝。

歩いて40分ほどでしょうか、近くは無い距離に猫尾たちの作業現場は有りました。
それを目ざとく見つけたのは親方でした。

 「お、女将、猫に会いに来たのか・・・。」

笑ながら話しかける親方に、これまた女将は赤い顔に。

それをみて、「かかか・・・」と大笑いする親方。こちらも中々豪快です。

親方が猫尾を呼び出します。

 「猫、猫はいるか・・・近くの人夫に猫尾を呼んでくるように伝えます。

猫尾にしてみればおやっさんが呼んでいると言うので取るものも取らず飛んで来たら・・・目の前に女将がいる。
びっくりしたのは猫尾の方で、

 「お、お、女将」・・・。

親方がそれを察して話します。

「女将が、お前に会いたいってよ。きっとのその包みは弁当だろう。良いなぁ愛妻弁当。」

猫尾と女将双方に恥ずかしそうに顔を赤くしています。

そんな二人を見て、結婚式の時は嫁さん連れて来るからなぁと話す孝。

親方も、そうかそうか、
それじゃ、俺が仲人になってやるから祝言あげちまえ一層たきつける親方でした。

そんな周りの応援もあって、それから半年後二人は正式に祝言を上げることとなり親方の仲人で近くの神社で結婚の儀を行うこととなりました。

猫尾の勘違いから始まったこのお話ひとまずはこれで大団円でございます。

長らくお付き合いいただきありがとうございました。


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餘部橋梁物語、その後 第8話

2016-10-11 23:01:10 | 妄想小説?
> さらに、「猫尾さん、昨日浩ちゃんにぷろっポーズしてたじゃないですか。」
> 気の毒に酔った勢いで言ったカミングアウト、本人は覚えているわけではありません。
> 「そ、そ、そんなこと、い、い、言ってないぞ・・。」と言いながら顔を真っ赤にする猫尾
> それを見て、ちょっとだけ悪戯心が起こった孝はある行動に出るのですが・・・

猫尾は顔を真っ赤にして、いつもの興奮するとどもる癖が出てしまって・・・。

顔は真っ赤だし、しきりに否定しようとするのですが。

「ぼ、ぼ、僕は、そ、そ、そんな事、い、い、言ってないんだから・・・。」それだけ言うのが精一杯でした。

孝は笑いながら、

  「浩ちゃんはどう思っているのさ。猫尾さんのこと」

何も言わず俯く女将、二人ともお互いの気持ちが判っているのにそれを素直に言えないんです。
二人ともすごく気真面目なんでしょうね。

何となく相手のことを慮って、結果的にお互い踏み出せない。

孝が猫尾に告げます。

  「浩ちゃんをお嫁に貰ってやってよ。浩ちゃんも先の戦争でご主人亡くして10年以上経つんだし前の旦那も許してくれるんじゃないかな。」

  「猫尾さん、浩ちゃんのこと好きなんだろう、幸せにしてやってよ。」

いきなりの展開に戸惑う二人、お互い顔を見合わせているばかり。

  「ええい、じれったいなぁ」
  「ところで、浩ちゃんもう今日からでも一緒に住めば。」

 「そんなこと。・・・知らへん」女将はまたまた顔尾真っ赤にして恥ずかしがっていますが、満更でもなさそうです。

 女将が俯きながら、「猫尾さんが嫌じゃなかったら。夫婦になりたい。」

猫尾にしても反対する理由もありませんが、まさかこんな展開になろうとは夢にも思いませんからアタフタするばかり。

まぁ、そんな二人ですが伊互いの気持ちも分かったところで…これから先はどうなってくのでしょうか?
次回最終回の予定ですが、その結末はまだ考えていません。苦笑



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餘部橋梁物語、その後 第7話

2016-10-09 18:40:59 | 妄想小説?
皆さまこんばんは、ご覧いただき、まことにありがとうございます。
それでは、しばし餘部橋梁物語その後、始めさせていただこうと思います。

> 孝と親方で猫尾を店の奥の座敷に寝かせ。親方はそのまま帰っていくのでした。
> 既に店の外には誰もいません。
> 空を見上げると満月が丁度夜道を照らしています。
> 猫尾の奴、女将の惚れておったのか。
> 親方はにやにやしながら、何とか二人を夫婦にさせてやろうと改めて思うのでした。

さて、こちらは酔いつぶれて寝てしまった猫尾、まさか女将の店で寝て居るとも知らず・・・

結局、猫尾は朝方まで目が覚めることもなく爆睡したのでした。

「ああ、よく寝た・・・」と手を伸ばすとどこかいつもの自分が住む4畳半の部屋とは雰囲気が違います。

おかしいなぁと思いつつ、振り返ると隣にはもう一組の布団が畳まれてありました。

 「お客さん、お目覚めかい。」

その声に振り返る猫尾

「お、お、おお、は、は、はようございます。」

緊張するとどもる癖のある猫尾はどもりながら挨拶をします。

 「あら、猫さんお目覚めかい。」

女将が猫尾に話しかけます。
猫尾はここで状況が初めて理解できたようです。

「お、お、女将、す、す、すまねぇ。」
「よ、酔いつぶれて寝てしまったのか?」

「お、女将、す、すまなかったなぁ。・・・だ、だんなさんにもよ、よろしく・・な。」

猫尾にしてみたら、まさか女将の店に泊まったことの恥ずかしさと、孝を女将の旦那と思い込んでいますので、女将にしてみたら、旦那と言われて(・_・)なんですね。

旦那?・・・誰のこと・・・思わず孝を見る女将、それを目で追う猫尾を見て、女将も合点したのでした。

 「猫尾さん、孝は私の従弟だよ。」

猫尾は思わず聞き返します。
「え?旦那じゃないのかい・・・。」

孝も苦笑して、「浩ちゃんは、僕の母方のおばさんの子供なんだ、それに僕は結婚しているしね。」

それを聞いて恥ずかしいやら、ちょっと嬉しく思うやら・・・。
一気に場が和み、女将は再び猫尾に声をかけます。

猫尾さん、せっかくだから朝ご飯食べておいきよ。
孝ちゃんも、家に帰るからね。
餘部に駅が出来て汽車が止まると言うので山奥から半日かけて出て来たんだよ。
昨日は夜遅くなるからということで、うちに泊まったという訳でね。

