黄泉の国へ

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詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-10-31 17:07:00 | 日記
ひとつはお腹
もうひとつはお胸にそれはあって
気になって仕方ないワタシは

「おとーたん、ポンポンとおっぱいんとこの
それなーに?」

父は
よくぞ聞いてくれたか
言うような表情で

ワタシが生まれる前の
警察官だった話をしてから
身振り手振りをつけて
ヤクザと闘って
2発、銃で打たれたのだと
それがお腹と胸の傷跡というのだ


 
その時の現場が、映像になって見えてきそうな程

「バンッ!バンッ!」

「おいっ!大丈夫かー」

「◯がやられたでー」

そこにいる人たちの様子まで演じてみせるものだから


ワタシも夢中になって
「それから?それから?」
話のつづきをおねだりする


父は
病院へ担架で運ばれ
目の前に現れたのが看護婦の母
その母を見たとき
女神か天使かと心を動かされたと言う


母が手当てをしてくれたお陰で
どんどん回復して元気になって
後に結婚したという


その話も
ロマンス映画みたいに演じてくれるのだ


父はアメリカ映画を母とよく観に行ったそうだから
ローマの休日並な景色まで見えるようだった



場所はお風呂だけど…。





出張の多い父が
早い帰宅をし
自宅で食事をすると聞けば


小さいワタシは
お風呂の掃除も進んでやり
父がお風呂場へ行くと
飛んでついて行って一緒にお風呂に入る


お風呂では
武勇伝と愛の話を
しつこくしつこくリクエストした


父は
すぐに飽きると思ったようだが


飽きるどころか
聞けば聞くほどワクワクする



お風呂から上がれば
母が脱衣場まで
タオルを持ってきてくれた


着物に白い割烹着姿の母が
女神様だ


先に上がって下着をつけた頃
やっと父が上がってくる


「母ちゃんーお母ちゃんよーい、よーい!」


大きな声で母を呼べば


シワもない綺麗な
ふんどしをヒラつかせて
母がそそーっそそそそーって
持ってかけつける


それが
まだ夢冷めやらぬワタシの目には
ゲゲゲの鬼太郎の1反木綿
ゲラゲラ笑い転がった



その間に
ワタシに背中を向けたまま
仁王立ちした父の背後に
すっとしゃがんだ母の慣れた手つきは素早く手際よく
ふんどしでお尻をさらさらーっと隠したかと思えば
テンポよく紐を両側から
「はい、お父さん」
と前に回す

手渡され
チャッと結んだ父が
「よしええで、お母ちゃん」
ひと声で
母は後ろの足の間から
前の父の手に1反木綿を通した


あっという間にふんどし姿の
格好良い父が出来上がるのだ


前で
チュンっと絞られたような
一反木綿
「それなあん?なんなん?なんが入っちょるん?」


ワタシはまだまだ騒がしい




父はワザと険しい顔をして

「ここに大事なものをしまっとるんじゃ!
大事なものはのおー、見せびらかしたらいけんのんでー」



という





ますます見たかったけど


母もお尻の後ろからしか
見られないのか



それなら仕方ないと
妙に納得した





ワタシには兄が2人いるわけだから
小学校に上がる頃には
それが◯ちんと、◯たまさん方だと
すぐ知れた




小学校上がっても
父が自宅でお風呂に入る時は
やはりついて入った


まだまだ全然飽きない
武勇伝にラブストーリー
学校に行って友達に話して
「嘘つきいーねー」
なんていわれれば

可愛がってくれる
ご近所の家へ行き
あちらのおばちゃんに
こちらのおばちゃんにと
しゃべって回る



男子が多い近所なので
ワタシの話に誰もが優しく耳を傾けてくだされた




それが



小学3年
突然ピリオドが打たれたのだ


ご近所でベラベラ喋った話が
母の耳に入り


家の中のことが
ご近所に知られている



母は本当に恥ずかしかったという




母はこういった

「Sちゃん、お父さんのお腹にあるのはね
盲腸の手術のあーとっ」





ついでに
母との出会い方も
作り話だった





父とお風呂に入るのは
これにて終了となった




父の作り話で
ワタシは大嘘つきになってしまったと
腹を立て


父にも
「ぷいっ」と
そっぽをむけ
長らくご機嫌斜めになった



1反木綿は
ワタシをもう笑わせてくれなくなり



ただのふんどしに
戻った




けれど
父も大きなお風呂でゆったりできるのだから
良かっただろう



ということで


ここまで
ふんどしエピソードが長引きましたが







実はこの大きなお風呂に
窓が2箇所あり
そこから誰かが入るならば


家の正面から死角になっていて
外からお風呂場窓までは
溝の上にある猫が通るほどの
細い小道を通るのみ




お隣さんですら
その小道を知らないくらいだ



玄関
裏口
窓も塞がれていて
窃盗が家に入るなら



中から誰かに渡すなら



父が寝ていて気づかないだろう
奥のお風呂の
窓ではないか



とも思う





時は2016年から
話を続けます



つづく

























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