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幕末の奇才浮世絵師、『歌川国芳』展は刺激的!

4月12日から6月5日まで大阪市立美術館(天王寺)で開催されている歌川国芳展を見に行った。元々浮世絵などはあまりまともに見たことも無く、誰もが知っている葛飾北斎くらいの名前を知っているくらいの限られた知識しか無かったのだが、ひょんなことからこの展示会の存在を知り、歌川国芳の作品を見てとてもひきつけられて僕のデザイン心をくすぐられてしまった為、見に行くことにしたのだ。



歌川国芳(1797-1861)は、江戸幕末に活躍した浮世絵師。今年で没後150年という節目に当たることから今回の大展示会が実現したのだが、正直これまで歌川国芳を知らなかった。しかし、今回その作品を見て、その古さの中にある斬新さと奇抜さ、そしてグラフィックデザインの先駆けとも言うべきャbプなデザイン性にとても衝撃的で新鮮であった。



『水滸伝』シリーズを描いたことで有名になり、その後も役者絵、美人画を始め、西洋画の影響を受けた風景画やウィットとユーモアに富んだ戯画など様々なジャンル・分野で膨大な作品を残している。

日本独特な絵のタッチである浮世絵は世界的にも有名だが、その中でも歌川国芳の作品は独特な世界観を確立している。普通の美人画や風景画も確かに素晴らしいが、僕が特に注目したのはその作品の奇抜な発想力と絵のャbプ性。国芳の代表作の1つでもある『宮本武蔵の鯨退治』も展示されていたが、宮本武蔵が鯨に跨って刀を刺しているという、実際にはあり得ない場面を臨場感たっぷりに描いており、その発想と作風はとてもダイナミック。



滝に打たれる絵などもあるが、これも滝の水が頭から周りに飛び散る様子がとてもリアル且つ動きのある感覚で捉えられており、江戸時代当時からこのような作品を描いていたことにただ驚かされる。



また、遊女が荒れ狂う馬を大人しくさせた場面を描いた作品は西洋画の中に浮世絵が迷い込んだかのような不思議な魅力があり、とても斬新だ。



また、妖怪の絵や、骸骨がたくさん出てくる作品群も一見とても不気味だが、とても斬新なアイディアが満載である。



そして国芳はユーモアたっぷりの作品が実に多い。『みかけハこハゐがとんだいい人だ』というこの作品は、一見町人の肖像画だが、良く見ると顔がたくさんの人間によって作られており、ちょっと気持ち悪い。しかし、このような発想そのものにまず驚かされるし、着眼点も面白い。



また猫や金魚なども好きであった国芳は多くの戯画を残しているが、動物によって人間の生活の一場面を描かれている作品群はとてもユーモラス。今で言うャbプアートにも通じるデザイン性があり、キャラクターデザインやグラフィックデザインの観点でも参考になるものばかり。



僕はユーモラスな金魚が登場する『金魚づくし ぼんぼん』は大好きになってしまった。また猫がたくさん描かれている作品もャbプ性が高い作品として人気を博している。



展示会場で販売されていた図録も購入したが、展示されていた作品膨大な作品群全てが収録され、見応え充分の内容であった。



歌川国芳は活躍した江戸幕末当時、その件p性に対する評価は必ずしも高く無く、同時代に活躍した葛飾北斎等に比べて知名度も低かったと言われるが、その件p性に改めて注目が集まったのは20世紀後半というから、わからないものだ。あのゴッホが、死後作品の評価が高まったのと似ている部分もあるかもしれないが、恐らく歌川国芳の作品は件p性よりも当時からカジュアルな大衆画家として人気はあったものの作品の件p性評価は低く見られてしまったのかもしれない。映画監督で言うと、サスペンス映画制作を貫いたヒッチコック映画に対する件p性評価にも似たものがあったに違い無い。しかし、その作品を見ると、その奇抜/斬新なアイディア、構図の美しさ、テーマの独創性、ャbプな表現力には新鮮な驚きでいっぱいであり、きっと楽しい発見があることだろう。今年の後半には東京六本木でも展示会を開催するらしいが、浮世絵ファンやそうで無い人にもお勧めしたい展示会である。

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