正式な入院は夜中を過ぎた
医師からは
肺の中に
いくつかのウィルスが入っており
肺炎を起こしかけているのだと説明があった
今の段階では
調べてみないと何のウィルスかわからない
という
父はベッドに横になったまま
エレベーターで7階へ搬送された
そのエレベーターの中で
父が
「ここだけには、来とうなかったんじゃが」
と
ふうふう息を漏らしながら
ワタシに訴えた
すると
医師は笑って
「じゃあ、帰りますか?帰ってもいいですよ」
と冗談ぽく
おっしゃった
父はぷいっとそっぽを向き
キョロリと大きな目でワタシを見て
にーーって笑う
この時は
そんな余裕があったのだ
女性はといえば
この直前に
父が病院にいるなら安心だからと
入院が決まると直ぐに帰宅したのだった
つづく