スロバキア、タトラ山脈の麓より

スロバキア人の夫と2人の娘と私の生活
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春はあけぼの

2024-12-02 | スロバキア2024
日本でいうところの中2の長女、今、国語(スロバキア語)の宿題で文句タラタラ言いながら詩の暗記をしています。「こんなもの覚えても無駄だよ。なんのためにするの?」と。

日本以上に暗記型のスロバキアの学校。ただでさえ覚えるものが多いのに、こんなものまで覚えなさいと言われると一体なんの意味があるんだろうかと思うのも確かに納得しますが、でもいわゆる常識ですよね。そのとき娘に良い回答ができなくて、「直接役には立たないかもしれないけれど、こういうのって常識って言って、昔の人の上手な文章を知っておくのもいいものだよ」と言いました。「ママだって”春はあけぼの・・・”とかすごい昔の人の書いたものをちょうど同じ頃に覚えたよ。」と。もう全文なんて到底言えませんが、でも、春はあけぼの・・・と冬はつとめて・・・だけうっすら頭に残っていますね。

暗記したことが何の役に立つのかはわかりませんが、でもその一説をふと思い出して、その清少納言が見た景色はこんな風だったのかなぁ。と思う景色に大人になって、ここスロバキアで出会って、少し豊かな気持ちになることがあるんですよね。

私の住む町はタトラ山脈の麓、タトラの全景が日常の一部です。見慣れた景色ですが、でも日本人にとっての富士山のような存在のタトラ、やっぱり見えると何度見ても「あぁ奇麗だな。見れて良かった」と思うものです。
私が一番好きなのは冬のタトラです。山頂に雪をいだいたタトラはやっぱり奇麗です。特に奇麗だと思うのが早朝のタトラです。朝日がタトラの雪を照らし、タトラがうっすらピンクに見え、本当に美しいです。それを見て、「春はあけぼの」を思い出すんです。季節は違いますが薄いピンクの空と山はきっとあの空と山だったのかなと。

スロバキアに来て15年、帰国しても重たいからと自分の本はほとんど持ち帰ることもなく、入ってくる言葉も、使う言葉も少ないものだから、語彙の引き出しは恥ずかしながらもうすっからかんです。最近は無性に本が読みたくなり、今年のクリスマスプレゼントは電子書籍をお願いしようかなと思っています。


残念ながら手持ちの写真で早朝のタトラは見つけられませんでしたが、日の光を浴びて輝いているのは伝わりますか?

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