皆さんは、東京・大手町に佇むラグジュアリーな日本旅館「星のや東京」をご存じでしょうか?
画像参照:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyatokyo/
高層ビルが立ち並ぶビジネス街の中心にありながら、一歩足を踏み入れると、そこにはまるで別世界のような静謐な空間が広がります。
この特別な雰囲気を生み出す要素のひとつが、「照明デザイン」です。
星のや東京の光を手がけたのは、照明デザイナーの武石正宣氏が率いるICE都市環境照明研究所。
彼らは、日本の伝統的な旅館文化と現代的なデザインを融合させ、光が織りなす上質な空間を創り出しました。
星のや東京の照明コンセプト~「陰影の美と静けさ」~
日本の伝統建築において、光は単なる照明ではなく、空間の奥行きや時間の流れを表現する重要な要素です。
星のや東京では、「陰翳礼讃」の美意識を取り入れ、穏やかで落ち着いた光の使い方が徹底されています。
◎都市の喧騒から解放する穏やかな光
エントランスをくぐると、まず目に入るのは柔らかな間接照明。
高層ビルの煌々とした明かりとは対照的に、温かみのある光が足元や壁面を優しく包み込み、都市の喧騒を忘れさせる静寂な雰囲気を演出しています。
画像参照:http://www.ice-pick.jp/project/hoshinoya_tokyo/
◎和紙を通した光の柔らかさ
館内の各所に施された和紙の照明が、穏やかな光を生み出しています。
和紙のフィルターを通すことで、光が直接目に入ることなく、空間全体を包み込むような穏やかさを演出。
画像参照:http://www.ice-pick.jp/project/hoshinoya_tokyo/
まるで行灯のように、日本旅館ならではの温もりを感じさせる照明デザインとなっています。
◎「時間の移ろい」を表現する光の変化
星のや東京では、昼と夜で異なる光の表情を持たせています。
日中は自然光を最大限に生かし、障子越しに柔らかく差し込む光が空間を演出。
画像参照:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyatokyo/
一方、夜になると間接照明が主体となり、静かに灯る光が心を落ち着かせ、宿泊者にくつろぎの時間を提供します。
◎客室の照明~「光に包まれる安心感」~
客室の照明もまた、細部までこだわりが詰まっています。
天井からの直接光を極力排し、足元や壁際に配置された間接照明によって、光が優しく広がる設計に。
画像参照:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyatokyo/
まるで旅館の囲炉裏端でくつろいでいるかのような、安心感と温かみを感じさせる光の使い方がされています。
照明デザインの社会的影響
星のや東京の照明デザインは、宿泊者に静けさとくつろぎを提供するだけでなく、日本の伝統美と現代デザインの融合を示す好例としても評価されています。
都市の中に溶け込む旅館という新しい形態を、光の力でより魅力的に表現した星のや東京。
これまでのホテル照明とは異なる、落ち着いた空間演出は、今後の都市型宿泊施設のデザインにも影響を与えることでしょう。
最後に
星のや東京の照明デザインは、ただ空間を照らすだけでなく、宿泊者の心を穏やかにし、非日常へと誘う重要な役割を果たしています。
都会の喧騒から離れ、静かに灯る光に包まれながら、日本の伝統美を感じるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?
施設詳細
施設名:星のや東京
住所:〒100-0004 東京都千代田区大手町一丁目9-1
アクセス:東京メトロ「大手町駅」より徒歩すぐ
照明デザイン:ライティングプランナーズアソシエイツ(LPA)