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「星の王子さま」を再発見

1943年にアメリカで出版されたアントワーヌ・ド・サン=テクジュペリの名作「星の王子さま」はあまりにも世界的に有名な小説だが、これまでに全世界で8000万部、日本でも600万部が売られているのである。日本ではこれまでに岩波書店が独占的な末?を有していたが、著作権保護期間が2005年の1月に満了となったことを受けて、様々な”新訳”が世に登場することとなった。日本での星の王子さまブームはこれまでに3回あったとされているが、最初が1980年代 (研究者から多くの謎解き本が出版された時期)、次がサン=テグジュペリ生誕100周年の2000年前後、そして3回目は上記の通り、末?解禁となり、多くの新訳が出版された2006年らしい。

「星の王子さま」の体裁は児童書となっているのだが、実際には子供にとって難しい内容の部分もあり、大人が読んでも様々な解釈や比喩などが盛り込まれている内容も読み取れ、実に興味深い作品である。

僕が初めて星の王子さまを読んだのは大学生の時で、大学の第二外国語としてとっていたフランス語の授業で星の王子さまが教材に挙がり、お粗末なフランス語の理解の元にフランス語版を読んだ。一応児童書とは言え、全く侮れない作品だと当時も思ったが、苦手なフランス語であったせいか、完璧に理解するところまで読み込めなかった。しかし、当時からどうも気になる作品であった。あれから随分と時間が経ってしまったが、改めて星の王子さまを日本語でちゃんと読んでみたい衝動に突然かられ、この度新訳の一つを手に取って読んでみたというわけだ。

これを機に、自分の中ではちょっとした星の王子さまブームになった。先日も箱根にある「星の王子さまミュージアム」に家族とドライブがてら週末に行ってきた。箱根仙石原にあるこのミュージアムは前から気になっていた場所だが、今回は今まで以上に気になっていたことと、紅葉を見に行くという季節柄の口実も加わってちょうど良い機会となった。

ミュージアムはフランスの街角風に作られていて、とってもお洒落な作りだ。入り口にはシャボン玉製造機から絶え間なく繰り出されるシャボン玉が訪問者を迎えてくれる仕鰍ッで、子供たちも大喜び。建物の外観・内装は特に女性うけする雰囲気で、しかも中にはプチ・プランスという本格フランス料理レストランも構えるので、食通にも嬉しい。サン=テクジュペリに関する展示が中心で、決して星の王子さまの着ぐるみが登場する子供向けテーマパークでは無いが、可愛い教会やカフェ、また中庭にはフランス庭園風の小さいながらも美しく、子供でも結構楽しめる。

個人的にはショップが気に入ってしまったが、多くの出版物、食器、ぬいぐるみ、ステーショナリー、絵画、タオル等のグッズ、置物などありとあらゆるグッズが揃っていて、星の王子さまファンにはたまらない場所だろう。僕は星の王子さま展の本と卓上カレンダーなどをここで購入した。

さて、星の王子さまの物語に話を戻すと、読み方、解釈の仕方によってこの本は深みを増す物語であることを、今回読んでみて改めて感じた。一見帽子の形をした絵が、実は象を呑み込んだウワバミであったこと、物語の最後に登場する狐が王子さまに告げる名言、「大切なことは目に見えない」や、「砂漠が美しく見えるのは、そのどこかに井戸を隠しているから」、そして感動の最後に「夜空が美しく見えるのは、そのどこかに王子が今もバラと暮らしているから」という、一貫した考え方で示されている。本当に大切なものは何か? そしてそれを見つけるまでの旅は決して無駄では無いことなど、色々と考えさせられることが多い。また、星の王子さまは、子供の純粋な心を持ち合わせているが、様々な惑星を旅しながら、大人社会に実在する様々な象徴でもある王様、自惚れ屋、呑み助、実業家、点燈夫、地理学者などと遭遇することで対比されていることで、大人になっていくことで見失いがちな、純粋でキレイな心の大切さ、そして大切なことは心で見ることが重要であることなど、生きること、愛することの大切さなどを改めて教えられるのである。
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