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この磔刑像に出会ったのは、ちょうど渡辺京二さんの『バテレンの世紀』(新潮社)を読み、「戦闘的な布教組織」イエスズ会の歴史に興味を持っていたときでした。十字架台座にあるイエスズ会の紋章を見て驚きました。
イエスズ会紋は、南蛮美術では見かけるのですが、磔刑像では初めて見ました。
木製の十字架は、全面金彩色でバロック風。
キリスト像はブロンズ製で、その表情は息絶える前の絶望の眼差しです。
キリストの手足を十字架に打ちつけているのは、釘ではなく古いボルトです。
十字架上部には、「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」を表わす「INRI」のブロンズ製板が付いています。
この磔刑像は、旧ポルトガル領インドのゴアで製作されたもので、時代は17~18世紀頃と思われます。
当時ゴアは、アジアにおけるイエスズ会の拠点でした。
(高さ42センチ)
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