そんな風にいきさつを話す女将に、自分の勘違いを恥じ入るのでした。

さて、そんなわけで簡単な朝食でしたが猫尾と孝、それに女将の3人で食卓を囲んで食べ始めるのでした。
元々、喋るのが苦手な猫尾は寡黙に食べているのですが、孝は結構話をするのが好きなようで、積極的に猫尾にも話しかけていきます。

 「そういえば、猫尾さん、浩ちゃんが好きなんですか?」

浩ちゃんといわれて目をパチクリさせる猫尾に、「女将のことですよ」

さらに、「猫尾さん、昨日浩ちゃんにプロポーズしてたじゃないですか。」

気の毒に酔った勢いで言ったカミングアウト、本人は覚えているわけではありません。

「そ、そ、そんなこと、い、い、言ってないぞ・・。」と言いながら顔を真っ赤にする猫尾

それを見て、ちょっとだけ悪戯心が起こった孝はある行動に出るのですが・・・ということでまた次回のお楽しみにしたいと思います。


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餘部橋梁物語、その後 第6話

2016-10-07 23:51:38 | 妄想小説?
> そんな嫉妬の目を向ける猫尾の姿を意外と女将は見ていたのです・・・。
> しかし、女心に疎い猫尾はそんなことに気付くすべもありません。
> 朝見かけた男は女将の旦那では無かったけれど、今度は武井が・・・・あいつは口が上手いからなぁ。
> そんな中で猫尾は武井の動きばかり気になって酒を飲むどころではありません。
> 武井が女将に話かけるたびに気になって仕方がないのです。
> ああ、ここでも気の毒な猫尾は一難去ってまた一難
> 二人の恋はどこに向かって進むのでしょうか・・・。
> この続きはまた後程語りたいと思います。

女将と一緒に居たのが旦那ではないことが判ってホッとした猫尾ですが、今度は仕事仲間の武井が女将を口説くのではないかとやきもきする猫尾でした。
武井にしてみれば、軽い冗談だったのですが、猫尾の様子が面白いのでちょっと悪戯を仕掛けていたのでした。

猫尾の様子をうかがいながら、冗談とも本気ともつかない話をする武井、最初は全く無視していた女将でした女将もこの人は本気で言ってるのかしら?と思うのでした。

その都度、猫尾にそれとなくサインを送るのですが・・・残念。
そうしたことにまったく疎い猫尾は、武井が女将と話しているものだからすっかり拗ねてしまって。
一人やけ酒を飲んでいるのでした。

女将が、「猫尾さんそんなに飲んだら体に毒だよ・・・」

そんな言葉も今の猫尾の耳には入らないようです。
子供のように拗ねてひたすら飲み続ける猫尾、そんなに酒に強い訳ではないことは女将が一番よく知っているのですから。

相変わらず、武井は女将にちょっかいを出しています、その都度チラチラと猫尾の方を見る女将を見て、女将も猫尾に惚れていることを察した武井でしたので、女将に耳元で囁いたのでした。

 「おかみ、猫尾に惚れてるだろ・・・。」

急に顔を真っ赤にして俯く女将
それでも、猫尾はそんな様子に気付く様子もなく・・・、そうこの時にはもう猫尾は酔いつぶれて寝てしまっていたのでした。

親方は人夫たちと盛り上がっており、猫尾のことなどすっかり忘れているようです。
やがて時計は9時を指していました。

都市部では9時などは宵の口ですが、田舎にしてみればもうそれこそ深夜に近い時間
女将が、親方に告げます。
そろそろ看板なんだけど・・・。

おお、そうか、すまんなぁ。
幾らだ、・・・。

親方は、店の支払いを済ませると人夫たちに声をかけます。
人夫たちは口々に親方に礼を言っています。

親方も顔を真っ赤にしながら、
「良いってことよ。明日から、また頼むぜ・・・。」

「おい、猫、帰るぞ…」
そう叫んで猫尾がいないことに初めて気づく親方。

おい、猫はどうしたんだ・・・。
始めて猫が酔いつぶれていることに気付いた親方、もう一度店に戻り猫尾を起こそうとします。
「猫、猫、・・・」

猫尾は寝ぼけて、「女将、愛しているよ・・・」

寝ぼけながら親方と女将の前でカミングアウトしてしまった猫尾、親方も苦笑して、

「女将、すまないが酔いがさめるまで寝かせてやってくれないか」

女将も、ちょっと困ったねぇと言う顔したもののまさか店に寝かせるわけにもいかないので、店の奥の部屋に寝かせることにしました。

 「孝ちゃん、ちょっと狭いけど一緒の部屋で寝てね。」

女将が孝に言います。
孝も苦笑しながら、頷くのでした。

孝と親方で猫尾を店の奥の座敷に寝かせ。親方はそのまま帰っていくのでした。
既に店の外には誰もいません。

空を見上げると満月が丁度夜道を照らしています。

猫尾の奴、女将の惚れておったのか。
親方はにやにやしながら、何とか二人を夫婦にさせてやろうと改めて思うのでした。

続く


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餘部橋梁物語、その後 第5話

2016-10-05 22:58:55 | 妄想小説?
餘部橋梁物語、その後 第5話

> やがて、親方率いる一団はそんなに広くない女将の店に入っていくのでした。
> そして、猫尾はそこであるものを見てしまうのですが・・・。
>
> その辺のお話はまた次回にいたしましょう。

