聖飢魔Ⅱ信者倶楽部(ファンクラブのようなもの)
『魔人倶楽部』では、
ほぼ毎年一回、「信者の集ひ」という、
会員限定のイベントがあった。
稀に会員でなくとも参加できることもあったが…。
アコースティック小ミサとトークコーナー、
というパターンが一番多かったと思う。
そして、最後の締めをした後に、
御魔の手直触の儀(おまのてじきしょくのぎ)
というものがあった。
これは、いわゆる、握手会のようなもの。
しかし、会員限定とはいえ、
その数は大黒ミサ(コンサートのようなもの)
と変わりなかったりする。
時間の問題もあるので、
握手する時は会話してはいけない、
「お疲れ様でした。」と挨拶のみ、
決して足を止めてはいけない、
というルールがあった。
特に人数の多い東京会場では、
野球でホームランを打ったバッターが、
ベンチに帰って来た時にするように、
構成員の皆様が差し出した手の上に、
ポンポンとタッチするだけだった。
後に、東京でも、
普通に握手できるようになったのだが……。
滅多にない、悪魔様と直に触れ合える機会。
構成員の皆様は、私にとって教祖様。
崇拝の対象であった。
私はいつも彼らを見上げていた。
彼らはいつも、しっかりと手を握り、
まっすぐに私の目を見てくれた。
しかし、私には現実感が伴っていなかった。
それが本当に起こっていることだと、
完全には信じられなかった。
私は自分で自分の周りに、
透明な壁を作っていたのだ。
ある時、あれだけの人数と握手するのだから、
さぞ、御魔の手が痺れることだろう。
…と思った私は、
直触の儀の前に、ヒヤロンで手を冷やした。
握手した瞬間の、一瞬、目を見開いた、
構成員の皆様の御尊顔が、今でも忘れられませぬ。
ええ、もちろん、
教祖様を気遣っての行為でございます、はい。
『魔人倶楽部』では、
ほぼ毎年一回、「信者の集ひ」という、
会員限定のイベントがあった。
稀に会員でなくとも参加できることもあったが…。
アコースティック小ミサとトークコーナー、
というパターンが一番多かったと思う。
そして、最後の締めをした後に、
御魔の手直触の儀(おまのてじきしょくのぎ)
というものがあった。
これは、いわゆる、握手会のようなもの。
しかし、会員限定とはいえ、
その数は大黒ミサ(コンサートのようなもの)
と変わりなかったりする。
時間の問題もあるので、
握手する時は会話してはいけない、
「お疲れ様でした。」と挨拶のみ、
決して足を止めてはいけない、
というルールがあった。
特に人数の多い東京会場では、
野球でホームランを打ったバッターが、
ベンチに帰って来た時にするように、
構成員の皆様が差し出した手の上に、
ポンポンとタッチするだけだった。
後に、東京でも、
普通に握手できるようになったのだが……。
滅多にない、悪魔様と直に触れ合える機会。
構成員の皆様は、私にとって教祖様。
崇拝の対象であった。
私はいつも彼らを見上げていた。
彼らはいつも、しっかりと手を握り、
まっすぐに私の目を見てくれた。
しかし、私には現実感が伴っていなかった。
それが本当に起こっていることだと、
完全には信じられなかった。
私は自分で自分の周りに、
透明な壁を作っていたのだ。
ある時、あれだけの人数と握手するのだから、
さぞ、御魔の手が痺れることだろう。
…と思った私は、
直触の儀の前に、ヒヤロンで手を冷やした。
握手した瞬間の、一瞬、目を見開いた、
構成員の皆様の御尊顔が、今でも忘れられませぬ。
ええ、もちろん、
教祖様を気遣っての行為でございます、はい。