監督賞他5部門受賞に輝いた『バードマン』と、
助演男優賞他3部門受賞の『セッション』を
最近、機内で観賞した。
アカデミー賞を受賞しただけあり、
共に素晴らしい作品で、且つある種狂気に
満ちた世界を独特な視点で見事に描写している。
まずは『バードマン』。
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副題として"あるいは無知がもたらす
予期せぬ奇跡"とあるが、アクションヒーロー
『バードマン』でかつての人気俳優であった
主人公がその後落ちぶれてしまい、
ブロードウェイの舞台で復活を試みるストーリー。
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ここに新たに舞台に加わる挑戦的な
人気若手俳優、元アクション俳優のブロードウェイ
舞台に批判的な辛口評論家たちに精神的に
追い込まれて行く。そしてこの映画が面白いのは、
自分の過去の栄光を象徴するバードマンの
妄想が登場すること。そして、彼は
追い込まれながらも、共演者たち、娘や元妻など
彼の身の周りの多彩な登場人物により、
ついにクライマックスへと向かう。
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主人公のリーガンを演じるのは
マイケルキートン。マイケルキートン自身、
昔バットマンを演じ、その後俳優として
鳴かず飛ばずな時期を経験しているだけに、
この映画はかなり自己の経験とも重なる筈にて、
一層のリアリティーを生み出している。
マイケルキートンを娘役には、クールな可愛らしさが
印象的なエマストーン。
共演者役には健B者なエドワードノートンや
ナオミワッツらが固め、俳優陣の厚みが増している。
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この映画が面白いのは、かつて自分が
演じたヒーロー、バードマンが妄想として登場
するところ。一部特撮CGまで使ってド派手に
登場するシーンはかなり面白く、象徴的な
使われ方がされているのが興味深い。
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また、本作は映画のシーンの殆どが
ブロードウェイの劇場舞台、楽屋と
その周辺に限られており、また映画
全編がカット割りの無い、一本の長回し撮影の
ような撮影方法もリアリティーを生み出すのに
実に効果的。昔あのヒッチコックも
映画『ロープ』で行った手法である。
続いて紹介したいのが『セッション』。
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スパルタ教育を行う音楽大学の鬼教師フレッチャーと、
ジャズドラマーになりたくて、
フレッチャーによって精神的肉体的に
ボロボロになりながらも、向上心の
強さから狂気の世界に引きずり込まれる
一人の生徒ニーマンの衝撃的な物語である。
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これは最初から最後まで一気に引きずり
込まれるような展開の作品で、その無駄の
無いテンモヘまさにドラムそのもの。
ジャズをテーマにしており、
映画の英語タイトルとなっている
Whiplashという曲がメインに据えられているが、
最後のドラム演奏は圧巻である。
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フレッチャーの本性が映画の
中盤なかなかわからないまま、
ある種のサスペンスを引きずりながら
物語は進んで行くが、最後に何度かの
どんでん返しがあり、目が離せ無い状況が
ラストまで持続するところにこの映画の
凄さがあるのだ。
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フレッチャー役のJ.K.シモンズはこの映画の怪演で
見事アカデミー助演男優賞を受賞したが、
鬼教師ぶりは、まさに映画史に残る名演技で
受賞も納得である。
『バードマン』と『セッション』。
アカデミー賞を受賞したこの二作品は、
狂気に満ちた世界をそれぞれ独特のタッチで
描ききり、素晴らしい出来映えとなっているが、
まさに今年イチオシの二作品である。