親方は人夫を含め8名ほど引き連れて女将の店に入っていきます。
10人も入れば満員御礼の小さなお店は、もう貸し切り状態

 おー、女将、酒をだしてくれ・・・。
 今日は俺のおごりだから、・・・相変わらず威勢のいい親方です。

「あら、いらっしゃい、親方・・・。」
「あらあら、たくさんのお客さん、今日は貸し切りの看板上げておかなくちゃね。」

女将がうれしそうに笑います。
女将の陰に隠れていましたが、いとこの孝が包丁を握っています。
世話になったお礼にと今日だけお手伝いをしていたのですが・・・。

猫尾にしてみれば大事件ですよね。

 猫尾は、朝のことがあったのでまだ迷っていました。

店の中から親方の声がします。
 「猫、猫、はやっく入ってこい。」

親方の野太い声が響きます。

仕方なく猫尾は暖簾をくぐり店に入っていきました。
さほど広くない店ではカウンターはほぼ埋まり親方の隣だけがぽつんと空いています。

猫、ここで座れ・・・。

親方は猫尾に横に座るように言います。
仕方なく横に座る猫尾、女将が愛想笑いを浮かべながら

「猫さん久しぶりね。」
「今日ね、駅に汽車が着くのを出迎えたのよ。」

笑いながら女将が猫尾に話しかけます。
猫尾はちらっと女将の顔を見ると、女将の後ろに孝が立っていました。

猫尾はもちろん孝のことを知りませんから、きっと女将の新しい旦那だと勘違いしたのです。

猫尾は「女将・・・」とここまで口に出かけたのですが、そのまま口ごもってしまうのでした。

女将はそんな猫尾に気付いたのか気付かないのかそのまま。親方に話しかけます。

「親方、熱燗でいいかい?」

 「おう、熱燗で頼むわ。お銚子6本取りあえずつけてくれ・・・。」

女将が孝に燗をするように頼みます。

「孝ちゃん、熱燗お願いね。」

それを聞いた猫尾は勝手に、女将の新しい旦那と親しいんだと勝手に思い込んで落ち込んでしまいます。

女将はそんな猫尾には気づかず、小鉢を出していきます。
そろそろ、熱燗も上がる頃でしょうか。
何本かまとめて女将が親方に徳利を渡します。

厨房では孝が忙しそうに働いています。
ちらちらと見える孝に、親方も勝手に女将の新しい旦那だと思っていました。

ある程度酔いも回ってきたころ、親方が女将に聞いています。

 「女将、どこで良い旦那見つけて来たんだい?」

女将は、何のことかさっぱりわからないと言う顔をしています。

今度は、武井が女将に聞きます。
 「奥で働いている男は女将の旦那なんだろう?」

そう言われて、大笑いする女将
「何言ってるんだい。孝ちゃんは旦那じゃないわよ。」
「私の母方の親せきで、汽車が通ると言うので山の中から出てきたのよ。」

「明日は帰るんだけど、今日はせっかくだからお店手伝ってもらったのよ。」

女将は屈託ない笑顔で答えます。
 「本当に旦那じゃないかぇ。」

武井が聞き返します。
 「そうか、俺、女将と夫婦になろうかな・・・。」
冗談とも本気ともつかない武井の発言にやきもきする猫尾でした。

内心では、女将の旦那では無かったと、安堵するとともに、武井が女将に言い寄ったことにちょっと嫉妬の心を持ったのです・・・・。

そんな嫉妬の目を向ける猫尾の姿を意外と女将は見ていたのです・・・。
しかし、女心に疎い猫尾はそんなことに気付くすべもありません。

朝見かけた男は女将の旦那では無かったけれど、今度は武井が・・・・あいつは口が上手いからなぁ。

そんな中で猫尾は武井の動きばかり気になって酒を飲むどころではありません。
武井が女将に話かけるたびに気になって仕方がないのです。

ああ、ここでも気の毒な猫尾は一難去ってまた一難

二人の恋はどこに向かって進むのでしょうか・・・。
この続きはまた後程語りたいと思います。

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餘部橋梁物語、その後 第4話

2016-10-01 21:54:23 | 妄想小説?
みなさまこんにちは、きづけば1週間以上開けてしまいました。
本日も久々に更新させていただきますので、よろしくお願いいたします。

> そうか、それじゃ今日は女将に直接聞いてみるか。
> そう言って、武井は笑うとタバコをふかすのでした。
>
> さて、さて猫尾としては昼からの仕事は、時間までに終える事が出来たのですが、女将の店に行くことを考えると少しだけ憂鬱な気分になるのでした。

昼からの仕事は、親方の一言ではかどり予定より少し早い時間でその日の予定は終わってしまいました。
生真面目な職人は、明日の段取りをする者もいる反面、人夫たちは三々五々仲間内で集まってタバコをくゆらせています。

周囲を山に囲まれた餘部では16:00を回ると薄暗くなってきます、16:53 浜坂行きの最終列車が餘部駅に停車する時刻が迫ってきます。

周りに何もないところだけに、鉄橋での音がやけに響いて聞こえてきます。

今までは、ただ通過するだけであった列車が駅に停車する。
ただ、これだけのことなのですが、親方にしても猫尾にしてもそして数多くの人夫達もその思いは一緒だったのです。

「あれが、最終列車らしいな。」

親方は誰かに聞いたのでしょう、自慢げに話しています。
列車が軽く警笛を鳴らして走り始めると、親方が声をあげます。

「おーい、今日の仕事はこれで終わりだ。飲みに行くぞー。」

それを聞いて一斉に歓声をあげる人夫たち。

武井が猫尾に声をかけます。

 「猫、行くぜ。」

「猫、お前も一緒に行くよな、今日は祝いだからなぁ。」
親方も声をかけてきます。

猫尾にしてみれば、朝のことがあるだけに・・・行ってみたいような、行くとさらに落ち込むような気がして仕方がないのですが。やはり親方の手前行かないとは言えません。

猫尾も正確には一応は親方なんですが、一人親方と呼ばれるものでした。
尋常小学校卒業してからずっと親方に面倒見てもらっていましたのです、
猫尾が尋常小学校を卒業したのが昭和16年で、当時は親方もまだ一人親方として仕事をしていたのですが、その頃からことさら可愛がってもらっていたうえ、父親を早くに亡くした猫尾にとっては親方は親代わりでもありました。

そんな猫尾ですから女将と一緒に居た男性も気になるし、そうかといって無下に親方の誘いを断るわけにもいきません。
さらに、武井が冗談とも本気ともつかない勢いで女将にプロポーズしようかなんて言い出しますから気が気ではありません。

少しだけ勇気を出して、こっそり聞いてみようと思う猫尾でしたが、こうした色恋には全く不得手な猫尾、さてそんなにうまくいくのでしょうか。

片づけはいつもの3倍の速さで・・・いえいえ、そんな赤い彗星ではないのですから。
でも、親方を含めて自転車で女将の店に向かうさまはまさに赤い彗星・・・というよりもチャリンコ軍団という雰囲気です。

やがて、親方率いる一団はそんなに広くない女将の店に入っていくのでした。
そして、猫尾はそこであるものを見てしまうのですが・・・。

その辺のお話はまた次回にいたしましょう。
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餘部橋梁物語、その後 第3話

