女性を籍に入れてから
毎月決まった日に
10万円をお小遣いとして渡しており
生活に必要なものや
食品や、衣服代などは
父がその都度お金を出すようにして
女性に負担をかけないでいるのだと
足りない時や
必要なことがあれば
追加してお金を渡すこともあったり
そのような暮らしだと
ワタシも
父達の生活に口を出すことも
意見する立場でもないわけだから
ふーん、そうなん
くらいの感情だけで聞いていた
ワタシはワタシで
子供との生活に、仕事に
いっぱいいっぱい
2人だけとはいえ
子供に食べさせる為に働かねばと
気を張っているのを
父も知ってか
魚が釣れたから
取りにおいでと電話をくれると
港へ喜んで向かった
どんな魚でも捌けるのは
父のおかげだし
丈夫でいるのも
魚をたくさん食べて育ったおかげ
やはり父のおかげ
港へ向かうと
父の車が防波堤傍の駐車スペースに駐まっていて
車を見つけると
漁船で作業をしている父のとこへ
すっ飛んでいく
少しお手伝いをしながら
話したりするひと時が大好きだ
父は近況の話や
昔話を
海の潮風と、広がる海を目の前に
おもしろ楽しく語る口調で語ってくれる
ノリがいい上に、笑いもある
それが本来のワタシが知る父
その日も
港へ向かうと、
いつもの小型車でなく
ではなく
普段使いをしていない
乗用車が駐まっている
直ぐわけを聞いたら
女性が小型車に乗って出かけたからだと
以前から
しょっちゅう自分で運転しては
何処か買い物へでも行っているようなことは聞いていたけど
なんだか頻繁になっていて
買い物にお金が足りないと言っては
父にねだることも多くなった
出掛け方も
「ちょっといってきます」
と
突然出かけて行くらしく
どこどこへ
だれだれと
とか
なになにをしに
これこれで
とかは一切ない
女性は朝なかなか起きられないらしく
父は自分で朝食をきちんとこさえる
料理が出来る器用な父だから
苦にもならない
それがその日は
朝、珍しく早く起きた女性が
キッチンで何か料理をしているみたいだ
父は少し嬉しくなったから
まだ眠ってるふりをしようと
ベッドに入ったまま
女性が呼びにくるのを待っていた
....眠ってしまったのだ
はっと目が覚めて
キッチンへ向かうも
女性の姿は見当たらず
鍋がIHのコンロにかけっぱなし
中身がなんだったかわからない状態になり
刻んだ野菜や包丁がまな板に散らばって
作りかけたまま
まさかと
キッチンの裏口外にある駐車場を見ると
小型車がない
携帯に電話をしても、出ない
ついには
そのまま帰らないのだと
船の生簀に活かしていた魚を取りにきたついでに、
掃除もしようと思っていたのに
小型車が戻らないから
乗用車で港へ来た
っていう話を聞かされた
ワタシも仕事を終えて港へ来たのだから
姿を消したまま?って
こんな長い時間、何処にいるわけ?
ちゅうか、鍋をIHとはいえ
コンロにかけたままって?
つづく