二百十日・・・立春を起算日として210日目。
台風が来襲する厄日とされていますが、今年は8月31日になります。
”風”とは、科学的には高気圧と低気圧の気圧差が引き起こす大気の動きであると分かっていても、人の生活に圧倒的な影響をもたらす風は”神のしわざ”と昔の人が考えるのも無理はないでしょう。
Wikipediaで「風神」を検索したら世界中の風の神を解説してくれていました。
長いので、以下は私なりの要約。
日本:
『古事記』では、イザナギとイザナミの間に生まれたシナツヒコという風の神がいるそうです。
『太平記』には、元寇の際に伊勢神宮の風宮に青い鬼神が現れ大風を起こしたとあるとのこと。(風日祈宮)
風の又三郎は、東北地方各地で信仰されてきた妖怪のような風の神とのことで、宮沢賢治の小説はここから題材を取ったのですね。
疫病神としての風の神は、空気の流動が農作物や漁業への害をもたらし、人の体内に入って病気になることから「風邪」と書くのですね。
インド:
風神ヴァーユは、日常の風を司る。同じく風神ヴァータがある。
暴風雨を司るのはマルト神群とのこと。
暴風神ルドラは、破壊的な暴風雨と、それが過ぎ去ったあとに訪れるすべてを生まれ変わらせるような爽快感を司る神で、ヒンドゥー教の最高神シヴァの原形なんだそうです。
メソポタミア:
シュメール神話に登場する風と暴風雨の神エンリルは、最高神とのこと。
敵の侵略による都市の滅亡も、大洪水をはじめとする天変地異も疫病も、すべてはわがままなこのエンリル神の破壊衝動のなせる業だが、暴風雨がそうであるように最後には恵みと新たな秩序をもたらしてくれると信じられていたようです。
エンリルの配偶者である女神ニンリルも風神だそうです。
パズズは、メソポタミアの「風の魔王」とされているとのこと。
アダド(ハダド)は、メソポタミア神話に登場する天候・嵐・雷の神だそう。
ウガリット神話に登場するバアルは、嵐の神であるとともに豊穣神(農業神)でもあるそうです。しかし、キリスト教の時代になると悪魔にされてしまったとか。
エジプト:
エジプト九柱の神々の一柱に数えられるシューは、エジプト神話の天地創造に関わる大気の神とのこと。
一方、セトは、保護と恵みと破壊と渾沌の神であり、砂嵐を起こす怖ろしい神でした。
太陽神アメンがその地位に出世する前は、テーベ地方の大気の守護神&豊饒神(農業神)だったのだそうです。
ギリシア:
ギリシア神話に登場する太古の巨人神テューポーンは、最大最強の怪物であり、「旋風」を意味する "τύφων (typhon)" で、英語 "typhoon(タイフーン)" の語源の一つとされてもいるそうです。シチリア島エトナ火山が頻繁に噴火を繰り返すのはここから逃れようとしてテューポーンが今ももがいているからであるとされて恐れられているそうです。
ギリシア神話における風の神たちは、ボレアースが北風を、ゼピュロス(ゼフュロス)が西風を、ノトスが南風を、エウロスが東風を司り、それぞれが季節や天候に関連しているのだそうです。
ローマ神話における風の神は、ギリシア神話と同じように、アクィロー(アキロン。Aquilo, Aquilon)が北風を、アウステル (Auster) が南風を、ファウォーニウス(ファヴォーニウス、ファボニウス。Favonius)が西風を、ウルトゥルヌス(ヴルトゥルヌス。Vulturnus)が東風を司るとのこと。
スラブ:
スラブ神話の風神ストリボーグ。風・大気・天候を司る神とのこと。
メソアメリカ:
マヤ神話の最高神であるククルカンは、四元素(火・水・大地・大気/風)を司るそう。
風・嵐・火などを司るフラカンは、人類に知恵が無く神をないがしろにしたため、暴風雨を巻き起こし、大洪水によって人類を滅ぼしてしまったことがあるそうです。
アステカ神話の神々の中で最も大きな力を持つとされるテスカトリポカは、夜の風の神としての名はヨワリ・エエカトルで、人身御供を好むなど凶悪な神で、それゆえにカトリック教会の宣教師たちの目には悪魔と映ったのだそう。
アステカ神話の創造神・文化英雄神であるケツァルコアトルは、古くからは水や農耕に関わる蛇神であり、風の神でもあったそうです。
先コロンブス期の風にまつわる神エエカトルは創造神・文化英雄神の一柱として存在感は大きいそうです。
予想どおり風の神は世界中にいるんですね。
風の神は、災いをもたらすと同時に恵みを与えてくれるので、古来から大切にされてきたのでしょう。たかが風神されど風神・・・?
とりあえず私は、今の時期は、テューポーン(タイフーンの語源のギリシャ神話の神)の怒りを鎮めるために祈ることにします。・・・すなわち「三浦半島(だけには)台風が来ませんように」と。(なんと自己中なクズ野郎なことよ!)
(テューポーン)