2016-09-28 14:02:05 | 妄想小説?
皆さまこんにちは、本日も少しだけ更新させていただきます。
さて、前回はちらっと見かけた女将が親しげに話している男性といるのを見てしょ気てしまった猫尾ですが、どんな展開になるのでしょうか。
実は私も想像がつきませんというか、気の向くままに書いてみたいと思います。

> 気の毒な猫尾、仕事も手につかずで親方に怒られてばかり。
> さてさて、その後はどうなるのでしょうか?
>
猫尾にしてみれば、まさかの展開にちょっとパニックになっていました。
まさか、まさか・・・。

女将のことを思う気持ちが強かっただけに、その反動も大きなものだったのでしょう。
完全に手が止まっています、

おい、「猫」この仕事は急ぎなんだから・・・猫尾をせっつく親方の声が聞こえても生返事

「はい、・・・お、女将もう一杯」

これには親方も呆れて、

「猫尾、何が女将だ、今日中に目標達成しなかったら残りの区画は猫一人でしてもらうぞ。」

親方の怒鳴り声が響いたものですから、他の職人も手を止めて猫尾の方を一斉に見ます。

 「す、すみません。親方」

「お前朝からちょっと変だぞ、・・・。」

現場は餘部鉄橋から少し離れたところでの荒れ地の整地作業でしたので汽車の通る音が聞こえます。
時刻はちょうど昼頃でしょうか、2本目の餘部駅に停車するディゼルカーが鎧の方から走ってきて今まさに駅に停車しようとしているところでした。

一緒に仕事していた猫尾の同僚が、「俺たちが作った駅だよなぁ」と呟きます。

親方も、「そうさな、俺たちが作った駅だ、途中からガキも手伝いに来たけどな。」
「あの時は、大変だったなぁ、猫に殆ど最後は任せたけどちゃんとやっていたじゃないか。」

「おっと、ちょうど昼だなぁ。残りの仕事は昼からするか。」
そう言って親方は周りを見渡すのでした。

誰にも異論はありません。

更に親方は、「おお、そうだ、今日は女将のところで一杯やるか。」

「今日は、俺のおごりだ」

そう言うと親方は猫尾にも声をかけるのでした。

「猫、お前も行くよな。」

有無を言わさない親方の迫力に、思わず「はい」と言ってしまう猫尾

「よし、そうと決まったら飯食って休憩したら、夕方までにここの現場片付けるからみんな頑張ってくれよ。」

そういって、親方早速弁当を広げて食べ始めるのでした。

親方の手前、「はい」と言ったものの猫尾の気持ちは複雑でした。
女将の傍にいた男は誰なんだろう・・・。

聞いてみたい気もするし、そんな勇気もないし・・・。
しかし、夜は一緒に女将の店に行くと言う

聞いてみたい気持ちと、失恋した気持ちが猫尾の中で揺れ動いています。
そんなこと思っていると、猫尾の同僚の職人の、武井が声をかけたのでした。

「猫、お前女将にホの字だろう」

 「何言ってるんだ、お、お、俺は、お、お、女将のことなんかこれっぽちも思っちゃいねぇ。」

顔を真っ赤にして否定するものですからもうバレバレなんですけど、それでも必死に否定する姿に苦笑しながらも、

「そうか、それじゃ俺もちょんがーだから女将に言い寄ってみるかな。」

それを聞いて猫尾は、顔を真っ赤にしながら、

「お、お、女将には、だ、だ、旦那がいるんだ・・・。」

そう言ったきり黙ってしまいました。
それには、武井も驚いて、その話は本当か?
武井も聞き返すのでした。

猫尾は少し元気なく、「うん、そうみたいだ。」

そういったきり黙り込んでしまいました。

そうか、それじゃ今日は女将に直接聞いてみるか。
そう言って、武井は笑うとタバコをふかすのでした。

さて、さて猫尾としては昼からの仕事は、時間までに終える事が出来たのですが、女将の店に行くことを考えると少しだけ憂鬱な気分になるのでした。
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餘部橋梁物語、その後 第2話

2016-09-27 07:19:28 | 妄想小説?

皆様こんにちは、今日も懲りずに更新させていただきます。
餘部橋梁物語、今回はどのような展開になるのでしょうか。
早速始めていきたいと思います、

> いつもはすれ違いばかりの二人ですが、今回は神様がちょっとした悪戯を仕掛けたようです。



香美町香住観光協会餘部橋梁の歴史から参照
一番列車はファーンという若干間延びしたような汽笛を鳴らすとでエンジンの音を少しづつ大きくしながら走り去っていくのでした。
今まではただ走り去るのを橋の下から見るだけだった住民にしてみればそれは驚きでしかありませんでした。

猫尾は、この日は別の現場で作業だったのですが、少しだけ時間があったので駅に一番列車を見に来たのですが少し家を出るのが遅れたものですから、ホームには多くの人があふれ、仕方なく駅の上り口付近で様子を見ていたのでした。

列車は猫尾が見ている前を通り過ぎてやがてエンジン音が高くなり、やがて小さな音になったので走り去ったことは何となくわかりました。
そして、地元の人も三々五々と小さな猫の額のようなホームから階段を通じて降りてくるのが見えます。
足腰が弱いのか、先ほど旦那さんの写真を抱えていたお婆さん、恐る恐る階段を下りてきます。
そのためという訳ではないでしょうけど、狭いホームはまだまだ混雑したままです、でも誰も文句を言う人はいません。
だって、今までの苦労から比べたらどれほど楽で、どれほど安全になったかをみんな知っているのですから。
多分、このお婆ちゃんが一番それを感じているのではないでしょうか。

実際、駅のホームに列車が滑り込んだ時お婆ちゃんは目頭を押さえながら。「あんた、汽車がやって来たよ。あんたと一緒に、温泉でも行きたかったね。・・・。」

それを聞いていた周りの人もついぞ貰い涙で・・・。

だから、帰りがけお婆ちゃんがゆっくりゆっくり歩いているのを見ても誰も文句は言わないのでした。

そんな住民が少しづつ降りて来る中に猫尾は女将の姿を見つけたのでした、

「おーい、女将・・・」と言いかけて猫尾は隣に親しく話している男性がいることに気付きました。
あの男は?
見かけない顔だが、・・・それにしてもやけに親しくしているなぁ。

猫尾にしてみれば気が気ではないのですが・・・こうしたことには奥手な猫尾。

気になりながらも、声をかけることも出来ず…ちょうどその同じころ女将も猫尾に気付いて、
「猫尾さん」と声をかけたのですが、

猫尾は気付かないままスタスタと歩いて近くに止めてあった自転車に飛び乗ると現場に向かって走っていったのでした。

猫尾はペダルを漕ぎながら、誰なんだろうか・・・あの横で親しげに話していた男は・・。
女将の旦那がシベリアの抑留から帰って来たのだろうか・・それとも・・・猫尾の妄想は広がるばかりです。

気の毒な猫尾、仕事も手につかずで親方に怒られてばかり。
さてさて、その後はどうなるのでしょうか?

