え~と、前回のNo Findingのオーナーが所有権を破棄して
同馬を牧場の1,200エーカーの土地に放した、という書き込みで、
そりゃ無責任じゃないかというような趣旨のコメントをいただいたので、
少し説明を補足させていただこうかと。
記事にはReleaseという表現が使われているんです
けど、別にサバンナみたいな大草原に一頭だけ
ほっぽり投げるわけじゃないです。
AUSの繁殖牝馬は、基本受胎確認がされた後は、
出産の少し前までは24時間ずっと裏山というか、草原というか、なんというかとにかく
バカでかい「ビッグフィールド」とか呼ばれたりする放牧地にほっぽりっぱなし
なんです。
この写真はパースのファームに立ち寄った時のものですけど、参考になるかと。
この写真のおくのフェンスの向こうまで、ずっとパドックなんです。どこまでかは
わからないけど。こんな感じで。
アメリカみたいに、毎日ターンインして、裏掘りして、午後にターンアウトしてみた
いなことはしません。一日一回フィードランといって、トラックで餌をまきに行きます。
ウォータータブもどっかにあります。なので、完全に飼育放棄っていうわけじゃ
ないです。ただし、限りなくノーケアです。AUSの馬はとにかくタフでじょうぶです。
ノーケアでけっこう、ほっといてよ、って感じで、日中45℃超えの夏でも余裕で
放牧地で過ごしています。スタッフも気にもとめません。
逆に捕まえるときのあの大変さ・・・だってほとんど野生馬なんですから。
足を怪我して膝がサッカーボールくらいに腫れてても、
4本足でたっている以上ほっとくらしいですよ。(Flying Spur氏談)
この点に関しては、なんでもすぐ薬で対処するアメリカの馬文化より好ましく思ってま
す。アメリカは獣医が儲けすぎだと思います。
AUSの繁殖牧場はすさまじいです。繁殖250頭でスタッフ4人とかざらです。
(Raheen studとか)
このスタッフで、250頭の繁殖の出産と、種付けと、Yearling prepをしてます。
Weanlingをセールにだすなら、そのプレップもします。馬房に・・・馬を基本入れないです。
イヤリングプレップもセールの6週間前からやっと「野生」状態の一歳馬を「初めて」
馬房に入れて、「初めて」チェフニーをつけます。これは豊富な人的資源
(つまりイリーガルなメキシコ人)の確保が可能なアメリカではまずありえない
状況です。
この事例に対して、Raheen studで勤務経験のあるFlying Spur氏はなんと
コメントするでしょうか?
AUSの生産現場を知る人間として、なにかあればどうぞ。(n‘∀‘)η
注射とか、俺がうちますよ。獣医なんか・・・・X rayのときしか来ません。
一から十までヴェットにやらせるアメリカや日本とはこの辺も違ってきます。
適当なんです。
僕の先輩の体験談ですけど、朝フィードランに行って、双眼鏡で放牧地の馬の数を
かぞえてたら、昨日より一頭多い・・・・みたいな。
「あれ、生まれてんじゃん」ていうことがたまにあるそうです。(我謝氏談)
なので、僕は表現上「野生に帰れ」という表記をしましたが、実際には完全に
野放しにするわけではないです。そもそもAUSの繁殖牝馬は基本全馬
野に放たれてますし、出産すら外のパドックですから。馬房にはいる機会って
一年の内に何日あるんでしょう?
というわけで、No Findingの状況に間する僕の書き込みをご覧になられた方には
オーストラリアの競争馬の生産現場について、きちんと説明書きをすべきだったと
反省しています。
僕の私見ですが、なにしろAUSの馬は元気ですよ。
のびのび育ってます。なにもされないが故に、
恐ろしくタフ。中3日で競馬使ったり、ふつーにします。
ある日突然9歳の馬が「デビュー」したりします。
生まれてから9年間なにしとったの?ってほんと思いますけど・・・・
たぶん、5,6年ぶりに存在に気づいた・・・とかいうレベル・・・
25歳の繁殖牝馬が7年ぶりに種付けしたとか・・・・・
7年間ほっぽりっぱなしだったのに、なぜ今更?とか・・・
考えたらいけないんです。理屈じゃないから、この国は。
あるんです、オーストラリアではそーいうことが。
いいんです、オージーはゆる~い感じがいいところ。
9歳でデビューしたらいけないルールなんかないし。
2週間で4回競馬使っても平気だし。
懐かしい夏の日の一枚で締めくくりたいと思います。
ジェラール元気かな?
僕は明後日より、シドニーに移ります。厩舎で働く予定です。
ああ~メトロポリタンライフ、何年ぶりだろ・・・・