能天気なワタシが
何をお探しに?
って声をかけた時の
父と兄の表情は忘れられない
渋い顔で
「Sちゃん(私の名前)の作ってくれた、おはぎがないんちゃ」
おはぎが
消えた
って探していて
またワタシは呑気に
「食べたんぢゃないん?」
って
探す手間より
兄の帰り支度を気にかけた
食べ物を粗末にしてはいけないと
父も探すにも
どこにもない
食卓の上にはワタシが前夜に持ってきた
オードブルの残りなどが
タッパーに入れてあり
どうやら
持って帰れ
ということ、らしい
そこにも
おはぎは
なかった
兄は、自分好みのおはぎを
ワタシが一生懸命こさえてくれたから
包んで帰りの新幹線の中で食べようと思ってくれており
前夜にも、
テーブルの上の
そこにあった
おはぎを見たのに
朝そこをみると
すっかり全部消えていた
というわけだ
なら、女性に聞くのが1番
何故か聞いていないのは
不眠症とかで
眠剤を服用する女性は
朝はまるでダメらしく
父が起こしても起きてこない
と
いうことだった
ないものは
ないわけだから
それより帰り支度優先だ
父も一旦諦めて
キッチン裏口外の洗濯機を回しに行った
なんと
そこに
「あった、あったでー」
あったのだ
兄とワタシも
父の大きな声を聞いて
行ってみると
洗濯機の横の
洗剤などが置かれたワゴンの後ろに
パックに入ったおはぎが
幾つか飛び出して
ぐぢゃーって
潰れて落っこちていた
つづく