気になりますか?
でも、その続きは次回までのお楽しみといたしましょう。

画像は、浜坂町に観光協会様のHPから引用です。

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餘部橋梁物語、その後

2016-09-25 11:27:04 | 妄想小説?
餘部橋梁物語、その後

久々に、妄想小説なるものを書き始めてみたいと思います。
今回のお話は、以前に連載させていただいた餘部橋梁物語の猫尾と女将の物語です。

まぁ、鉄道とはかけ離れたお話ですが、出来るだけ鉄分を加えながら書いてみたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

昭和34年4月16日、1通の少年が知事に出した手紙が発端で餘部橋梁横に念願の駅が出来ました。
行き違いも出来ない、小さな小さなホームだけど地元の人にしてみれば待ちに待った駅でした。
当日は、住民が総出で日の丸の小旗を持って列車が来るのを待っていました。
停車する列車はディゼルエンジンを積んだ気動車と呼ばれる列車のみであり、1日上下合わせて6本しか停車しない・・・それでも地元の人にとっては集落から列車に乗れると言うことはとてもありがたいことだったのです。
あるお婆さんは、朝の3時に家を出て一番列車が到着する到着するのを待ったと言っていました。
実はこのおばぁちゃんも、若い頃にご主人を亡くしておりその後は女手一つで子供を育ててきたと言っており、駅がなかったことによる犠牲者の一人だったのです、お婆さんは両手で旦那さんの写真をもっていました。決して大きな写真ではありませんが、今日の開通の様子を旦那さんに見せてあげたかったのでしょう。
万感の思いを込めて多くの人が集まっていました、そこには知事に手紙を書いた鈴木君の姿や、ガキ大将の二郎の姿もありました。

二郎は、俺たちが駅を作ったんだと少し鼻高々です。

そして、猫尾が懇意にしている飲み屋の女将も日の丸の小旗を持って、列車の到着を今か今かと待っているのでした。
その横には・・・、あれ?
猫尾ではありませんね、男の人が立っていますが・・・ちょっとこれはどうしたことでしょうか。
女将は猫尾に見切りをつけて新しい男性と新しい人生を歩み始めたのでしょうか?

いえいえ、それではお話がこれで終わってしまいますよね。
実は、この男性は女将のいとこで、駅に列車が初めてやってくると言うので鉄道とやらを見に来たのでした。
だって、彼の住む集落には鉄道はおろか未だに電気も届いていなかったのですから。
夜はランプで暮らす、そんな生活をしていたのです。
ちょっと信じられないかもしれませんが、昭和40年代前半頃までは田舎ではまだランプを使っている集落もあったのです。

いとこの名前は孝(たかし)といいました。
孝にしてみれば電気があって箱から音楽が聞こえてくることに驚きを禁じ得ませんでした。

「浩ちゃん(女将の名前は浩子なのですが、孝はむかしから浩ちゃんと呼ぶのでした。)、この箱は何なの、声がするけど。」

 「ああ、それはラジオというのよ。」

女将にしてみれば当たり前のものでも、孝にしてみればすべてが初めてです。
そんな孝ですから、迷子になっては大変と思って、女将が孝と一緒に列車を待っていたのです。

やがて餘部の橋梁のほうから音がして列車が近づいてくるのが判ります。
今まででしたら、ただただ見送るだけの汽車、それがいよいよ新しくできたこの餘部駅に停車するのです。
住民の期待はいやがうえにも高まってくるのでした。

先ほどのお婆ちゃんは写真を両手で握ったままじっと列車が来るのを今か今かと待ち受けています。
また、あるお婆ちゃんは手を合わせて「ありがたい・ありがたい」と呪文のように何度も何度も呟いています。
Img036
時刻は7:41 鎧方面から餘部橋梁を渡って来た列車は村人たちが待ち受ける中で静かに滑り込み停車したのでした。
歓迎式典は昼に到着する列車で行われる予定ですので特に歓迎行事もなく少しだけの地元の人を乗せて浜坂に向かって出発していくのでした。

軽いタイフォンの音ともに出発したキハ10形気動車は走り去っていったのでした。


お終い・・・

じゃないって。  これから始まりなの。

というわけで、女将と猫尾の物語いよいよ始まりでございます。

いつもはすれ違いばかりの二人ですが、今回は神様がちょっとした悪戯を仕掛けたようです。
その辺のお話は、また来週以降にさせていただこうと思います。(^^♪
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餘部橋梁物語 45夜

2015-05-05 23:03:46 | 妄想小説?

みなさま、こんばんは。
餘部橋梁物語、明日にといいつつ3日ほど放置状態でした。(^^ゞ

申し訳ございません、本日再開させていただきます。

> 「猫、こいつらに安全な場所で作業できるところ適当に見繕ってやれ」
>
> そういうと、猫はしぶしぶ二郎たちに、草むしりの手伝わせるのでした。
>
Dc82_1
子供の力とはいえ、単純作業には人が多いほど助かるものです、草むしりは予定より早く終わり、大きな岩など整地に対して支障のあるものの撤去に移っていくこととなりました。

そこで、子供たちに今日の予定は終わったからもう帰れと言うと。

二郎は、ちょっと誇らしげに、それでいて嬉しそうに頷くのでした。

二郎は振り向くと、子分の子供たちに、今日の仕事は終わりだって。俺たちも帰るぞ。

そういうと、二郎はもう一度振り返り、

「おっちゃんありがとう、また手伝いに来ても良いかな。」

 思わず、「ああ、い、い、いいとも」とどもりながら話す猫尾

「それじゃ、おっちゃん学校終わったらまた手伝いに来るわ。」

そういって、子分を引き連れて帰っていくのでした。

 「猫よ、最初はガキたちにと思ったが、あいつらも本当に喜んで帰っていったなぁ、でも本当に手伝わせて良かったのかなぁ。・・・親方がポツリと呟きます。」

子供たちのお陰で、仕事が少しだけはかどったので明日の予定の仕事まで前倒しで行うことが出来ました。

親方が早めに仕事を切り上げることを猫尾他の人夫に伝えるのでした。

ところ変わってこちらは猫尾がほのかな恋心を寄せる女将の小さな飲み屋
彼女は戦争未亡人であり、幸い子供はいなかったこともあり、女将も猫尾の誠実さを知っているので、やはり気持ちを寄せ合っているのですが、何時も良いムードになると邪魔が入ってしまっています。

