8月20日(土)立待月の夜 ケニア
ピラミッドを守る風さんの友達はお別れの時、ルーモにこう言いました。
「動物たちのお話を聞いてごらん。サバンナに住む野生の動物は君の世界を広げてくれるに違いない」
風さんとルーモは、アフリカという大地のケニアという国に向かいました。
ケニアの空に入るとつむじ風がやってきて、ルーモと風さんを後ろからひっくり返しました。そのままルーモは転げるように地上に落ちて行ったのですが、気がついたら岩の上に横になっていて、そばにはケニアの子供が立っていました。
その子は人間なのですが、ルーモを見ることができました。
ルーモを見ることが出来るのは心に深い寂しさを持つ者だけでした。
でも、その子に寂しさや悲しさは感じられません。
人間の子であるけれど妖精の目を持っていたからです。
ルーモはすぐにその子と仲良しになりました。
その子の名は、ギデオンと言いました。
ルーモが、
「動物さんたちのお話が聞きたい」
とお願いするとギデオンはちょっと微笑んですぐに歩き出しました。
草原をしばらく歩き気がつくと、ギデオンの周りにはたくさんの動物がいました。
象の親子、キリンの親子、ライオン、シマウマ、サイ、フラミンゴやミーアキャット、ネズミのような小さな動物も。ギデオンが立ち止まると動物も立ち止まりました。
ギデオンが言いいました。
「誰かこの子にお話をしてあげてくれないか?」
するとキリンが、
「ゾウの《星のしずく》のお話がいいね」
と言いました。
「あのお話は最高だ」
とサイも言いました。
ゾウはちょっと牙を上に向けてから、歌うようにゆっくりと話し始めます。
~われらは星のこどもたちなり。
昼はお日様の光の下で半分眠る。
そして、夜。
星の下、目覚めて大きくあくびするのだ。
夜、われらの目は輝き、大きく見開いて星の光を一心に吸い込む。
星のしずくは目から喉を潤し、われらの生の営みをしばし休ませる。
しずくはわれらの心を温め、腹に力を宿し、手足までよどみなくいきわたり、明日もサバンナを駆ける力となす。
しずくはそれから大地に染みて、われらの大地を深く潤す。
大地の声がわれらにも響きわたる。
われらは星のしずくによりて大地とつながり、いつの日か大地に溶け込み星となる。
サバンナの空に幾千と輝く星々は、
幾千年もサバンナを見つめ、幾万もの晩、われらを愛おしむ。~
ゾウのお話は、短く強き詩でした。
ルーモの心にとても心地よく響き、
これから夜空を見上げるときにきっと思い出すだろうと思いました。
それから、キリンもサイも順番にお話をしてくれました。
それぞれが、短かく美しい詩でした。
ルーモの心にいくつもの星が降りたような気がしました。
風さんがひとりごとのように言いました。
「動物が何も考えないと思うかい?何も感じないと思うかい?人間たちが一番偉いとでも?」
「すべてに等しく愛を持てる存在、ルーモ。
人になるのは、大きな試練・・・」
風さんのひとり言は、ルーモの耳には届きません。
その晩は、広い大地の上で眠りながら、
星に囲まれているようにキラキラキラキラした夢を見ました。
ピラミッドを守る風さんの友達はお別れの時、ルーモにこう言いました。
「動物たちのお話を聞いてごらん。サバンナに住む野生の動物は君の世界を広げてくれるに違いない」
風さんとルーモは、アフリカという大地のケニアという国に向かいました。
ケニアの空に入るとつむじ風がやってきて、ルーモと風さんを後ろからひっくり返しました。そのままルーモは転げるように地上に落ちて行ったのですが、気がついたら岩の上に横になっていて、そばにはケニアの子供が立っていました。
その子は人間なのですが、ルーモを見ることができました。
ルーモを見ることが出来るのは心に深い寂しさを持つ者だけでした。
でも、その子に寂しさや悲しさは感じられません。
人間の子であるけれど妖精の目を持っていたからです。
ルーモはすぐにその子と仲良しになりました。
その子の名は、ギデオンと言いました。
ルーモが、
「動物さんたちのお話が聞きたい」
とお願いするとギデオンはちょっと微笑んですぐに歩き出しました。
草原をしばらく歩き気がつくと、ギデオンの周りにはたくさんの動物がいました。
象の親子、キリンの親子、ライオン、シマウマ、サイ、フラミンゴやミーアキャット、ネズミのような小さな動物も。ギデオンが立ち止まると動物も立ち止まりました。
ギデオンが言いいました。
「誰かこの子にお話をしてあげてくれないか?」
するとキリンが、
「ゾウの《星のしずく》のお話がいいね」
と言いました。
「あのお話は最高だ」
とサイも言いました。
ゾウはちょっと牙を上に向けてから、歌うようにゆっくりと話し始めます。
~われらは星のこどもたちなり。
昼はお日様の光の下で半分眠る。
そして、夜。
星の下、目覚めて大きくあくびするのだ。
夜、われらの目は輝き、大きく見開いて星の光を一心に吸い込む。
星のしずくは目から喉を潤し、われらの生の営みをしばし休ませる。
しずくはわれらの心を温め、腹に力を宿し、手足までよどみなくいきわたり、明日もサバンナを駆ける力となす。
しずくはそれから大地に染みて、われらの大地を深く潤す。
大地の声がわれらにも響きわたる。
われらは星のしずくによりて大地とつながり、いつの日か大地に溶け込み星となる。
サバンナの空に幾千と輝く星々は、
幾千年もサバンナを見つめ、幾万もの晩、われらを愛おしむ。~
ゾウのお話は、短く強き詩でした。
ルーモの心にとても心地よく響き、
これから夜空を見上げるときにきっと思い出すだろうと思いました。
それから、キリンもサイも順番にお話をしてくれました。
それぞれが、短かく美しい詩でした。
ルーモの心にいくつもの星が降りたような気がしました。
風さんがひとりごとのように言いました。
「動物が何も考えないと思うかい?何も感じないと思うかい?人間たちが一番偉いとでも?」
「すべてに等しく愛を持てる存在、ルーモ。
人になるのは、大きな試練・・・」
風さんのひとり言は、ルーモの耳には届きません。
その晩は、広い大地の上で眠りながら、
星に囲まれているようにキラキラキラキラした夢を見ました。