なんとなくだが、”今このタイミングで書き残しておかないと”という思いに駆られたので、少し大谷翔平に関してまた取り上げたい。
大谷翔平が数々の記録を塗り替え続けているが、日々の活躍をリアルタイムで目の当たりにして、その凄さに改めて驚いている。しかし大谷の凄さは、その記録も去ることながら、やっぱりその“勝負強さ”にあると思う。
いくら気合を入れても、なかなか毎回チャンスに打てるものではない。相手も必死であり、打てる時もあれば、打てない時も当然あるのが普通である。しかし、大谷はいつも自信に満ちており、苦手なコースなども殆ど無いこともあり、どんな球でも打てそうなただならぬ気配とオーラを漂わせる。テレビで見ている我々ですらそう思うので、きっと対戦している相手ピッチャーは尚更そのオーラを怖いくらいに感じて、内心ビビッている筈である。そしてこのオーラに気持ちが負けている時点で、既に勝負ありなのかもしれない。
40-40を決めた逆転サヨナラ満塁ホームランでもその勝負強さをまざまざと見せつけられた。50-50をクリアしたゲームでも、その神がかりな勝負強さに打ちのめされた。そういえば、昨年のWBC決勝でも圧倒的な存在感と活躍を見せ、打つべき時に打った印象が強く残っているが、常に“何とかして勝ちたい“という強い姿勢が感じられ、そして”なんとか勝ってしまう“というのが大谷の凄さなのだ。大谷は毎回、期待以上、想像以上の活躍を見せてくれるし、また本当にいいタイミングで打順が回ってくる強運も凄い。やっぱり大谷は“持っている”男でもある。
今週のパドレスとの3連戦の第1戦は残念ながら4-2で負けてしまった。しかし、この試合でも大谷の奇跡的な瞬間が実現しそうな気配があった。9回裏、ノーアウト1-2塁のチャンスでヘルナンデスの打順となり、次は大谷が控えていた。ヘルナンデスがヒットで出てくれれば御の字、最悪アウトになっても、もっと最悪のシナリオでダブルプレイになったとしても、ノーアウトだったので次は大谷に回ってくる公算だった。しかし、滅多にないトリプルプレイで大谷をバッターボックスに迎えることなくゲーム終了という、何とも最悪中の最悪な、衝撃の幕切れになってしまった。きっと大谷に回っていたら、逆転サヨナラ3ランを放っていたことだろうし、そんなオーラが漂う展開であった。
昨日のパドレスとの第2戦はドジャースが逆襲。この試合でも大谷がドジャース全ての得点に絡む大活躍を見せた。4回裏、1点ビハインドで大谷が2点タイムリーヒットを放ち3-2で逆転。5回表に同点に追い付かれてしまうが、6回裏には再び大谷がタイムリーヒットを放ち、4-3で再逆転する。この日はホームランこそ出なかったものの、2度もタイムリーを放って自ら試合をひっくり返し、全ての得点に絡む大活躍を見せたのだ。打つべき時に打てるという、この勝負強さは本当に凄いとしか言いようがない。なかなか出来ることではないし、まさに大谷一人でドジャースを勝利に導く活躍を見せていることに驚かされるばかりだ。
日本のプロ野球だと、子供の頃からジャイアンツファンなのだが、ジャイアンツも現在ドジャーズに近い境遇でマジック3。間もなくセリーグ優勝がかかっている大事なゲームが続く。大谷と同じく、ヒリヒリする9月を過ごしている筈なのだが、貧打で終わってしまう試合を見るたび、この大谷の勝負強さがもう少し今のジャイアンツにもあったらな、と思ってしまうのは私だけではない筈。でも、やっぱりこれを岡本や坂本に求めても酷で、大谷だからこそ出来ていることであり、誰にでも出来る技ではないのかもしれない。その意味でも、大谷はやっぱり“格別な存在”なのかもしれない。
今日はパドレス3連戦の最終戦で、勝てば地区優勝が決まる重要な試合だ。常に見せ場を提供してくれる大谷翔平の各打席を、これからもしっかりと見届けて行きたい。そしてプレイオフ、ワールドシリーズに向けて、また何か途轍もなく大きなことをやってくれそうな“予感”がしている。