今日も親方が、職人を数名連れて飲みに来ているため小さなお店は連日満員盛況の状態になっていました。
猫尾ももちろん、ちょこんと座っているのですが、それこそ借りてきた猫のように小さくなってしまって。

おやおや、親方が酒に酔ってきたからなのか大きな声で話し始めました。

「今日はよ、現場に小学生のガキ大将が来てよ、仕事手伝わせてくれ・・・」と言ってきた。
まぁ、子供の気まぐれとはい助かったもんだ。

親方の言葉に頷く猫尾でしたが、こうして女将の店では、二人きりになりたい猫尾の願いもむなしく、親方たちによる夜の部は続くのでした。

続く

Img_1118
猫になった猫尾・・・(^^ゞ

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鉄道公安官物語 雑踏警備編 【ワッペン列車5】

2009-12-31 00:27:33 | 妄想小説?
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>第2日向は大阪始発の臨時急行列車で、座席主体の列車で旅客需要の多い時期に運転される予定臨時列車と呼ばれるもので予めダイヤがきまっているのです。

さて、この列車にのってしまえばあとはといいたいのですが、ここでまたまたトラブルが発生したのです。

ワッペンをつけた一行は、改札を抜け1番ホームに待機、駅員がハンドマイクで乗車の際は順番を守ること、ワッペンを持っている人は優先的に座席が確保されるので先を争わないことを何度も伝えています。

「ピー・・・・」
電気機関車のどこか物悲しい汽笛が聞こえ、ホームに列車が入ってきました。
先頭は、ぴかぴかのEF58形機関車、戦後を代表する電気機関車で流線型の細面の姿は無骨な電気機関車に中にあってひときわ輝いて見えたものでした。

義男たちの目の前を淡い緑の帯を巻いた優等客車が通り過ぎていき、やがて静かに停車しました。

駅のホームに最初は行儀よく並んでいた集団はホームに列車が停車するか否かのうちに、すでに崩れ始め、列車がホームに停車する頃にはすでに団子状態、怒号が駅のホームに響きます。
こうなると駅員もお手上げで、整列乗車にご協力願いますと叫ぶだけです。

やっとのことで座席を確保すると、どこからともなく、派手なアロハシャツにサングラス、慎太郎がりの刈のいかにも柄の悪そうな青年が出てきます。
 
「おっちゃん、コレわしらの席なんや。席代払ってくれるか。」

 「何を言ってるんだ、ほらわしらはちゃんと整理券を持ってるだろう。」

「何いうてんのや、わしらの席を譲ったろうといってるのに文句あるんかいな。」

いわゆるダフ屋が、席の買取を求めてきたのでした。
はたと困ってしまった義男の父親が、仕方なく財布からお金を出そうとしたとき、・・・

 「おい、お前ら何してるんだ。」

義男に親しく話しかけていたおじさんが、その男たちに話しかけます。

「おっさんに関係ないんじゃ、このおっさんとしゃべっとるんじゃ。」

 「なんだと、お前らどこの組のもんじゃ。」
 「大阪府警、曽根崎奉行の前で何をしとる。」

そう、好々爺と思ったおじさんは、曽根崎署の署長だったのです。

近くに居た連れの男が、曽根崎署の署長の顔を覚えていたのです。

「やばい、本物だ。」

あわてて、逃げ出そうとしたのですが、署長は二人を見逃さず。取りあえず一人の手を押さえつけて、そのまま床に。
その騒ぎを見た駅員があわてて飛んできます。

また別の駅員は公安を呼びに走るのでした。
幸いなことにホームを警備していた公安官がいたので、駅員は二人ほどの公安官を連れて車内にやってきました。

そんなこんなで、二人の男は公安に引き渡されることになりました。

 「ご苦労様です。」

曽根崎奉行が声をかけると、顔見知りの老練な公安班長は、

「これは、署長自ら。どうされたのですか。」

 「いや、帰省のために汽車に乗ったのだがこのざまでね。」

そんな短い会話が交わされた頃にはすでに列車の発車時刻も近づいてきています。
どんどんと整理券を持たない一団が乗り込んでくるのですが、先ほどの混乱でこの車両はまだまだ余裕がありそうです。

「署長、何ゆえ指定席をとらなかったのですか?」

 「いや、席が取れなくてね・・・ははは。」

そんな会話がまじわされたのでした。

そして、列車は出発時刻となり駅のホームには発車のベルが鳴り響くのでした。

fin

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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鉄道公安官物語 雑踏警備編 【ワッペン列車4】

2009-12-28 01:22:44 | 妄想小説?
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みなさん、こんばんは。

今回の主人公の少年は、かなりバイアスをかけていますが、私の子供のころの思いでをラップさせてみました。
実は書いていて、涙が出てきて困りました。
何を感情移入しているのかといわれそうですが、本当にあの貧しかったころを思い出してしまって・・・。

書き手失格ですね。

私が幼稚園のころ、父親は天王寺鉄道管理局に勤務していました。
幼稚園の遠足は、天王寺動物園。
他の家族は、着飾りそして白いお米、振り返って我が家はというと、古米の入った少し黄色がかった配給米(今では死語ですが)、丸く握ったおにぎりにゴマをかけただけのおにぎりに、僅かばかりの漬物

ふと、隣を見れば三角のおにぎりには海苔がいっぱい、子供のころの憧れだった赤いウインナーも・・・

玉子焼きもふっくらと焼いて中には海苔が入った豪華版

すみません、こんなこと書くつもりはなかったのですが、昭和30年代後半から40年代前半は未だ日本は貧しかったということを書きたかっただけですので。

さて、お話を続けていきたいと思います。

> 父親は、笑いながらも弟の子供に渡さなくてはならないであろうお年玉のことで頭が痛いのでした。
>
20:00を回ると、さすがにすっかり町は夜の雰囲気となり、ネオンなども今と異なり少なかったので空を見上げるとたくさんの星が瞬いていました。
義男も眠い目をこすりながら、本を読んでいます。

