そのときの内容は
こうだった
「もしもし?おとうさん?」
普通に電話にでた
ワタシの声に
父は無反応だった
そして
ギイイーバタンと
扉の音がして
「やれやれよー」
漏れるような声がした
「おとーさーん、おとーさーん」
やはり
ワタシの声に無反応
父はスマホでしばらく
遊んでいたんだろう
そしてトイレに入ったのだ
スマホはシャツの胸ポッケの中
意図せずかかってくる
スマホに替えて不慣れな頃に
起きるアルアルなやつだ
耳も悪いんだから
ワタシが叫んだって聞こえないので
電話を切ろうと思ったら
あの女性の声がした
「おとさん、おとさん!さんまい いるからねー」
は?
さんまい?
いるって
何が?
訳わからないので
話を聞いてみることにした
すると父が
「朝もやったろおが、もうないで」
女性は
「おさいふ、みせてくれないとダメだからねー」
ドンドンドンと
ドアを叩いたのか
蹴ったのか
音がした
「ください」
「駄目」のやりとりが
少し続き
父はトイレから出て
財布を取りに行き
女性に財布の中を見せた
「ほれ見てみー、3万も入っとらんじゃろー
1枚しかないでーあんたに朝あげたんじゃから」
女性は
父から
財布の中のお金を受け取り
いや
抜き取り
「勝ったら、おにくー食べにいくか?」
そう行って
出て行った
3枚は
3万円のことだ
この日の朝
父から一度お金をもらい
パチンコへ行き
負けて帰り
負けを取り戻すために
またパチンコへ行ったのだ
一旦電話を切ってから
少し考えたのち
ワタシから電話をした
というわけで
この頃から
女性は割と実家にいるようになった
ワタシはまた
父に自由に近づけない
悔しいけど
まだ父が元気だということが
ワタシを不安にさせなかった
まさか
1年後に
天国へ行ってしまうなんて
誰も思いやしない
つづく
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