体調が悪くなって、癌の手術以来定期健診を受けている総合病院に行った。
定期検診はいつも午後だったが、予約のない受診は午前中に受付をしなければならない。病院の駐車場に着いたのは、10時ちょっと過ぎ。病棟に近い駐車場は1台も空きがなく、警備員の指示に従い向かったのは、病棟から一番離れた駐車場。従来の駐車場では足りず増設された部分だが、ここも満車のようで、入り口には車が列をなしている。警備員が空きを確認しながら1台ずつ呼び込んでいるが、なかなか前に進まない。受付は11時までなので、間に合うだろうかと気があせる。
なんとか時間までに受付を済ませ、診察室に向かうと、広い廊下に人が溢れ、お祭りのようだ。指定された診察室の前で待っていると、看護師さんから血液と尿検査を指示された。出がけにトイレに行ってしまったので、血液検査を先に受けることにしたが、血液採取を行う部屋も人で溢れている。順番待ち用のイスは満席で、立ったまま待っている人も多い。午後であれば、血液採取のブースは3~4つ利用しているのが通常だが、今日はすべてのブースを使って患者を捌いている。子供連れもいれば若いカップルもいる。当然年寄りも多く、中には車椅子に乗って家族に押してもらっている人も1人や2人ではない。
どうしてこんなに病人が多いのか。やっと空いた順番待ち用のイスに座って、その様子を眺めながら、自分もその中の一人だと気づき茫然とした。「生老病死」とはよく言ったもの、私もいつか、あのように車椅子に乗って、折れそうに細い腕を差し出すようになるのであろうか。この歳になれば、いつ死んでもかまわないとは思っているものの、苦痛の中で死ぬことは避けたい。しかし、老人にとって身体機能の低下は避けられないし、認知症といった問題もある。安逸な余生を願っていても、思い通りにはならないことがほとんどなのだ。すべてを受け入れる覚悟こそ必要なのかも知れない。そんなことを考えているうちに、自分の受付番号が呼ばれ、採血が終わった。
その後、採尿も行い、再度診察室の前で待ち、実際に診察を受けたのは12時過ぎ。抗生物質を処方され、近くの調剤薬局で薬を受け取ったのは午後1時であった。診察を受け、薬をもらい、幾分体調も良くなったように思ったのは当日だけ。本日もすっきりしない体調が続いている。