「義男、目が悪くなるから本は読まん方がいいよ。」

母親が、義男をいさめますが、義男は、一度母の顔を見て、不服そうに。

 「だって、退屈なんだもん、まだ?」

「あと、1時間もすれば改札が始まるから大丈夫さ。」

 「えー、あと1時間?」

義男は、あきれたのと疲れが出たのとで少しふくれ面です。
そんなとき、前に座っていたおじさんが、ふいに振り返り。

「坊、どこまで行くんだ?おじさんは宮崎は延岡というところに帰るんだ。」

 「僕は、大分のおじいさんところに行くんだ、いとこのけんぼうに会いに」

「そうか、坊はいくつだい。」

 「僕は、6つだよ。来年小学校にあがるの。」

同じ列車に乗る、ただそれだけの理由ですが子供の話し相手になってくれる人がいる。
義男も話し相手がいるので、時間を紛らわせてくれているようでした。

そして、さらに時間が経過し時計が9時を回る頃、駅員がハンドスピーカを持ってやってきます。

「お待たせしました、まもなく「急行 第2日向」の改札を始めます。乗車整理券をお持ちのお客様から順番にご案内していきます。」

乗車整理券というのは、言うまでもなく胸につけたワッペンのことです。
子のワッペンを持っている人は優先的に自由席を確保できるように配慮していたのです。
それでも、ダフ屋との問題は起こるのですが・・・

駅員に誘導されて、ワッペンを胸につけた一団が駅員に誘導されて大阪駅の構内に消えていきます。

先ほど、義男の話し相手をしてくれたおじさんも義男たちの家族ともうちとけて古くからの友人のようです。

駅の改札も、ワッペンをしている場合はほとんどフリー、乗車券の確認は特段しませんでした。乗車整理券交付時に切符を確認しているからです。

義男たち家族もワッペンのおかげでそのまま改札を通過、現在の大阪駅3・4番線(当時は1番・2番線)ホームで列車の到着を待つばかりとなりました。

第2日向は大阪始発の臨時急行列車で、座席主体の列車で旅客需要の多い時期に運転される予定臨時列車と呼ばれるもので予めダイヤがきまっているのです。

さて、この列車にのってしまえばあとはといいたいのですが、ここでまたまたトラブルが発生したのです。

その続きはまたお話をさせていただきます。
それではおやすみなさい。

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鉄道公安官物語 雑踏警備編 【ワッペン列車3】

2009-12-26 08:26:29 | 妄想小説?
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>  「お父さん、ご苦労様。お弁当作ってきたよ。」
>
> そう、家族の帰省に際して父親が一人で順番を待っていたのでした。
> この夫婦に少しだけ密着してみたいと思います。

彼らは、どうも大分に帰省するみたいです。

根津たちは、テントの中をもう少し警戒のために歩くことにしました。
日が暮れてくると、スリや置き引きの被害が増えるほか、乗客も緊張の緩みから犯罪に巻き込まれやすくなるからです。

そこで、根津たちが聞くともなしに聞こえてくるのは次のような会話でした。

「日向に乗れば、もう帰ったようなもんさ。明日には大分に着くからな。」

 「でも、列車に乗れるのかしら。」

「ほら、そのために朝から並んでこれを手に入れたんだから少なくとも子供だけでも座らせられるだろう。」

彼の胸には、「第2日向」と書かれたワッペンが見えました。
フェルト製のしっかりしたもので、1回きりの乗車に使うには少しもったいないような気もするほどの立派なものです。【このワッペンも晩年は簡略化され、紙製の安っぽいものになりましたが、昭和30年代はかなり立派なものが使われていました。)

「これが、乗車整理券と呼ばれるものでこれがあれば、改札も優先的に行われるからな、はぐれると大変なことになるから気をつけるようにな。」

父親が威厳を込めて妻と子に渡しながら諭します。
当時は、まだまだ父親の威厳は強く、怖いもの=「地震・雷・火事・親父」と呼ばれたものでした。
最近はどうなんでしょうね。「地震・雷・火事・女房」でしょうか?

彼らの乗車する列車は、1201レ 急行「第2日向」大阪始発 22:18発  宮崎行の列車です。

1等寝台車1両に、2等寝台車4両、1等車1両、2等車6両の座席と寝台が半々の編成で寝台専用列車が増えつつある中輸送力列車【いわゆる庶民列車として親しまれていました。】といっても、2等寝台車は当時は1両に54人も詰め込むのですから決してゆったりとした車内とはいえませんけどね。

時刻は19:00を少し回り、テント村にも照明がともり始めます。

再び彼らの様子を見てみましょう。

親子は、母親が作ってくれたお弁当を広げて食べ始めました。
大きな丸いおにぎりに、ゴマがまぶしてあるだけの粗末なおにぎり、おかずはと言えば少しこげた玉子焼きだけのそんな決して華やかとはいえない食事でしたが、親子3人はそれでも楽しそうに食事をしているのでした。

 「おとう、この汽車に乗ったら明日は、けんぼうにあえるの?」

子供は、同い年のいとこに会うのが楽しみで仕方がありません。

「そうさ、明日には会えるぞ、義男がいい子にしていないとお年玉もらえないかもしれないぞ。」

 「おとう、ぼくはいい子だもん。」

「そうか、そうか。義男はいい子だ。」

父親は、笑いながらも弟の子供に渡さなくてはならないであろうお年玉のことで頭が痛いのでした。

さて、この続きはまた後ほど

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鉄道公安官物語 雑踏警備編 【ワッペン列車2】

2009-12-25 01:21:18 | 妄想小説?
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>「あれが、ダフ屋から客を守るものなのさ。」と言ったときテントの中から・・・「スリだ」そんな声が聞こえてきたのです。

その言葉に二人に一瞬緊張が走ります。

駅構内で起こる犯罪は、公安官の守備範囲です。
警察も捜査は出来ますが、言ってみれば駅構内は公安官の縄張り、俄然二人は張り切るのでした。

声のする方向に二人は走ります。

 「被害者は誰ですか?」

根津が叫びますが、誰も返事をしません。
もう一度根津が叫びます。

 「スリに会われた方は誰ですか?」

頭の禿げ上がった50歳くらいの男が頭をかきながら根津の前に出てきます。

「実は、暇だったものですから。ちょっと遊んでいたんですが・・・。」

「そこで大負けしてしまってたものですから・・・」

要は、オイチョカブをして賭けていて負けが込んだものだから思わず叫んでしまったとのことでした。

賭博は日本では禁止ですから、気の毒にこのおじさん、根津たちのお世話になることに。

軽犯罪法違反の現行犯として調書を取られることになりました。

軽口をたたいたために公安室に連れて行かれたのでした。

そのときの様子は、どうなったのかって?
それはまた別の機会にお話をさせていただきます。

結局、おじさんについては、調書の作成と厳重注意で釈放されたのですが無事その日の汽車に乗れたかどうかは定かではありませんけどね。

さて、引き続きテント村の様子を見てみましょう。
夕刻になり夕日がテント村に差し込んできます、風も少し涼しくなってきたので、少しはすごしやすくなったようです。
今まで、ぐったりと横になっていた人も一人二人と起き上がり思い思いに背筋を伸ばしています。

そうです、このテント村におる人のほとんどは18時以降の夜行列車に乗る人たちがその大半を占めるからです。
あと、1時間もすれば順次改札も始まる。

「お父さん」

家族でしょうか、幼い子供を連れた母親がある一人の男に近づいていきます。

 「お父さん、ご苦労様。お弁当作ってきたよ。」

そう、家族の帰省に際して父親が一人で順番を待っていたのでした。
この夫婦に少しだけ密着してみたいと思います。

ということで、今日は少し短めですがこの辺で失礼します。(ーー;)

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鉄道公安官物語 雑踏警備編 【ワッペン列車1】

2009-12-23 12:02:19 | 妄想小説?
この物語は、blackcatフィクションです。

12月といえば、帰省シーズン今週末あたりから高速道路も帰省のラッシュが始まるのかもしれませんが、今から40年ほど前は帰省といえば列車での旅が当たり前でした。

車は普及しつつあり高速道路も順次開通しているとはいえ、車を持てる層は限られていました。
いまでこそ、携帯電話を一人一人が持つのは当たり前とも言える時代ですが、大阪で万国博覧会が開催された頃は、電話がない家もあったのです。電話を近所に借りに行ってお話なんてことは日常の風景でありました。

そんな時代、大阪駅や上野駅にはテント村が急遽出現したものです。
大阪であれば、現在のアクティ大阪がある辺りがそうだったのでしょうか、大きなテントがいくつも設置され、そこで帰省を待つ人たちの長い列列列・・・。

間違っても派遣のテント村ではないですからね。

にわかに出来上がるテント村では、すでに酒盛りが始まっているとこともちらほら。

そんな中には、ワッペンを胸に誇らしげにつける中高年のグループも見受けられます。
かれらは、列車指定を受けた乗車整理券を購入した人たちで優先的に座席を確保できるための証であり、列車名が記された立派なワッペンであった。当初は出発時刻まで刺繍されていたそうだがあまりにも手間がかかるのでその後は列車名だけになったという。

もっぱら50年頃にはマルスの普及などもあいまって廃れてしまい、晩年は貧弱な紙だったのではないだろうか。
どちらにしても、優雅な時代であったことは間違いないでしょう。

さて、そんな前置きはともかくここである人を紹介しておかなくてはなりません。

ベテラン公安官、玉野博、愛称「玉ちゃん」そして、その後ろをちょこまかとついて回る新人公安官 根津博貴 愛称「タカ」

タカは、昨年配属されたばかりの20歳、いつも聞くこと見ることが初めてのことばかり、今日も勝手にうろうろして玉ちゃんに叱られています。

「タカ、きょろきょろするんじゃない。前を見て堂々と歩かないか。」

  「でも、見るものがすべて珍しくて・・・先輩、駅前にある大きな点とは何ですか?夏にもあったような気がするのですが。」

参考 テント待合所

「あれか、あれはテント村と呼ばれるものだ。正式には「テント待合所」といって、一般の待合所では入りきれないので駅前にテントを張ってそこで待機してもらうのさ。もちろん指定席を持っている人はその時間に来れば座席は確保されているが自由席で帰る人は、駅で発駅着席券【座席を指定するものではないが、座席は優先的に確保される。】を受け取ってここで待つのさ。」

 「それって、列車が発車するまで待っているということですか?」

「そうさ、半日ぐらいみんなここで待ってはじめて駅の構内に入れるのさ。」

 「大変ですね、ふるさとに帰るのも」

「そうさね、わしもそういえば長い間ふるさとに帰っていないなぁ。」

玉野は、テント村をしみじみと眺めながらそう呟くのでした。」

 「僕は、生まれも育ちも大阪だから田舎に帰るという感覚がないんですよね。」

根津にしてみればふるさとと呼ばれるものはなく、小学校時代などに父親の田舎に帰省する友達が羨ましく思っていたのである。
 それを聞いた、玉野は、

「ふるさとはいい、今も目に浮かんでくるさきれいな夕日と赤とんぼを追いかけた日々。」

「くそ、田舎に帰りたいなぁ・・・お前が変なこと言い出すからだろうが。」

今度は、根津にそのとばっちりが飛びます。

 「先輩、ごめんなさい。」

といわれてはっとわれに返る玉野

「すまん、すまん、変なこと言ってしまって。でも、ふるさとに帰るのはほんと大変よ。」
先も見たように、あそこで半日をすごして初めて汽車に乗れるわけよ。でもそこからが問題で座席を優先的に確保できるといえ確実に確保できるわけじゃない。」

 「どういうことなんですか。」

「それは、ダフ屋という存在があるのさ。」

 「ダフ屋ですか?」

「そう、勝手に回送車に乗込んで席を確保してしまうのさ。見つければすぐに検挙できるのだがなかなかあいつらも悪賢くてね、現場を押さえられないんだよ。被害者も少なくないんだけどね。 」

 「そういえば、胸にワッペンをつけていましたけど、いい年下おじさんたちが胸に着けて可笑しいですね。」

「あれが、ダフ屋から客を守るものなのさ。」と言ったときテントの中から・・・「スリだ」そんな声が聞こえてきたのです。

さて、この続きは後ほど。

ニコニコ動画から懐かしい歌でもどうぞ。

嗚呼 昔なつかし思い出の昭和歌謡曲

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